ここではスズキのRF91S型・キザシ [BaseGrade|2009/10モデル] に搭載されているJ24B型の自然吸気エンジンのデータを参考に、このエンジンが持つ特性や素性について調べてみます。
J24B型の自然吸気エンジン諸元
![]() RF91S型 キザシ 主要諸元と走行性能まとめ | |
車両型式 | CBA-RF91S型 |
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車名&グレード | キザシ BaseGrade |
エンジン型式 | J24B |
種類 | 直列4気筒 |
排気量 | 2393cc |
内径×行程 | 92.0mm×90.0mm |
ボアストローク比 | 0.98 |
単気筒容積 | 598.3cc |
圧縮比 | 10.0 |
吸気方式 | 自然吸気 |
使用燃料 | レギュラーガソリン |
最高出力 | 188PS/6500rpm |
最大トルク | 23.5kgm/4000rpm |
まず基本的な成り立ちとして、J24B型エンジンはボア(内径)92.0mm、ストローク(行程)90.0mm、ボアストローク比0.98のショートストローク型エンジン(ストローク量よりもピストン径のほうが大きい)です。
排気量と気筒数が同一の場合、厳密に言えばボアとストロークが全くの同一でなければスクエア型を名乗ることは許されませんが、ここまでボアストローク比が1に近いのであれば「もうスクエア型にしてあげても良いじゃない!」という気もします。
これらのエンジンはショートストローク型、或いはロングストローク型の風味を残しつつ、その実はスクエア型に限りなく近い特性を持ちます。「やっぱこう、どうせなら低回転で粘って高回転でキレ
(省略されました・・全てを読むには ここ を押してください)
このサイトにて登録されている車種のうち、J24B型の自然吸気エンジンを搭載する最も古い車種は、2009/10から発売された初代キザシ [RF91S型|2009/10]、最も新しい車種は2005/05から発売された3代目エスクード [TDA4W型|2010/04]となっており、NA車は4車種、ターボ/SC車は0車種の全4車種が登録されています。
過渡特性とリッター換算馬力から見た評価
エンジン性能曲線のイメージ | |
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馬力の変遷 | 131.2PS → 188PS |
トルクの変遷 | 23.5kgm → 20.7kgm |
リッター馬力 | 78.56PS/L |
リッタートルク | 9.8kgm/L |
今回の参考車両であるキザシの直列4気筒2393cc、圧縮比10.0でレギュラーガソリン仕様の自然吸気エンジンは、6500回転のとき最高出力188馬力を、6500回転のとき最大トルク23.5kgmを発生させます。
馬力と回転数が分かればトルクが、トルクと回転数が分かれば馬力を知ることができますので計算してみますと、最大トルクが発生する4000回転での馬力は131.2PS、最高出力が発生する6500回転でのトルクは20.7kgmになります。
排気量1リットルあたりの馬力は78.56PS/L、トルクは9.8kgm/Lとなり、1気筒(単気筒容積598.3cc)あたりの馬力は47.0PS、トルクは5.9kgmです。
J24B型自然吸気エンジンを、このサイトで登録している全てのNA車から集計した偏差値ベースの10段階評価に当てはめると、評価は換算馬力が[ 7 ]、換算トルクが[ 7 ]の「なかなかの高出力エンジン」にカテゴライズされます。
ちなみに、J24B型エンジン搭載車種のうち、最高出力が最も大きかったのはRF91S型キザシの188PS/23.5kgm、最も小さかったのはTDA4W型エスクードの166PS/22.9kgmとなっています。
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【5W-30】
排気量アップと圧縮比の上昇、ボアストローク比の変化
ノーマルの排気量と圧縮比 | ||||
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Bore | Stroke | 排気量 | 圧縮比 | B/S比 |
92.0 | 90.0 | 2393cc | 10.0 | 0.98 |
ボアアップによる排気量拡大 | ||||
92.5 | 90.0 | 2419cc | 10.1 | 0.97 |
93.0 | 2445cc | 10.2 | 0.97 | |
93.5 | 2472cc | 10.3 | 0.96 | |
94.0 | 2498cc | 10.4 | 0.96 | |
94.5 | 2525cc | 10.5 | 0.95 | |
95.0 | 2552cc | 10.6 | 0.95 | |
ストロークアップによる排気量拡大 | ||||
92.0 | 91.0 | 2420cc | 10.1 | 0.99 |
92.0 | 2446cc | 10.2 | 1.00 | |
93.0 | 2473cc | 10.3 | 1.01 | |
94.0 | 2499cc | 10.4 | 1.02 | |
95.0 | 2526cc | 10.5 | 1.03 |
エンジンの排気量を決める要素には気筒数、ボア径、ストローク量の3つがあり、これらを増減することでさまざまな排気量のエンジンが生まれます。
ここでは実際に可能かどうかは別として、ピストン径を純正の92.0mmから0.5mm刻みで95.0mmまで拡大した場合および、ストロークを純正の90.0mmから1mm刻みで95.0mmまで延長した場合の排気量と、燃焼室容積が変化しないと仮定した場合の圧縮比の変化を一覧表にしています。
※ストロークアップと口で言うのは簡単なのですが、ロングストローク化するにあたってはクランクシャフトおよび対応コンロッドが必要になり、純正流用できない場合はワンオフで作らなければならないなど、とにかくお高く付きますので、手を出すには相当の覚悟を求められるメニューです。
圧縮比については、実際のところピストンが大径化するに伴ってピストン天面の凸凹容量も変化する場合が大半ですから、一覧表にある圧縮比の数値の通りにはなりませんが、排気量を大きくすると自ずと圧縮比も上昇しますよ、という雰囲気をご堪能ください。
B/S比はボアストローク比の略で、ボア径を広げていくと0.98からさらに値は小さくなり、ショートストローク型の恩恵と弊害が顕著になっていきます。J24B型エンジンの場合、純正ピストンから+3.0mmのボアアップをすると比は0.98から0.95に変化するという具合です。
ピストン径が近いエンジンと排気量アップ
J24B型エンジンのピストン径92.0mmとサイズが近いピストンを持つエンジンが24件ありますので、余興としてピストン流用でボアアップした場合の排気量を計算してみます。
Eg型式 | ピストン径 | 排気量 |
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日産 VQ30型 | 93.0mm [+1.0mm] | 2445cc [+52cc] |
三菱 6G74型 | 93.0mm [+1.0mm] | 2445cc [+52cc] |
日産 VH41型 | 93.0mm [+1.0mm] | 2445cc [+52cc] |
日産 VH45型 | 93.0mm [+1.0mm] | 2445cc [+52cc] |
日産 VK45型 | 93.0mm [+1.0mm] | 2445cc [+52cc] |
ホンダ C32B型 | 93.0mm [+1.0mm] | 2445cc [+52cc] |
ピストン径が近いエンジンとしては、日産:HV35型プレサージュに搭載されるVQ30型2987ccの93.0mm、三菱:S27A型デボネアに搭載される6G74型3496ccの93.0mm、日産:FGY33型シーマに搭載されるVH41型4130ccの93.0mm、日産:HG50型インフィニティQ45に搭載されるVH45型4494ccの93.0mm、日産:GY50型フーガに搭載されるVK45型4494ccの93.0mm、ホンダ:NA2型NSXに搭載されるC32B型3179ccの93.0mmなどが該当します。
(もはやこのような探求に楽しみを見い出す人は減ってしまいましたが)いくら径が近かろうとも、ピストンピンの径やピストンの高さ、バルブリセスの都合などなどありますので、なるべくなら同じメーカー、なるべくなら同じ燃料で同じ吸気方式、なるべくなら排気量が近いものを選ぶと純正流用できる可能性が高くなる、かもしれません。
●ピストン径が小さい 2500ccクラスのエンジン
●ピストン径が大きい 2500ccクラスのエンジン
●ストロークが短い 2500ccクラスのエンジン
●ストロークが長い 2500ccクラスのエンジン
●ボアストローク比・昇順 [2500ccクラス]
●ボアストローク比・降順 [2500ccクラス]
平均ピストンスピード
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続きまして平均ピストンスピードについて見てみます。ストロークが90.0mmのエンジンが最高出力を発生する6500回転での平均ピストンスピードは19.5m/sとなり、これは1秒間に19.5メートル(時速にすると70.2km/h)の距離を進む速さでピストンが上下運動していますよ、という意味です。
最大トルクを発生する4000回転では12.0m/s、最高出力が発生する6500回転より500回転高い7000回転をレブリミットと仮定したときの平均速度は21.0m/sとなっています。
参考までにストロークが90.0mmのJ24B型エンジンを10000回転/毎分まで回したときのピストンスピードの変化を計算してみました。これを見ると回転数が2000回転高くなるごとに概ね6.00m/sずつ速度が増していくようです。
大量生産を前提とした一般的なエンジンの目安である20.0m/sのみを基準として考えると、高回転化の上限を(回るか回らないかは別として)6670回転くらいにするのが機械的にも精神的にも好ましそうです。
J24B型エンジンを搭載する車種の例
全4車種を最高出力が大きいものから順に表示しています。
メーカー 車両型式 | 画像 | 車名&グレード | 出力/燃費 パワーウェイト | 排気量 変速機 | ||||||||||||||||||
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スズキ RF91S | ![]() | 2009/10 キザシ BaseGrade [CBA-RF91S] | 188PS 23.5kgm 11.4km/L 8.298kg/PS | 自然吸気 4WD/CVT セダン 5人乗り | ||||||||||||||||||
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スズキ RE91S | ![]() | 2009/10 キザシ BaseGrade [CBA-RE91S] | 188PS 23.5kgm 12.6km/L 7.926kg/PS | 自然吸気 FF/CVT セダン 5人乗り | ||||||||||||||||||
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スズキ TDA4W | ![]() | 2010/04 エスクード XG [CBA-TDA4W] | 166PS 22.9kgm 10.6km/L 9.759kg/PS | 自然吸気 4WD/4AT SUV 5人乗り | ||||||||||||||||||
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スズキ TDA4W | ![]() | 2010/04 エスクード XG [CBA-TDA4W] | 166PS 22.9kgm 11.0km/L 9.640kg/PS | 自然吸気 4WD/5MT SUV 5人乗り | ||||||||||||||||||
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