ここではトヨタのAE101型・カローラ レビン [SJ|1994/05モデル] に搭載されている4A-FE型の自然吸気エンジンのデータを参考に、このエンジンが持つ特性や素性について調べてみます。
4A-FE型の自然吸気エンジン諸元
AE101型 カローラ レビン 主要諸元と走行性能まとめ | |
車両型式 | E-AE101型 |
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車名&グレード | カローラ レビン SJ |
エンジン型式 | 4A-FE |
種類 | 直列4気筒 |
排気量 | 1587cc |
内径×行程 | 81.0mm×77.0mm |
ボアストローク比 | 0.95 |
単気筒容積 | 396.8cc |
圧縮比 | 9.5 |
吸気方式 | 自然吸気 |
使用燃料 | レギュラーガソリン |
最高出力 | 115PS/6000rpm |
最大トルク | 15.0kgm/4800rpm |
まず基本的な成り立ちとして、4A型エンジンはボア(内径)81.0mm、ストローク(行程)77.0mm、ボアストローク比0.95のショートストローク型エンジン(ストローク量よりもピストン径のほうが大きい)です。
排気量と気筒数が同一の場合、ロングストローク型に比べて低回転域でのトルク特性に劣り、扱いにくいエンジンとされるものの、高回転域では充填効率の向上や摺動抵抗の増大も(ロングストローク型に比べれば)軽微なことから出力の向上が見込まれます。
また同じ回転数でも平均ピストンスピードが抑えられることから、その分だけエンジンへの負荷は低減される傾向にあります。
このサイトにて登録されている車種のうち、4A-FE型の自然吸気エンジンを搭載する最も古い車種は、1988/05から発売された5代目カリーナ [AT175型|1990/05]、最も新しい車種は1997/01から発売された初代カローラ スパシオ [AE111N型|1999/04]となっており、NA車は31車種、ターボ/SC車は0車種の全31車種が登録されています。
過渡特性とリッター換算馬力から見た評価
エンジン性能曲線のイメージ | |
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馬力の変遷 | 100.5PS → 115PS |
トルクの変遷 | 15.0kgm → 13.7kgm |
リッター馬力 | 72.46PS/L |
リッタートルク | 9.4kgm/L |
今回の参考車両であるカローラ レビンの直列4気筒1587cc、圧縮比9.5でレギュラーガソリン仕様の自然吸気エンジンは、6000回転のとき最高出力115馬力を、6000回転のとき最大トルク15.0kgmを発生させます。
馬力と回転数が分かればトルクが、トルクと回転数が分かれば馬力を知ることができますので計算してみますと、最大トルクが発生する4800回転での馬力は100.5PS、最高出力が発生する6000回転でのトルクは13.7kgmになります。
排気量1リットルあたりの馬力は72.46PS/L、トルクは9.4kgm/Lとなり、1気筒(単気筒容積396.8cc)あたりの馬力は28.8PS、トルクは3.8kgmです。
4A型自然吸気エンジンを、このサイトで登録している全てのNA車から集計した偏差値ベースの10段階評価に当てはめると、評価は換算馬力が[ 6 ]、換算トルクが[ 6 ]の「標準的な出力(中の上)のエンジン」にカテゴライズされます。
ちなみに、4A-FE型のターボ・SCエンジン搭載車種のうち、最高出力が最も大きかったのはAE101型カローラ レビンの115PS/15.0kgm、最も小さかったのはAT175型カリーナの100PS/14.0kgmとなっています。
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排気量アップと圧縮比の上昇、ボアストローク比の変化
ノーマルの排気量と圧縮比 | ||||
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Bore | Stroke | 排気量 | 圧縮比 | B/S比 |
81.0 | 77.0 | 1587cc | 9.5 | 0.95 |
ボアアップによる排気量拡大 | ||||
81.5 | 77.0 | 1607cc | 9.6 | 0.94 |
82.0 | 1627cc | 9.7 | 0.94 | |
82.5 | 1646cc | 9.8 | 0.93 | |
83.0 | 1666cc | 9.9 | 0.93 | |
83.5 | 1687cc | 10.0 | 0.92 | |
84.0 | 1707cc | 10.1 | 0.92 | |
ストロークアップによる排気量拡大 | ||||
81.0 | 78.0 | 1608cc | 9.6 | 0.96 |
79.0 | 1628cc | 9.7 | 0.98 | |
80.0 | 1649cc | 9.8 | 0.99 | |
81.0 | 1670cc | 9.9 | 1.00 | |
82.0 | 1690cc | 10.1 | 1.01 |
エンジンの排気量を決める要素には気筒数、ボア径、ストローク量の3つがあり、これらを増減することでさまざまな排気量のエンジンが生まれます。
ここでは実際に可能かどうかは別として、ピストン径を純正の81.0mmから0.5mm刻みで84.0mmまで拡大した場合および、ストロークを純正の77.0mmから1mm刻みで82.0mmまで延長した場合の排気量と、燃焼室容積が変化しないと仮定した場合の圧縮比の変化を一覧表にしています。
※ストロークアップと口で言うのは簡単なのですが、ロングストローク化するにあたってはクランクシャフトおよび対応コンロッドが必要になり、純正流用できない場合はワンオフで作らなければならないなど、とにかくお高く付きますので、手を出すには相当の覚悟を求められるメニューです。
圧縮比については、実際のところピストンが大径化するに伴ってピストン天面の凸凹容量も変化する場合が大半ですから、一覧表にある圧縮比の数値の通りにはなりませんが、排気量を大きくすると自ずと圧縮比も上昇しますよ、という雰囲気をご堪能ください。
B/S比はボアストローク比の略で、ボア径を広げていくと0.95からさらに値は小さくなり、ショートストローク型の恩恵と弊害が顕著になっていきます。4A型エンジンの場合、純正ピストンから+3.0mmのボアアップをすると比は0.95から0.92に変化するという具合です。
ピストン径が近いエンジンと排気量アップ
4A型エンジンのピストン径81.0mmとサイズが近いピストンを持つエンジンが27件ありますので、余興としてピストン流用でボアアップした場合の排気量を計算してみます。
Eg型式 | ピストン径 | 排気量 |
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マツダ GY型 | 81.6mm [+0.6mm] | 1611cc [+24cc] |
トヨタ 2ZZ型 | 82.0mm [+1.0mm] | 1627cc [+40cc] |
ホンダ G20A型 | 82.0mm [+1.0mm] | 1627cc [+40cc] |
ホンダ C20A型 | 82.0mm [+1.0mm] | 1627cc [+40cc] |
三菱 4G61型 | 82.3mm [+1.3mm] | 1638cc [+51cc] |
日産 SR18型 | 82.5mm [+1.5mm] | 1646cc [+59cc] |
ピストン径が近いエンジンとしては、マツダ:LW5W型MPVに搭載されるGY型2494ccの81.6mm、トヨタ:ZZE123型カローラ ランクスに搭載される2ZZ型1795ccの82.0mm、ホンダ:CC3型ビガーに搭載されるG20A型1996ccの82.0mm、ホンダ:KA5型レジェンドに搭載されるC20A型1996ccの82.0mm、三菱:C53A型ミラージュ サイボーグRSに搭載される4G61型1595ccの82.3mm、日産:HB14型ブルーバードに搭載されるSR18型1838ccの82.5mmなどが該当します。
(もはやこのような探求に楽しみを見い出す人は減ってしまいましたが)いくら径が近かろうとも、ピストンピンの径やピストンの高さ、バルブリセスの都合などなどありますので、なるべくなら同じメーカー、なるべくなら同じ燃料で同じ吸気方式、なるべくなら排気量が近いものを選ぶと純正流用できる可能性が高くなる、かもしれません。
●ピストン径が小さい 1800ccクラスのエンジン
●ピストン径が大きい 1800ccクラスのエンジン
●ストロークが短い 1800ccクラスのエンジン
●ストロークが長い 1800ccクラスのエンジン
●ボアストローク比・昇順 [1800ccクラス]
●ボアストローク比・降順 [1800ccクラス]
平均ピストンスピード
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続きまして平均ピストンスピードについて見てみます。ストロークが77.0mmのエンジンが最高出力を発生する6000回転での平均ピストンスピードは15.4m/sとなり、これは1秒間に15.4メートル(時速にすると55.4km/h)の距離を進む速さでピストンが上下運動していますよ、という意味です。
最大トルクを発生する4800回転では12.3m/s、最高出力が発生する6000回転より500回転高い6500回転をレブリミットと仮定したときの平均速度は16.7m/sとなっています。
参考までにストロークが77.0mmの4A型エンジンを10000回転/毎分まで回したときのピストンスピードの変化を計算してみました。これを見ると回転数が2000回転高くなるごとに概ね5.15m/sずつ速度が増していくようです。
大量生産を前提とした一般的なエンジンの目安である20.0m/sのみを基準として考えると、高回転化の上限を(回るか回らないかは別として)7790回転くらいにするのが機械的にも精神的にも好ましそうです。
4A-FE型エンジンを搭載する車種の例
全31車種のうち、最高出力が大きいものから順に上位3車種を表示しています。その他の車種については、ページ下部にあるリンクより4A型エンジン搭載車種の一覧をご覧ください。
メーカー 車両型式 | 画像 | 車名&グレード | 出力/燃費 パワーウェイト | 排気量 変速機 | ||||||||||||||
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トヨタ AE101 | 1994/05 カローラ レビン SJ [E-AE101] | 115PS 15.0kgm 12.0km/L 9.130kg/PS | 自然吸気 FF/4AT クーペ 4人乗り | |||||||||||||||
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トヨタ AE101 | 1994/05 スプリンター トレノ SJ [E-AE101] | 115PS 15.0kgm 14.6km/L 8.870kg/PS | 自然吸気 FF/5MT クーペ 4人乗り | |||||||||||||||
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トヨタ AE101 | 1994/05 カローラ レビン SJ [E-AE101] | 115PS 15.0kgm 14.6km/L 8.870kg/PS | 自然吸気 FF/5MT クーペ 4人乗り | |||||||||||||||
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4A型エンジン搭載車種の一覧 パワーウェイトレシオ順|全92車種 |
その他の4A型エンジン型式と代表的な車種
4A-GE型 全46車種 | トヨタ:カローラ [GT] 最高出力165PS/最大トルク16.5kgm 1998/04モデル | |
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トヨタ 4A-GE型 全46車種 | カローラ [GT] 165PS/16.5kgm | |
4A-GEU型 全6車種 | トヨタ:スプリンター トレノ GTV [GTV Fin4.100] 最高出力130PS/最大トルク15.2kgm 1983/05モデル | |
トヨタ 4A-GEU型 全6車種 | スプリンター トレノ GTV [GTV Fin4.100] 130PS/15.2kgm | |
4A-GZE型 全5車種 | トヨタ:カローラ レビン GT-Z [GT-Z] 最高出力170PS/最大トルク21.0kgm 1994/05モデル | |
トヨタ 4A-GZE型 全5車種 | カローラ レビン GT-Z [GT-Z] 170PS/21.0kgm | |
4A-FHE型 全2車種 | トヨタ:カリーナ [S] 最高出力110PS/最大トルク14.5kgm 1990/05モデル | |
トヨタ 4A-FHE型 全2車種 | カリーナ [S] 110PS/14.5kgm | |
4A-GELU型 全2車種 | トヨタ:MR2 [1600G] 最高出力130PS/最大トルク15.2kgm 1984/06モデル | |
トヨタ 4A-GELU型 全2車種 | MR2 [1600G] 130PS/15.2kgm |