スズキ:F5B型エンジンの諸元と性能まとめ [直列3気筒 547cc]

ここではスズキのCL11V型・アルト ワークス [WORKS RS/X|1988/09モデル] に搭載されているF5B型のターボエンジンのデータを参考に、このエンジンが持つ特性や素性について調べてみます。

F5B型のターボエンジン諸元


CL11V型 アルト ワークス
主要諸元と走行性能まとめ
車両型式M-CL11V型
車名&グレードアルト ワークス
WORKS RS/X
エンジン型式F5B
種類直列3気筒
排気量547cc
内径×行程65.0mm×55.0mm
ボアストローク比0.85
単気筒容積182.5cc
圧縮比8.0
吸気方式ターボ
使用燃料レギュラーガソリン
最高出力64PS/7500rpm
最大トルク7.8kgm/4000rpm

まず基本的な成り立ちとして、F5B型エンジンはボア(内径)65.0mm、ストローク(行程)55.0mm、ボアストローク比0.85のショートストローク型エンジン(ストローク量よりもピストン径のほうが大きい)です。

排気量と気筒数が同一の場合、ロングストローク型に比べて低回転域でのトルク特性に劣り、扱いにくいエンジンとされるものの、高回転域では充填効率の向上や摺動抵抗の増大も(ロングストローク型に比べれば)軽微なことから出力の向上が見込まれます。

また同じ回転数でも平均ピストンスピードが抑えられることから、その分だけエンジンへの負荷は低減される傾向にあります。

このサイトにて登録されている車種のうち、F5B型のターボエンジンを搭載する最も古い車種は、1988/01から発売された3代目セルボ [CG72V型|1988/01]、最も新しい車種は1988/09から発売された3代目アルト ワークス [CL11V型|1988/09]となっており、NA車は3車種、ターボ/SC車は6車種の全9車種が登録されています。

過渡特性とリッター換算馬力から見た評価

エンジン性能曲線のイメージ
F5Bのエンジン性能曲線図もどき
馬力の変遷43.6PS → 64PS
トルクの変遷7.8kgm → 6.1kgm
リッター馬力117.00PS/L
リッタートルク14.3kgm/L

今回の参考車両であるアルト ワークスの直列3気筒547cc、圧縮比8.0でレギュラーガソリン仕様のターボエンジンは、7500回転のとき最高出力64馬力を、7500回転のとき最大トルク7.8kgmを発生させます。

馬力と回転数が分かればトルクが、トルクと回転数が分かれば馬力を知ることができますので計算してみますと、最大トルクが発生する4000回転での馬力は43.6PS、最高出力が発生する7500回転でのトルクは6.1kgmになります。

排気量1リットルあたりの馬力は117.00PS/L、トルクは14.3kgm/Lとなり、1気筒(単気筒容積182.5cc)あたりの馬力は21.3PS、トルクは2.6kgmです。

F5B型ターボエンジンを、このサイトで登録している全てのターボ車から集計した偏差値ベースの10段階評価に当てはめると、評価は換算馬力が[ 7 ]、換算トルクが[ 5 ]の「なかなかの高出力エンジン」にカテゴライズされます。

ちなみに、F5B型のターボ・SCエンジン搭載車種のうち、最高出力が最も大きかったのはCL11V型アルト ワークスの64PS/7.8kgm、最も小さかったのはCG72V型セルボの40PS/4.2kgmとなっています。

【PR】エンジンオイルの通販革命!高品質×低価格
TAKUMIモーターオイル HIGH QUALITY【5W-30】


排気量アップと圧縮比の上昇、ボアストローク比の変化

ノーマルの排気量と圧縮比
BoreStroke排気量圧縮比B/S比
65.055.0547cc8.00.85
ボアアップによる排気量拡大
65.555.0556cc8.10.84
66.0564cc8.20.83
66.5573cc8.30.83
67.0582cc8.40.82
67.5590cc8.50.81
68.0599cc8.70.81
ストロークアップによる排気量拡大
65.056.0557cc8.10.86
57.0567cc8.20.88
58.0577cc8.40.89
59.0587cc8.50.91
60.0597cc8.60.92

エンジンの排気量を決める要素には気筒数、ボア径、ストローク量の3つがあり、これらを増減することでさまざまな排気量のエンジンが生まれます。

ここでは実際に可能かどうかは別として、ピストン径を純正の65.0mmから0.5mm刻みで68.0mmまで拡大した場合および、ストロークを純正の55.0mmから1mm刻みで60.0mmまで延長した場合の排気量と、燃焼室容積が変化しないと仮定した場合の圧縮比の変化を一覧表にしています。

※ストロークアップと口で言うのは簡単なのですが、ロングストローク化するにあたってはクランクシャフトおよび対応コンロッドが必要になり、純正流用できない場合はワンオフで作らなければならないなど、とにかくお高く付きますので、手を出すには相当の覚悟を求められるメニューです。

圧縮比については、実際のところピストンが大径化するに伴ってピストン天面の凸凹容量も変化する場合が大半ですから、一覧表にある圧縮比の数値の通りにはなりませんが、排気量を大きくすると自ずと圧縮比も上昇しますよ、という雰囲気をご堪能ください。

B/S比はボアストローク比の略で、ボア径を広げていくと0.85からさらに値は小さくなり、ショートストローク型の恩恵と弊害が顕著になっていきます。F5B型エンジンの場合、純正ピストンから+3.0mmのボアアップをすると比は0.85から0.81に変化するという具合です。

ピストン径が近いエンジンと排気量アップ

F5B型エンジンのピストン径65.0mmとサイズが近いピストンを持つエンジンが6件ありますので、余興としてピストン流用でボアアップした場合の排気量を計算してみます。

Eg型式ピストン径排気量
ホンダ
E07Z型
66.0mm
[+1.0mm]
564cc
[+17cc]
日産
MA09型
66.0mm
[+1.0mm]
564cc
[+17cc]
日産
K6A型
68.0mm
[+3.0mm]
599cc
[+52cc]
ダイハツ
EF型
68.0mm
[+3.0mm]
599cc
[+52cc]
スズキ
K10A型
68.0mm
[+3.0mm]
599cc
[+52cc]
日産
MA10型
68.0mm
[+3.0mm]
599cc
[+52cc]

ピストン径が近いエンジンとしては、ホンダ:PA1型ゼットに搭載されるE07Z型656ccの66.0mm、日産:EK10型マーチに搭載されるMA09型930ccの66.0mm、日産:HB21S型モコに搭載されるK6A型658ccの68.0mm、ダイハツ:J131G型リーザに搭載されるEF型659ccの68.0mm、スズキ:MA64S型ワゴンR ソリオに搭載されるK10A型996ccの68.0mm、日産:FK10型フィガロに搭載されるMA10型987ccの68.0mmなどが該当します。

(もはやこのような探求に楽しみを見い出す人は減ってしまいましたが)いくら径が近かろうとも、ピストンピンの径やピストンの高さ、バルブリセスの都合などなどありますので、なるべくなら同じメーカー、なるべくなら同じ燃料で同じ吸気方式、なるべくなら排気量が近いものを選ぶと純正流用できる可能性が高くなる、かもしれません。

ピストン径が小さい 軽自動車のエンジン
ピストン径が大きい 軽自動車のエンジン
ストロークが短い 軽自動車のエンジン
ストロークが長い 軽自動車のエンジン
ボアストローク比・昇順 [軽自動車]
ボアストローク比・降順 [軽自動車]


平均ピストンスピード

ストローク最大トルク
4000rpm
最高出力
7500rpm
55.0mm7.3m/s13.8m/s
回転数/分秒速時速
2000rpm3.7m/s13km/h
4000rpm7.3m/s26km/h
6000rpm11.0m/s40km/h
8000rpm14.7m/s53km/h
10000rpm18.3m/s66km/h

続きまして平均ピストンスピードについて見てみます。ストロークが55.0mmのエンジンが最高出力を発生する7500回転での平均ピストンスピードは13.8m/sとなり、これは1秒間に13.8メートル(時速にすると49.7km/h)の距離を進む速さでピストンが上下運動していますよ、という意味です。

最大トルクを発生する4000回転では7.3m/s、最高出力が発生する7500回転より500回転高い8000回転をレブリミットと仮定したときの平均速度は14.7m/sとなっています。

参考までにストロークが55.0mmのF5B型エンジンを10000回転/毎分まで回したときのピストンスピードの変化を計算してみました。これを見ると回転数が2000回転高くなるごとに概ね3.65m/sずつ速度が増していくようです。

大量生産を前提とした一般的なエンジンの目安である20.0m/sのみを基準として考えると、高回転化の上限を(回るか回らないかは別として)10910回転くらいにするのが機械的にも精神的にも好ましそうです。


F5B型エンジンを搭載する車種の例

全9車種を最高出力が大きいものから順に表示しています。

メーカー
車両型式
画像車名&グレード出力/燃費
パワーウェイト
排気量
変速機
スズキ
CL11V
1988/09
アルト ワークス
WORKS RS/X
[M-CL11V]
64PS
7.8kgm
21.4km/L
9.531kg/PS
ターボ
FF/5MT
軽ボンネットバン
4人乗り
車両型式:M-CL11V

アルト ワークス
[WORKS RS/X]
1988/09モデル
最高出力64PS
最大トルク7.8kgm
10-15モード燃費21.4km/L
吸気方式ターボ
車体構成4人乗り軽ボンネットバン
FF/5MT
スズキ
CM11V
1988/09
アルト ワークス
WORKS RS/R
[M-CM11V]
64PS
7.8kgm
19.4km/L
10.312kg/PS
ターボ
4WD/5MT
軽ボンネットバン
4人乗り
車両型式:M-CM11V

アルト ワークス
[WORKS RS/R]
1988/09モデル
最高出力64PS
最大トルク7.8kgm
10-15モード燃費19.4km/L
吸気方式ターボ
車体構成4人乗り軽ボンネットバン
4WD/5MT
スズキ
CL11V
1988/09
アルト ワークス
WORKS RS/X
[M-CL11V]
64PS
7.8kgm
18.6km/L
9.844kg/PS
ターボ
FF/3AT
軽ボンネットバン
4人乗り
車両型式:M-CL11V

アルト ワークス
[WORKS RS/X]
1988/09モデル
最高出力64PS
最大トルク7.8kgm
10-15モード燃費18.6km/L
吸気方式ターボ
車体構成4人乗り軽ボンネットバン
FF/3AT
スズキ
CG72V
1988/01
セルボ
GX
[M-CG72V]
40PS
4.2kgm
20.4km/L
14.750kg/PS
自然吸気
FF/5MT
軽ボンネットバン
4人乗り
車両型式:M-CG72V

セルボ
[GX]
1988/01モデル
最高出力40PS
最大トルク4.2kgm
10-15モード燃費20.4km/L
吸気方式自然吸気
車体構成4人乗り軽ボンネットバン
FF/5MT
スズキ
CG72V
1988/01
セルボ
GX
[M-CG72V]
40PS
4.2kgm
17.8km/L
15.250kg/PS
自然吸気
FF/3AT
軽ボンネットバン
4人乗り
車両型式:M-CG72V

セルボ
[GX]
1988/01モデル
最高出力40PS
最大トルク4.2kgm
10-15モード燃費17.8km/L
吸気方式自然吸気
車体構成4人乗り軽ボンネットバン
FF/3AT
スズキ
CH72V
1988/01
セルボ
GX
[M-CH72V]
40PS
4.2kgm
18.6km/L
16.000kg/PS
自然吸気
4WD/5MT
軽ボンネットバン
4人乗り
車両型式:M-CH72V

セルボ
[GX]
1988/01モデル
最高出力40PS
最大トルク4.2kgm
10-15モード燃費18.6km/L
吸気方式自然吸気
車体構成4人乗り軽ボンネットバン
4WD/5MT

その他のF5B型エンジン型式と代表的な車種

F5B型
全2車種
マツダ:キャロル [e]
最高出力39PS/最大トルク4.3kgm
1989/10モデル
マツダ
F5B型
全2車種
キャロル
[e]
39PS/4.3kgm

スズキ製エンジンの原動機型式まとめ
【排気量順】