日産:VQ30DD型エンジンの諸元と性能まとめ [V型6気筒 2987cc]

ここでは日産のHV35型・スカイライン [300GT|2004/04モデル] に搭載されているVQ30DD型の自然吸気エンジンのデータを参考に、このエンジンが持つ特性や素性について調べてみます。

VQ30DD型の自然吸気エンジン諸元


HV35型 スカイライン
主要諸元と走行性能まとめ
車両型式GH-HV35型
車名&グレードスカイライン
300GT
エンジン型式VQ30DD
種類V型6気筒
排気量2987cc
内径×行程93.0mm×73.3mm
ボアストローク比0.79
単気筒容積497.9cc
圧縮比11.0
吸気方式自然吸気
使用燃料ハイオクガソリン
最高出力260PS/6400rpm
最大トルク33.0kgm/4800rpm

まず基本的な成り立ちとして、VQ30型エンジンはボア(内径)93.0mm、ストローク(行程)73.3mm、ボアストローク比0.79のショートストローク型エンジン(ストローク量よりもピストン径のほうが大きい)です。

排気量と気筒数が同一の場合、ロングストローク型に比べて低回転域でのトルク特性に劣り、扱いにくいエンジンとされるものの、高回転域では充填効率の向上や摺動抵抗の増大も(ロングストローク型に比べれば)軽微なことから出力の向上が見込まれます。

また同じ回転数でも平均ピストンスピードが抑えられることから、その分だけエンジンへの負荷は低減される傾向にあります。

このサイトにて登録されている車種のうち、VQ30DD型の自然吸気エンジンを搭載する最も古い車種は、1996/03から発売された4代目レパード [JHY33型|1997/10]、最も新しい車種は2001/06から発売された11代目スカイライン [HV35型|2004/04]となっており、NA車は5車種、ターボ/SC車は0車種の全5車種が登録されています。

過渡特性とリッター換算馬力から見た評価

エンジン性能曲線のイメージ
VQ30のエンジン性能曲線図もどき
馬力の変遷221.1PS → 260PS
トルクの変遷33.0kgm → 29.1kgm
リッター馬力87.0PS/L
リッタートルク11.1kgm/L

今回の参考車両であるスカイラインのV型6気筒2987cc、圧縮比11.0でハイオクガソリン仕様の自然吸気エンジンは、6400回転のとき最高出力260馬力を、6400回転のとき最大トルク33.0kgmを発生させます。

馬力と回転数が分かればトルクが、トルクと回転数が分かれば馬力を知ることができますので計算してみますと、最大トルクが発生する4800回転での馬力は221.1PS、最高出力が発生する6400回転でのトルクは29.1kgmになります。

排気量1リットルあたりの馬力は87.0PS/L、トルクは11.1kgm/Lとなり、1気筒(単気筒容積497.9cc)あたりの馬力は43.3PS、トルクは5.5kgmです。

VQ30型自然吸気エンジンを、このサイトで登録している全てのNA車から集計した偏差値ベースの10段階評価に当てはめると、評価は換算馬力が[ 8 ]、換算トルクが[ 10 ]の「結構な高出力エンジン」にカテゴライズされます。

ちなみに、VQ30DD型のターボ・SCエンジン搭載車種のうち、最高出力が最も大きかったのはHV35型スカイラインの260PS/33.0kgm、最も小さかったのはJHY33型レパードの230PS/30.0kgmとなっています。

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排気量アップと圧縮比の上昇、ボアストローク比の変化

ノーマルの排気量と圧縮比
BoreStroke排気量圧縮比B/S比
93.073.32987cc11.00.79
ボアアップによる排気量拡大
93.573.33020cc11.10.78
94.03052cc11.20.78
94.53085cc11.30.78
95.03117cc11.40.77
95.53150cc11.50.77
96.03183cc11.70.76
ストロークアップによる排気量拡大
93.074.33028cc11.10.80
75.33069cc11.30.81
76.33110cc11.40.82
77.33150cc11.50.83
78.33191cc11.70.84

エンジンの排気量を決める要素には気筒数、ボア径、ストローク量の3つがあり、これらを増減することでさまざまな排気量のエンジンが生まれます。

ここでは実際に可能かどうかは別として、ピストン径を純正の93.0mmから0.5mm刻みで96.0mmまで拡大した場合および、ストロークを純正の73.3mmから1mm刻みで78.3mmまで延長した場合の排気量と、燃焼室容積が変化しないと仮定した場合の圧縮比の変化を一覧表にしています。

※ストロークアップと口で言うのは簡単なのですが、ロングストローク化するにあたってはクランクシャフトおよび対応コンロッドが必要になり、純正流用できない場合はワンオフで作らなければならないなど、とにかくお高く付きますので、手を出すには相当の覚悟を求められるメニューです。

圧縮比については、実際のところピストンが大径化するに伴ってピストン天面の凸凹容量も変化する場合が大半ですから、一覧表にある圧縮比の数値の通りにはなりませんが、排気量を大きくすると自ずと圧縮比も上昇しますよ、という雰囲気をご堪能ください。

B/S比はボアストローク比の略で、ボア径を広げていくと0.79からさらに値は小さくなり、ショートストローク型の恩恵と弊害が顕著になっていきます。VQ30型エンジンの場合、純正ピストンから+3.0mmのボアアップをすると比は0.79から0.76に変化するという具合です。

ピストン径が近いエンジンと排気量アップ

VQ30型エンジンのピストン径93.0mmとサイズが近いピストンを持つエンジンが20件ありますので、余興としてピストン流用でボアアップした場合の排気量を計算してみます。

Eg型式ピストン径排気量
レクサス
2GR型
94.0mm
[+1.0mm]
3052cc
[+65cc]
レクサス
2UR型
94.0mm
[+1.0mm]
3052cc
[+65cc]
レクサス
1UR型
94.0mm
[+1.0mm]
3052cc
[+65cc]
スバル
FB25型
94.0mm
[+1.0mm]
3052cc
[+65cc]
トヨタ
1GR型
94.0mm
[+1.0mm]
3052cc
[+65cc]
レクサス
8GR型
94.0mm
[+1.0mm]
3052cc
[+65cc]

ピストン径が近いエンジンとしては、レクサス:GSU30W型マークXに搭載される2GR型3456ccの94.0mm、レクサス:UWG60型センチュリーに搭載される2UR型4968ccの94.0mm、レクサス:USF40型ランドクルーザーに搭載される1UR型4608ccの94.0mm、スバル:SK9型フォレスターに搭載されるFB25型2498ccの94.0mm、トヨタ:GSJ15W型FJクルーザーに搭載される1GR型3955ccの94.0mm、レクサス:GVF50型クラウンに搭載される8GR型3456ccの94.0mmなどが該当します。

(もはやこのような探求に楽しみを見い出す人は減ってしまいましたが)いくら径が近かろうとも、ピストンピンの径やピストンの高さ、バルブリセスの都合などなどありますので、なるべくなら同じメーカー、なるべくなら同じ燃料で同じ吸気方式、なるべくなら排気量が近いものを選ぶと純正流用できる可能性が高くなる、かもしれません。

ピストン径が小さい 3000ccクラスのエンジン
ピストン径が大きい 3000ccクラスのエンジン
ストロークが短い 3000ccクラスのエンジン
ストロークが長い 3000ccクラスのエンジン
ボアストローク比・昇順 [3000ccクラス]
ボアストローク比・降順 [3000ccクラス]


平均ピストンスピード

ストローク最大トルク
4800rpm
最高出力
6400rpm
73.3mm11.7m/s15.6m/s
回転数/分秒速時速
2000rpm4.9m/s18km/h
4000rpm9.8m/s35km/h
6000rpm14.7m/s53km/h
8000rpm19.5m/s70km/h
10000rpm24.4m/s88km/h

続きまして平均ピストンスピードについて見てみます。ストロークが73.3mmのエンジンが最高出力を発生する6400回転での平均ピストンスピードは15.6m/sとなり、これは1秒間に15.6メートル(時速にすると56.2km/h)の距離を進む速さでピストンが上下運動していますよ、という意味です。

最大トルクを発生する4800回転では11.7m/s、最高出力が発生する6400回転より500回転高い6900回転をレブリミットと仮定したときの平均速度は16.9m/sとなっています。

参考までにストロークが73.3mmのVQ30型エンジンを10000回転/毎分まで回したときのピストンスピードの変化を計算してみました。これを見ると回転数が2000回転高くなるごとに概ね4.88m/sずつ速度が増していくようです。

大量生産を前提とした一般的なエンジンの目安である20.0m/sのみを基準として考えると、高回転化の上限を(回るか回らないかは別として)8190回転くらいにするのが機械的にも精神的にも好ましそうです。


VQ30DD型エンジンを搭載する車種の例

全5車種のうち、最高出力が大きいものから順に上位3車種を表示しています。その他の車種については、ページ下部にあるリンクよりVQ30型エンジン搭載車種の一覧をご覧ください。

メーカー
車両型式
画像車名&グレード出力/燃費
パワーウェイト
排気量
変速機
日産
HV35
2004/04
スカイライン
300GT
[GH-HV35]
260PS
33.0kgm
11.6km/L
5.73kg/PS
自然吸気
FR/5AT
セダン
5人乗り

スカイライン
[300GT]
2004/04モデル
車両型式GH-HV35
最高出力260PS
最大トルク33.0kgm
10-15モード燃費11.6km/L
パワーウェイト5.73kg/PS
吸気方式自然吸気
駆動方式&変速機FR/5AT
車体形状&乗車定員セダン/5人乗り
日産
HM35
2004/04
ステージア
300RX
[GH-HM35]
260PS
33.0kgm
10.6km/L
6.12kg/PS
自然吸気
FR/5AT
ワゴン
5人乗り

ステージア
[300RX]
2004/04モデル
車両型式GH-HM35
最高出力260PS
最大トルク33.0kgm
10-15モード燃費10.6km/L
パワーウェイト6.12kg/PS
吸気方式自然吸気
駆動方式&変速機FR/5AT
車体形状&乗車定員ワゴン/5人乗り
日産
HY34
2003/05
セドリック
300LV-VIP
[TA-HY34]
240PS
31.5kgm
10.8km/L
6.75kg/PS
自然吸気
FR/4AT
セダン
5人乗り

セドリック
[300LV-VIP]
2003/05モデル
車両型式TA-HY34
最高出力240PS
最大トルク31.5kgm
10-15モード燃費10.8km/L
パワーウェイト6.75kg/PS
吸気方式自然吸気
駆動方式&変速機FR/4AT
車体形状&乗車定員セダン/5人乗り
VQ30型エンジン搭載車種の一覧
パワーウェイトレシオ順|全25車種

その他のVQ30型エンジン型式と代表的な車種

VQ30DET型
全14車種
日産:シーマ [300G]
最高出力280PS/最大トルク39.5kgm
2004/04モデル
日産
VQ30DET型
全14車種
シーマ
[300G]
280PS/39.5kgm
VQ30DE型
全5車種
日産:プレサージュ [HighWay-Star]
最高出力220PS/最大トルク28.5kgm
2001/08モデル
日産
VQ30DE型
全5車種
プレサージュ
[HighWay-Star]
220PS/28.5kgm
VQ30DD型
全1車種
光岡:ガリューII [Deluxe]
最高出力240PS/最大トルク31.5kgm
2004/04モデル
光岡
VQ30DD型
全1車種
ガリューII
[Deluxe]
240PS/31.5kgm

日産製エンジンの原動機型式まとめ
【排気量順】