スバル:EL15型エンジンの諸元と性能まとめ [水平対向4気筒 1498cc]

ここではスバルのGH2型・インプレッサ [1.5i|2010/06モデル] に搭載されているEL15型の自然吸気エンジンのデータを参考に、このエンジンが持つ特性や素性について調べてみます。

EL15型の自然吸気エンジン諸元


GH2型 インプレッサ
主要諸元と走行性能まとめ
車両型式DBA-GH2型
車名&グレードインプレッサ
1.5i
エンジン型式EL15
種類水平対向4気筒
排気量1498cc
内径×行程77.7mm×79.0mm
ボアストローク比1.02
単気筒容積374.6cc
圧縮比10.1
吸気方式自然吸気
使用燃料レギュラーガソリン
最高出力110PS/6400rpm
最大トルク14.7kgm/3200rpm

まず基本的な成り立ちとして、EL15型エンジンはボア(内径)77.7mm、ストローク(行程)79.0mm、ボアストローク比1.02のロングストローク型エンジン(ピストン径よりもストローク量のほうが大きい)です。

排気量と気筒数が同一の場合、厳密に言えばボアとストロークが全くの同一でなければスクエア型を名乗ることは許されませんが、ここまでボアストローク比が1に近いのであれば「もうスクエア型にしてあげても良いじゃない!」という気もします。

これらのエンジンはショートストローク型、或いはロングストローク型の風味を残しつつ、その実はスクエア型に限りなく近い特性を持ちます。「やっぱこう、どうせなら低回転で粘って高回転でキレ
(省略されました・・全てを読むには ここ を押してください)

このサイトにて登録されている車種のうち、EL15型の自然吸気エンジンを搭載する最も古い車種は、2000/08から発売された2代目インプレッサ スポーツワゴン [GGD型|2006/06]、最も新しい車種は2007/06から発売された3代目インプレッサ [GH2型|2010/12]となっており、NA車は20車種、ターボ/SC車は0車種の全20車種が登録されています。

過渡特性とリッター換算馬力から見た評価

エンジン性能曲線のイメージ
EL15のエンジン性能曲線図もどき
馬力の変遷65.7PS → 110PS
トルクの変遷14.7kgm → 12.3kgm
リッター馬力73.43PS/L
リッタートルク9.8kgm/L

今回の参考車両であるインプレッサの水平対向4気筒1498cc、圧縮比10.1でレギュラーガソリン仕様の自然吸気エンジンは、6400回転のとき最高出力110馬力を、6400回転のとき最大トルク14.7kgmを発生させます。

馬力と回転数が分かればトルクが、トルクと回転数が分かれば馬力を知ることができますので計算してみますと、最大トルクが発生する3200回転での馬力は65.7PS、最高出力が発生する6400回転でのトルクは12.3kgmになります。

排気量1リットルあたりの馬力は73.43PS/L、トルクは9.8kgm/Lとなり、1気筒(単気筒容積374.6cc)あたりの馬力は27.5PS、トルクは3.7kgmです。

EL15型自然吸気エンジンを、このサイトで登録している全てのNA車から集計した偏差値ベースの10段階評価に当てはめると、評価は換算馬力が[ 6 ]、換算トルクが[ 7 ]の「標準的な出力(中の上)のエンジン」にカテゴライズされます。

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排気量アップと圧縮比の上昇、ボアストローク比の変化

ノーマルの排気量と圧縮比
BoreStroke排気量圧縮比B/S比
77.779.01498cc10.11.02
ボアアップによる排気量拡大
78.279.01518cc10.21.01
78.71537cc10.31.00
79.21557cc10.41.00
79.71576cc10.60.99
80.21596cc10.70.99
80.71616cc10.80.98
ストロークアップによる排気量拡大
77.780.01517cc10.21.03
81.01536cc10.31.04
82.01555cc10.41.06
83.01574cc10.61.07
84.01593cc10.71.08

エンジンの排気量を決める要素には気筒数、ボア径、ストローク量の3つがあり、これらを増減することでさまざまな排気量のエンジンが生まれます。

ここでは実際に可能かどうかは別として、ピストン径を純正の77.7mmから0.5mm刻みで80.7mmまで拡大した場合および、ストロークを純正の79.0mmから1mm刻みで84.0mmまで延長した場合の排気量と、燃焼室容積が変化しないと仮定した場合の圧縮比の変化を一覧表にしています。

※ストロークアップと口で言うのは簡単なのですが、ロングストローク化するにあたってはクランクシャフトおよび対応コンロッドが必要になり、純正流用できない場合はワンオフで作らなければならないなど、とにかくお高く付きますので、手を出すには相当の覚悟を求められるメニューです。

圧縮比については、実際のところピストンが大径化するに伴ってピストン天面の凸凹容量も変化する場合が大半ですから、一覧表にある圧縮比の数値の通りにはなりませんが、排気量を大きくすると自ずと圧縮比も上昇しますよ、という雰囲気をご堪能ください。

B/S比はボアストローク比の略で、ボア径を広げていくとロングストローク型からスクエア型、あるいはショートストローク型の特性へと近付いていきます。EL15型エンジンの場合、純正ピストンから+3.0mmのボアアップをすると比は1.02から0.98に変化するという具合です。

ピストン径が近いエンジンと排気量アップ

EL15型エンジンのピストン径77.7mmとサイズが近いピストンを持つエンジンが20件ありますので、余興としてピストン流用でボアアップした場合の排気量を計算してみます。

Eg型式ピストン径排気量
三菱
6A12型
78.4mm
[+0.7mm]
1525cc
[+27cc]
三菱
4G91型
78.4mm
[+0.7mm]
1525cc
[+27cc]
トヨタ
5A型
78.7mm
[+1.0mm]
1537cc
[+39cc]
スバル
FB16型
78.8mm
[+1.1mm]
1541cc
[+43cc]
トヨタ
1ZZ型
79.0mm
[+1.3mm]
1549cc
[+51cc]
日産
MRA8型
79.7mm
[+2.0mm]
1576cc
[+78cc]

ピストン径が近いエンジンとしては、三菱:DE3A型FTO GPXに搭載される6A12型1998ccの78.4mm、三菱:CA3A型ミラージュ アスティに搭載される4G91型1496ccの78.4mm、トヨタ:AE91型カローラ レビンに搭載される5A型1498ccの78.7mm、スバル:GT3型XVに搭載されるFB16型1599ccの78.8mm、トヨタ:ZZT230型セリカに搭載される1ZZ型1794ccの79.0mm、日産:TB17型シルフィに搭載されるMRA8型1798ccの79.7mmなどが該当します。

(もはやこのような探求に楽しみを見い出す人は減ってしまいましたが)いくら径が近かろうとも、ピストンピンの径やピストンの高さ、バルブリセスの都合などなどありますので、なるべくなら同じメーカー、なるべくなら同じ燃料で同じ吸気方式、なるべくなら排気量が近いものを選ぶと純正流用できる可能性が高くなる、かもしれません。

ピストン径が小さい 1500ccクラスのエンジン
ピストン径が大きい 1500ccクラスのエンジン
ストロークが短い 1500ccクラスのエンジン
ストロークが長い 1500ccクラスのエンジン
ボアストローク比・昇順 [1500ccクラス]
ボアストローク比・降順 [1500ccクラス]


平均ピストンスピード

ストローク最大トルク
3200rpm
最高出力
6400rpm
79.0mm8.4m/s16.9m/s
回転数/分秒速時速
2000rpm5.3m/s19km/h
4000rpm10.5m/s38km/h
6000rpm15.8m/s57km/h
8000rpm21.1m/s76km/h
10000rpm26.3m/s95km/h

続きまして平均ピストンスピードについて見てみます。ストロークが79.0mmのエンジンが最高出力を発生する6400回転での平均ピストンスピードは16.9m/sとなり、これは1秒間に16.9メートル(時速にすると60.8km/h)の距離を進む速さでピストンが上下運動していますよ、という意味です。

最大トルクを発生する3200回転では8.4m/s、最高出力が発生する6400回転より500回転高い6900回転をレブリミットと仮定したときの平均速度は18.2m/sとなっています。

参考までにストロークが79.0mmのEL15型エンジンを10000回転/毎分まで回したときのピストンスピードの変化を計算してみました。これを見ると回転数が2000回転高くなるごとに概ね5.25m/sずつ速度が増していくようです。

大量生産を前提とした一般的なエンジンの目安である20.0m/sのみを基準として考えると、高回転化の上限を(回るか回らないかは別として)7590回転くらいにするのが機械的にも精神的にも好ましそうです。


EL15型エンジンを搭載する車種の例

全20車種のうち、最高出力が大きいものから順に上位3車種を表示しています。その他の車種については、ページ下部にあるリンクよりEL15型エンジン搭載車種の一覧をご覧ください。

メーカー
車両型式
画像車名&グレード出力/燃費
パワーウェイト
排気量
変速機
スバル
GH2
2010/06
インプレッサ
1.5i
[DBA-GH2]
110PS
14.7kgm
17.6km/L
11.182kg/PS
自然吸気
FF/5MT
ハッチバック
5人乗り
車両型式:DBA-GH2

インプレッサ
[1.5i]
2010/06モデル
最高出力110PS
最大トルク14.7kgm
10-15モード燃費17.6km/L
吸気方式自然吸気
車体構成5人乗りハッチバック
FF/5MT
スバル
GH2
2010/12
インプレッサ
1.5i-S Limited
[DBA-GH2]
110PS
14.7kgm
16.8km/L
11.273kg/PS
自然吸気
FF/5MT
ハッチバック
5人乗り
車両型式:DBA-GH2

インプレッサ
[1.5i-S Limited]
2010/12モデル
最高出力110PS
最大トルク14.7kgm
10-15モード燃費16.8km/L
吸気方式自然吸気
車体構成5人乗りハッチバック
FF/5MT
スバル
GH2
2010/12
インプレッサ
1.5i-S Limited
[DBA-GH2]
110PS
14.7kgm
15.0km/L
11.545kg/PS
自然吸気
FF/4AT
ハッチバック
5人乗り
車両型式:DBA-GH2

インプレッサ
[1.5i-S Limited]
2010/12モデル
最高出力110PS
最大トルク14.7kgm
10-15モード燃費15.0km/L
吸気方式自然吸気
車体構成5人乗りハッチバック
FF/4AT
EL15型エンジン搭載車種の一覧
パワーウェイトレシオ順|全20車種

スバル製エンジンの原動機型式まとめ
【排気量順】