スバル:ER27型エンジンの諸元と性能まとめ [水平対向6気筒 2672cc]

ここではスバルのAX9型・アルシオーネ [VX|1989/04モデル] に搭載されているER27型の自然吸気エンジンのデータを参考に、このエンジンが持つ特性や素性について調べてみます。

ER27型の自然吸気エンジン諸元


AX9型 アルシオーネ
主要諸元と走行性能まとめ
車両型式E-AX9型
車名&グレードアルシオーネ
VX
エンジン型式ER27
種類水平対向6気筒
排気量2672cc
内径×行程92.0mm×67.0mm
ボアストローク比0.73
単気筒容積445.4cc
圧縮比9.5
吸気方式自然吸気
使用燃料レギュラーガソリン
最高出力150PS/5200rpm
最大トルク21.5kgm/4000rpm

まず基本的な成り立ちとして、ER27型エンジンはボア(内径)92.0mm、ストローク(行程)67.0mm、ボアストローク比0.73のショートストローク型エンジン(ストローク量よりもピストン径のほうが大きい)です。

排気量と気筒数が同一の場合、ロングストローク型に比べて低回転域でのトルク特性に劣り、扱いにくいエンジンとされるものの、高回転域では充填効率の向上や摺動抵抗の増大も(ロングストローク型に比べれば)軽微なことから出力の向上が見込まれます。

また同じ回転数でも平均ピストンスピードが抑えられることから、その分だけエンジンへの負荷は低減される傾向にあります。

過渡特性とリッター換算馬力から見た評価

エンジン性能曲線のイメージ
ER27のエンジン性能曲線図もどき
馬力の変遷120.1PS → 150PS
トルクの変遷21.5kgm → 20.7kgm
リッター馬力56.14PS/L
リッタートルク8.1kgm/L

今回の参考車両であるアルシオーネの水平対向6気筒2672cc、圧縮比9.5でレギュラーガソリン仕様の自然吸気エンジンは、5200回転のとき最高出力150馬力を、5200回転のとき最大トルク21.5kgmを発生させます。

馬力と回転数が分かればトルクが、トルクと回転数が分かれば馬力を知ることができますので計算してみますと、最大トルクが発生する4000回転での馬力は120.1PS、最高出力が発生する5200回転でのトルクは20.7kgmになります。

排気量1リットルあたりの馬力は56.14PS/L、トルクは8.1kgm/Lとなり、1気筒(単気筒容積445.4cc)あたりの馬力は25.0PS、トルクは3.6kgmです。

ER27型自然吸気エンジンを、このサイトで登録している全てのNA車から集計した偏差値ベースの10段階評価に当てはめると、評価は換算馬力が[ 3 ]、換算トルクが[ 2 ]の「控えめな出力のエンジン」にカテゴライズされます。

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排気量アップと圧縮比の上昇、ボアストローク比の変化

ノーマルの排気量と圧縮比
BoreStroke排気量圧縮比B/S比
92.067.02672cc9.50.73
ボアアップによる排気量拡大
92.567.02701cc9.60.72
93.02731cc9.70.72
93.52760cc9.80.72
94.02790cc9.90.71
94.52819cc10.00.71
95.02849cc10.10.71
ストロークアップによる排気量拡大
92.068.02712cc9.60.74
69.02752cc9.80.75
70.02792cc9.90.76
71.02832cc10.00.77
72.02872cc10.10.78

エンジンの排気量を決める要素には気筒数、ボア径、ストローク量の3つがあり、これらを増減することでさまざまな排気量のエンジンが生まれます。

ここでは実際に可能かどうかは別として、ピストン径を純正の92.0mmから0.5mm刻みで95.0mmまで拡大した場合および、ストロークを純正の67.0mmから1mm刻みで72.0mmまで延長した場合の排気量と、燃焼室容積が変化しないと仮定した場合の圧縮比の変化を一覧表にしています。

※ストロークアップと口で言うのは簡単なのですが、ロングストローク化するにあたってはクランクシャフトおよび対応コンロッドが必要になり、純正流用できない場合はワンオフで作らなければならないなど、とにかくお高く付きますので、手を出すには相当の覚悟を求められるメニューです。

圧縮比については、実際のところピストンが大径化するに伴ってピストン天面の凸凹容量も変化する場合が大半ですから、一覧表にある圧縮比の数値の通りにはなりませんが、排気量を大きくすると自ずと圧縮比も上昇しますよ、という雰囲気をご堪能ください。

B/S比はボアストローク比の略で、ボア径を広げていくと0.73からさらに値は小さくなり、ショートストローク型の恩恵と弊害が顕著になっていきます。ER27型エンジンの場合、純正ピストンから+3.0mmのボアアップをすると比は0.73から0.71に変化するという具合です。

ピストン径が近いエンジンと排気量アップ

ER27型エンジンのピストン径92.0mmとサイズが近いピストンを持つエンジンが25件ありますので、余興としてピストン流用でボアアップした場合の排気量を計算してみます。

Eg型式ピストン径排気量
日産
VQ30型
93.0mm
[+1.0mm]
2731cc
[+59cc]
三菱
6G74型
93.0mm
[+1.0mm]
2731cc
[+59cc]
日産
VH41型
93.0mm
[+1.0mm]
2731cc
[+59cc]
日産
VH45型
93.0mm
[+1.0mm]
2731cc
[+59cc]
日産
VK45型
93.0mm
[+1.0mm]
2731cc
[+59cc]
ホンダ
C32B型
93.0mm
[+1.0mm]
2731cc
[+59cc]

ピストン径が近いエンジンとしては、日産:HV35型プレサージュに搭載されるVQ30型2987ccの93.0mm、三菱:S27A型デボネアに搭載される6G74型3496ccの93.0mm、日産:FGDY33型シーマに搭載されるVH41型4130ccの93.0mm、日産:HG50型インフィニティQ45に搭載されるVH45型4494ccの93.0mm、日産:GY50型フーガに搭載されるVK45型4494ccの93.0mm、ホンダ:NA2型NSXに搭載されるC32B型3179ccの93.0mmなどが該当します。

(もはやこのような探求に楽しみを見い出す人は減ってしまいましたが)いくら径が近かろうとも、ピストンピンの径やピストンの高さ、バルブリセスの都合などなどありますので、なるべくなら同じメーカー、なるべくなら同じ燃料で同じ吸気方式、なるべくなら排気量が近いものを選ぶと純正流用できる可能性が高くなる、かもしれません。

ピストン径が小さい 3000ccクラスのエンジン
ピストン径が大きい 3000ccクラスのエンジン
ストロークが短い 3000ccクラスのエンジン
ストロークが長い 3000ccクラスのエンジン
ボアストローク比・昇順 [3000ccクラス]
ボアストローク比・降順 [3000ccクラス]


平均ピストンスピード

ストローク最大トルク
4000rpm
最高出力
5200rpm
67.0mm8.9m/s11.6m/s
回転数/分秒速時速
2000rpm4.5m/s16km/h
4000rpm8.9m/s32km/h
6000rpm13.4m/s48km/h
8000rpm17.9m/s64km/h
10000rpm22.3m/s80km/h

続きまして平均ピストンスピードについて見てみます。ストロークが67.0mmのエンジンが最高出力を発生する5200回転での平均ピストンスピードは11.6m/sとなり、これは1秒間に11.6メートル(時速にすると41.8km/h)の距離を進む速さでピストンが上下運動していますよ、という意味です。

最大トルクを発生する4000回転では8.9m/s、最高出力が発生する5200回転より500回転高い5700回転をレブリミットと仮定したときの平均速度は12.7m/sとなっています。

参考までにストロークが67.0mmのER27型エンジンを10000回転/毎分まで回したときのピストンスピードの変化を計算してみました。これを見ると回転数が2000回転高くなるごとに概ね4.45m/sずつ速度が増していくようです。

大量生産を前提とした一般的なエンジンの目安である20.0m/sのみを基準として考えると、高回転化の上限を(回るか回らないかは別として)8960回転くらいにするのが機械的にも精神的にも好ましそうです。


ER27型エンジンを搭載する車種の例

メーカー
車両型式
画像車名&グレード出力/燃費
パワーウェイト
排気量
変速機
スバル
AX9
1989/04
アルシオーネ
VX
[E-AX9]
150PS
21.5kgm
8.0km/L
8.667kg/PS
自然吸気
4WD/4AT
クーペ
4人乗り
車両型式:E-AX9

アルシオーネ
[VX]
1989/04モデル
最高出力150PS
最大トルク21.5kgm
10-15モード燃費8.0km/L
吸気方式自然吸気
車体構成4人乗りクーペ
4WD/4AT

スバル製エンジンの原動機型式まとめ
【排気量順】