ここではスマートの453062型・フォーフォー [BRABUS Xclusive|2016/12モデル] に搭載されている281M09型のターボエンジンのデータを参考に、このエンジンが持つ特性や素性について調べてみます。
281M09型のターボエンジン諸元
453062型 フォーフォー 主要諸元と走行性能まとめ | |
車両型式 | ABA-453062型 |
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車名&グレード | フォーフォー BRABUS Xclusive |
エンジン型式 | 281M09 |
種類 | 直列3気筒 |
排気量 | 897cc |
内径×行程 | 72.2mm×73.1mm |
ボアストローク比 | 1.01 |
単気筒容積 | 299.3cc |
圧縮比 | 9.5 |
吸気方式 | ターボ |
使用燃料 | ハイオクガソリン |
最高出力 | 109PS/5750rpm |
最大トルク | 17.3kgm/2000rpm |
まず基本的な成り立ちとして、281M09型エンジンはボア(内径)72.2mm、ストローク(行程)73.1mm、ボアストローク比1.01のロングストローク型エンジン(ピストン径よりもストローク量のほうが大きい)です。
排気量と気筒数が同一の場合、厳密に言えばボアとストロークが全くの同一でなければスクエア型を名乗ることは許されませんが、ここまでボアストローク比が1に近いのであれば「もうスクエア型にしてあげても良いじゃない!」という気もします。
これらのエンジンはショートストローク型、或いはロングストローク型の風味を残しつつ、その実はスクエア型に限りなく近い特性を持ちます。「やっぱこう、どうせなら低回転で粘って高回転でキレ
(省略されました・・全てを読むには ここ を押してください)
このサイトにて登録されている車種のうち、281M09型のターボエンジンを搭載する最も古い車種は、2015/10から発売された3代目フォーツー カブリオ [453444型|2016/08]、最も新しい車種は2015/10から発売された3代目フォーフォー [453062型|2016/12]となっており、NA車は0車種、ターボ/SC車は6車種の全6車種が登録されています。
過渡特性とリッター換算馬力から見た評価
エンジン性能曲線のイメージ | |
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馬力の変遷 | 48.3PS → 109PS |
トルクの変遷 | 17.3kgm → 13.6kgm |
リッター馬力 | 121.52PS/L |
リッタートルク | 19.3kgm/L |
今回の参考車両であるフォーフォーの直列3気筒897cc、圧縮比9.5でハイオクガソリン仕様のターボエンジンは、5750回転のとき最高出力109馬力を、5750回転のとき最大トルク17.3kgmを発生させます。
馬力と回転数が分かればトルクが、トルクと回転数が分かれば馬力を知ることができますので計算してみますと、最大トルクが発生する2000回転での馬力は48.3PS、最高出力が発生する5750回転でのトルクは13.6kgmになります。
排気量1リットルあたりの馬力は121.52PS/L、トルクは19.3kgm/Lとなり、1気筒(単気筒容積299.3cc)あたりの馬力は36.3PS、トルクは5.8kgmです。
281M09型ターボエンジンを、このサイトで登録している全てのターボ車から集計した偏差値ベースの10段階評価に当てはめると、評価は換算馬力が[ 8 ]、換算トルクが[ 9 ]の「結構な高出力エンジン」にカテゴライズされます。
ちなみに、281M09型のターボ・SCエンジン搭載車種のうち、最高出力が最も大きかったのは453062型フォーフォーの109PS/17.3kgm、最も小さかったのは453444型フォーツー カブリオの90PS/13.8kgmとなっています。
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排気量アップと圧縮比の上昇、ボアストローク比の変化
ノーマルの排気量と圧縮比 | ||||
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Bore | Stroke | 排気量 | 圧縮比 | B/S比 |
72.2 | 73.1 | 897cc | 9.5 | 1.01 |
ボアアップによる排気量拡大 | ||||
72.7 | 73.1 | 910cc | 9.6 | 1.01 |
73.2 | 923cc | 9.7 | 1.00 | |
73.7 | 936cc | 9.9 | 0.99 | |
74.2 | 948cc | 10.0 | 0.99 | |
74.7 | 961cc | 10.1 | 0.98 | |
75.2 | 974cc | 10.2 | 0.97 | |
ストロークアップによる排気量拡大 | ||||
72.2 | 74.1 | 910cc | 9.6 | 1.03 |
75.1 | 922cc | 9.7 | 1.04 | |
76.1 | 935cc | 9.9 | 1.05 | |
77.1 | 947cc | 10.0 | 1.07 | |
78.1 | 959cc | 10.1 | 1.08 |
エンジンの排気量を決める要素には気筒数、ボア径、ストローク量の3つがあり、これらを増減することでさまざまな排気量のエンジンが生まれます。
ここでは実際に可能かどうかは別として、ピストン径を純正の72.2mmから0.5mm刻みで75.2mmまで拡大した場合および、ストロークを純正の73.1mmから1mm刻みで78.1mmまで延長した場合の排気量と、燃焼室容積が変化しないと仮定した場合の圧縮比の変化を一覧表にしています。
※ストロークアップと口で言うのは簡単なのですが、ロングストローク化するにあたってはクランクシャフトおよび対応コンロッドが必要になり、純正流用できない場合はワンオフで作らなければならないなど、とにかくお高く付きますので、手を出すには相当の覚悟を求められるメニューです。
圧縮比については、実際のところピストンが大径化するに伴ってピストン天面の凸凹容量も変化する場合が大半ですから、一覧表にある圧縮比の数値の通りにはなりませんが、排気量を大きくすると自ずと圧縮比も上昇しますよ、という雰囲気をご堪能ください。
B/S比はボアストローク比の略で、ボア径を広げていくとロングストローク型からスクエア型、あるいはショートストローク型の特性へと近付いていきます。281M09型エンジンの場合、純正ピストンから+3.0mmのボアアップをすると比は1.01から0.97に変化するという具合です。
ピストン径が近いエンジンと排気量アップ
281M09型エンジンのピストン径72.2mmとサイズが近いピストンを持つエンジンが14件ありますので、余興としてピストン流用でボアアップした場合の排気量を計算してみます。
Eg型式 | ピストン径 | 排気量 |
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ホンダ L15B型 | 73.0mm [+0.8mm] | 918cc [+21cc] |
ホンダ L15C型 | 73.0mm [+0.8mm] | 918cc [+21cc] |
ホンダ LEA型 | 73.0mm [+0.8mm] | 918cc [+21cc] |
トヨタ 3E型 | 73.0mm [+0.8mm] | 918cc [+21cc] |
スズキ K10C型 | 73.0mm [+0.8mm] | 918cc [+21cc] |
スズキ K14C型 | 73.0mm [+0.8mm] | 918cc [+21cc] |
ピストン径が近いエンジンとしては、ホンダ:GK5型フィットに搭載されるL15B型1496ccの73.0mm、ホンダ:FK7型シビックに搭載されるL15C型1496ccの73.0mm、ホンダ:ZF2型CR-Zに搭載されるLEA型1496ccの73.0mm、トヨタ:EL31型コルサ GPターボに搭載される3E型1456ccの73.0mm、スズキ:WB42S型バレーノに搭載されるK10C型996ccの73.0mm、スズキ:ZC33S型スイフト スポーツに搭載されるK14C型1371ccの73.0mmなどが該当します。
(もはやこのような探求に楽しみを見い出す人は減ってしまいましたが)いくら径が近かろうとも、ピストンピンの径やピストンの高さ、バルブリセスの都合などなどありますので、なるべくなら同じメーカー、なるべくなら同じ燃料で同じ吸気方式、なるべくなら排気量が近いものを選ぶと純正流用できる可能性が高くなる、かもしれません。
●ピストン径が小さい 1000ccクラスのエンジン
●ピストン径が大きい 1000ccクラスのエンジン
●ストロークが短い 1000ccクラスのエンジン
●ストロークが長い 1000ccクラスのエンジン
●ボアストローク比・昇順 [1000ccクラス]
●ボアストローク比・降順 [1000ccクラス]
平均ピストンスピード
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続きまして平均ピストンスピードについて見てみます。ストロークが73.1mmのエンジンが最高出力を発生する5750回転での平均ピストンスピードは14.0m/sとなり、これは1秒間に14.0メートル(時速にすると50.4km/h)の距離を進む速さでピストンが上下運動していますよ、という意味です。
最大トルクを発生する2000回転では4.9m/s、最高出力が発生する5750回転より500回転高い6250回転をレブリミットと仮定したときの平均速度は15.2m/sとなっています。
参考までにストロークが73.1mmの281M09型エンジンを10000回転/毎分まで回したときのピストンスピードの変化を計算してみました。これを見ると回転数が2000回転高くなるごとに概ね4.88m/sずつ速度が増していくようです。
大量生産を前提とした一般的なエンジンの目安である20.0m/sのみを基準として考えると、高回転化の上限を(回るか回らないかは別として)8210回転くらいにするのが機械的にも精神的にも好ましそうです。
281M09型エンジンを搭載する車種の例
全6車種を最高出力が大きいものから順に表示しています。
メーカー 車両型式 | 画像 | 車名&グレード | 出力/燃費 パワーウェイト | 排気量 変速機 | ||||||||||||||
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スマート 453062 | 2016/12 フォーフォー BRABUS Xclusive [ABA-453062] | 109PS 17.3kgm 20.6km/L 9.908kg/PS | ターボ RR/6AT ハッチバック 4人乗り | |||||||||||||||
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スマート 453362 | 2016/12 フォーツー クーペ BRABUS Xclusive [ABA-453362] | 109PS 17.3kgm 20.6km/L 8.991kg/PS | ターボ RR/6AT ハッチバック 2人乗り | |||||||||||||||
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スマート 453462 | 2016/12 フォーツー カブリオ BRABUS Xclusive [ABA-453462] | 109PS 17.3kgm 20.6km/L 9.358kg/PS | ターボ RR/6AT オープンカー 2人乗り | |||||||||||||||
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スマート 453444 | 2016/08 フォーツー カブリオ Turbo Limited [DBA-453444] | 90PS 13.8kgm 22.0km/L 11.000kg/PS | ターボ RR/6AT オープンカー 2人乗り | |||||||||||||||
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スマート 453344 | 2016/08 フォーツー クーペ Turbo Limited [DBA-453344] | 90PS 13.8kgm 23.1km/L 10.667kg/PS | ターボ RR/6AT ハッチバック 2人乗り | |||||||||||||||
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スマート 453044 | 2016/08 フォーフォー Turbo [DBA-453044] | 90PS 13.8kgm 22.0km/L 11.778kg/PS | ターボ RR/6AT ハッチバック 4人乗り | |||||||||||||||
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