ボルボ:B200型NAエンジンの諸元と性能まとめ [直列4気筒 1986cc]

ここではボルボの3B200型・V360 [GLE|1989/10モデル] に搭載されているB200型の自然吸気エンジンのデータを参考に、このエンジンが持つ特性や素性について調べてみます。

B200型の自然吸気エンジン諸元


3B200型 V360
主要諸元と走行性能まとめ
車両型式E-3B200型
車名&グレードV360
GLE
エンジン型式B200
種類直列4気筒
排気量1986cc
内径×行程88.9mm×80.0mm
ボアストローク比0.90
単気筒容積496.6cc
圧縮比9.2
吸気方式自然吸気
使用燃料レギュラーガソリン
最高出力110PS/5700rpm
最大トルク16.1kgm/4200rpm

まず基本的な成り立ちとして、B200型エンジンはボア(内径)88.9mm、ストローク(行程)80.0mm、ボアストローク比0.90のショートストローク型エンジン(ストローク量よりもピストン径のほうが大きい)です。

排気量と気筒数が同一の場合、ロングストローク型に比べて低回転域でのトルク特性に劣り、扱いにくいエンジンとされるものの、高回転域では充填効率の向上や摺動抵抗の増大も(ロングストローク型に比べれば)軽微なことから出力の向上が見込まれます。

また同じ回転数でも平均ピストンスピードが抑えられることから、その分だけエンジンへの負荷は低減される傾向にあります。

このサイトにてB200型の自然吸気エンジンを搭載している車種は、1983から発売された初代V360 [3B200型|1989/10]となっており、1車種のNA車が登録されています。

関連ページ
ボルボ:B200型 ターボ/SCエンジン 諸元と性能まとめ

過渡特性とリッター換算馬力から見た評価

エンジン性能曲線のイメージ
B200のエンジン性能曲線図もどき
馬力の変遷94.4PS → 110PS
トルクの変遷16.1kgm → 13.8kgm
リッター馬力55.39PS/L
リッタートルク8.1kgm/L

今回の参考車両であるV360の直列4気筒1986cc、圧縮比9.2でレギュラーガソリン仕様の自然吸気エンジンは、5700回転のとき最高出力110馬力を、5700回転のとき最大トルク16.1kgmを発生させます。

馬力と回転数が分かればトルクが、トルクと回転数が分かれば馬力を知ることができますので計算してみますと、最大トルクが発生する4200回転での馬力は94.4PS、最高出力が発生する5700回転でのトルクは13.8kgmになります。

排気量1リットルあたりの馬力は55.39PS/L、トルクは8.1kgm/Lとなり、1気筒(単気筒容積496.6cc)あたりの馬力は27.5PS、トルクは4.0kgmです。

B200型自然吸気エンジンを、このサイトで登録している全てのNA車から集計した偏差値ベースの10段階評価に当てはめると、評価は換算馬力が[ 3 ]、換算トルクが[ 2 ]の「控えめな出力のエンジン」にカテゴライズされます。

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排気量アップと圧縮比の上昇、ボアストローク比の変化

ノーマルの排気量と圧縮比
BoreStroke排気量圧縮比B/S比
88.980.01986cc9.20.90
ボアアップによる排気量拡大
89.480.02009cc9.30.89
89.92031cc9.40.89
90.42054cc9.50.88
90.92077cc9.60.88
91.42100cc9.70.88
91.92123cc9.80.87
ストロークアップによる排気量拡大
88.981.02011cc9.30.91
82.02036cc9.40.92
83.02061cc9.50.93
84.02086cc9.60.94
85.02110cc9.70.96

エンジンの排気量を決める要素には気筒数、ボア径、ストローク量の3つがあり、これらを増減することでさまざまな排気量のエンジンが生まれます。

ここでは実際に可能かどうかは別として、ピストン径を純正の88.9mmから0.5mm刻みで91.9mmまで拡大した場合および、ストロークを純正の80.0mmから1mm刻みで85.0mmまで延長した場合の排気量と、燃焼室容積が変化しないと仮定した場合の圧縮比の変化を一覧表にしています。

※ストロークアップと口で言うのは簡単なのですが、ロングストローク化するにあたってはクランクシャフトおよび対応コンロッドが必要になり、純正流用できない場合はワンオフで作らなければならないなど、とにかくお高く付きますので、手を出すには相当の覚悟を求められるメニューです。

圧縮比については、実際のところピストンが大径化するに伴ってピストン天面の凸凹容量も変化する場合が大半ですから、一覧表にある圧縮比の数値の通りにはなりませんが、排気量を大きくすると自ずと圧縮比も上昇しますよ、という雰囲気をご堪能ください。

B/S比はボアストローク比の略で、ボア径を広げていくと0.90からさらに値は小さくなり、ショートストローク型の恩恵と弊害が顕著になっていきます。B200型エンジンの場合、純正ピストンから+3.0mmのボアアップをすると比は0.90から0.87に変化するという具合です。

ピストン径が近いエンジンと排気量アップ

B200型エンジンのピストン径88.9mmとサイズが近いピストンを持つエンジンが11件ありますので、余興としてピストン流用でボアアップした場合の排気量を計算してみます。

Eg型式ピストン径排気量
レクサス
2AR型
90.0mm
[+1.1mm]
2036cc
[+50cc]
マツダ
JE型
90.0mm
[+1.1mm]
2036cc
[+50cc]
ホンダ
C30A型
90.0mm
[+1.1mm]
2036cc
[+50cc]
ホンダ
C32A型
90.0mm
[+1.1mm]
2036cc
[+50cc]
トヨタ
T2型
90.0mm
[+1.1mm]
2036cc
[+50cc]
ホンダ
J37A型
90.0mm
[+1.1mm]
2036cc
[+50cc]

ピストン径が近いエンジンとしては、レクサス:AGH30W型クラウン ハイブリッドに搭載される2AR型2493ccの90.0mm、マツダ:HEEA型ルーチェに搭載されるJE型2954ccの90.0mm、ホンダ:NA1型NSXに搭載されるC30A型2977ccの90.0mm、ホンダ:KA8型レジェンド クーペに搭載されるC32A型3206ccの90.0mm、トヨタ:TJG00型キャバリエに搭載されるT2型2392ccの90.0mm、ホンダ:KB2型レジェンドに搭載されるJ37A型3664ccの90.0mmなどが該当します。

(もはやこのような探求に楽しみを見い出す人は減ってしまいましたが)いくら径が近かろうとも、ピストンピンの径やピストンの高さ、バルブリセスの都合などなどありますので、なるべくなら同じメーカー、なるべくなら同じ燃料で同じ吸気方式、なるべくなら排気量が近いものを選ぶと純正流用できる可能性が高くなる、かもしれません。

ピストン径が小さい 2000ccクラスのエンジン
ピストン径が大きい 2000ccクラスのエンジン
ストロークが短い 2000ccクラスのエンジン
ストロークが長い 2000ccクラスのエンジン
ボアストローク比・昇順 [2000ccクラス]
ボアストローク比・降順 [2000ccクラス]


平均ピストンスピード

ストローク最大トルク
4200rpm
最高出力
5700rpm
80.0mm11.2m/s15.2m/s
回転数/分秒速時速
2000rpm5.3m/s19km/h
4000rpm10.7m/s39km/h
6000rpm16.0m/s58km/h
8000rpm21.3m/s77km/h
10000rpm26.7m/s96km/h

続きまして平均ピストンスピードについて見てみます。ストロークが80.0mmのエンジンが最高出力を発生する5700回転での平均ピストンスピードは15.2m/sとなり、これは1秒間に15.2メートル(時速にすると54.7km/h)の距離を進む速さでピストンが上下運動していますよ、という意味です。

最大トルクを発生する4200回転では11.2m/s、最高出力が発生する5700回転より500回転高い6200回転をレブリミットと仮定したときの平均速度は16.5m/sとなっています。

参考までにストロークが80.0mmのB200型エンジンを10000回転/毎分まで回したときのピストンスピードの変化を計算してみました。これを見ると回転数が2000回転高くなるごとに概ね5.35m/sずつ速度が増していくようです。

大量生産を前提とした一般的なエンジンの目安である20.0m/sのみを基準として考えると、高回転化の上限を(回るか回らないかは別として)7500回転くらいにするのが機械的にも精神的にも好ましそうです。


B200型NAエンジンを搭載する車種の例

メーカー
車両型式
画像車名&グレード出力/燃費
パワーウェイト
排気量
変速機
ボルボ
3B200
1989/10
V360
GLE
[E-3B200]
110PS
16.1kgm
-
10.273kg/PS
自然吸気
FR/5MT
セダン
5人乗り
車両型式:E-3B200

V360
[GLE]
1989/10モデル
最高出力110PS
最大トルク16.1kgm
吸気方式自然吸気
車体構成5人乗りセダン
FR/5MT

ボルボ製エンジンの原動機型式まとめ
【排気量順】