スズキ:F6B型エンジンの諸元と性能まとめ [直列4気筒 658cc]

ここではスズキのCP32S型・セルボ モード [SR-FOUR|1995/10モデル] に搭載されているF6B型のターボエンジンのデータを参考に、このエンジンが持つ特性や素性について調べてみます。

F6B型のターボエンジン諸元


CP32S型 セルボ モード
主要諸元と走行性能まとめ
車両型式E-CP32S,CP31S型
車名&グレードセルボ モード
SR-FOUR
エンジン型式F6B
種類直列4気筒
排気量658cc
内径×行程65.0mm×49.6mm
ボアストローク比0.76
単気筒容積164.6cc
圧縮比8.3
吸気方式ターボ
使用燃料レギュラーガソリン
最高出力64PS/7000rpm
最大トルク8.4kgm/3500rpm

まず基本的な成り立ちとして、F6B型エンジンはボア(内径)65.0mm、ストローク(行程)49.6mm、ボアストローク比0.76のショートストローク型エンジン(ストローク量よりもピストン径のほうが大きい)です。

排気量と気筒数が同一の場合、ロングストローク型に比べて低回転域でのトルク特性に劣り、扱いにくいエンジンとされるものの、高回転域では充填効率の向上や摺動抵抗の増大も(ロングストローク型に比べれば)軽微なことから出力の向上が見込まれます。

また同じ回転数でも平均ピストンスピードが抑えられることから、その分だけエンジンへの負荷は低減される傾向にあります。

このサイトにてF6B型のターボエンジンを搭載している車種は、1990/07から発売された4代目セルボ モード [CP32S型|1995/10]となっており、NA車は0車種、ターボ/SC車は2車種の全2車種が登録されています。

過渡特性とリッター換算馬力から見た評価

エンジン性能曲線のイメージ
F6Bのエンジン性能曲線図もどき
馬力の変遷41.0PS → 64PS
トルクの変遷8.4kgm → 6.5kgm
リッター馬力97.3PS/L
リッタートルク12.8kgm/L

今回の参考車両であるセルボ モードの直列4気筒658cc、圧縮比8.3でレギュラーガソリン仕様のターボエンジンは、7000回転のとき最高出力64馬力を、7000回転のとき最大トルク8.4kgmを発生させます。

馬力と回転数が分かればトルクが、トルクと回転数が分かれば馬力を知ることができますので計算してみますと、最大トルクが発生する3500回転での馬力は41.0PS、最高出力が発生する7000回転でのトルクは6.5kgmになります。

排気量1リットルあたりの馬力は97.3PS/L、トルクは12.8kgm/Lとなり、1気筒(単気筒容積164.6cc)あたりの馬力は16.0PS、トルクは2.1kgmです。

F6B型ターボエンジンを、このサイトで登録している全てのターボ車から集計した偏差値ベースの10段階評価に当てはめると、評価は換算馬力が[ 6 ]、換算トルクが[ 4 ]の「標準的な出力(中の上)のエンジン」にカテゴライズされます。

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排気量アップと圧縮比の上昇、ボアストローク比の変化

ノーマルの排気量と圧縮比
BoreStroke排気量圧縮比B/S比
65.049.6658cc8.30.76
ボアアップによる排気量拡大
65.549.6668cc8.40.76
66.0679cc8.60.75
66.5689cc8.60.75
67.0699cc8.80.74
67.5710cc8.90.73
68.0721cc9.00.73
ストロークアップによる排気量拡大
65.050.6672cc8.50.78
51.6685cc8.60.79
52.6698cc8.80.81
53.6711cc8.90.82
54.6725cc9.00.84

エンジンの排気量を決める要素には気筒数、ボア径、ストローク量の3つがあり、これらを増減することでさまざまな排気量のエンジンが生まれます。

ここでは実際に可能かどうかは別として、ピストン径を純正の65.0mmから0.5mm刻みで68.0mmまで拡大した場合および、ストロークを純正の49.6mmから1mm刻みで54.6mmまで延長した場合の排気量と、燃焼室容積が変化しないと仮定した場合の圧縮比の変化を一覧表にしています。

※ストロークアップと口で言うのは簡単なのですが、ロングストローク化するにあたってはクランクシャフトおよび対応コンロッドが必要になり、純正流用できない場合はワンオフで作らなければならないなど、とにかくお高く付きますので、手を出すには相当の覚悟を求められるメニューです。

圧縮比については、実際のところピストンが大径化するに伴ってピストン天面の凸凹容量も変化する場合が大半ですから、一覧表にある圧縮比の数値の通りにはなりませんが、排気量を大きくすると自ずと圧縮比も上昇しますよ、という雰囲気をご堪能ください。

B/S比はボアストローク比の略で、ボア径を広げていくと0.76からさらに値は小さくなり、ショートストローク型の恩恵と弊害が顕著になっていきます。F6B型エンジンの場合、純正ピストンから+3.0mmのボアアップをすると比は0.76から0.73に変化するという具合です。

ピストン径が近いエンジンと排気量アップ

F6B型エンジンのピストン径65.0mmとサイズが近いピストンを持つエンジンが6件ありますので、余興としてピストン流用でボアアップした場合の排気量を計算してみます。

Eg型式ピストン径排気量
ホンダ
E07Z型
66.0mm
[+1.0mm]
679cc
[+21cc]
日産
MA09型
66.0mm
[+1.0mm]
679cc
[+21cc]
日産
K6A型
68.0mm
[+3.0mm]
721cc
[+63cc]
ダイハツ
EF型
68.0mm
[+3.0mm]
721cc
[+63cc]
スズキ
K10A型
68.0mm
[+3.0mm]
721cc
[+63cc]
日産
MA10型
68.0mm
[+3.0mm]
721cc
[+63cc]

ピストン径が近いエンジンとしては、ホンダ:PA1型Zに搭載されるE07Z型656ccの66.0mm、日産:EK10型マーチに搭載されるMA09型930ccの66.0mm、日産:HB21S型モコに搭載されるK6A型658ccの68.0mm、ダイハツ:J131G型リーザに搭載されるEF型659ccの68.0mm、スズキ:MA63S型ワゴンRプラスに搭載されるK10A型996ccの68.0mm、日産:FK10型フィガロに搭載されるMA10型987ccの68.0mmなどが該当します。

(もはやこのような探求に楽しみを見い出す人は減ってしまいましたが)いくら径が近かろうとも、ピストンピンの径やピストンの高さ、バルブリセスの都合などなどありますので、なるべくなら同じメーカー、なるべくなら同じ燃料で同じ吸気方式、なるべくなら排気量が近いものを選ぶと純正流用できる可能性が高くなる、かもしれません。

ピストン径が小さい 軽自動車のエンジン
ピストン径が大きい 軽自動車のエンジン
ストロークが短い 軽自動車のエンジン
ストロークが長い 軽自動車のエンジン
ボアストローク比・昇順 [軽自動車]
ボアストローク比・降順 [軽自動車]


平均ピストンスピード

ストローク最大トルク
3500rpm
最高出力
7000rpm
49.6mm5.8m/s11.6m/s
回転数/分秒速時速
2000rpm3.3m/s12km/h
4000rpm6.6m/s24km/h
6000rpm9.9m/s36km/h
8000rpm13.2m/s48km/h
10000rpm16.5m/s59km/h

続きまして平均ピストンスピードについて見てみます。ストロークが49.6mmのエンジンが最高出力を発生する7000回転での平均ピストンスピードは11.6m/sとなり、これは1秒間に11.6メートル(時速にすると41.8km/h)の距離を進む速さでピストンが上下運動していますよ、という意味です。

最大トルクを発生する3500回転では5.8m/s、最高出力が発生する7000回転より500回転高い7500回転をレブリミットと仮定したときの平均速度は12.4m/sとなっています。

参考までにストロークが49.6mmのF6B型エンジンを10000回転/毎分まで回したときのピストンスピードの変化を計算してみました。これを見ると回転数が2000回転高くなるごとに概ね3.30m/sずつ速度が増していくようです。

大量生産を前提とした一般的なエンジンの目安である20.0m/sのみを基準として考えると、高回転化の上限を(回るか回らないかは別として)12100回転くらいにするのが機械的にも精神的にも好ましそうです。


F6B型エンジンを搭載する車種の例

全2車種を最高出力が大きいものから順に表示しています。

メーカー
車両型式
画像車名&グレード出力/燃費
パワーウェイト
排気量
変速機
スズキ
CP32S
1995/10
セルボ モード
SR-FOUR
[E-CP32S,CP31S]
64PS
8.4kgm
15.0km/L
11.720kg/PS
ターボ
4WD/5MT
軽ハッチバック
4人乗り

セルボ モード
[SR-FOUR]
1995/10モデル
車両型式E-CP32S,CP31S
最高出力64PS
最大トルク8.4kgm
10-15モード燃費15.0km/L
パワーウェイト11.720kg/PS
吸気方式ターボ
駆動方式&変速機4WD/5MT
車体形状&乗車定員軽ハッチバック/4人乗り
スズキ
CN32S
1995/10
セルボ モード
SR-FOUR
[E-CN32S,CN31S]
64PS
8.4kgm
17.2km/L
10.940kg/PS
ターボ
FF/5MT
軽ハッチバック
4人乗り

セルボ モード
[SR-FOUR]
1995/10モデル
車両型式E-CN32S,CN31S
最高出力64PS
最大トルク8.4kgm
10-15モード燃費17.2km/L
パワーウェイト10.940kg/PS
吸気方式ターボ
駆動方式&変速機FF/5MT
車体形状&乗車定員軽ハッチバック/4人乗り

スズキ製エンジンの原動機型式まとめ
【排気量順】