ローバー:12H型エンジンの諸元と性能まとめ [直列4気筒 1271cc]

ここではローバーのXL12T型・ミニ [ERA-Turbo|1991/06モデル] に搭載されている12H型のターボエンジンのデータを参考に、このエンジンが持つ特性や素性について調べてみます。

12H型のターボエンジン諸元


XL12T型 ミニ
主要諸元と走行性能まとめ
車両型式E-XL12T型
車名&グレードミニ
ERA-Turbo
エンジン型式12H
種類直列4気筒
排気量1271cc
内径×行程70.6mm×81.2mm
ボアストローク比1.15
単気筒容積317.9cc
圧縮比9.4
吸気方式ターボ
使用燃料ハイオクガソリン
最高出力95PS/6130rpm
最大トルク12.0kgm/3600rpm

まず基本的な成り立ちとして、12H型エンジンはボア(内径)70.6mm、ストローク(行程)81.2mm、ボアストローク比1.15のロングストローク型エンジン(ピストン径よりもストローク量のほうが大きい)です。

排気量と気筒数が同一の場合、ショートストローク型に比べて低回転域でのトルク特性に優れ、扱い易いエンジンとされますが、高回転域では充填効率の悪化や摺動抵抗が増大して出力の低下が懸念されます。

なおかつ回転数も同一の場合、ショートストローク型に比べて平均ピストンスピードが高くなりがちなことから、エンジンへの負荷が大きくなる傾向にあります。

過渡特性とリッター換算馬力から見た評価

エンジン性能曲線のイメージ
12Hのエンジン性能曲線図もどき
馬力の変遷60.3PS → 95PS
トルクの変遷12.0kgm → 11.1kgm
リッター馬力74.7PS/L
リッタートルク9.4kgm/L

今回の参考車両であるミニの直列4気筒1271cc、圧縮比9.4でハイオクガソリン仕様のターボエンジンは、6130回転のとき最高出力95馬力を、6130回転のとき最大トルク12.0kgmを発生させます。

馬力と回転数が分かればトルクが、トルクと回転数が分かれば馬力を知ることができますので計算してみますと、最大トルクが発生する3600回転での馬力は60.3PS、最高出力が発生する6130回転でのトルクは11.1kgmになります。

排気量1リットルあたりの馬力は74.7PS/L、トルクは9.4kgm/Lとなり、1気筒(単気筒容積317.9cc)あたりの馬力は23.8PS、トルクは3.0kgmです。

12H型ターボエンジンを、このサイトで登録している全てのターボ車から集計した偏差値ベースの10段階評価に当てはめると、評価は換算馬力が[ 4 ]、換算トルクが[ 2 ]の「やや控えめな出力のエンジン」にカテゴライズされます。

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排気量アップと圧縮比の上昇、ボアストローク比の変化

ノーマルの排気量と圧縮比
BoreStroke排気量圧縮比B/S比
70.681.21271cc9.41.15
ボアアップによる排気量拡大
71.181.21290cc9.51.14
71.61308cc9.71.13
72.11326cc9.81.13
72.61345cc9.91.12
73.11363cc10.01.11
73.61382cc10.11.10
ストロークアップによる排気量拡大
70.682.21287cc9.51.16
83.21303cc9.61.18
84.21318cc9.71.19
85.21334cc9.81.21
86.21350cc9.91.22

エンジンの排気量を決める要素には気筒数、ボア径、ストローク量の3つがあり、これらを増減することでさまざまな排気量のエンジンが生まれます。

ここでは実際に可能かどうかは別として、ピストン径を純正の70.6mmから0.5mm刻みで73.6mmまで拡大した場合および、ストロークを純正の81.2mmから1mm刻みで86.2mmまで延長した場合の排気量と、燃焼室容積が変化しないと仮定した場合の圧縮比の変化を一覧表にしています。

※ストロークアップと口で言うのは簡単なのですが、ロングストローク化するにあたってはクランクシャフトおよび対応コンロッドが必要になり、純正流用できない場合はワンオフで作らなければならないなど、とにかくお高く付きますので、手を出すには相当の覚悟を求められるメニューです。

圧縮比については、実際のところピストンが大径化するに伴ってピストン天面の凸凹容量も変化する場合が大半ですから、一覧表にある圧縮比の数値の通りにはなりませんが、排気量を大きくすると自ずと圧縮比も上昇しますよ、という雰囲気をご堪能ください。

B/S比はボアストローク比の略で、ボア径を広げていくとロングストローク型からスクエア型、あるいはショートストローク型の特性へと近付いていきます。12H型エンジンの場合、純正ピストンから+3.0mmのボアアップをすると比は1.15から1.10に変化するという具合です。

ピストン径が近いエンジンと排気量アップ

12H型エンジンのピストン径70.6mmとサイズが近いピストンを持つエンジンが10件ありますので、余興としてピストン流用でボアアップした場合の排気量を計算してみます。

Eg型式ピストン径排気量
トヨタ
8NR型
71.5mm
[+0.9mm]
1304cc
[+33cc]
トヨタ
K3型
72.0mm
[+1.4mm]
1322cc
[+51cc]
ダイハツ
KJ型
72.0mm
[+1.4mm]
1322cc
[+51cc]
トヨタ
1NR型
72.5mm
[+1.9mm]
1341cc
[+70cc]
ホンダ
L15B型
73.0mm
[+2.4mm]
1359cc
[+88cc]
ホンダ
LEA型
73.0mm
[+2.4mm]
1359cc
[+88cc]

ピストン径が近いエンジンとしては、トヨタ:NRE210H型カローラ スポーツに搭載される8NR型1196ccの71.5mm、トヨタ:J102E型キャミに搭載されるK3型1297ccの72.0mm、ダイハツ:M312S型ブーンに搭載されるKJ型936ccの72.0mm、トヨタ:NSP140型スペイドに搭載される1NR型1329ccの72.5mm、ホンダ:GK5型フィットに搭載されるL15B型1496ccの73.0mm、ホンダ:ZF2型CR-Zに搭載されるLEA型1496ccの73.0mmなどが該当します。

(もはやこのような探求に楽しみを見い出す人は減ってしまいましたが)いくら径が近かろうとも、ピストンピンの径やピストンの高さ、バルブリセスの都合などなどありますので、なるべくなら同じメーカー、なるべくなら同じ燃料で同じ吸気方式、なるべくなら排気量が近いものを選ぶと純正流用できる可能性が高くなる、かもしれません。

ピストン径が小さい 1500ccクラスのエンジン
ピストン径が大きい 1500ccクラスのエンジン
ストロークが短い 1500ccクラスのエンジン
ストロークが長い 1500ccクラスのエンジン
ボアストローク比・昇順 [1500ccクラス]
ボアストローク比・降順 [1500ccクラス]


平均ピストンスピード

ストローク最大トルク
3600rpm
最高出力
6130rpm
81.2mm9.7m/s16.6m/s
回転数/分秒速時速
2000rpm5.4m/s19km/h
4000rpm10.8m/s39km/h
6000rpm16.2m/s58km/h
8000rpm21.7m/s78km/h
10000rpm27.1m/s98km/h

続きまして平均ピストンスピードについて見てみます。ストロークが81.2mmのエンジンが最高出力を発生する6130回転での平均ピストンスピードは16.6m/sとなり、これは1秒間に16.6メートル(時速にすると59.8km/h)の距離を進む速さでピストンが上下運動していますよ、という意味です。

最大トルクを発生する3600回転では9.7m/s、最高出力が発生する6130回転より500回転高い6630回転をレブリミットと仮定したときの平均速度は17.9m/sとなっています。

参考までにストロークが81.2mmの12H型エンジンを10000回転/毎分まで回したときのピストンスピードの変化を計算してみました。これを見ると回転数が2000回転高くなるごとに概ね5.43m/sずつ速度が増していくようです。

大量生産を前提とした一般的なエンジンの目安である20.0m/sのみを基準として考えると、高回転化の上限を(回るか回らないかは別として)7390回転くらいにするのが機械的にも精神的にも好ましそうです。


12H型エンジンを搭載する車種の例

メーカー
車両型式
画像車名&グレード出力/燃費
パワーウェイト
排気量
変速機
ローバー
XL12T
1991/06
ミニ
ERA-Turbo
[E-XL12T]
95PS
12.0kgm
11.0km/L
8.00kg/PS
ターボ
FF/4MT
ハッチバック
4人乗り

ミニ
[ERA-Turbo]
1991/06モデル
車両型式E-XL12T
最高出力95PS
最大トルク12.0kgm
10-15モード燃費11.0km/L
パワーウェイト8.00kg/PS
吸気方式ターボ
駆動方式&変速機FF/4MT
車体形状&乗車定員ハッチバック/4人乗り

ローバー製エンジンの原動機型式まとめ
【排気量順】