トヨタ:1FZ-FE型エンジンの諸元と性能まとめ [直列6気筒 4476cc]

ここではトヨタのFZJ80G型・ランドクルーザー80 [Wagon-VX|1995/01モデル] に搭載されている1FZ-FE型の自然吸気エンジンのデータを参考に、このエンジンが持つ特性や素性について調べてみます。

1FZ-FE型の自然吸気エンジン諸元


FZJ80G型 ランドクルーザー80
主要諸元と走行性能まとめ
車両型式E-FZJ80G型
車名&グレードランドクルーザー80
Wagon-VX
エンジン型式1FZ-FE
種類直列6気筒
排気量4476cc
内径×行程100.0mm×95.0mm
ボアストローク比0.95
単気筒容積746.1cc
圧縮比9.0
吸気方式自然吸気
使用燃料レギュラーガソリン
最高出力215PS/4600rpm
最大トルク38.0kgm/3200rpm

まず基本的な成り立ちとして、1FZ型エンジンはボア(内径)100.0mm、ストローク(行程)95.0mm、ボアストローク比0.95のショートストローク型エンジン(ストローク量よりもピストン径のほうが大きい)です。

排気量と気筒数が同一の場合、ロングストローク型に比べて低回転域でのトルク特性に劣り、扱いにくいエンジンとされるものの、高回転域では充填効率の向上や摺動抵抗の増大も(ロングストローク型に比べれば)軽微なことから出力の向上が見込まれます。

また同じ回転数でも平均ピストンスピードが抑えられることから、その分だけエンジンへの負荷は低減される傾向にあります。

このサイトにて1FZ-FE型の自然吸気エンジンを搭載している車種は、1989/10から発売された7代目ランドクルーザー80 [FZJ80G型|1995/01]となっており、NA車は2車種、ターボ/SC車は0車種の全2車種が登録されています。

過渡特性とリッター換算馬力から見た評価

エンジン性能曲線のイメージ
1FZのエンジン性能曲線図もどき
馬力の変遷169.8PS → 215PS
トルクの変遷38.0kgm → 33.5kgm
リッター馬力48.03PS/L
リッタートルク8.5kgm/L

今回の参考車両であるランドクルーザー80の直列6気筒4476cc、圧縮比9.0でレギュラーガソリン仕様の自然吸気エンジンは、4600回転のとき最高出力215馬力を、4600回転のとき最大トルク38.0kgmを発生させます。

馬力と回転数が分かればトルクが、トルクと回転数が分かれば馬力を知ることができますので計算してみますと、最大トルクが発生する3200回転での馬力は169.8PS、最高出力が発生する4600回転でのトルクは33.5kgmになります。

排気量1リットルあたりの馬力は48.03PS/L、トルクは8.5kgm/Lとなり、1気筒(単気筒容積746.1cc)あたりの馬力は35.8PS、トルクは6.3kgmです。

1FZ型自然吸気エンジンを、このサイトで登録している全てのNA車から集計した偏差値ベースの10段階評価に当てはめると、評価は換算馬力が[ 1 ]、換算トルクが[ 3 ]の「心もとない出力のエンジン」にカテゴライズされます。

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排気量アップと圧縮比の上昇、ボアストローク比の変化

ノーマルの排気量と圧縮比
BoreStroke排気量圧縮比B/S比
100.095.04476cc9.00.95
ボアアップによる排気量拡大
100.595.04522cc9.10.95
101.04567cc9.20.94
101.54612cc9.20.94
102.04657cc9.30.93
102.54703cc9.40.93
103.04749cc9.50.92
ストロークアップによる排気量拡大
100.096.04524cc9.10.96
97.04571cc9.20.97
98.04618cc9.30.98
99.04665cc9.30.99
100.04712cc9.41.00

エンジンの排気量を決める要素には気筒数、ボア径、ストローク量の3つがあり、これらを増減することでさまざまな排気量のエンジンが生まれます。

ここでは実際に可能かどうかは別として、ピストン径を純正の100.0mmから0.5mm刻みで103.0mmまで拡大した場合および、ストロークを純正の95.0mmから1mm刻みで100.0mmまで延長した場合の排気量と、燃焼室容積が変化しないと仮定した場合の圧縮比の変化を一覧表にしています。

※ストロークアップと口で言うのは簡単なのですが、ロングストローク化するにあたってはクランクシャフトおよび対応コンロッドが必要になり、純正流用できない場合はワンオフで作らなければならないなど、とにかくお高く付きますので、手を出すには相当の覚悟を求められるメニューです。

圧縮比については、実際のところピストンが大径化するに伴ってピストン天面の凸凹容量も変化する場合が大半ですから、一覧表にある圧縮比の数値の通りにはなりませんが、排気量を大きくすると自ずと圧縮比も上昇しますよ、という雰囲気をご堪能ください。

B/S比はボアストローク比の略で、ボア径を広げていくと0.95からさらに値は小さくなり、ショートストローク型の恩恵と弊害が顕著になっていきます。1FZ型エンジンの場合、純正ピストンから+3.0mmのボアアップをすると比は0.95から0.92に変化するという具合です。

ピストン径が近いエンジンと排気量アップ

1FZ型エンジンのピストン径100.0mmとサイズが近いピストンを持つエンジンが1件ありますので、余興としてピストン流用でボアアップした場合の排気量を計算してみます。

Eg型式ピストン径排気量
トヨタ
4B型
102.0mm
[+2.0mm]
4657cc
[+181cc]

ピストン径が近いエンジンとしては、トヨタ:BU280K型クイックデリバリー200に搭載される4B型3660ccの102.0mmなどが該当します。

(もはやこのような探求に楽しみを見い出す人は減ってしまいましたが)いくら径が近かろうとも、ピストンピンの径やピストンの高さ、バルブリセスの都合などなどありますので、なるべくなら同じメーカー、なるべくなら同じ燃料で同じ吸気方式、なるべくなら排気量が近いものを選ぶと純正流用できる可能性が高くなる、かもしれません。

ピストン径が小さい 4500ccクラスのエンジン
ピストン径が大きい 4500ccクラスのエンジン
ストロークが短い 4500ccクラスのエンジン
ストロークが長い 4500ccクラスのエンジン
ボアストローク比・昇順 [4500ccクラス]
ボアストローク比・降順 [4500ccクラス]


平均ピストンスピード

ストローク最大トルク
3200rpm
最高出力
4600rpm
95.0mm10.1m/s14.6m/s
回転数/分秒速時速
2000rpm6.3m/s23km/h
4000rpm12.7m/s46km/h
6000rpm19.0m/s68km/h
8000rpm25.3m/s91km/h
10000rpm31.7m/s114km/h

続きまして平均ピストンスピードについて見てみます。ストロークが95.0mmのエンジンが最高出力を発生する4600回転での平均ピストンスピードは14.6m/sとなり、これは1秒間に14.6メートル(時速にすると52.6km/h)の距離を進む速さでピストンが上下運動していますよ、という意味です。

最大トルクを発生する3200回転では10.1m/s、最高出力が発生する4600回転より500回転高い5100回転をレブリミットと仮定したときの平均速度は16.1m/sとなっています。

参考までにストロークが95.0mmの1FZ型エンジンを10000回転/毎分まで回したときのピストンスピードの変化を計算してみました。これを見ると回転数が2000回転高くなるごとに概ね6.35m/sずつ速度が増していくようです。

大量生産を前提とした一般的なエンジンの目安である20.0m/sのみを基準として考えると、高回転化の上限を(回るか回らないかは別として)6320回転くらいにするのが機械的にも精神的にも好ましそうです。


1FZ-FE型エンジンを搭載する車種の例

全2車種を最高出力が大きいものから順に表示しています。

メーカー
車両型式
画像車名&グレード出力/燃費
パワーウェイト
排気量
変速機
トヨタ
FZJ80G
1995/01
ランドクルーザー80
Wagon-VX
[E-FZJ80G]
215PS
38.0kgm
6.1km/L
10.279kg/PS
自然吸気
4WD/5MT
SUV
8人乗り
車両型式:E-FZJ80G

ランドクルーザー80
[Wagon-VX]
1995/01モデル
最高出力215PS
最大トルク38.0kgm
10-15モード燃費6.1km/L
吸気方式自然吸気
車体構成8人乗りSUV
4WD/5MT
トヨタ
FZJ80G
1995/01
ランドクルーザー80
Wagon-VX
[E-FZJ80G]
215PS
38.0kgm
5.7km/L
10.419kg/PS
自然吸気
4WD/4AT
SUV
8人乗り
車両型式:E-FZJ80G

ランドクルーザー80
[Wagon-VX]
1995/01モデル
最高出力215PS
最大トルク38.0kgm
10-15モード燃費5.7km/L
吸気方式自然吸気
車体構成8人乗りSUV
4WD/4AT

トヨタ製エンジンの原動機型式まとめ
【排気量順】