日産:VQ35HR型エンジンの諸元と性能まとめ [V型6気筒 3498cc]

ここでは日産のPV36型・スカイライン [350GT type-SP|2008/12モデル] に搭載されているVQ35HR型の自然吸気エンジンのデータを参考に、このエンジンが持つ特性や素性について調べてみます。

VQ35HR型の自然吸気エンジン諸元


PV36型 スカイライン
主要諸元と走行性能まとめ
車両型式DBA-PV36型
車名&グレードスカイライン
350GT type-SP
エンジン型式VQ35HR
種類V型6気筒
排気量3498cc
内径×行程95.5mm×81.4mm
ボアストローク比0.85
単気筒容積583.1cc
圧縮比10.6
吸気方式自然吸気
使用燃料ハイオクガソリン
最高出力315PS/6800rpm
最大トルク36.5kgm/4800rpm

まず基本的な成り立ちとして、VQ35型エンジンはボア(内径)95.5mm、ストローク(行程)81.4mm、ボアストローク比0.85のショートストローク型エンジン(ストローク量よりもピストン径のほうが大きい)です。

排気量と気筒数が同一の場合、ロングストローク型に比べて低回転域でのトルク特性に劣り、扱いにくいエンジンとされるものの、高回転域では充填効率の向上や摺動抵抗の増大も(ロングストローク型に比べれば)軽微なことから出力の向上が見込まれます。

また同じ回転数でも平均ピストンスピードが抑えられることから、その分だけエンジンへの負荷は低減される傾向にあります。

このサイトにて登録されている車種のうち、VQ35HR型の自然吸気エンジンを搭載する最も古い車種は、2004/10から発売された初代フーガ [PY50型|2007/12]、最も新しい車種は2014/02から発売された13代目スカイライン ハイブリッド [HV37型|2020/09]となっており、NA車は15車種、ターボ/SC車は0車種の全15車種が登録されています。

過渡特性とリッター換算馬力から見た評価

エンジン性能曲線のイメージ
VQ35のエンジン性能曲線図もどき
馬力の変遷244.6PS → 315PS
トルクの変遷36.5kgm → 33.2kgm
リッター馬力90.05PS/L
リッタートルク10.4kgm/L

今回の参考車両であるスカイラインのV型6気筒3498cc、圧縮比10.6でハイオクガソリン仕様の自然吸気エンジンは、6800回転のとき最高出力315馬力を、6800回転のとき最大トルク36.5kgmを発生させます。

馬力と回転数が分かればトルクが、トルクと回転数が分かれば馬力を知ることができますので計算してみますと、最大トルクが発生する4800回転での馬力は244.6PS、最高出力が発生する6800回転でのトルクは33.2kgmになります。

排気量1リットルあたりの馬力は90.05PS/L、トルクは10.4kgm/Lとなり、1気筒(単気筒容積583.1cc)あたりの馬力は52.5PS、トルクは6.1kgmです。

VQ35型自然吸気エンジンを、このサイトで登録している全てのNA車から集計した偏差値ベースの10段階評価に当てはめると、評価は換算馬力が[ 8 ]、換算トルクが[ 8 ]の「結構な高出力エンジン」にカテゴライズされます。

ちなみに、VQ35HR型のターボ・SCエンジン搭載車種のうち、最高出力が最も大きかったのはPV36型スカイラインの315PS/36.5kgm、最も小さかったのはHNV37型スカイラインの306PS/35.7kgmとなっています。

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排気量アップと圧縮比の上昇、ボアストローク比の変化

ノーマルの排気量と圧縮比
BoreStroke排気量圧縮比B/S比
95.581.43498cc10.60.85
ボアアップによる排気量拡大
96.081.43535cc10.70.85
96.53572cc10.80.84
97.03609cc10.90.84
97.53646cc11.00.83
98.03684cc11.10.83
98.53722cc11.20.83
ストロークアップによる排気量拡大
95.582.43541cc10.70.86
83.43584cc10.80.87
84.43627cc11.00.88
85.43670cc11.10.89
86.43713cc11.20.90

エンジンの排気量を決める要素には気筒数、ボア径、ストローク量の3つがあり、これらを増減することでさまざまな排気量のエンジンが生まれます。

ここでは実際に可能かどうかは別として、ピストン径を純正の95.5mmから0.5mm刻みで98.5mmまで拡大した場合および、ストロークを純正の81.4mmから1mm刻みで86.4mmまで延長した場合の排気量と、燃焼室容積が変化しないと仮定した場合の圧縮比の変化を一覧表にしています。

※ストロークアップと口で言うのは簡単なのですが、ロングストローク化するにあたってはクランクシャフトおよび対応コンロッドが必要になり、純正流用できない場合はワンオフで作らなければならないなど、とにかくお高く付きますので、手を出すには相当の覚悟を求められるメニューです。

圧縮比については、実際のところピストンが大径化するに伴ってピストン天面の凸凹容量も変化する場合が大半ですから、一覧表にある圧縮比の数値の通りにはなりませんが、排気量を大きくすると自ずと圧縮比も上昇しますよ、という雰囲気をご堪能ください。

B/S比はボアストローク比の略で、ボア径を広げていくと0.85からさらに値は小さくなり、ショートストローク型の恩恵と弊害が顕著になっていきます。VQ35型エンジンの場合、純正ピストンから+3.0mmのボアアップをすると比は0.85から0.83に変化するという具合です。

ピストン径が近いエンジンと排気量アップ

VQ35型エンジンのピストン径95.5mmとサイズが近いピストンを持つエンジンが2件ありますので、余興としてピストン流用でボアアップした場合の排気量を計算してみます。

Eg型式ピストン径排気量
スバル
EJ22型
96.9mm
[+1.4mm]
3602cc
[+104cc]
スバル
EG33型
96.9mm
[+1.4mm]
3602cc
[+104cc]

ピストン径が近いエンジンとしては、スバル:BG7型レガシィ ツーリングワゴンに搭載されるEJ22型2212ccの96.9mm、スバル:CXD型アルシオーネSVXに搭載されるEG33型3318ccの96.9mmなどが該当します。

(もはやこのような探求に楽しみを見い出す人は減ってしまいましたが)いくら径が近かろうとも、ピストンピンの径やピストンの高さ、バルブリセスの都合などなどありますので、なるべくなら同じメーカー、なるべくなら同じ燃料で同じ吸気方式、なるべくなら排気量が近いものを選ぶと純正流用できる可能性が高くなる、かもしれません。

ピストン径が小さい 3500ccクラスのエンジン
ピストン径が大きい 3500ccクラスのエンジン
ストロークが短い 3500ccクラスのエンジン
ストロークが長い 3500ccクラスのエンジン
ボアストローク比・昇順 [3500ccクラス]
ボアストローク比・降順 [3500ccクラス]


平均ピストンスピード

ストローク最大トルク
4800rpm
最高出力
6800rpm
81.4mm13.0m/s18.5m/s
回転数/分秒速時速
2000rpm5.4m/s19km/h
4000rpm10.9m/s39km/h
6000rpm16.3m/s59km/h
8000rpm21.7m/s78km/h
10000rpm27.1m/s98km/h

続きまして平均ピストンスピードについて見てみます。ストロークが81.4mmのエンジンが最高出力を発生する6800回転での平均ピストンスピードは18.5m/sとなり、これは1秒間に18.5メートル(時速にすると66.6km/h)の距離を進む速さでピストンが上下運動していますよ、という意味です。

最大トルクを発生する4800回転では13.0m/s、最高出力が発生する6800回転より500回転高い7300回転をレブリミットと仮定したときの平均速度は19.8m/sとなっています。

参考までにストロークが81.4mmのVQ35型エンジンを10000回転/毎分まで回したときのピストンスピードの変化を計算してみました。これを見ると回転数が2000回転高くなるごとに概ね5.43m/sずつ速度が増していくようです。

大量生産を前提とした一般的なエンジンの目安である20.0m/sのみを基準として考えると、高回転化の上限を(回るか回らないかは別として)7370回転くらいにするのが機械的にも精神的にも好ましそうです。


VQ35HR型エンジンを搭載する車種の例

全15車種のうち、最高出力が大きいものから順に上位3車種を表示しています。その他の車種については、ページ下部にあるリンクよりVQ35型エンジン搭載車種の一覧をご覧ください。

メーカー
車両型式
画像車名&グレード出力/燃費
パワーウェイト
排気量
変速機
日産
PV36
2008/12
スカイライン
350GT type-SP
[DBA-PV36]
315PS
36.5kgm
9.2km/L
5.079kg/PS
自然吸気
FR/5AT
セダン
5人乗り
車両型式:DBA-PV36

スカイライン
[350GT type-SP]
2008/12モデル
最高出力315PS
最大トルク36.5kgm
10-15モード燃費9.2km/L
吸気方式自然吸気
車体構成5人乗りセダン
FR/5AT
日産
Z33
2008/01
フェアレディZ
BaseGrade
[CBA-Z33]
313PS
36.5kgm
9.2km/L
4.760kg/PS
自然吸気
FR/5AT
クーペ
2人乗り
車両型式:CBA-Z33

フェアレディZ
[BaseGrade]
2008/01モデル
最高出力313PS
最大トルク36.5kgm
10-15モード燃費9.2km/L
吸気方式自然吸気
車体構成2人乗りクーペ
FR/5AT
日産
Z33
2008/01
フェアレディZ
BaseGrade
[CBA-Z33]
313PS
36.5kgm
9.6km/L
4.728kg/PS
自然吸気
FR/6MT
クーペ
2人乗り
車両型式:CBA-Z33

フェアレディZ
[BaseGrade]
2008/01モデル
最高出力313PS
最大トルク36.5kgm
10-15モード燃費9.6km/L
吸気方式自然吸気
車体構成2人乗りクーペ
FR/6MT
VQ35型エンジン搭載車種の一覧
パワーウェイトレシオ順|全46車種

その他のVQ35型エンジン型式と代表的な車種

VQ35DE型
全25車種
日産:スカイライン クーペ [350GT]
最高出力280PS/最大トルク37.0kgm
2004/11モデル
日産
VQ35DE型
全25車種
スカイライン クーペ
[350GT]
280PS/37.0kgm
VQ35HR型
全4車種
光岡:ガリュー リムジンS50 [350LX]
最高出力313PS/最大トルク36.5kgm
2009/05モデル
光岡
VQ35HR型
全4車種
ガリュー リムジンS50
[350LX]
313PS/36.5kgm
VQ35HR型
全1車種
三菱:ディグニティ [VIP]
最高出力306PS/最大トルク35.7kgm
2012/07モデル
三菱
VQ35HR型
全1車種
ディグニティ
[VIP]
306PS/35.7kgm
VQ35DE型
全1車種
光岡:ガリュー [35LX]
最高出力252PS/最大トルク34.2kgm
2010/11モデル
光岡
VQ35DE型
全1車種
ガリュー
[35LX]
252PS/34.2kgm

日産製エンジンの原動機型式まとめ
【排気量順】