トヨタ:1N-T型エンジンの諸元と性能まとめ [直列4気筒 1453cc]

ここではトヨタのNL50型・コルサ [Moa|1997/12モデル] に搭載されている1N-T型のターボエンジンのデータを参考に、このエンジンが持つ特性や素性について調べてみます。

1N-T型のターボエンジン諸元


NL50型 コルサ
主要諸元と走行性能まとめ
車両型式KD-NL50型
車名&グレードコルサ
Moa
エンジン型式1N-T
種類直列4気筒
排気量1453cc
内径×行程74.0mm×84.5mm
ボアストローク比1.14
単気筒容積363.4cc
圧縮比22.0
吸気方式ターボ
使用燃料ディーゼル
最高出力67PS/4200rpm
最大トルク14.0kgm/2600rpm

まず基本的な成り立ちとして、1N型エンジンはボア(内径)74.0mm、ストローク(行程)84.5mm、ボアストローク比1.14のロングストローク型エンジン(ピストン径よりもストローク量のほうが大きい)です。

排気量と気筒数が同一の場合、ショートストローク型に比べて低回転域でのトルク特性に優れ、扱い易いエンジンとされますが、高回転域では充填効率の悪化や摺動抵抗が増大して出力の低下が懸念されます。

なおかつ回転数も同一の場合、ショートストローク型に比べて平均ピストンスピードが高くなりがちなことから、エンジンへの負荷が大きくなる傾向にあります。

このサイトにて登録されている車種のうち、1N-T型のターボエンジンを搭載する最も古い車種は、1986/05から発売された2代目カローラII [NL30型|1988/05]、最も新しい車種は1994/09から発売された5代目コルサ [NL50型|1997/12]となっており、NA車は0車種、ターボ/SC車は12車種の全12車種が登録されています。

過渡特性とリッター換算馬力から見た評価

エンジン性能曲線のイメージ
1Nのエンジン性能曲線図もどき
馬力の変遷50.8PS → 67PS
トルクの変遷14.0kgm → 11.4kgm
リッター馬力46.11PS/L
リッタートルク9.6kgm/L

今回の参考車両であるコルサの直列4気筒1453cc、圧縮比22.0でディーゼル仕様のターボエンジンは、4200回転のとき最高出力67馬力を、4200回転のとき最大トルク14.0kgmを発生させます。

馬力と回転数が分かればトルクが、トルクと回転数が分かれば馬力を知ることができますので計算してみますと、最大トルクが発生する2600回転での馬力は50.8PS、最高出力が発生する4200回転でのトルクは11.4kgmになります。

排気量1リットルあたりの馬力は46.11PS/L、トルクは9.6kgm/Lとなり、1気筒(単気筒容積363.4cc)あたりの馬力は16.8PS、トルクは3.5kgmです。

1N型ターボエンジンを、このサイトで登録している全てのターボ車から集計した偏差値ベースの10段階評価に当てはめると、評価は換算馬力が[ 1 ]、換算トルクが[ 2 ]の「心もとない出力のエンジン」にカテゴライズされます。

エンジンオイルの通販革命!高品質×低価格
TAKUMIモーターオイル HIGH QUALITY
【5W-30】


排気量アップと圧縮比の上昇、ボアストローク比の変化

ノーマルの排気量と圧縮比
BoreStroke排気量圧縮比B/S比
74.084.51453cc22.01.14
ボアアップによる排気量拡大
74.584.51473cc22.31.13
75.01493cc22.61.13
75.51513cc22.81.12
76.01533cc23.11.11
76.51554cc23.41.10
77.01574cc23.71.10
ストロークアップによる排気量拡大
74.085.51471cc22.31.16
86.51488cc22.51.17
87.51505cc22.71.18
88.51522cc23.01.20
89.51540cc23.31.21

エンジンの排気量を決める要素には気筒数、ボア径、ストローク量の3つがあり、これらを増減することでさまざまな排気量のエンジンが生まれます。

ここでは実際に可能かどうかは別として、ピストン径を純正の74.0mmから0.5mm刻みで77.0mmまで拡大した場合および、ストロークを純正の84.5mmから1mm刻みで89.5mmまで延長した場合の排気量と、燃焼室容積が変化しないと仮定した場合の圧縮比の変化を一覧表にしています。

※ストロークアップと口で言うのは簡単なのですが、ロングストローク化するにあたってはクランクシャフトおよび対応コンロッドが必要になり、純正流用できない場合はワンオフで作らなければならないなど、とにかくお高く付きますので、手を出すには相当の覚悟を求められるメニューです。

圧縮比については、実際のところピストンが大径化するに伴ってピストン天面の凸凹容量も変化する場合が大半ですから、一覧表にある圧縮比の数値の通りにはなりませんが、排気量を大きくすると自ずと圧縮比も上昇しますよ、という雰囲気をご堪能ください。

B/S比はボアストローク比の略で、ボア径を広げていくとロングストローク型からスクエア型、あるいはショートストローク型の特性へと近付いていきます。1N型エンジンの場合、純正ピストンから+3.0mmのボアアップをすると比は1.14から1.10に変化するという具合です。

ピストン径が近いエンジンと排気量アップ

1N型エンジンのピストン径74.0mmとサイズが近いピストンを持つエンジンが7件ありますので、余興としてピストン流用でボアアップした場合の排気量を計算してみます。

Eg型式ピストン径排気量
トヨタ
1NZ型
75.0mm
[+1.0mm]
1493cc
[+40cc]
トヨタ
1G型
75.0mm
[+1.0mm]
1493cc
[+40cc]
三菱
4B40型
75.0mm
[+1.0mm]
1493cc
[+40cc]
三菱
4G15型
75.5mm
[+1.5mm]
1513cc
[+60cc]
マツダ
S5型
76.0mm
[+2.0mm]
1533cc
[+80cc]
ダイハツ
CB型
76.0mm
[+2.0mm]
1533cc
[+80cc]

ピストン径が近いエンジンとしては、トヨタ:NZE127型WiLL VSに搭載される1NZ型1496ccの75.0mm、トヨタ:GX81型チェイサーに搭載される1G型1988ccの75.0mm、三菱:GK1W型エクリプス クロスに搭載される4B40型1498ccの75.0mm、三菱:Z27AG型コルト Ralliart-Rに搭載される4G15型1468ccの75.5mm、マツダ:DK5FW型CX-3に搭載されるS5型1498ccの76.0mm、ダイハツ:G100S型シャレードに搭載されるCB型993ccの76.0mmなどが該当します。

(もはやこのような探求に楽しみを見い出す人は減ってしまいましたが)いくら径が近かろうとも、ピストンピンの径やピストンの高さ、バルブリセスの都合などなどありますので、なるべくなら同じメーカー、なるべくなら同じ燃料で同じ吸気方式、なるべくなら排気量が近いものを選ぶと純正流用できる可能性が高くなる、かもしれません。

ピストン径が小さい 1500ccクラスのエンジン
ピストン径が大きい 1500ccクラスのエンジン
ストロークが短い 1500ccクラスのエンジン
ストロークが長い 1500ccクラスのエンジン
ボアストローク比・昇順 [1500ccクラス]
ボアストローク比・降順 [1500ccクラス]


平均ピストンスピード

ストローク最大トルク
2600rpm
最高出力
4200rpm
84.5mm7.3m/s11.8m/s
回転数/分秒速時速
2000rpm5.6m/s20km/h
4000rpm11.3m/s41km/h
6000rpm16.9m/s61km/h
8000rpm22.5m/s81km/h
10000rpm28.2m/s102km/h

続きまして平均ピストンスピードについて見てみます。ストロークが84.5mmのエンジンが最高出力を発生する4200回転での平均ピストンスピードは11.8m/sとなり、これは1秒間に11.8メートル(時速にすると42.5km/h)の距離を進む速さでピストンが上下運動していますよ、という意味です。

最大トルクを発生する2600回転では7.3m/s、最高出力が発生する4200回転より500回転高い4700回転をレブリミットと仮定したときの平均速度は13.2m/sとなっています。

参考までにストロークが84.5mmの1N型エンジンを10000回転/毎分まで回したときのピストンスピードの変化を計算してみました。これを見ると回転数が2000回転高くなるごとに概ね5.65m/sずつ速度が増していくようです。

大量生産を前提とした一般的なエンジンの目安である20.0m/sのみを基準として考えると、高回転化の上限を(回るか回らないかは別として)7100回転くらいにするのが機械的にも精神的にも好ましそうです。


1N-T型エンジンを搭載する車種の例

全12車種のうち、最高出力が大きいものから順に上位3車種を表示しています。その他の車種については、ページ下部にあるリンクより1N型エンジン搭載車種の一覧をご覧ください。

メーカー
車両型式
画像車名&グレード出力/燃費
パワーウェイト
排気量
変速機
トヨタ
NL30
1988/05
カローラII
TX
[Q-NL30]
67PS
13.3kgm
-
13.284kg/PS
ターボ
FF/4AT
ハッチバック
5人乗り
車両型式:Q-NL30

カローラII
[TX]
1988/05モデル
最高出力67PS
最大トルク13.3kgm
吸気方式ターボ
車体構成5人乗りハッチバック
FF/4AT
トヨタ
NL30
1988/05
カローラII
TX
[Q-NL30]
67PS
13.3kgm
-
12.687kg/PS
ターボ
FF/5MT
ハッチバック
5人乗り
車両型式:Q-NL30

カローラII
[TX]
1988/05モデル
最高出力67PS
最大トルク13.3kgm
吸気方式ターボ
車体構成5人乗りハッチバック
FF/5MT
トヨタ
NL50
1997/12
コルサ
Moa
[KD-NL50]
67PS
14.0kgm
-
13.881kg/PS
ターボ
FF/5MT
ハッチバック
5人乗り
車両型式:KD-NL50

コルサ
[Moa]
1997/12モデル
最高出力67PS
最大トルク14.0kgm
吸気方式ターボ
車体構成5人乗りハッチバック
FF/5MT
1N型エンジン搭載車種の一覧
パワーウェイトレシオ順|全14車種

その他の1N型エンジン型式と代表的な車種

1N型
全2車種
トヨタ:スターレット [Reflet]
最高出力55PS/最大トルク9.1kgm
1997/12モデル
トヨタ
1N型
全2車種
スターレット
[Reflet]
55PS/9.1kgm

トヨタ製エンジンの原動機型式まとめ
【排気量順】