ルノー:M5P型エンジンの諸元と性能まとめ [直列4気筒 1798cc]

ここではルノーのBBM5P型・メガーヌ R.S. [Trophy-EDC|2019/10モデル] に搭載されているM5P型のターボエンジンのデータを参考に、このエンジンが持つ特性や素性について調べてみます。

M5P型のターボエンジン諸元


BBM5P型 メガーヌ R.S.
主要諸元と走行性能まとめ
車両型式7BA-BBM5P型
車名&グレードメガーヌ R.S.
Trophy-EDC
エンジン型式M5P
種類直列4気筒
排気量1798cc
内径×行程79.7mm×90.1mm
ボアストローク比1.13
単気筒容積449.5cc
吸気方式ターボ
使用燃料ハイオクガソリン
最高出力300PS/6000rpm
最大トルク42.8kgm/3200rpm

まず基本的な成り立ちとして、M5P型エンジンはボア(内径)79.7mm、ストローク(行程)90.1mm、ボアストローク比1.13のロングストローク型エンジン(ピストン径よりもストローク量のほうが大きい)です。

排気量と気筒数が同一の場合、ショートストローク型に比べて低回転域でのトルク特性に優れ、扱い易いエンジンとされますが、高回転域では充填効率の悪化や摺動抵抗が増大して出力の低下が懸念されます。

なおかつ回転数も同一の場合、ショートストローク型に比べて平均ピストンスピードが高くなりがちなことから、エンジンへの負荷が大きくなる傾向にあります。

このサイトにて登録されている車種のうち、M5P型のターボエンジンを搭載する最も古い車種は、2018/06から発売された2代目アルピーヌ A110 [DFM5P型|2018/06]、最も新しい車種は2018/06から発売された2代目アルピーヌ A110 [DFM5P型|2020/02]となっており、NA車は0車種、ターボ/SC車は6車種の全6車種が登録されています。

過渡特性とリッター換算馬力から見た評価

エンジン性能曲線のイメージ
M5Pのエンジン性能曲線図もどき
馬力の変遷191.2PS → 300PS
トルクの変遷42.8kgm → 35.8kgm
リッター馬力166.9PS/L
リッタートルク23.8kgm/L

今回の参考車両であるメガーヌ R.S.の直列4気筒1798ccでハイオクガソリン仕様のターボエンジンは、6000回転のとき最高出力300馬力を、6000回転のとき最大トルク42.8kgmを発生させます。

馬力と回転数が分かればトルクが、トルクと回転数が分かれば馬力を知ることができますので計算してみますと、最大トルクが発生する3200回転での馬力は191.2PS、最高出力が発生する6000回転でのトルクは35.8kgmになります。

排気量1リットルあたりの馬力は166.9PS/L、トルクは23.8kgm/Lとなり、1気筒(単気筒容積449.5cc)あたりの馬力は75.0PS、トルクは10.7kgmです。

M5P型ターボエンジンを、このサイトで登録している全てのターボ車から集計した偏差値ベースの10段階評価に当てはめると、評価は換算馬力が[ 10 ]、換算トルクが[ 10 ]の「稀に見る高出力エンジン」にカテゴライズされます。

ちなみに、M5P型のターボ・SCエンジン搭載車種のうち、最高出力が最も大きかったのはBBM5P型メガーヌ R.S.の300PS/40.8kgm、最も小さかったのはDFM5P型アルピーヌ A110の252PS/32.6kgmとなっています。

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排気量アップと圧縮比の上昇、ボアストローク比の変化

ノーマルの排気量と圧縮比
BoreStroke排気量圧縮比B/S比
79.790.11798cc-1.13
ボアアップによる排気量拡大
80.290.11821cc-1.12
80.71843cc-1.12
81.21866cc-1.11
81.71889cc-1.10
82.21913cc-1.10
82.71936cc-1.09
ストロークアップによる排気量拡大
79.791.11818cc-1.14
92.11838cc-1.16
93.11858cc-1.17
94.11878cc-1.18
95.11898cc-1.19

エンジンの排気量を決める要素には気筒数、ボア径、ストローク量の3つがあり、これらを増減することでさまざまな排気量のエンジンが生まれます。

ここでは実際に可能かどうかは別として、ピストン径を純正の79.7mmから0.5mm刻みで82.7mmまで拡大した場合および、ストロークを純正の90.1mmから1mm刻みで95.1mmまで延長した場合の排気量と、燃焼室容積が変化しないと仮定した場合の圧縮比の変化を一覧表にしています。

※ストロークアップと口で言うのは簡単なのですが、ロングストローク化するにあたってはクランクシャフトおよび対応コンロッドが必要になり、純正流用できない場合はワンオフで作らなければならないなど、とにかくお高く付きますので、手を出すには相当の覚悟を求められるメニューです。

B/S比はボアストローク比の略で、ボア径を広げていくとロングストローク型からスクエア型、あるいはショートストローク型の特性へと近付いていきます。M5P型エンジンの場合、純正ピストンから+3.0mmのボアアップをすると比は1.13から1.09に変化するという具合です。

ピストン径が近いエンジンと排気量アップ

M5P型エンジンのピストン径79.7mmとサイズが近いピストンを持つエンジンが11件ありますので、余興としてピストン流用でボアアップした場合の排気量を計算してみます。

Eg型式ピストン径排気量
マツダ
KJ型
80.3mm
[+0.6mm]
1825cc
[+27cc]
トヨタ
2ZR型
80.5mm
[+0.8mm]
1834cc
[+36cc]
三菱
4D65型
80.6mm
[+0.9mm]
1839cc
[+41cc]
トヨタ
4A型
81.0mm
[+1.3mm]
1857cc
[+59cc]
三菱
4G93型
81.0mm
[+1.3mm]
1857cc
[+59cc]
三菱
6A13型
81.0mm
[+1.3mm]
1857cc
[+59cc]

ピストン径が近いエンジンとしては、マツダ:TA3A型ミレーニアに搭載されるKJ型2254ccの80.3mm、トヨタ:ZSP110型イストに搭載される2ZR型1797ccの80.5mm、三菱:E34A型エテルナサヴァに搭載される4D65型1795ccの80.6mm、トヨタ:AE101型スプリンター トレノに搭載される4A型1587ccの81.0mm、三菱:CD5W型リベロに搭載される4G93型1834ccの81.0mm、三菱:EC5W型レグナムに搭載される6A13型2498ccの81.0mmなどが該当します。

(もはやこのような探求に楽しみを見い出す人は減ってしまいましたが)いくら径が近かろうとも、ピストンピンの径やピストンの高さ、バルブリセスの都合などなどありますので、なるべくなら同じメーカー、なるべくなら同じ燃料で同じ吸気方式、なるべくなら排気量が近いものを選ぶと純正流用できる可能性が高くなる、かもしれません。

ピストン径が小さい 1800ccクラスのエンジン
ピストン径が大きい 1800ccクラスのエンジン
ストロークが短い 1800ccクラスのエンジン
ストロークが長い 1800ccクラスのエンジン
ボアストローク比・昇順 [1800ccクラス]
ボアストローク比・降順 [1800ccクラス]


平均ピストンスピード

ストローク最大トルク
3200rpm
最高出力
6000rpm
90.1mm9.6m/s18.0m/s
回転数/分秒速時速
2000rpm6.0m/s22km/h
4000rpm12.0m/s43km/h
6000rpm18.0m/s65km/h
8000rpm24.0m/s86km/h
10000rpm30.0m/s108km/h

続きまして平均ピストンスピードについて見てみます。ストロークが90.1mmのエンジンが最高出力を発生する6000回転での平均ピストンスピードは18.0m/sとなり、これは1秒間に18.0メートル(時速にすると64.8km/h)の距離を進む速さでピストンが上下運動していますよ、という意味です。

最大トルクを発生する3200回転では9.6m/s、最高出力が発生する6000回転より500回転高い6500回転をレブリミットと仮定したときの平均速度は19.5m/sとなっています。

参考までにストロークが90.1mmのM5P型エンジンを10000回転/毎分まで回したときのピストンスピードの変化を計算してみました。これを見ると回転数が2000回転高くなるごとに概ね6.00m/sずつ速度が増していくようです。

大量生産を前提とした一般的なエンジンの目安である20.0m/sのみを基準として考えると、高回転化の上限を(回るか回らないかは別として)6660回転くらいにするのが機械的にも精神的にも好ましそうです。


M5P型エンジンを搭載する車種の例

全6車種を最高出力が大きいものから順に表示しています。

メーカー
車両型式
画像車名&グレード出力/燃費
パワーウェイト
排気量
変速機
ルノー
BBM5P
2019/10
メガーヌ R.S.
Trophy-MT
[7BA-BBM5P]
300PS
40.8kgm
13.4km/L
4.833kg/PS
ターボ
FF/6MT
ハッチバック
5人乗り

メガーヌ R.S.
[Trophy-MT]
2019/10モデル
車両型式7BA-BBM5P
最高出力300PS
最大トルク40.8kgm
WLTCモード燃費13.4km/L
パワーウェイト4.833kg/PS
吸気方式ターボ
駆動方式&変速機FF/6MT
車体形状&乗車定員ハッチバック/5人乗り
ルノー
BBM5P
2019/10
メガーヌ R.S.
Trophy-EDC
[7BA-BBM5P]
300PS
42.8kgm
12.4km/L
4.900kg/PS
ターボ
FF/6AT
ハッチバック
5人乗り

メガーヌ R.S.
[Trophy-EDC]
2019/10モデル
車両型式7BA-BBM5P
最高出力300PS
最大トルク42.8kgm
WLTCモード燃費12.4km/L
パワーウェイト4.900kg/PS
吸気方式ターボ
駆動方式&変速機FF/6AT
車体形状&乗車定員ハッチバック/5人乗り
ルノー
DFM5P
2020/02
アルピーヌ A110
S
[7BA-DFM5P]
292PS
32.6kgm
12.8km/L
3.801kg/PS
ターボ
MR/7AT
クーペ
2人乗り

アルピーヌ A110
[S]
2020/02モデル
車両型式7BA-DFM5P
最高出力292PS
最大トルク32.6kgm
WLTCモード燃費12.8km/L
パワーウェイト3.801kg/PS
吸気方式ターボ
駆動方式&変速機MR/7AT
車体形状&乗車定員クーペ/2人乗り
ルノー
BBM5P
2019/03
メガーヌ
Renault-Sport CUP
[ABA-BBM5P]
279PS
39.8kgm
12.6km/L
5.233kg/PS
ターボ
FF/6MT
ハッチバック
5人乗り

メガーヌ
[Renault-Sport CUP]
2019/03モデル
車両型式ABA-BBM5P
最高出力279PS
最大トルク39.8kgm
WLTCモード燃費12.8km/L
JC08モード燃費12.6km/L
パワーウェイト5.233kg/PS
吸気方式ターボ
駆動方式&変速機FF/6MT
車体形状&乗車定員ハッチバック/5人乗り
ルノー
BBM5P
2018/08
メガーヌ
Renault-Sport
[ABA-BBM5P]
279PS
39.8kgm
13.3km/L
5.305kg/PS
ターボ
FF/6AT
ハッチバック
5人乗り

メガーヌ
[Renault-Sport]
2018/08モデル
車両型式ABA-BBM5P
最高出力279PS
最大トルク39.8kgm
WLTCモード燃費12.8km/L
JC08モード燃費13.3km/L
パワーウェイト5.305kg/PS
吸気方式ターボ
駆動方式&変速機FF/6AT
車体形状&乗車定員ハッチバック/5人乗り
ルノー
DFM5P
2018/06
アルピーヌ A110
Premiere-edition
[ABA-DFM5P]
252PS
32.6kgm
14.1km/L
4.405kg/PS
ターボ
MR/7AT
クーペ
2人乗り

アルピーヌ A110
[Premiere-edition]
2018/06モデル
車両型式ABA-DFM5P
最高出力252PS
最大トルク32.6kgm
WLTCモード燃費12.8km/L
JC08モード燃費14.1km/L
パワーウェイト4.405kg/PS
吸気方式ターボ
駆動方式&変速機MR/7AT
車体形状&乗車定員クーペ/2人乗り

ルノー製エンジンの原動機型式まとめ
【排気量順】