日産:QR20DE型エンジンの諸元と性能まとめ [直列4気筒 1998cc]

ここでは日産のT30型・エクストレイル [S|2006/11モデル] に搭載されているQR20DE型の自然吸気エンジンのデータを参考に、このエンジンが持つ特性や素性について調べてみます。

QR20DE型の自然吸気エンジン諸元


T30型 エクストレイル
主要諸元と走行性能まとめ
車両型式CBA-T30型
車名&グレードエクストレイル
S
エンジン型式QR20DE
種類直列4気筒
排気量1998cc
内径×行程89.0mm×80.3mm
ボアストローク比0.90
単気筒容積499.5cc
圧縮比9.9
吸気方式自然吸気
使用燃料レギュラーガソリン
最高出力150PS/6000rpm
最大トルク20.4kgm/4000rpm

まず基本的な成り立ちとして、QR20型エンジンはボア(内径)89.0mm、ストローク(行程)80.3mm、ボアストローク比0.90のショートストローク型エンジン(ストローク量よりもピストン径のほうが大きい)です。

排気量と気筒数が同一の場合、ロングストローク型に比べて低回転域でのトルク特性に劣り、扱いにくいエンジンとされるものの、高回転域では充填効率の向上や摺動抵抗の増大も(ロングストローク型に比べれば)軽微なことから出力の向上が見込まれます。

また同じ回転数でも平均ピストンスピードが抑えられることから、その分だけエンジンへの負荷は低減される傾向にあります。

このサイトにて登録されている車種のうち、QR20DE型の自然吸気エンジンを搭載する最も古い車種は、1999/06から発売された2代目セレナ [TC24型|2004/04]、最も新しい車種は2000/11から発売された初代エクストレイル [T30型|2006/11]となっており、NA車は14車種、ターボ/SC車は0車種の全14車種が登録されています。

過渡特性とリッター換算馬力から見た評価

エンジン性能曲線のイメージ
QR20のエンジン性能曲線図もどき
馬力の変遷113.9PS → 150PS
トルクの変遷20.4kgm → 17.9kgm
リッター馬力75.1PS/L
リッタートルク10.2kgm/L

今回の参考車両であるエクストレイルの直列4気筒1998cc、圧縮比9.9でレギュラーガソリン仕様の自然吸気エンジンは、6000回転のとき最高出力150馬力を、6000回転のとき最大トルク20.4kgmを発生させます。

馬力と回転数が分かればトルクが、トルクと回転数が分かれば馬力を知ることができますので計算してみますと、最大トルクが発生する4000回転での馬力は113.9PS、最高出力が発生する6000回転でのトルクは17.9kgmになります。

排気量1リットルあたりの馬力は75.1PS/L、トルクは10.2kgm/Lとなり、1気筒(単気筒容積499.5cc)あたりの馬力は37.5PS、トルクは5.1kgmです。

QR20型自然吸気エンジンを、このサイトで登録している全てのNA車から集計した偏差値ベースの10段階評価に当てはめると、評価は換算馬力が[ 6 ]、換算トルクが[ 8 ]の「標準的な出力(中の上)のエンジン」にカテゴライズされます。

ちなみに、QR20DE型のターボ・SCエンジン搭載車種のうち、最高出力が最も大きかったのはT30型エクストレイルの150PS/20.4kgm、最も小さかったのはTC24型セレナの147PS/20.2kgmとなっています。

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排気量アップと圧縮比の上昇、ボアストローク比の変化

ノーマルの排気量と圧縮比
BoreStroke排気量圧縮比B/S比
89.080.31998cc9.90.90
ボアアップによる排気量拡大
89.580.32021cc10.00.90
90.02043cc10.10.89
90.52066cc10.20.89
91.02089cc10.30.88
91.52112cc10.40.88
92.02135cc10.50.87
ストロークアップによる排気量拡大
89.081.32023cc10.00.91
82.32048cc10.10.92
83.32073cc10.20.94
84.32098cc10.30.95
85.32123cc10.50.96

エンジンの排気量を決める要素には気筒数、ボア径、ストローク量の3つがあり、これらを増減することでさまざまな排気量のエンジンが生まれます。

ここでは実際に可能かどうかは別として、ピストン径を純正の89.0mmから0.5mm刻みで92.0mmまで拡大した場合および、ストロークを純正の80.3mmから1mm刻みで85.3mmまで延長した場合の排気量と、燃焼室容積が変化しないと仮定した場合の圧縮比の変化を一覧表にしています。

※ストロークアップと口で言うのは簡単なのですが、ロングストローク化するにあたってはクランクシャフトおよび対応コンロッドが必要になり、純正流用できない場合はワンオフで作らなければならないなど、とにかくお高く付きますので、手を出すには相当の覚悟を求められるメニューです。

圧縮比については、実際のところピストンが大径化するに伴ってピストン天面の凸凹容量も変化する場合が大半ですから、一覧表にある圧縮比の数値の通りにはなりませんが、排気量を大きくすると自ずと圧縮比も上昇しますよ、という雰囲気をご堪能ください。

B/S比はボアストローク比の略で、ボア径を広げていくと0.90からさらに値は小さくなり、ショートストローク型の恩恵と弊害が顕著になっていきます。QR20型エンジンの場合、純正ピストンから+3.0mmのボアアップをすると比は0.90から0.87に変化するという具合です。

ピストン径が近いエンジンと排気量アップ

QR20型エンジンのピストン径89.0mmとサイズが近いピストンを持つエンジンが21件ありますので、余興としてピストン流用でボアアップした場合の排気量を計算してみます。

Eg型式ピストン径排気量
レクサス
2AR型
90.0mm
[+1.0mm]
2043cc
[+45cc]
マツダ
JE型
90.0mm
[+1.0mm]
2043cc
[+45cc]
ホンダ
C30A型
90.0mm
[+1.0mm]
2043cc
[+45cc]
ホンダ
C32A型
90.0mm
[+1.0mm]
2043cc
[+45cc]
ホンダ
J37A型
90.0mm
[+1.0mm]
2043cc
[+45cc]
トヨタ
T2型
90.0mm
[+1.0mm]
2043cc
[+45cc]

ピストン径が近いエンジンとしては、レクサス:AGH30W型クラウン ハイブリッドに搭載される2AR型2493ccの90.0mm、マツダ:HEEA型ルーチェに搭載されるJE型2954ccの90.0mm、ホンダ:NA1型NSXに搭載されるC30A型2977ccの90.0mm、ホンダ:KA8型レジェンド クーペに搭載されるC32A型3206ccの90.0mm、ホンダ:KB2型レジェンドに搭載されるJ37A型3664ccの90.0mm、トヨタ:TJG00型キャバリエに搭載されるT2型2392ccの90.0mmなどが該当します。

(もはやこのような探求に楽しみを見い出す人は減ってしまいましたが)いくら径が近かろうとも、ピストンピンの径やピストンの高さ、バルブリセスの都合などなどありますので、なるべくなら同じメーカー、なるべくなら同じ燃料で同じ吸気方式、なるべくなら排気量が近いものを選ぶと純正流用できる可能性が高くなる、かもしれません。

ピストン径が小さい 2000ccクラスのエンジン
ピストン径が大きい 2000ccクラスのエンジン
ストロークが短い 2000ccクラスのエンジン
ストロークが長い 2000ccクラスのエンジン
ボアストローク比・昇順 [2000ccクラス]
ボアストローク比・降順 [2000ccクラス]


平均ピストンスピード

ストローク最大トルク
4000rpm
最高出力
6000rpm
80.3mm10.7m/s16.1m/s
回転数/分秒速時速
2000rpm5.4m/s19km/h
4000rpm10.7m/s39km/h
6000rpm16.1m/s58km/h
8000rpm21.4m/s77km/h
10000rpm26.8m/s96km/h

続きまして平均ピストンスピードについて見てみます。ストロークが80.3mmのエンジンが最高出力を発生する6000回転での平均ピストンスピードは16.1m/sとなり、これは1秒間に16.1メートル(時速にすると58.0km/h)の距離を進む速さでピストンが上下運動していますよ、という意味です。

最大トルクを発生する4000回転では10.7m/s、最高出力が発生する6000回転より500回転高い6500回転をレブリミットと仮定したときの平均速度は17.4m/sとなっています。

参考までにストロークが80.3mmのQR20型エンジンを10000回転/毎分まで回したときのピストンスピードの変化を計算してみました。これを見ると回転数が2000回転高くなるごとに概ね5.35m/sずつ速度が増していくようです。

大量生産を前提とした一般的なエンジンの目安である20.0m/sのみを基準として考えると、高回転化の上限を(回るか回らないかは別として)7470回転くらいにするのが機械的にも精神的にも好ましそうです。


QR20DE型エンジンを搭載する車種の例

全14車種のうち、最高出力が大きいものから順に上位3車種を表示しています。その他の車種については、ページ下部にあるリンクよりQR20型エンジン搭載車種の一覧をご覧ください。

メーカー
車両型式
画像車名&グレード出力/燃費
パワーウェイト
排気量
変速機
日産
T30
2006/11
エクストレイル
S
[CBA-T30]
150PS
20.4kgm
13.2km/L
9.00kg/PS
自然吸気
FF/4AT
SUV
5人乗り

エクストレイル
[S]
2006/11モデル
車両型式CBA-T30
最高出力150PS
最大トルク20.4kgm
10-15モード燃費13.2km/L
パワーウェイト9.00kg/PS
吸気方式自然吸気
駆動方式&変速機FF/4AT
車体形状&乗車定員SUV/5人乗り
日産
NT30
2006/11
エクストレイル
S
[CBA-NT30]
150PS
20.4kgm
13.2km/L
9.20kg/PS
自然吸気
4WD/5MT
SUV
5人乗り

エクストレイル
[S]
2006/11モデル
車両型式CBA-NT30
最高出力150PS
最大トルク20.4kgm
10-15モード燃費13.2km/L
パワーウェイト9.20kg/PS
吸気方式自然吸気
駆動方式&変速機4WD/5MT
車体形状&乗車定員SUV/5人乗り
日産
NT30
2006/11
エクストレイル
S
[CBA-NT30]
150PS
20.4kgm
13.0km/L
9.33kg/PS
自然吸気
4WD/4AT
SUV
5人乗り

エクストレイル
[S]
2006/11モデル
車両型式CBA-NT30
最高出力150PS
最大トルク20.4kgm
10-15モード燃費13.0km/L
パワーウェイト9.33kg/PS
吸気方式自然吸気
駆動方式&変速機4WD/4AT
車体形状&乗車定員SUV/5人乗り
QR20型エンジン搭載車種の一覧
パワーウェイトレシオ順|全15車種

その他のQR20型エンジン型式と代表的な車種

QR20DD型
全1車種
日産:ブルーバード シルフィ [20XJ-G]
最高出力150PS/最大トルク20.4kgm
2004/04モデル
日産
QR20DD型
全1車種
ブルーバード シルフィ
[20XJ-G]
150PS/20.4kgm

日産製エンジンの原動機型式まとめ
【排気量順】