ルノー:C3G型エンジンの諸元と性能まとめ [直列4気筒 1238cc]

ここではルノーの06C3G型・トゥインゴ [Easy|1996/10モデル] に搭載されているC3G型の自然吸気エンジンのデータを参考に、このエンジンが持つ特性や素性について調べてみます。

C3G型の自然吸気エンジン諸元


06C3G型 トゥインゴ
主要諸元と走行性能まとめ
車両型式E-06C3G型
車名&グレードトゥインゴ
Easy
エンジン型式C3G
種類直列4気筒
排気量1238cc
内径×行程74.0mm×72.0mm
ボアストローク比0.97
単気筒容積309.7cc
圧縮比9.2
吸気方式自然吸気
使用燃料ハイオクガソリン
最高出力52PS/5300rpm
最大トルク9.1kgm/2800rpm

まず基本的な成り立ちとして、C3G型エンジンはボア(内径)74.0mm、ストローク(行程)72.0mm、ボアストローク比0.97のショートストローク型エンジン(ストローク量よりもピストン径のほうが大きい)です。

排気量と気筒数が同一の場合、ロングストローク型に比べて低回転域でのトルク特性に劣り、扱いにくいエンジンとされるものの、高回転域では充填効率の向上や摺動抵抗の増大も(ロングストローク型に比べれば)軽微なことから出力の向上が見込まれます。

また同じ回転数でも平均ピストンスピードが抑えられることから、その分だけエンジンへの負荷は低減される傾向にあります。

このサイトにてC3G型の自然吸気エンジンを搭載している車種は、1995/09から発売された初代トゥインゴ [06C3G型|1996/10]となっており、NA車は2車種、ターボ/SC車は0車種の全2車種が登録されています。

過渡特性とリッター換算馬力から見た評価

エンジン性能曲線のイメージ
C3Gのエンジン性能曲線図もどき
馬力の変遷35.6PS → 52PS
トルクの変遷9.1kgm → 7.0kgm
リッター馬力42.00PS/L
リッタートルク7.3kgm/L

今回の参考車両であるトゥインゴの直列4気筒1238cc、圧縮比9.2でハイオクガソリン仕様の自然吸気エンジンは、5300回転のとき最高出力52馬力を、5300回転のとき最大トルク9.1kgmを発生させます。

馬力と回転数が分かればトルクが、トルクと回転数が分かれば馬力を知ることができますので計算してみますと、最大トルクが発生する2800回転での馬力は35.6PS、最高出力が発生する5300回転でのトルクは7.0kgmになります。

排気量1リットルあたりの馬力は42.00PS/L、トルクは7.3kgm/Lとなり、1気筒(単気筒容積309.7cc)あたりの馬力は13.0PS、トルクは2.3kgmです。

C3G型自然吸気エンジンを、このサイトで登録している全てのNA車から集計した偏差値ベースの10段階評価に当てはめると、評価は換算馬力が[ 1 ]、換算トルクが[ 1 ]の「心もとない出力のエンジン」にカテゴライズされます。

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排気量アップと圧縮比の上昇、ボアストローク比の変化

ノーマルの排気量と圧縮比
BoreStroke排気量圧縮比B/S比
74.072.01238cc9.20.97
ボアアップによる排気量拡大
74.572.01255cc9.30.97
75.01272cc9.40.96
75.51289cc9.50.95
76.01306cc9.70.95
76.51324cc9.80.94
77.01341cc9.90.94
ストロークアップによる排気量拡大
74.073.01256cc9.30.99
74.01273cc9.41.00
75.01290cc9.51.01
76.01307cc9.71.03
77.01325cc9.81.04

エンジンの排気量を決める要素には気筒数、ボア径、ストローク量の3つがあり、これらを増減することでさまざまな排気量のエンジンが生まれます。

ここでは実際に可能かどうかは別として、ピストン径を純正の74.0mmから0.5mm刻みで77.0mmまで拡大した場合および、ストロークを純正の72.0mmから1mm刻みで77.0mmまで延長した場合の排気量と、燃焼室容積が変化しないと仮定した場合の圧縮比の変化を一覧表にしています。

※ストロークアップと口で言うのは簡単なのですが、ロングストローク化するにあたってはクランクシャフトおよび対応コンロッドが必要になり、純正流用できない場合はワンオフで作らなければならないなど、とにかくお高く付きますので、手を出すには相当の覚悟を求められるメニューです。

圧縮比については、実際のところピストンが大径化するに伴ってピストン天面の凸凹容量も変化する場合が大半ですから、一覧表にある圧縮比の数値の通りにはなりませんが、排気量を大きくすると自ずと圧縮比も上昇しますよ、という雰囲気をご堪能ください。

B/S比はボアストローク比の略で、ボア径を広げていくと0.97からさらに値は小さくなり、ショートストローク型の恩恵と弊害が顕著になっていきます。C3G型エンジンの場合、純正ピストンから+3.0mmのボアアップをすると比は0.97から0.94に変化するという具合です。

ピストン径が近いエンジンと排気量アップ

C3G型エンジンのピストン径74.0mmとサイズが近いピストンを持つエンジンが30件ありますので、余興としてピストン流用でボアアップした場合の排気量を計算してみます。

Eg型式ピストン径排気量
三菱
6G71型
74.7mm
[+0.7mm]
1262cc
[+24cc]
トヨタ
1NZ型
75.0mm
[+1.0mm]
1272cc
[+34cc]
トヨタ
1G型
75.0mm
[+1.0mm]
1272cc
[+34cc]
ホンダ
D15B型
75.0mm
[+1.0mm]
1272cc
[+34cc]
ホンダ
D16A型
75.0mm
[+1.0mm]
1272cc
[+34cc]
スズキ
G16A型
75.0mm
[+1.0mm]
1272cc
[+34cc]

ピストン径が近いエンジンとしては、三菱:F11A型ディアマンテに搭載される6G71型1998ccの74.7mm、トヨタ:NZE127型プリウスに搭載される1NZ型1496ccの75.0mm、トヨタ:GXE10型マークIIに搭載される1G型1988ccの75.0mm、ホンダ:EK3型シビックに搭載されるD15B型1493ccの75.0mm、ホンダ:EJ4型CR-X デルソルに搭載されるD16A型1590ccの75.0mm、スズキ:GD31S型カルタスに搭載されるG16A型1590ccの75.0mmなどが該当します。

(もはやこのような探求に楽しみを見い出す人は減ってしまいましたが)いくら径が近かろうとも、ピストンピンの径やピストンの高さ、バルブリセスの都合などなどありますので、なるべくなら同じメーカー、なるべくなら同じ燃料で同じ吸気方式、なるべくなら排気量が近いものを選ぶと純正流用できる可能性が高くなる、かもしれません。

ピストン径が小さい 1500ccクラスのエンジン
ピストン径が大きい 1500ccクラスのエンジン
ストロークが短い 1500ccクラスのエンジン
ストロークが長い 1500ccクラスのエンジン
ボアストローク比・昇順 [1500ccクラス]
ボアストローク比・降順 [1500ccクラス]


平均ピストンスピード

ストローク最大トルク
2800rpm
最高出力
5300rpm
72.0mm6.7m/s12.7m/s
回転数/分秒速時速
2000rpm4.8m/s17km/h
4000rpm9.6m/s35km/h
6000rpm14.4m/s52km/h
8000rpm19.2m/s69km/h
10000rpm24.0m/s86km/h

続きまして平均ピストンスピードについて見てみます。ストロークが72.0mmのエンジンが最高出力を発生する5300回転での平均ピストンスピードは12.7m/sとなり、これは1秒間に12.7メートル(時速にすると45.7km/h)の距離を進む速さでピストンが上下運動していますよ、という意味です。

最大トルクを発生する2800回転では6.7m/s、最高出力が発生する5300回転より500回転高い5800回転をレブリミットと仮定したときの平均速度は13.9m/sとなっています。

参考までにストロークが72.0mmのC3G型エンジンを10000回転/毎分まで回したときのピストンスピードの変化を計算してみました。これを見ると回転数が2000回転高くなるごとに概ね4.80m/sずつ速度が増していくようです。

大量生産を前提とした一般的なエンジンの目安である20.0m/sのみを基準として考えると、高回転化の上限を(回るか回らないかは別として)8330回転くらいにするのが機械的にも精神的にも好ましそうです。


C3G型エンジンを搭載する車種の例

全2車種を最高出力が大きいものから順に表示しています。

メーカー
車両型式
画像車名&グレード出力/燃費
パワーウェイト
排気量
変速機
ルノー
06C3G
1996/10
トゥインゴ
Easy
[E-06C3G]
52PS
9.1kgm
-
16.731kg/PS
自然吸気
FF/5AT
ハッチバック
4人乗り
車両型式:E-06C3G

トゥインゴ
[Easy]
1996/10モデル
最高出力52PS
最大トルク9.1kgm
吸気方式自然吸気
車体構成4人乗りハッチバック
FF/5AT
ルノー
06C3G
1996/10
トゥインゴ
Pack
[E-06C3G]
52PS
9.1kgm
-
16.538kg/PS
自然吸気
FF/5MT
ハッチバック
4人乗り
車両型式:E-06C3G

トゥインゴ
[Pack]
1996/10モデル
最高出力52PS
最大トルク9.1kgm
吸気方式自然吸気
車体構成4人乗りハッチバック
FF/5MT

ルノー製エンジンの原動機型式まとめ
【排気量順】