ボルボ:B4184型エンジンの諸元と性能まとめ [直列4気筒 1783cc]

ここではボルボの4B4184型・V40 [BaseGrade|1999/07モデル] に搭載されているB4184型の自然吸気エンジンのデータを参考に、このエンジンが持つ特性や素性について調べてみます。

B4184型の自然吸気エンジン諸元


4B4184型 V40
主要諸元と走行性能まとめ
車両型式GF-4B4184W型
車名&グレードV40
BaseGrade
エンジン型式B4184
種類直列4気筒
排気量1783cc
内径×行程83.0mm×82.4mm
ボアストローク比0.99
単気筒容積445.8cc
圧縮比10.3
吸気方式自然吸気
使用燃料ハイオクガソリン
最高出力122PS/5800rpm
最大トルク17.3kgm/4000rpm

まず基本的な成り立ちとして、B4184型エンジンはボア(内径)83.0mm、ストローク(行程)82.4mm、ボアストローク比0.99のショートストローク型エンジン(ストローク量よりもピストン径のほうが大きい)です。

排気量と気筒数が同一の場合、厳密に言えばボアとストロークが全くの同一でなければスクエア型を名乗ることは許されませんが、ここまでボアストローク比が1に近いのであれば「もうスクエア型にしてあげても良いじゃない!」という気もします。

これらのエンジンはショートストローク型、或いはロングストローク型の風味を残しつつ、その実はスクエア型に限りなく近い特性を持ちます。「やっぱこう、どうせなら低回転で粘って高回転でキレ
(省略されました・・全てを読むには ここ を押してください)

このサイトにてB4184型の自然吸気エンジンを搭載している車種は、1997/10から発売された初代V40 [4B4184W型|1999/07]となっており、NA車は2車種、ターボ/SC車は0車種の全2車種が登録されています。

過渡特性とリッター換算馬力から見た評価

エンジン性能曲線のイメージ
B4184のエンジン性能曲線図もどき
馬力の変遷96.6PS → 122PS
トルクの変遷17.3kgm → 15.1kgm
リッター馬力68.42PS/L
リッタートルク9.7kgm/L

今回の参考車両であるV40の直列4気筒1783cc、圧縮比10.3でハイオクガソリン仕様の自然吸気エンジンは、5800回転のとき最高出力122馬力を、5800回転のとき最大トルク17.3kgmを発生させます。

馬力と回転数が分かればトルクが、トルクと回転数が分かれば馬力を知ることができますので計算してみますと、最大トルクが発生する4000回転での馬力は96.6PS、最高出力が発生する5800回転でのトルクは15.1kgmになります。

排気量1リットルあたりの馬力は68.42PS/L、トルクは9.7kgm/Lとなり、1気筒(単気筒容積445.8cc)あたりの馬力は30.5PS、トルクは4.3kgmです。

B4184型自然吸気エンジンを、このサイトで登録している全てのNA車から集計した偏差値ベースの10段階評価に当てはめると、評価は換算馬力が[ 5 ]、換算トルクが[ 6 ]の「標準的な出力(中の下)のエンジン」にカテゴライズされます。

【PR】エンジンオイルの通販革命!高品質×低価格
TAKUMIモーターオイル HIGH QUALITY【5W-30】


排気量アップと圧縮比の上昇、ボアストローク比の変化

ノーマルの排気量と圧縮比
BoreStroke排気量圧縮比B/S比
83.082.41783cc10.30.99
ボアアップによる排気量拡大
83.582.41805cc10.40.99
84.01827cc10.50.98
84.51848cc10.60.98
85.01870cc10.80.97
85.51892cc10.90.96
86.01915cc11.00.96
ストロークアップによる排気量拡大
83.083.41805cc10.41.00
84.41827cc10.51.02
85.41848cc10.61.03
86.41870cc10.71.04
87.41891cc10.91.05

エンジンの排気量を決める要素には気筒数、ボア径、ストローク量の3つがあり、これらを増減することでさまざまな排気量のエンジンが生まれます。

ここでは実際に可能かどうかは別として、ピストン径を純正の83.0mmから0.5mm刻みで86.0mmまで拡大した場合および、ストロークを純正の82.4mmから1mm刻みで87.4mmまで延長した場合の排気量と、燃焼室容積が変化しないと仮定した場合の圧縮比の変化を一覧表にしています。

※ストロークアップと口で言うのは簡単なのですが、ロングストローク化するにあたってはクランクシャフトおよび対応コンロッドが必要になり、純正流用できない場合はワンオフで作らなければならないなど、とにかくお高く付きますので、手を出すには相当の覚悟を求められるメニューです。

圧縮比については、実際のところピストンが大径化するに伴ってピストン天面の凸凹容量も変化する場合が大半ですから、一覧表にある圧縮比の数値の通りにはなりませんが、排気量を大きくすると自ずと圧縮比も上昇しますよ、という雰囲気をご堪能ください。

B/S比はボアストローク比の略で、ボア径を広げていくと0.99からさらに値は小さくなり、ショートストローク型の恩恵と弊害が顕著になっていきます。B4184型エンジンの場合、純正ピストンから+3.0mmのボアアップをすると比は0.99から0.96に変化するという具合です。

ピストン径が近いエンジンと排気量アップ

B4184型エンジンのピストン径83.0mmとサイズが近いピストンを持つエンジンが55件ありますので、余興としてピストン流用でボアアップした場合の排気量を計算してみます。

Eg型式ピストン径排気量
日産
MR20型
84.0mm
[+1.0mm]
1827cc
[+44cc]
スバル
FB20型
84.0mm
[+1.0mm]
1827cc
[+44cc]
マツダ
J20A型
84.0mm
[+1.0mm]
1827cc
[+44cc]
ホンダ
B20B型
84.0mm
[+1.0mm]
1827cc
[+44cc]
日産
MR18型
84.0mm
[+1.0mm]
1827cc
[+44cc]
スズキ
J18A型
84.0mm
[+1.0mm]
1827cc
[+44cc]

ピストン径が近いエンジンとしては、日産:CC25型ランディ ハイブリッドに搭載されるMR20型1997ccの84.0mm、スバル:GT7型XVに搭載されるFB20型1995ccの84.0mm、マツダ:TF52W型プロシード レバンテに搭載されるJ20A型1995ccの84.0mm、ホンダ:RD1型CR-Vに搭載されるB20B型1972ccの84.0mm、日産:JC11型ティーダに搭載されるMR18型1797ccの84.0mm、スズキ:GC41W型カルタス クレセントワゴンに搭載されるJ18A型1839ccの84.0mmなどが該当します。

(もはやこのような探求に楽しみを見い出す人は減ってしまいましたが)いくら径が近かろうとも、ピストンピンの径やピストンの高さ、バルブリセスの都合などなどありますので、なるべくなら同じメーカー、なるべくなら同じ燃料で同じ吸気方式、なるべくなら排気量が近いものを選ぶと純正流用できる可能性が高くなる、かもしれません。

ピストン径が小さい 1800ccクラスのエンジン
ピストン径が大きい 1800ccクラスのエンジン
ストロークが短い 1800ccクラスのエンジン
ストロークが長い 1800ccクラスのエンジン
ボアストローク比・昇順 [1800ccクラス]
ボアストローク比・降順 [1800ccクラス]


平均ピストンスピード

ストローク最大トルク
4000rpm
最高出力
5800rpm
82.4mm11.0m/s15.9m/s
回転数/分秒速時速
2000rpm5.5m/s20km/h
4000rpm11.0m/s40km/h
6000rpm16.5m/s59km/h
8000rpm22.0m/s79km/h
10000rpm27.5m/s99km/h

続きまして平均ピストンスピードについて見てみます。ストロークが82.4mmのエンジンが最高出力を発生する5800回転での平均ピストンスピードは15.9m/sとなり、これは1秒間に15.9メートル(時速にすると57.2km/h)の距離を進む速さでピストンが上下運動していますよ、という意味です。

最大トルクを発生する4000回転では11.0m/s、最高出力が発生する5800回転より500回転高い6300回転をレブリミットと仮定したときの平均速度は17.3m/sとなっています。

参考までにストロークが82.4mmのB4184型エンジンを10000回転/毎分まで回したときのピストンスピードの変化を計算してみました。これを見ると回転数が2000回転高くなるごとに概ね5.50m/sずつ速度が増していくようです。

大量生産を前提とした一般的なエンジンの目安である20.0m/sのみを基準として考えると、高回転化の上限を(回るか回らないかは別として)7280回転くらいにするのが機械的にも精神的にも好ましそうです。


B4184型エンジンを搭載する車種の例

全2車種を最高出力が大きいものから順に表示しています。

メーカー
車両型式
画像車名&グレード出力/燃費
パワーウェイト
排気量
変速機
ボルボ
4B4184
1999/07
V40
BaseGrade
[GF-4B4184W]
122PS
17.3kgm
9.7km/L
10.984kg/PS
自然吸気
FF/4AT
ワゴン
5人乗り
車両型式:GF-4B4184W

V40
[BaseGrade]
1999/07モデル
最高出力122PS
最大トルク17.3kgm
10-15モード燃費9.7km/L
吸気方式自然吸気
車体構成5人乗りワゴン
FF/4AT
ボルボ
4B4184
1999/07
S40
BaseGrade
[GF-4B4184]
122PS
17.3kgm
9.7km/L
10.820kg/PS
自然吸気
FF/4AT
セダン
5人乗り
車両型式:GF-4B4184

S40
[BaseGrade]
1999/07モデル
最高出力122PS
最大トルク17.3kgm
10-15モード燃費9.7km/L
吸気方式自然吸気
車体構成5人乗りセダン
FF/4AT

ボルボ製エンジンの原動機型式まとめ
【排気量順】