トヨタ:3RZ-FE型エンジンの諸元と性能まとめ [直列4気筒 2693cc]

ここではトヨタのRZN185型・ハイラックス サーフ [SSR-X|1998/08モデル] に搭載されている3RZ-FE型の自然吸気エンジンのデータを参考に、このエンジンが持つ特性や素性について調べてみます。

3RZ-FE型の自然吸気エンジン諸元


RZN185型 ハイラックス サーフ
主要諸元と走行性能まとめ
車両型式GF-RZN185W型
車名&グレードハイラックス サーフ
SSR-X
エンジン型式3RZ-FE
種類直列4気筒
排気量2693cc
内径×行程95.0mm×95.0mm
ボアストローク比1.00
単気筒容積673.4cc
圧縮比9.5
吸気方式自然吸気
使用燃料レギュラーガソリン
最高出力150PS/4800rpm
最大トルク24.0kgm/4000rpm

まず基本的な成り立ちとして、3RZ型エンジンはボア(内径)95.0mm、ストローク(行程)95.0mm、ボアストローク比1.00のスクエア型エンジン(ピストン径とストローク量が同一)です。

排気量と気筒数が同一の場合、ロングストローク型とショートストローク型の美点の良いとこ取り、若しくは欠点の悪いとこ取り、特にこれと言ってどうとも言えないバランス型の万能エンジンとなる素質があります。

数多あるボアとストロークの組み合わせの中で唯一、双方が同じ寸法のときにだけ現れるスクエア型はその存在の希少性こそが最大の魅力であると言えましょう。

このサイトにて登録されている車種のうち、3RZ-FE型の自然吸気エンジンを搭載する最も古い車種は、1995/12から発売された3代目ハイラックス サーフ [RZN185W型|1998/08]、最も新しい車種は2002/10から発売された3代目ランドクルーザー プラド [RZJ120W型|2004/04]となっており、NA車は7車種、ターボ/SC車は0車種の全7車種が登録されています。

過渡特性とリッター換算馬力から見た評価

エンジン性能曲線のイメージ
3RZのエンジン性能曲線図もどき
馬力の変遷134.0PS → 150PS
トルクの変遷24.0kgm → 22.4kgm
リッター馬力55.70PS/L
リッタートルク8.9kgm/L

今回の参考車両であるハイラックス サーフの直列4気筒2693cc、圧縮比9.5でレギュラーガソリン仕様の自然吸気エンジンは、4800回転のとき最高出力150馬力を、4800回転のとき最大トルク24.0kgmを発生させます。

馬力と回転数が分かればトルクが、トルクと回転数が分かれば馬力を知ることができますので計算してみますと、最大トルクが発生する4000回転での馬力は134.0PS、最高出力が発生する4800回転でのトルクは22.4kgmになります。

排気量1リットルあたりの馬力は55.70PS/L、トルクは8.9kgm/Lとなり、1気筒(単気筒容積673.4cc)あたりの馬力は37.5PS、トルクは6.0kgmです。

3RZ型自然吸気エンジンを、このサイトで登録している全てのNA車から集計した偏差値ベースの10段階評価に当てはめると、評価は換算馬力が[ 3 ]、換算トルクが[ 4 ]の「控えめな出力のエンジン」にカテゴライズされます。

ちなみに、3RZ-FE型のターボ・SCエンジン搭載車種のうち、最高出力が最も大きかったのはRZN185W型ハイラックス サーフの150PS/24.0kgm、最も小さかったのはRCH47W型ツーリング ハイエースの145PS/23.2kgmとなっています。

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排気量アップと圧縮比の上昇、ボアストローク比の変化

ノーマルの排気量と圧縮比
BoreStroke排気量圧縮比B/S比
95.095.02693cc9.51.00
ボアアップによる排気量拡大
95.595.02722cc9.60.99
96.02750cc9.70.99
96.52779cc9.80.98
97.02808cc9.90.98
97.52837cc10.00.97
98.02866cc10.10.97
ストロークアップによる排気量拡大
95.096.02722cc9.61.01
97.02750cc9.71.02
98.02778cc9.81.03
99.02807cc9.91.04
100.02835cc10.01.05

エンジンの排気量を決める要素には気筒数、ボア径、ストローク量の3つがあり、これらを増減することでさまざまな排気量のエンジンが生まれます。

ここでは実際に可能かどうかは別として、ピストン径を純正の95.0mmから0.5mm刻みで98.0mmまで拡大した場合および、ストロークを純正の95.0mmから1mm刻みで100.0mmまで延長した場合の排気量と、燃焼室容積が変化しないと仮定した場合の圧縮比の変化を一覧表にしています。

※ストロークアップと口で言うのは簡単なのですが、ロングストローク化するにあたってはクランクシャフトおよび対応コンロッドが必要になり、純正流用できない場合はワンオフで作らなければならないなど、とにかくお高く付きますので、手を出すには相当の覚悟を求められるメニューです。

圧縮比については、実際のところピストンが大径化するに伴ってピストン天面の凸凹容量も変化する場合が大半ですから、一覧表にある圧縮比の数値の通りにはなりませんが、排気量を大きくすると自ずと圧縮比も上昇しますよ、という雰囲気をご堪能ください。

B/S比はボアストローク比の略で、ボア径を広げていくと1.00のスクエア型からショートストローク型へとシフトしていきます。3RZ型エンジンの場合、純正ピストンから+3.0mmのボアアップをすると比は1.00から0.97に変化するという具合です。

ピストン径が近いエンジンと排気量アップ

3RZ型エンジンのピストン径95.0mmとサイズが近いピストンを持つエンジンが5件ありますので、余興としてピストン流用でボアアップした場合の排気量を計算してみます。

Eg型式ピストン径排気量
日産
ZD30型
96.0mm
[+1.0mm]
2750cc
[+57cc]
トヨタ
3L型
96.0mm
[+1.0mm]
2750cc
[+57cc]
日産
TB42型
96.0mm
[+1.0mm]
2750cc
[+57cc]
スバル
EJ22型
96.9mm
[+1.9mm]
2802cc
[+109cc]
スバル
EG33型
96.9mm
[+1.9mm]
2802cc
[+109cc]

ピストン径が近いエンジンとしては、日産:CWMGE25型キャラバン コーチに搭載されるZD30型2953ccの96.0mm、トヨタ:LH107G型ハイエースワゴンに搭載される3L型2779ccの96.0mm、日産:WGY60型サファリに搭載されるTB42型4169ccの96.0mm、スバル:BG7型レガシィ ツーリングワゴンに搭載されるEJ22型2212ccの96.9mm、スバル:CXD型アルシオーネSVXに搭載されるEG33型3318ccの96.9mmなどが該当します。

(もはやこのような探求に楽しみを見い出す人は減ってしまいましたが)いくら径が近かろうとも、ピストンピンの径やピストンの高さ、バルブリセスの都合などなどありますので、なるべくなら同じメーカー、なるべくなら同じ燃料で同じ吸気方式、なるべくなら排気量が近いものを選ぶと純正流用できる可能性が高くなる、かもしれません。

ピストン径が小さい 3000ccクラスのエンジン
ピストン径が大きい 3000ccクラスのエンジン
ストロークが短い 3000ccクラスのエンジン
ストロークが長い 3000ccクラスのエンジン
ボアストローク比・昇順 [3000ccクラス]
ボアストローク比・降順 [3000ccクラス]


平均ピストンスピード

ストローク最大トルク
4000rpm
最高出力
4800rpm
95.0mm12.7m/s15.2m/s
回転数/分秒速時速
2000rpm6.3m/s23km/h
4000rpm12.7m/s46km/h
6000rpm19.0m/s68km/h
8000rpm25.3m/s91km/h
10000rpm31.7m/s114km/h

続きまして平均ピストンスピードについて見てみます。ストロークが95.0mmのエンジンが最高出力を発生する4800回転での平均ピストンスピードは15.2m/sとなり、これは1秒間に15.2メートル(時速にすると54.7km/h)の距離を進む速さでピストンが上下運動していますよ、という意味です。

最大トルクを発生する4000回転では12.7m/s、最高出力が発生する4800回転より500回転高い5300回転をレブリミットと仮定したときの平均速度は16.8m/sとなっています。

参考までにストロークが95.0mmの3RZ型エンジンを10000回転/毎分まで回したときのピストンスピードの変化を計算してみました。これを見ると回転数が2000回転高くなるごとに概ね6.35m/sずつ速度が増していくようです。

大量生産を前提とした一般的なエンジンの目安である20.0m/sのみを基準として考えると、高回転化の上限を(回るか回らないかは別として)6320回転くらいにするのが機械的にも精神的にも好ましそうです。


3RZ-FE型エンジンを搭載する車種の例

全7車種を最高出力が大きいものから順に表示しています。

メーカー
車両型式
画像車名&グレード出力/燃費
パワーウェイト
排気量
変速機
トヨタ
RZN185
1998/08
ハイラックス サーフ
SSR-X
[GF-RZN185W]
150PS
24.0kgm
9.1km/L
11.467kg/PS
自然吸気
4WD/5MT
SUV
5人乗り
車両型式:GF-RZN185W

ハイラックス サーフ
[SSR-X]
1998/08モデル
最高出力150PS
最大トルク24.0kgm
10-15モード燃費9.1km/L
吸気方式自然吸気
車体構成5人乗りSUV
4WD/5MT
トヨタ
RZN185
2001/12
ハイラックス サーフ
SSR-X
[GH-RZN185W]
150PS
24.0kgm
9.1km/L
11.600kg/PS
自然吸気
4WD/4AT
SUV
5人乗り
車両型式:GH-RZN185W

ハイラックス サーフ
[SSR-X]
2001/12モデル
最高出力150PS
最大トルク24.0kgm
10-15モード燃費9.1km/L
吸気方式自然吸気
車体構成5人乗りSUV
4WD/4AT
トヨタ
RZN180
2001/12
ハイラックス サーフ
SSR-V
[GH-RZN180W]
150PS
24.0kgm
9.1km/L
10.867kg/PS
自然吸気
FR/4AT
SUV
5人乗り
車両型式:GH-RZN180W

ハイラックス サーフ
[SSR-V]
2001/12モデル
最高出力150PS
最大トルク24.0kgm
10-15モード燃費9.1km/L
吸気方式自然吸気
車体構成5人乗りSUV
FR/4AT
トヨタ
RZJ120
2004/04
ランドクルーザー プラド
TX 5人乗り 3RZ
[LA-RZJ120W]
150PS
24.0kgm
8.5km/L
12.533kg/PS
自然吸気
4WD/4AT
SUV
5人乗り
車両型式:LA-RZJ120W

ランドクルーザー プラド
[TX 5人乗り 3RZ]
2004/04モデル
最高出力150PS
最大トルク24.0kgm
10-15モード燃費8.5km/L
吸気方式自然吸気
車体構成5人乗りSUV
4WD/4AT
トヨタ
RZJ125
2004/04
ランドクルーザー プラド
RX 5人乗り 3RZ
[LA-RZJ125W]
150PS
24.0kgm
8.5km/L
11.933kg/PS
自然吸気
4WD/4AT
SUV
5人乗り
車両型式:LA-RZJ125W

ランドクルーザー プラド
[RX 5人乗り 3RZ]
2004/04モデル
最高出力150PS
最大トルク24.0kgm
10-15モード燃費8.5km/L
吸気方式自然吸気
車体構成5人乗りSUV
4WD/4AT
トヨタ
RCH47W
1999/08
ツーリング ハイエース
Touring-Hiace
[GF-RCH47W]
145PS
23.2kgm
8.7km/L
13.448kg/PS
自然吸気
4WD/4AT
ミニバン
8人乗り
車両型式:GF-RCH47W

ツーリング ハイエース
[Touring-Hiace]
1999/08モデル
最高出力145PS
最大トルク23.2kgm
10-15モード燃費8.7km/L
吸気方式自然吸気
車体構成8人乗りミニバン
4WD/4AT
トヨタ
RCH41W
1999/08
ツーリング ハイエース
Touring-Hiace
[GF-RCH41W]
145PS
23.2kgm
9.0km/L
12.552kg/PS
自然吸気
FR/4AT
ミニバン
8人乗り
車両型式:GF-RCH41W

ツーリング ハイエース
[Touring-Hiace]
1999/08モデル
最高出力145PS
最大トルク23.2kgm
10-15モード燃費9.0km/L
吸気方式自然吸気
車体構成8人乗りミニバン
FR/4AT

トヨタ製エンジンの原動機型式まとめ
【排気量順】