ポルシェ:M-284型エンジンの諸元と性能まとめ [V型8気筒 4957cc]

ここではポルシェの928型・928 [928GT|1991/02モデル] に搭載されているM-284型の自然吸気エンジンのデータを参考に、このエンジンが持つ特性や素性について調べてみます。

M-284型の自然吸気エンジン諸元


928型 928
主要諸元と走行性能まとめ
車両型式E-928型
車名&グレード928
928GT
エンジン型式M-284
種類V型8気筒
排気量4957cc
内径×行程100.0mm×78.9mm
ボアストローク比0.79
単気筒容積619.7cc
圧縮比10.0
吸気方式自然吸気
使用燃料ハイオクガソリン
最高出力330PS/6200rpm
最大トルク43.9kgm/3000rpm

まず基本的な成り立ちとして、M-284型エンジンはボア(内径)100.0mm、ストローク(行程)78.9mm、ボアストローク比0.79のショートストローク型エンジン(ストローク量よりもピストン径のほうが大きい)です。

排気量と気筒数が同一の場合、ロングストローク型に比べて低回転域でのトルク特性に劣り、扱いにくいエンジンとされるものの、高回転域では充填効率の向上や摺動抵抗の増大も(ロングストローク型に比べれば)軽微なことから出力の向上が見込まれます。

また同じ回転数でも平均ピストンスピードが抑えられることから、その分だけエンジンへの負荷は低減される傾向にあります。

このサイトにてM-284型の自然吸気エンジンを搭載している車種は、1991/02から発売された初代928 [928型|1991/02]となっており、NA車は2車種、ターボ/SC車は0車種の全2車種が登録されています。

過渡特性とリッター換算馬力から見た評価

エンジン性能曲線のイメージ
M-284のエンジン性能曲線図もどき
馬力の変遷183.9PS → 330PS
トルクの変遷43.9kgm → 38.1kgm
リッター馬力66.6PS/L
リッタートルク8.9kgm/L

今回の参考車両である928のV型8気筒4957cc、圧縮比10.0でハイオクガソリン仕様の自然吸気エンジンは、6200回転のとき最高出力330馬力を、6200回転のとき最大トルク43.9kgmを発生させます。

馬力と回転数が分かればトルクが、トルクと回転数が分かれば馬力を知ることができますので計算してみますと、最大トルクが発生する3000回転での馬力は183.9PS、最高出力が発生する6200回転でのトルクは38.1kgmになります。

排気量1リットルあたりの馬力は66.6PS/L、トルクは8.9kgm/Lとなり、1気筒(単気筒容積619.7cc)あたりの馬力は41.2PS、トルクは5.5kgmです。

M-284型自然吸気エンジンを、このサイトで登録している全てのNA車から集計した偏差値ベースの10段階評価に当てはめると、評価は換算馬力が[ 5 ]、換算トルクが[ 4 ]の「標準的な出力(中の下)のエンジン」にカテゴライズされます。

ちなみに、M-284型エンジン搭載車種のうち、最高出力が最も大きかったのは928型928の330PS/43.9kgm、最も小さかったのは928型928の320PS/43.9kgmとなっています。

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排気量アップと圧縮比の上昇、ボアストローク比の変化

ノーマルの排気量と圧縮比
BoreStroke排気量圧縮比B/S比
100.078.94957cc10.00.79
ボアアップによる排気量拡大
100.578.95007cc10.10.79
101.05057cc10.20.78
101.55107cc10.30.78
102.05158cc10.40.77
102.55208cc10.40.77
103.05259cc10.50.77
ストロークアップによる排気量拡大
100.079.95020cc10.10.80
80.95083cc10.20.81
81.95146cc10.30.82
82.95209cc10.40.83
83.95271cc10.60.84

エンジンの排気量を決める要素には気筒数、ボア径、ストローク量の3つがあり、これらを増減することでさまざまな排気量のエンジンが生まれます。

ここでは実際に可能かどうかは別として、ピストン径を純正の100.0mmから0.5mm刻みで103.0mmまで拡大した場合および、ストロークを純正の78.9mmから1mm刻みで83.9mmまで延長した場合の排気量と、燃焼室容積が変化しないと仮定した場合の圧縮比の変化を一覧表にしています。

※ストロークアップと口で言うのは簡単なのですが、ロングストローク化するにあたってはクランクシャフトおよび対応コンロッドが必要になり、純正流用できない場合はワンオフで作らなければならないなど、とにかくお高く付きますので、手を出すには相当の覚悟を求められるメニューです。

圧縮比については、実際のところピストンが大径化するに伴ってピストン天面の凸凹容量も変化する場合が大半ですから、一覧表にある圧縮比の数値の通りにはなりませんが、排気量を大きくすると自ずと圧縮比も上昇しますよ、という雰囲気をご堪能ください。

B/S比はボアストローク比の略で、ボア径を広げていくと0.79からさらに値は小さくなり、ショートストローク型の恩恵と弊害が顕著になっていきます。M-284型エンジンの場合、純正ピストンから+3.0mmのボアアップをすると比は0.79から0.77に変化するという具合です。


平均ピストンスピード

ストローク最大トルク
3000rpm
最高出力
6200rpm
78.9mm7.9m/s16.3m/s
回転数/分秒速時速
2000rpm5.3m/s19km/h
4000rpm10.5m/s38km/h
6000rpm15.8m/s57km/h
8000rpm21.0m/s76km/h
10000rpm26.3m/s95km/h

続きまして平均ピストンスピードについて見てみます。ストロークが78.9mmのエンジンが最高出力を発生する6200回転での平均ピストンスピードは16.3m/sとなり、これは1秒間に16.3メートル(時速にすると58.7km/h)の距離を進む速さでピストンが上下運動していますよ、という意味です。

最大トルクを発生する3000回転では7.9m/s、最高出力が発生する6200回転より500回転高い6700回転をレブリミットと仮定したときの平均速度は17.6m/sとなっています。

参考までにストロークが78.9mmのM-284型エンジンを10000回転/毎分まで回したときのピストンスピードの変化を計算してみました。これを見ると回転数が2000回転高くなるごとに概ね5.25m/sずつ速度が増していくようです。

大量生産を前提とした一般的なエンジンの目安である20.0m/sのみを基準として考えると、高回転化の上限を(回るか回らないかは別として)7600回転くらいにするのが機械的にも精神的にも好ましそうです。


M-284型エンジンを搭載する車種の例

全2車種を最高出力が大きいものから順に表示しています。

メーカー
車両型式
画像車名&グレード出力/燃費
パワーウェイト
排気量
変速機
ポルシェ
928
1991/02
928
928GT
[E-928]
330PS
43.9kgm
-
4.79kg/PS
自然吸気
FR/5MT
クーペ
4人乗り

928
[928GT]
1991/02モデル
車両型式E-928
最高出力330PS
最大トルク43.9kgm
パワーウェイト4.79kg/PS
吸気方式自然吸気
駆動方式&変速機FR/5MT
車体形状&乗車定員クーペ/4人乗り
ポルシェ
928
1991/02
928
928-S4
[E-928]
320PS
43.9kgm
-
5.00kg/PS
自然吸気
FR/4AT
クーペ
4人乗り

928
[928-S4]
1991/02モデル
車両型式E-928
最高出力320PS
最大トルク43.9kgm
パワーウェイト5.00kg/PS
吸気方式自然吸気
駆動方式&変速機FR/4AT
車体形状&乗車定員クーペ/4人乗り