スズキ:J20A型エンジンの諸元と性能まとめ [直列4気筒 1995cc]

ここではスズキのTD54W型・エスクード [2.0XE|2006/06モデル] に搭載されているJ20A型の自然吸気エンジンのデータを参考に、このエンジンが持つ特性や素性について調べてみます。

J20A型の自然吸気エンジン諸元


TD54W型 エスクード
主要諸元と走行性能まとめ
車両型式CBA-TD54W型
車名&グレードエスクード
2.0XE
エンジン型式J20A
種類直列4気筒
排気量1995cc
内径×行程84.0mm×90.0mm
ボアストローク比1.07
単気筒容積498.7cc
圧縮比10.5
吸気方式自然吸気
使用燃料レギュラーガソリン
最高出力145PS/6000rpm
最大トルク19.7kgm/4000rpm

まず基本的な成り立ちとして、J20A型エンジンはボア(内径)84.0mm、ストローク(行程)90.0mm、ボアストローク比1.07のロングストローク型エンジン(ピストン径よりもストローク量のほうが大きい)です。

排気量と気筒数が同一の場合、ショートストローク型に比べて低回転域でのトルク特性に優れ、扱い易いエンジンとされますが、高回転域では充填効率の悪化や摺動抵抗が増大して出力の低下が懸念されます。

なおかつ回転数も同一の場合、ショートストローク型に比べて平均ピストンスピードが高くなりがちなことから、エンジンへの負荷が大きくなる傾向にあります。

このサイトにて登録されている車種のうち、J20A型の自然吸気エンジンを搭載する最も古い車種は、1988/05から発売された初代エスクード [TA51W型|1996/10]、最も新しい車種は2006/07から発売された初代SX4 [YB41S型|2008/10]となっており、NA車は12車種、ターボ/SC車は0車種の全12車種が登録されています。

過渡特性とリッター換算馬力から見た評価

エンジン性能曲線のイメージ
J20Aのエンジン性能曲線図もどき
馬力の変遷110.0PS → 145PS
トルクの変遷19.7kgm → 17.3kgm
リッター馬力72.7PS/L
リッタートルク9.9kgm/L

今回の参考車両であるエスクードの直列4気筒1995cc、圧縮比10.5でレギュラーガソリン仕様の自然吸気エンジンは、6000回転のとき最高出力145馬力を、6000回転のとき最大トルク19.7kgmを発生させます。

馬力と回転数が分かればトルクが、トルクと回転数が分かれば馬力を知ることができますので計算してみますと、最大トルクが発生する4000回転での馬力は110.0PS、最高出力が発生する6000回転でのトルクは17.3kgmになります。

排気量1リットルあたりの馬力は72.7PS/L、トルクは9.9kgm/Lとなり、1気筒(単気筒容積498.7cc)あたりの馬力は36.2PS、トルクは4.9kgmです。

J20A型自然吸気エンジンを、このサイトで登録している全てのNA車から集計した偏差値ベースの10段階評価に当てはめると、評価は換算馬力が[ 6 ]、換算トルクが[ 7 ]の「標準的な出力(中の上)のエンジン」にカテゴライズされます。

ちなみに、J20A型のターボ・SCエンジン搭載車種のうち、最高出力が最も大きかったのはTD54W型エスクードの145PS/19.7kgm、最も小さかったのはTL52W型エスクードの140PS/19.7kgmとなっています。

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排気量アップと圧縮比の上昇、ボアストローク比の変化

ノーマルの排気量と圧縮比
BoreStroke排気量圧縮比B/S比
84.090.01995cc10.51.07
ボアアップによる排気量拡大
84.590.02019cc10.61.07
85.02043cc10.71.06
85.52067cc10.81.05
86.02091cc11.01.05
86.52115cc11.11.04
87.02140cc11.21.03
ストロークアップによる排気量拡大
84.091.02017cc10.61.08
92.02039cc10.71.10
93.02061cc10.81.11
94.02084cc10.91.12
95.02106cc11.01.13

エンジンの排気量を決める要素には気筒数、ボア径、ストローク量の3つがあり、これらを増減することでさまざまな排気量のエンジンが生まれます。

ここでは実際に可能かどうかは別として、ピストン径を純正の84.0mmから0.5mm刻みで87.0mmまで拡大した場合および、ストロークを純正の90.0mmから1mm刻みで95.0mmまで延長した場合の排気量と、燃焼室容積が変化しないと仮定した場合の圧縮比の変化を一覧表にしています。

※ストロークアップと口で言うのは簡単なのですが、ロングストローク化するにあたってはクランクシャフトおよび対応コンロッドが必要になり、純正流用できない場合はワンオフで作らなければならないなど、とにかくお高く付きますので、手を出すには相当の覚悟を求められるメニューです。

圧縮比については、実際のところピストンが大径化するに伴ってピストン天面の凸凹容量も変化する場合が大半ですから、一覧表にある圧縮比の数値の通りにはなりませんが、排気量を大きくすると自ずと圧縮比も上昇しますよ、という雰囲気をご堪能ください。

B/S比はボアストローク比の略で、ボア径を広げていくとロングストローク型からスクエア型、あるいはショートストローク型の特性へと近付いていきます。J20A型エンジンの場合、純正ピストンから+3.0mmのボアアップをすると比は1.07から1.03に変化するという具合です。

ピストン径が近いエンジンと排気量アップ

J20A型エンジンのピストン径84.0mmとサイズが近いピストンを持つエンジンが56件ありますので、余興としてピストン流用でボアアップした場合の排気量を計算してみます。

Eg型式ピストン径排気量
マツダ
YF型
84.8mm
[+0.8mm]
2033cc
[+38cc]
三菱
4G63型
85.0mm
[+1.0mm]
2043cc
[+48cc]
日産
VQ25型
85.0mm
[+1.0mm]
2043cc
[+48cc]
スバル
EJ15型
85.0mm
[+1.0mm]
2043cc
[+48cc]
ホンダ
F20B型
85.0mm
[+1.0mm]
2043cc
[+48cc]
ホンダ
F22B型
85.0mm
[+1.0mm]
2043cc
[+48cc]

ピストン径が近いエンジンとしては、マツダ:EPEW型トリビュートに搭載されるYF型1988ccの84.8mm、三菱:CT9A型ランサーエボリューションに搭載される4G63型1997ccの85.0mm、日産:M35型プラウディアに搭載されるVQ25型2495ccの85.0mm、スバル:GG2型インプレッサ スポーツワゴンに搭載されるEJ15型1493ccの85.0mm、ホンダ:CJ3型トルネオに搭載されるF20B型1997ccの85.0mm、ホンダ:BB7型プレリュードに搭載されるF22B型2156ccの85.0mmなどが該当します。

(もはやこのような探求に楽しみを見い出す人は減ってしまいましたが)いくら径が近かろうとも、ピストンピンの径やピストンの高さ、バルブリセスの都合などなどありますので、なるべくなら同じメーカー、なるべくなら同じ燃料で同じ吸気方式、なるべくなら排気量が近いものを選ぶと純正流用できる可能性が高くなる、かもしれません。

ピストン径が小さい 2000ccクラスのエンジン
ピストン径が大きい 2000ccクラスのエンジン
ストロークが短い 2000ccクラスのエンジン
ストロークが長い 2000ccクラスのエンジン
ボアストローク比・昇順 [2000ccクラス]
ボアストローク比・降順 [2000ccクラス]


平均ピストンスピード

ストローク最大トルク
4000rpm
最高出力
6000rpm
90.0mm12.0m/s18.0m/s
回転数/分秒速時速
2000rpm6.0m/s22km/h
4000rpm12.0m/s43km/h
6000rpm18.0m/s65km/h
8000rpm24.0m/s86km/h
10000rpm30.0m/s108km/h

続きまして平均ピストンスピードについて見てみます。ストロークが90.0mmのエンジンが最高出力を発生する6000回転での平均ピストンスピードは18.0m/sとなり、これは1秒間に18.0メートル(時速にすると64.8km/h)の距離を進む速さでピストンが上下運動していますよ、という意味です。

最大トルクを発生する4000回転では12.0m/s、最高出力が発生する6000回転より500回転高い6500回転をレブリミットと仮定したときの平均速度は19.5m/sとなっています。

参考までにストロークが90.0mmのJ20A型エンジンを10000回転/毎分まで回したときのピストンスピードの変化を計算してみました。これを見ると回転数が2000回転高くなるごとに概ね6.00m/sずつ速度が増していくようです。

大量生産を前提とした一般的なエンジンの目安である20.0m/sのみを基準として考えると、高回転化の上限を(回るか回らないかは別として)6670回転くらいにするのが機械的にも精神的にも好ましそうです。


J20A型エンジンを搭載する車種の例

全12車種のうち、最高出力が大きいものから順に上位3車種を表示しています。その他の車種については、ページ下部にあるリンクよりJ20A型エンジン搭載車種の一覧をご覧ください。

メーカー
車両型式
画像車名&グレード出力/燃費
パワーウェイト
排気量
変速機
スズキ
TD54W
2006/06
エスクード
2.0XE
[CBA-TD54W]
145PS
19.7kgm
11.6km/L
10.69kg/PS
自然吸気
4WD/4AT
SUV
5人乗り

エスクード
[2.0XE]
2006/06モデル
車両型式CBA-TD54W
最高出力145PS
最大トルク19.7kgm
10-15モード燃費11.6km/L
パワーウェイト10.69kg/PS
吸気方式自然吸気
駆動方式&変速機4WD/4AT
車体形状&乗車定員SUV/5人乗り
スズキ
TD54W
2006/06
エスクード
2.0XE
[CBA-TD54W]
145PS
19.7kgm
12.0km/L
10.55kg/PS
自然吸気
4WD/5MT
SUV
5人乗り

エスクード
[2.0XE]
2006/06モデル
車両型式CBA-TD54W
最高出力145PS
最大トルク19.7kgm
10-15モード燃費12.0km/L
パワーウェイト10.55kg/PS
吸気方式自然吸気
駆動方式&変速機4WD/5MT
車体形状&乗車定員SUV/5人乗り
スズキ
YB41S
2008/10
SX4
2.0XS
[CBA-YB41S]
145PS
19.7kgm
12.0km/L
9.03kg/PS
自然吸気
4WD/4AT
SUV
5人乗り

SX4
[2.0XS]
2008/10モデル
車両型式CBA-YB41S
最高出力145PS
最大トルク19.7kgm
10-15モード燃費12.0km/L
パワーウェイト9.03kg/PS
吸気方式自然吸気
駆動方式&変速機4WD/4AT
車体形状&乗車定員SUV/5人乗り
J20A型エンジン搭載車種の一覧
パワーウェイトレシオ順|全14車種

その他のJ20A型エンジン型式と代表的な車種

J20A型
全2車種
マツダ:プロシード レバンテ [2000JM 3door]
最高出力140PS/最大トルク19.0kgm
1997/11モデル
マツダ
J20A型
全2車種
プロシード レバンテ
[2000JM 3door]
140PS/19.0kgm

スズキ製エンジンの原動機型式まとめ
【排気量順】