スバル:KF型ターボエンジンの諸元と性能まとめ [直列3気筒 658cc]

ここではスバルのL285F型・プレオ カスタム [RS|2010/04モデル] に搭載されているKF型のターボエンジンのデータを参考に、このエンジンが持つ特性や素性について調べてみます。

KF型のターボエンジン諸元


L285F型 プレオ カスタム
主要諸元と走行性能まとめ
車両型式CBA-L285F型
車名&グレードプレオ カスタム
RS
エンジン型式KF
種類直列3気筒
排気量658cc
内径×行程63.0mm×70.4mm
ボアストローク比1.12
単気筒容積219.4cc
圧縮比9.0
吸気方式ターボ
使用燃料レギュラーガソリン
最高出力64PS/6000rpm
最大トルク10.5kgm/3000rpm

まず基本的な成り立ちとして、KF型エンジンはボア(内径)63.0mm、ストローク(行程)70.4mm、ボアストローク比1.12のロングストローク型エンジン(ピストン径よりもストローク量のほうが大きい)です。

排気量と気筒数が同一の場合、ショートストローク型に比べて低回転域でのトルク特性に優れ、扱い易いエンジンとされますが、高回転域では充填効率の悪化や摺動抵抗が増大して出力の低下が懸念されます。

なおかつ回転数も同一の場合、ショートストローク型に比べて平均ピストンスピードが高くなりがちなことから、エンジンへの負荷が大きくなる傾向にあります。

このサイトにて登録されている車種のうち、KF型のターボエンジンを搭載する最も古い車種は、2010/04から発売された2代目プレオ カスタム [L285F型|2010/04]、最も新しい車種は2019/07から発売された2代目シフォン [LA650F型|2021/09]となっており、13車種のターボ/SC車が登録されています。

関連ページ
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過渡特性とリッター換算馬力から見た評価

エンジン性能曲線のイメージ
KFのエンジン性能曲線図もどき
馬力の変遷44.0PS → 64PS
トルクの変遷10.5kgm → 7.6kgm
リッター馬力97.26PS/L
リッタートルク16.0kgm/L

今回の参考車両であるプレオ カスタムの直列3気筒658cc、圧縮比9.0でレギュラーガソリン仕様のターボエンジンは、6000回転のとき最高出力64馬力を、6000回転のとき最大トルク10.5kgmを発生させます。

馬力と回転数が分かればトルクが、トルクと回転数が分かれば馬力を知ることができますので計算してみますと、最大トルクが発生する3000回転での馬力は44.0PS、最高出力が発生する6000回転でのトルクは7.6kgmになります。

排気量1リットルあたりの馬力は97.26PS/L、トルクは16.0kgm/Lとなり、1気筒(単気筒容積219.4cc)あたりの馬力は21.3PS、トルクは3.5kgmです。

KF型ターボエンジンを、このサイトで登録している全てのターボ車から集計した偏差値ベースの10段階評価に当てはめると、評価は換算馬力が[ 6 ]、換算トルクが[ 6 ]の「標準的な出力(中の上)のエンジン」にカテゴライズされます。

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排気量アップと圧縮比の上昇、ボアストローク比の変化

ノーマルの排気量と圧縮比
BoreStroke排気量圧縮比B/S比
63.070.4658cc9.01.12
ボアアップによる排気量拡大
63.570.4669cc9.11.11
64.0679cc9.21.10
64.5690cc9.41.09
65.0701cc9.51.08
65.5712cc9.61.07
66.0723cc9.81.07
ストロークアップによる排気量拡大
63.071.4668cc9.11.13
72.4677cc9.21.15
73.4686cc9.41.17
74.4696cc9.51.18
75.4705cc9.61.20

エンジンの排気量を決める要素には気筒数、ボア径、ストローク量の3つがあり、これらを増減することでさまざまな排気量のエンジンが生まれます。

ここでは実際に可能かどうかは別として、ピストン径を純正の63.0mmから0.5mm刻みで66.0mmまで拡大した場合および、ストロークを純正の70.4mmから1mm刻みで75.4mmまで延長した場合の排気量と、燃焼室容積が変化しないと仮定した場合の圧縮比の変化を一覧表にしています。

※ストロークアップと口で言うのは簡単なのですが、ロングストローク化するにあたってはクランクシャフトおよび対応コンロッドが必要になり、純正流用できない場合はワンオフで作らなければならないなど、とにかくお高く付きますので、手を出すには相当の覚悟を求められるメニューです。

圧縮比については、実際のところピストンが大径化するに伴ってピストン天面の凸凹容量も変化する場合が大半ですから、一覧表にある圧縮比の数値の通りにはなりませんが、排気量を大きくすると自ずと圧縮比も上昇しますよ、という雰囲気をご堪能ください。

B/S比はボアストローク比の略で、ボア径を広げていくとロングストローク型からスクエア型、あるいはショートストローク型の特性へと近付いていきます。KF型エンジンの場合、純正ピストンから+3.0mmのボアアップをすると比は1.12から1.07に変化するという具合です。

ピストン径が近いエンジンと排気量アップ

KF型エンジンのピストン径63.0mmとサイズが近いピストンを持つエンジンが9件ありますので、余興としてピストン流用でボアアップした場合の排気量を計算してみます。

Eg型式ピストン径排気量
日産
R06A型
64.0mm
[+1.0mm]
679cc
[+21cc]
ホンダ
S07A型
64.0mm
[+1.0mm]
679cc
[+21cc]
マツダ
F6A型
65.0mm
[+2.0mm]
701cc
[+43cc]
日産
3G83型
65.0mm
[+2.0mm]
701cc
[+43cc]
スズキ
F5B型
65.0mm
[+2.0mm]
701cc
[+43cc]
スズキ
F6B型
65.0mm
[+2.0mm]
701cc
[+43cc]

ピストン径が近いエンジンとしては、日産:MG33S型モコに搭載されるR06A型658ccの64.0mm、ホンダ:JF1型N-BOXに搭載されるS07A型658ccの64.0mm、マツダ:CZ21S型セルボ モードに搭載されるF6A型657ccの65.0mm、日産:H22A型ミニカ ダンガンZZに搭載される3G83型657ccの65.0mm、スズキ:CM11V型アルト ワークスに搭載されるF5B型547ccの65.0mm、スズキ:CP32S,CP31S型セルボ モードに搭載されるF6B型658ccの65.0mmなどが該当します。

(もはやこのような探求に楽しみを見い出す人は減ってしまいましたが)いくら径が近かろうとも、ピストンピンの径やピストンの高さ、バルブリセスの都合などなどありますので、なるべくなら同じメーカー、なるべくなら同じ燃料で同じ吸気方式、なるべくなら排気量が近いものを選ぶと純正流用できる可能性が高くなる、かもしれません。

ピストン径が小さい 軽自動車のエンジン
ピストン径が大きい 軽自動車のエンジン
ストロークが短い 軽自動車のエンジン
ストロークが長い 軽自動車のエンジン
ボアストローク比・昇順 [軽自動車]
ボアストローク比・降順 [軽自動車]


平均ピストンスピード

ストローク最大トルク
3000rpm
最高出力
6000rpm
70.4mm7.0m/s14.1m/s
回転数/分秒速時速
2000rpm4.7m/s17km/h
4000rpm9.4m/s34km/h
6000rpm14.1m/s51km/h
8000rpm18.8m/s68km/h
10000rpm23.5m/s85km/h

続きまして平均ピストンスピードについて見てみます。ストロークが70.4mmのエンジンが最高出力を発生する6000回転での平均ピストンスピードは14.1m/sとなり、これは1秒間に14.1メートル(時速にすると50.8km/h)の距離を進む速さでピストンが上下運動していますよ、という意味です。

最大トルクを発生する3000回転では7.0m/s、最高出力が発生する6000回転より500回転高い6500回転をレブリミットと仮定したときの平均速度は15.3m/sとなっています。

参考までにストロークが70.4mmのKF型エンジンを10000回転/毎分まで回したときのピストンスピードの変化を計算してみました。これを見ると回転数が2000回転高くなるごとに概ね4.70m/sずつ速度が増していくようです。

大量生産を前提とした一般的なエンジンの目安である20.0m/sのみを基準として考えると、高回転化の上限を(回るか回らないかは別として)8520回転くらいにするのが機械的にも精神的にも好ましそうです。


KF型ターボエンジンを搭載する車種の例

全13車種のうち、最高出力が大きいものから順に上位3車種を表示しています。その他の車種については、ページ下部にあるリンクよりKF型エンジン搭載車種の一覧をご覧ください。

メーカー
車両型式
画像車名&グレード出力/燃費
パワーウェイト
排気量
変速機
スバル
LA100F
2011/08
ステラ
Custom-RS
[DBA-LA100F]
64PS
9.4kgm
22.5km/L
13.281kg/PS
ターボ
FF/CVT
軽ミニバン
4人乗り
車両型式:DBA-LA100F

ステラ
[Custom-RS]
2011/08モデル
最高出力64PS
最大トルク9.4kgm
10-15モード燃費22.5km/L
吸気方式ターボ
車体構成4人乗り軽ミニバン
FF/CVT
スバル
L285F
2010/04
プレオ カスタム
RS
[CBA-L285F]
64PS
10.5kgm
19.0km/L
13.750kg/PS
ターボ
4WD/CVT
軽ハッチバック
4人乗り
車両型式:CBA-L285F

プレオ カスタム
[RS]
2010/04モデル
最高出力64PS
最大トルク10.5kgm
10-15モード燃費19.0km/L
吸気方式ターボ
車体構成4人乗り軽ハッチバック
4WD/CVT
スバル
L455F
2011/07
ルクラ カスタム
RS
[CBA-L455F]
64PS
10.5kgm
19.0km/L
14.375kg/PS
ターボ
FF/CVT
軽ミニバン
4人乗り
車両型式:CBA-L455F

ルクラ カスタム
[RS]
2011/07モデル
最高出力64PS
最大トルク10.5kgm
10-15モード燃費19.0km/L
吸気方式ターボ
車体構成4人乗り軽ミニバン
FF/CVT
KF型エンジン搭載車種の一覧
パワーウェイトレシオ順|全319車種

その他のKF型エンジン型式と代表的な車種

KF型
全179車種
ダイハツ:ミラ [X]
最高出力58PS/最大トルク6.6kgm
2011/07モデル
ダイハツ
KF型
全179車種
ミラ
[X]
58PS/6.6kgm
KF型
全42車種
トヨタ:ピクシス メガ [D]
最高出力52PS/最大トルク6.1kgm
2015/07モデル
トヨタ
KF型
全42車種
ピクシス メガ
[D]
52PS/6.1kgm
KF-VE型
全28車種
ダイハツ:エッセ [D]
最高出力58PS/最大トルク6.6kgm
2010/04モデル
ダイハツ
KF-VE型
全28車種
エッセ
[D]
58PS/6.6kgm
KF-DET型
全20車種
ダイハツ:ムーヴ [Custom-RS]
最高出力64PS/最大トルク10.5kgm
2009/12モデル
ダイハツ
KF-DET型
全20車種
ムーヴ
[Custom-RS]
64PS/10.5kgm
KF-DET型
全2車種
スバル:ディアス ワゴン [RS]
最高出力64PS/最大トルク10.5kgm
2009/09モデル
スバル
KF-DET型
全2車種
ディアス ワゴン
[RS]
64PS/10.5kgm
KF-VE型
全1車種
スバル:ルクラ [L]
最高出力58PS/最大トルク6.6kgm
2010/04モデル
スバル
KF-VE型
全1車種
ルクラ
[L]
58PS/6.6kgm

スバル製エンジンの原動機型式まとめ
【排気量順】