VW:BJN型エンジンの諸元と性能まとめ [W型12気筒 5998cc]

ここではVWの7LBJNA型・トゥアレグ [W12 Sport|2005/07モデル] に搭載されているBJN型の自然吸気エンジンのデータを参考に、このエンジンが持つ特性や素性について調べてみます。

BJN型の自然吸気エンジン諸元


7LBJNA型 トゥアレグ
主要諸元と走行性能まとめ
車両型式GH-7LBJNA型
車名&グレードトゥアレグ
W12 Sport
エンジン型式BJN
種類W型12気筒
排気量5998cc
内径×行程84.0mm×90.2mm
ボアストローク比1.07
単気筒容積499.9cc
圧縮比10.7
吸気方式自然吸気
使用燃料ハイオクガソリン
最高出力450PS/6000rpm
最大トルク61.2kgm/3300rpm

まず基本的な成り立ちとして、BJN型エンジンはボア(内径)84.0mm、ストローク(行程)90.2mm、ボアストローク比1.07のロングストローク型エンジン(ピストン径よりもストローク量のほうが大きい)です。

排気量と気筒数が同一の場合、ショートストローク型に比べて低回転域でのトルク特性に優れ、扱い易いエンジンとされますが、高回転域では充填効率の悪化や摺動抵抗が増大して出力の低下が懸念されます。

なおかつ回転数も同一の場合、ショートストローク型に比べて平均ピストンスピードが高くなりがちなことから、エンジンへの負荷が大きくなる傾向にあります。

過渡特性とリッター換算馬力から見た評価

エンジン性能曲線のイメージ
BJNのエンジン性能曲線図もどき
馬力の変遷281.9PS → 450PS
トルクの変遷61.2kgm → 53.7kgm
リッター馬力75.0PS/L
リッタートルク10.2kgm/L

今回の参考車両であるトゥアレグのW型12気筒5998cc、圧縮比10.7でハイオクガソリン仕様の自然吸気エンジンは、6000回転のとき最高出力450馬力を、6000回転のとき最大トルク61.2kgmを発生させます。

馬力と回転数が分かればトルクが、トルクと回転数が分かれば馬力を知ることができますので計算してみますと、最大トルクが発生する3300回転での馬力は281.9PS、最高出力が発生する6000回転でのトルクは53.7kgmになります。

排気量1リットルあたりの馬力は75.0PS/L、トルクは10.2kgm/Lとなり、1気筒(単気筒容積499.9cc)あたりの馬力は37.5PS、トルクは5.1kgmです。

BJN型自然吸気エンジンを、このサイトで登録している全てのNA車から集計した偏差値ベースの10段階評価に当てはめると、評価は換算馬力が[ 6 ]、換算トルクが[ 8 ]の「標準的な出力(中の上)のエンジン」にカテゴライズされます。

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排気量アップと圧縮比の上昇、ボアストローク比の変化

ノーマルの排気量と圧縮比
BoreStroke排気量圧縮比B/S比
84.090.25998cc10.71.07
ボアアップによる排気量拡大
84.590.26070cc10.81.07
85.06142cc10.91.06
85.56214cc11.11.05
86.06287cc11.21.05
86.56361cc11.31.04
87.06434cc11.41.04
ストロークアップによる排気量拡大
84.091.26065cc10.81.09
92.26131cc10.91.10
93.26198cc11.01.11
94.26264cc11.11.12
95.26331cc11.31.13

エンジンの排気量を決める要素には気筒数、ボア径、ストローク量の3つがあり、これらを増減することでさまざまな排気量のエンジンが生まれます。

ここでは実際に可能かどうかは別として、ピストン径を純正の84.0mmから0.5mm刻みで87.0mmまで拡大した場合および、ストロークを純正の90.2mmから1mm刻みで95.2mmまで延長した場合の排気量と、燃焼室容積が変化しないと仮定した場合の圧縮比の変化を一覧表にしています。

※ストロークアップと口で言うのは簡単なのですが、ロングストローク化するにあたってはクランクシャフトおよび対応コンロッドが必要になり、純正流用できない場合はワンオフで作らなければならないなど、とにかくお高く付きますので、手を出すには相当の覚悟を求められるメニューです。

圧縮比については、実際のところピストンが大径化するに伴ってピストン天面の凸凹容量も変化する場合が大半ですから、一覧表にある圧縮比の数値の通りにはなりませんが、排気量を大きくすると自ずと圧縮比も上昇しますよ、という雰囲気をご堪能ください。

B/S比はボアストローク比の略で、ボア径を広げていくとロングストローク型からスクエア型、あるいはショートストローク型の特性へと近付いていきます。BJN型エンジンの場合、純正ピストンから+3.0mmのボアアップをすると比は1.07から1.04に変化するという具合です。

ピストン径が近いエンジンと排気量アップ

BJN型エンジンのピストン径84.0mmとサイズが近いピストンを持つエンジンが56件ありますので、余興としてピストン流用でボアアップした場合の排気量を計算してみます。

Eg型式ピストン径排気量
マツダ
YF型
84.8mm
[+0.8mm]
6113cc
[+115cc]
三菱
4G63型
85.0mm
[+1.0mm]
6142cc
[+144cc]
日産
VQ25型
85.0mm
[+1.0mm]
6142cc
[+144cc]
スバル
EJ15型
85.0mm
[+1.0mm]
6142cc
[+144cc]
ホンダ
F20B型
85.0mm
[+1.0mm]
6142cc
[+144cc]
ホンダ
F22B型
85.0mm
[+1.0mm]
6142cc
[+144cc]

ピストン径が近いエンジンとしては、マツダ:EPEW型トリビュートに搭載されるYF型1988ccの84.8mm、三菱:CT9A型ランサーエボリューションに搭載される4G63型1997ccの85.0mm、日産:M35型プラウディアに搭載されるVQ25型2495ccの85.0mm、スバル:GG2型インプレッサ スポーツワゴンに搭載されるEJ15型1493ccの85.0mm、ホンダ:CJ3型トルネオに搭載されるF20B型1997ccの85.0mm、ホンダ:BB7型プレリュードに搭載されるF22B型2156ccの85.0mmなどが該当します。

(もはやこのような探求に楽しみを見い出す人は減ってしまいましたが)いくら径が近かろうとも、ピストンピンの径やピストンの高さ、バルブリセスの都合などなどありますので、なるべくなら同じメーカー、なるべくなら同じ燃料で同じ吸気方式、なるべくなら排気量が近いものを選ぶと純正流用できる可能性が高くなる、かもしれません。

ピストン径が小さい 5000cc超のエンジン
ピストン径が大きい 5000cc超のエンジン
ストロークが短い 5000cc超のエンジン
ストロークが長い 5000cc超のエンジン
ボアストローク比・昇順 [5000cc超]
ボアストローク比・降順 [5000cc超]


平均ピストンスピード

ストローク最大トルク
3300rpm
最高出力
6000rpm
90.2mm9.9m/s18.0m/s
回転数/分秒速時速
2000rpm6.0m/s22km/h
4000rpm12.0m/s43km/h
6000rpm18.0m/s65km/h
8000rpm24.1m/s87km/h
10000rpm30.1m/s108km/h

続きまして平均ピストンスピードについて見てみます。ストロークが90.2mmのエンジンが最高出力を発生する6000回転での平均ピストンスピードは18.0m/sとなり、これは1秒間に18.0メートル(時速にすると64.8km/h)の距離を進む速さでピストンが上下運動していますよ、という意味です。

最大トルクを発生する3300回転では9.9m/s、最高出力が発生する6000回転より500回転高い6500回転をレブリミットと仮定したときの平均速度は19.5m/sとなっています。

参考までにストロークが90.2mmのBJN型エンジンを10000回転/毎分まで回したときのピストンスピードの変化を計算してみました。これを見ると回転数が2000回転高くなるごとに概ね6.03m/sずつ速度が増していくようです。

大量生産を前提とした一般的なエンジンの目安である20.0m/sのみを基準として考えると、高回転化の上限を(回るか回らないかは別として)6650回転くらいにするのが機械的にも精神的にも好ましそうです。


BJN型エンジンを搭載する車種の例

メーカー
車両型式
画像車名&グレード出力/燃費
パワーウェイト
排気量
変速機
VW
7LBJNA
2005/07
トゥアレグ
W12 Sport
[GH-7LBJNA]
450PS
61.2kgm
5.9km/L
5.711kg/PS
自然吸気
4WD/6AT
SUV
5人乗り

トゥアレグ
[W12 Sport]
2005/07モデル
車両型式GH-7LBJNA
最高出力450PS
最大トルク61.2kgm
10-15モード燃費5.9km/L
パワーウェイト5.711kg/PS
吸気方式自然吸気
駆動方式&変速機4WD/6AT
車体形状&乗車定員SUV/5人乗り

VW製エンジンの原動機型式まとめ
【排気量順】