日産:VR38DETT型エンジンの諸元と性能まとめ [V型6気筒 3799cc]

ここでは日産のR35型・GT-R [NISMO|2014/04モデル] に搭載されているVR38DETT型のツインターボエンジンのデータを参考に、このエンジンが持つ特性や素性について調べてみます。

VR38DETT型のツインターボエンジン諸元


R35型 GT-R
主要諸元と走行性能まとめ
車両型式DBA-R35型
車名&グレードGT-R
NISMO
エンジン型式VR38DETT
種類V型6気筒
排気量3799cc
内径×行程95.5mm×88.4mm
ボアストローク比0.93
単気筒容積633.2cc
圧縮比9.0
吸気方式ツインターボ
使用燃料ハイオクガソリン
最高出力600PS/6500rpm
最大トルク66.5kgm/3200-5800rpm

まず基本的な成り立ちとして、VR38型エンジンはボア(内径)95.5mm、ストローク(行程)88.4mm、ボアストローク比0.93のショートストローク型エンジン(ストローク量よりもピストン径のほうが大きい)です。

排気量と気筒数が同一の場合、ロングストローク型に比べて低回転域でのトルク特性に劣り、扱いにくいエンジンとされるものの、高回転域では充填効率の向上や摺動抵抗の増大も(ロングストローク型に比べれば)軽微なことから出力の向上が見込まれます。

また同じ回転数でも平均ピストンスピードが抑えられることから、その分だけエンジンへの負荷は低減される傾向にあります。

このサイトにて登録されている車種のうち、VR38DETT型のツインターボエンジンを搭載する最も古い車種は、2007/12から発売された初代GT-R [R35型|2007/12]、最も新しい車種は2007/12から発売された初代GT-R [R35型|2019/10]となっており、NA車は0車種、ターボ/SC車は9車種の全9車種が登録されています。

過渡特性とリッター換算馬力から見た評価

エンジン性能曲線のイメージ
VR38のエンジン性能曲線図もどき
馬力の変遷297.1PS → 600PS
トルクの変遷66.5kgm → 66.1kgm
リッター馬力157.9PS/L
リッタートルク17.5kgm/L

今回の参考車両であるGT-RのV型6気筒3799cc、圧縮比9.0でハイオクガソリン仕様のツインターボエンジンは、6500回転のとき最高出力600馬力を、6500回転のとき最大トルク66.5kgmを発生させます。

馬力と回転数が分かればトルクが、トルクと回転数が分かれば馬力を知ることができますので計算してみますと、最大トルクが発生する3200回転での馬力は297.1PS、最高出力が発生する6500回転でのトルクは66.1kgmになります。

排気量1リットルあたりの馬力は157.9PS/L、トルクは17.5kgm/Lとなり、1気筒(単気筒容積633.2cc)あたりの馬力は100.0PS、トルクは11.1kgmです。

VR38型ツインターボエンジンを、このサイトで登録している全てのターボ車から集計した偏差値ベースの10段階評価に当てはめると、評価は換算馬力が[ 10 ]、換算トルクが[ 8 ]の「稀に見る高出力エンジン」にカテゴライズされます。

ちなみに、VR38DETT型のターボ・SCエンジン搭載車種のうち、最高出力が最も大きかったのはR35型GT-Rの600PS/66.5kgm、最も小さかったのはR35型GT-Rの480PS/60.0kgmとなっています。

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排気量アップと圧縮比の上昇、ボアストローク比の変化

ノーマルの排気量と圧縮比
BoreStroke排気量圧縮比B/S比
95.588.43799cc9.00.93
ボアアップによる排気量拡大
96.088.43839cc9.10.92
96.53879cc9.20.92
97.03919cc9.20.91
97.53960cc9.30.91
98.04001cc9.40.90
98.54042cc9.50.90
ストロークアップによる排気量拡大
95.589.43842cc9.10.94
90.43885cc9.20.95
91.43928cc9.30.96
92.43971cc9.40.97
93.44014cc9.40.98

エンジンの排気量を決める要素には気筒数、ボア径、ストローク量の3つがあり、これらを増減することでさまざまな排気量のエンジンが生まれます。

ここでは実際に可能かどうかは別として、ピストン径を純正の95.5mmから0.5mm刻みで98.5mmまで拡大した場合および、ストロークを純正の88.4mmから1mm刻みで93.4mmまで延長した場合の排気量と、燃焼室容積が変化しないと仮定した場合の圧縮比の変化を一覧表にしています。

※ストロークアップと口で言うのは簡単なのですが、ロングストローク化するにあたってはクランクシャフトおよび対応コンロッドが必要になり、純正流用できない場合はワンオフで作らなければならないなど、とにかくお高く付きますので、手を出すには相当の覚悟を求められるメニューです。

圧縮比については、実際のところピストンが大径化するに伴ってピストン天面の凸凹容量も変化する場合が大半ですから、一覧表にある圧縮比の数値の通りにはなりませんが、排気量を大きくすると自ずと圧縮比も上昇しますよ、という雰囲気をご堪能ください。

B/S比はボアストローク比の略で、ボア径を広げていくと0.93からさらに値は小さくなり、ショートストローク型の恩恵と弊害が顕著になっていきます。VR38型エンジンの場合、純正ピストンから+3.0mmのボアアップをすると比は0.93から0.90に変化するという具合です。

ピストン径が近いエンジンと排気量アップ

VR38型エンジンのピストン径95.5mmとサイズが近いピストンを持つエンジンが2件ありますので、余興としてピストン流用でボアアップした場合の排気量を計算してみます。

Eg型式ピストン径排気量
スバル
EJ22型
96.9mm
[+1.4mm]
3911cc
[+112cc]
三菱
4M41型
98.5mm
[+3.0mm]
4042cc
[+243cc]

ピストン径が近いエンジンとしては、スバル:GC8改型インプレッサに搭載されるEJ22型2212ccの96.9mm、三菱:V98W型パジェロに搭載される4M41型3200ccの98.5mmなどが該当します。

(もはやこのような探求に楽しみを見い出す人は減ってしまいましたが)いくら径が近かろうとも、ピストンピンの径やピストンの高さ、バルブリセスの都合などなどありますので、なるべくなら同じメーカー、なるべくなら同じ燃料で同じ吸気方式、なるべくなら排気量が近いものを選ぶと純正流用できる可能性が高くなる、かもしれません。

ピストン径が小さい 4000ccクラスのエンジン
ピストン径が大きい 4000ccクラスのエンジン
ストロークが短い 4000ccクラスのエンジン
ストロークが長い 4000ccクラスのエンジン
ボアストローク比・昇順 [4000ccクラス]
ボアストローク比・降順 [4000ccクラス]


平均ピストンスピード

ストローク最大トルク
3200rpm
最高出力
6500rpm
88.4mm9.4m/s19.2m/s
回転数/分秒速時速
2000rpm5.9m/s21km/h
4000rpm11.8m/s42km/h
6000rpm17.7m/s64km/h
8000rpm23.6m/s85km/h
10000rpm29.5m/s106km/h

続きまして平均ピストンスピードについて見てみます。ストロークが88.4mmのエンジンが最高出力を発生する6500回転での平均ピストンスピードは19.2m/sとなり、これは1秒間に19.2メートル(時速にすると69.1km/h)の距離を進む速さでピストンが上下運動していますよ、という意味です。

最大トルクを発生する3200回転では9.4m/s、最高出力が発生する6500回転より500回転高い7000回転をレブリミットと仮定したときの平均速度は20.6m/sとなっています。

参考までにストロークが88.4mmのVR38型エンジンを10000回転/毎分まで回したときのピストンスピードの変化を計算してみました。これを見ると回転数が2000回転高くなるごとに概ね5.90m/sずつ速度が増していくようです。

大量生産を前提とした一般的なエンジンの目安である20.0m/sのみを基準として考えると、高回転化の上限を(回るか回らないかは別として)6790回転くらいにするのが機械的にも精神的にも好ましそうです。


VR38DETT型エンジンを搭載する車種の例

全9車種のうち、最高出力が大きいものから順に上位3車種を表示しています。その他の車種については、ページ下部にあるリンクよりVR38型エンジン搭載車種の一覧をご覧ください。

メーカー
車両型式
画像車名&グレード出力/燃費
パワーウェイト
排気量
変速機
日産
R35
2014/04
GT-R
NISMO
[DBA-R35]
600PS
66.5kgm
-
2.867kg/PS
ターボ
4WD/6AT
クーペ
4人乗り

GT-R
[NISMO]
2014/04モデル
車両型式DBA-R35
最高出力600PS
最大トルク66.5kgm
パワーウェイト2.867kg/PS
吸気方式ターボ
駆動方式&変速機4WD/6AT
車体形状&乗車定員クーペ/4人乗り
日産
R35
2019/10
GT-R
NISMO 2020
[4BA-R35]
600PS
66.5kgm
7.8km/L
2.870kg/PS
ターボ
4WD/6AT
クーペ
4人乗り

GT-R
[NISMO 2020]
2019/10モデル
車両型式4BA-R35
最高出力600PS
最大トルク66.5kgm
WLTCモード燃費7.8km/L
パワーウェイト2.870kg/PS
吸気方式ターボ
駆動方式&変速機4WD/6AT
車体形状&乗車定員クーペ/4人乗り
日産
R35
2016/07
GT-R
Pure-edition 2017
[DBA-R35]
570PS
65.0kgm
8.8km/L
3.088kg/PS
ターボ
4WD/6AT
クーペ
4人乗り

GT-R
[Pure-edition 2017]
2016/07モデル
車両型式DBA-R35
最高出力570PS
最大トルク65.0kgm
WLTCモード燃費7.8km/L
JC08モード燃費8.8km/L
パワーウェイト3.088kg/PS
吸気方式ターボ
駆動方式&変速機4WD/6AT
車体形状&乗車定員クーペ/4人乗り
VR38型エンジン搭載車種の一覧
パワーウェイトレシオ順|全9車種

日産製エンジンの原動機型式まとめ
【排気量順】