スマート:M281型エンジンの諸元と性能まとめ [直列3気筒 998cc]

ここではスマートの453042型・フォーフォー [Passion|2015/10モデル] に搭載されているM281型の自然吸気エンジンのデータを参考に、このエンジンが持つ特性や素性について調べてみます。

M281型の自然吸気エンジン諸元


453042型 フォーフォー
主要諸元と走行性能まとめ
車両型式DBA-453042型
車名&グレードフォーフォー
Passion
エンジン型式M281
種類直列3気筒
排気量998cc
内径×行程72.2mm×81.3mm
ボアストローク比1.13
単気筒容積332.8cc
圧縮比10.5
吸気方式自然吸気
使用燃料ハイオクガソリン
最高出力71PS/6000rpm
最大トルク9.3kgm/2850rpm

まず基本的な成り立ちとして、M281型エンジンはボア(内径)72.2mm、ストローク(行程)81.3mm、ボアストローク比1.13のロングストローク型エンジン(ピストン径よりもストローク量のほうが大きい)です。

排気量と気筒数が同一の場合、ショートストローク型に比べて低回転域でのトルク特性に優れ、扱い易いエンジンとされますが、高回転域では充填効率の悪化や摺動抵抗が増大して出力の低下が懸念されます。

なおかつ回転数も同一の場合、ショートストローク型に比べて平均ピストンスピードが高くなりがちなことから、エンジンへの負荷が大きくなる傾向にあります。

このサイトにてM281型の自然吸気エンジンを搭載している車種は、2015/10から発売された3代目フォーフォー [453042型|2015/10]となっており、NA車は2車種、ターボ/SC車は0車種の全2車種が登録されています。

過渡特性とリッター換算馬力から見た評価

エンジン性能曲線のイメージ
M281のエンジン性能曲線図もどき
馬力の変遷37.0PS → 71PS
トルクの変遷9.3kgm → 8.5kgm
リッター馬力71.14PS/L
リッタートルク9.3kgm/L

今回の参考車両であるフォーフォーの直列3気筒998cc、圧縮比10.5でハイオクガソリン仕様の自然吸気エンジンは、6000回転のとき最高出力71馬力を、6000回転のとき最大トルク9.3kgmを発生させます。

馬力と回転数が分かればトルクが、トルクと回転数が分かれば馬力を知ることができますので計算してみますと、最大トルクが発生する2850回転での馬力は37.0PS、最高出力が発生する6000回転でのトルクは8.5kgmになります。

排気量1リットルあたりの馬力は71.14PS/L、トルクは9.3kgm/Lとなり、1気筒(単気筒容積332.8cc)あたりの馬力は23.7PS、トルクは3.1kgmです。

M281型自然吸気エンジンを、このサイトで登録している全てのNA車から集計した偏差値ベースの10段階評価に当てはめると、評価は換算馬力が[ 5 ]、換算トルクが[ 5 ]の「標準的な出力(中の下)のエンジン」にカテゴライズされます。

エンジンオイルの通販革命!高品質×低価格
TAKUMIモーターオイル HIGH QUALITY
【5W-30】


排気量アップと圧縮比の上昇、ボアストローク比の変化

ノーマルの排気量と圧縮比
BoreStroke排気量圧縮比B/S比
72.281.3998cc10.51.13
ボアアップによる排気量拡大
72.781.31012cc10.61.12
73.21026cc10.81.11
73.71040cc10.91.10
74.21055cc11.11.10
74.71069cc11.21.09
75.21083cc11.31.08
ストロークアップによる排気量拡大
72.282.31011cc10.61.14
83.31023cc10.71.15
84.31035cc10.91.17
85.31048cc11.01.18
86.31060cc11.11.20

エンジンの排気量を決める要素には気筒数、ボア径、ストローク量の3つがあり、これらを増減することでさまざまな排気量のエンジンが生まれます。

ここでは実際に可能かどうかは別として、ピストン径を純正の72.2mmから0.5mm刻みで75.2mmまで拡大した場合および、ストロークを純正の81.3mmから1mm刻みで86.3mmまで延長した場合の排気量と、燃焼室容積が変化しないと仮定した場合の圧縮比の変化を一覧表にしています。

※ストロークアップと口で言うのは簡単なのですが、ロングストローク化するにあたってはクランクシャフトおよび対応コンロッドが必要になり、純正流用できない場合はワンオフで作らなければならないなど、とにかくお高く付きますので、手を出すには相当の覚悟を求められるメニューです。

圧縮比については、実際のところピストンが大径化するに伴ってピストン天面の凸凹容量も変化する場合が大半ですから、一覧表にある圧縮比の数値の通りにはなりませんが、排気量を大きくすると自ずと圧縮比も上昇しますよ、という雰囲気をご堪能ください。

B/S比はボアストローク比の略で、ボア径を広げていくとロングストローク型からスクエア型、あるいはショートストローク型の特性へと近付いていきます。M281型エンジンの場合、純正ピストンから+3.0mmのボアアップをすると比は1.13から1.08に変化するという具合です。

ピストン径が近いエンジンと排気量アップ

M281型エンジンのピストン径72.2mmとサイズが近いピストンを持つエンジンが45件ありますので、余興としてピストン流用でボアアップした場合の排気量を計算してみます。

Eg型式ピストン径排気量
ホンダ
L15B型
73.0mm
[+0.8mm]
1021cc
[+23cc]
三菱
K12C型
73.0mm
[+0.8mm]
1021cc
[+23cc]
ホンダ
LEB型
73.0mm
[+0.8mm]
1021cc
[+23cc]
ホンダ
L15A型
73.0mm
[+0.8mm]
1021cc
[+23cc]
三菱
K12B型
73.0mm
[+0.8mm]
1021cc
[+23cc]
ホンダ
LEA型
73.0mm
[+0.8mm]
1021cc
[+23cc]

ピストン径が近いエンジンとしては、ホンダ:GK5型フィットに搭載されるL15B型1496ccの73.0mm、三菱:ZC83S型デリカD:2に搭載されるK12C型1242ccの73.0mm、ホンダ:RU3型ヴェゼルに搭載されるLEB型1496ccの73.0mm、ホンダ:GE8型フィットに搭載されるL15A型1496ccの73.0mm、三菱:ZC72S型デリカD:2に搭載されるK12B型1242ccの73.0mm、ホンダ:ZF2型CR-Zに搭載されるLEA型1496ccの73.0mmなどが該当します。

(もはやこのような探求に楽しみを見い出す人は減ってしまいましたが)いくら径が近かろうとも、ピストンピンの径やピストンの高さ、バルブリセスの都合などなどありますので、なるべくなら同じメーカー、なるべくなら同じ燃料で同じ吸気方式、なるべくなら排気量が近いものを選ぶと純正流用できる可能性が高くなる、かもしれません。

ピストン径が小さい 1000ccクラスのエンジン
ピストン径が大きい 1000ccクラスのエンジン
ストロークが短い 1000ccクラスのエンジン
ストロークが長い 1000ccクラスのエンジン
ボアストローク比・昇順 [1000ccクラス]
ボアストローク比・降順 [1000ccクラス]


平均ピストンスピード

ストローク最大トルク
2850rpm
最高出力
6000rpm
81.3mm7.7m/s16.3m/s
回転数/分秒速時速
2000rpm5.4m/s19km/h
4000rpm10.8m/s39km/h
6000rpm16.3m/s59km/h
8000rpm21.7m/s78km/h
10000rpm27.1m/s98km/h

続きまして平均ピストンスピードについて見てみます。ストロークが81.3mmのエンジンが最高出力を発生する6000回転での平均ピストンスピードは16.3m/sとなり、これは1秒間に16.3メートル(時速にすると58.7km/h)の距離を進む速さでピストンが上下運動していますよ、という意味です。

最大トルクを発生する2850回転では7.7m/s、最高出力が発生する6000回転より500回転高い6500回転をレブリミットと仮定したときの平均速度は17.6m/sとなっています。

参考までにストロークが81.3mmのM281型エンジンを10000回転/毎分まで回したときのピストンスピードの変化を計算してみました。これを見ると回転数が2000回転高くなるごとに概ね5.43m/sずつ速度が増していくようです。

大量生産を前提とした一般的なエンジンの目安である20.0m/sのみを基準として考えると、高回転化の上限を(回るか回らないかは別として)7380回転くらいにするのが機械的にも精神的にも好ましそうです。


M281型エンジンを搭載する車種の例

全2車種を最高出力が大きいものから順に表示しています。

メーカー
車両型式
画像車名&グレード出力/燃費
パワーウェイト
排気量
変速機
スマート
453042
2015/10
フォーフォー
Passion
[DBA-453042]
71PS
9.3kgm
22.3km/L
14.225kg/PS
自然吸気
RR/6AT
ハッチバック
4人乗り
車両型式:DBA-453042

フォーフォー
[Passion]
2015/10モデル
最高出力71PS
最大トルク9.3kgm
JC08モード燃費22.3km/L
吸気方式自然吸気
車体構成4人乗りハッチバック
RR/6AT
スマート
453342
2015/10
フォーツー クーペ
Edition1
[DBA-453342]
71PS
9.3kgm
21.9km/L
13.239kg/PS
自然吸気
RR/6AT
ハッチバック
2人乗り
車両型式:DBA-453342

フォーツー クーペ
[Edition1]
2015/10モデル
最高出力71PS
最大トルク9.3kgm
JC08モード燃費21.9km/L
吸気方式自然吸気
車体構成2人乗りハッチバック
RR/6AT