日産:QD32ETi型エンジンの諸元と性能まとめ [直列4気筒 3153cc]

ここでは日産のAVE50型・キャラバンエルグランド [J|1998/10モデル] に搭載されているQD32ETi型のターボエンジンのデータを参考に、このエンジンが持つ特性や素性について調べてみます。

QD32ETi型のターボエンジン諸元


AVE50型 キャラバンエルグランド
主要諸元と走行性能まとめ
車両型式KD-AVE50型
車名&グレードキャラバンエルグランド
J
エンジン型式QD32ETi
種類直列4気筒
排気量3153cc
内径×行程99.2mm×102.0mm
ボアストローク比1.03
単気筒容積788.3cc
圧縮比22.0
吸気方式ターボ
使用燃料ディーゼル
最高出力150PS/3600rpm
最大トルク34.0kgm/2000rpm

まず基本的な成り立ちとして、QD32型エンジンはボア(内径)99.2mm、ストローク(行程)102.0mm、ボアストローク比1.03のロングストローク型エンジン(ピストン径よりもストローク量のほうが大きい)です。

排気量と気筒数が同一の場合、ショートストローク型に比べて低回転域でのトルク特性に優れ、扱い易いエンジンとされますが、高回転域では充填効率の悪化や摺動抵抗が増大して出力の低下が懸念されます。

なおかつ回転数も同一の場合、ショートストローク型に比べて平均ピストンスピードが高くなりがちなことから、エンジンへの負荷が大きくなる傾向にあります。

このサイトにて登録されている車種のうち、QD32ETI型のターボエンジンを搭載する最も古い車種は、1995/09から発売された2代目テラノ [RR50型|1997/06]、最も新しい車種は1997/05から発売された初代キャラバンエルグランド [AVE50型|1998/10]となっており、NA車は0車種、ターボ/SC車は3車種の全3車種が登録されています。

過渡特性とリッター換算馬力から見た評価

エンジン性能曲線のイメージ
QD32のエンジン性能曲線図もどき
馬力の変遷94.9PS → 150PS
トルクの変遷34.0kgm → 29.8kgm
リッター馬力47.6PS/L
リッタートルク10.8kgm/L

今回の参考車両であるキャラバンエルグランドの直列4気筒3153cc、圧縮比22.0でディーゼル仕様のターボエンジンは、3600回転のとき最高出力150馬力を、3600回転のとき最大トルク34.0kgmを発生させます。

馬力と回転数が分かればトルクが、トルクと回転数が分かれば馬力を知ることができますので計算してみますと、最大トルクが発生する2000回転での馬力は94.9PS、最高出力が発生する3600回転でのトルクは29.8kgmになります。

排気量1リットルあたりの馬力は47.6PS/L、トルクは10.8kgm/Lとなり、1気筒(単気筒容積788.3cc)あたりの馬力は37.5PS、トルクは8.5kgmです。

QD32型ターボエンジンを、このサイトで登録している全てのターボ車から集計した偏差値ベースの10段階評価に当てはめると、評価は換算馬力が[ 1 ]、換算トルクが[ 3 ]の「心もとない出力のエンジン」にカテゴライズされます。

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排気量アップと圧縮比の上昇、ボアストローク比の変化

ノーマルの排気量と圧縮比
BoreStroke排気量圧縮比B/S比
99.2102.03153cc22.01.03
ボアアップによる排気量拡大
99.7102.03185cc22.21.02
100.23217cc22.41.02
100.73249cc22.71.01
101.23282cc22.91.01
101.73314cc23.11.00
102.23347cc23.31.00
ストロークアップによる排気量拡大
99.2103.03184cc22.21.04
104.03215cc22.41.05
105.03246cc22.71.06
106.03277cc22.81.07
107.03308cc23.11.08

エンジンの排気量を決める要素には気筒数、ボア径、ストローク量の3つがあり、これらを増減することでさまざまな排気量のエンジンが生まれます。

ここでは実際に可能かどうかは別として、ピストン径を純正の99.2mmから0.5mm刻みで102.2mmまで拡大した場合および、ストロークを純正の102.0mmから1mm刻みで107.0mmまで延長した場合の排気量と、燃焼室容積が変化しないと仮定した場合の圧縮比の変化を一覧表にしています。

※ストロークアップと口で言うのは簡単なのですが、ロングストローク化するにあたってはクランクシャフトおよび対応コンロッドが必要になり、純正流用できない場合はワンオフで作らなければならないなど、とにかくお高く付きますので、手を出すには相当の覚悟を求められるメニューです。

圧縮比については、実際のところピストンが大径化するに伴ってピストン天面の凸凹容量も変化する場合が大半ですから、一覧表にある圧縮比の数値の通りにはなりませんが、排気量を大きくすると自ずと圧縮比も上昇しますよ、という雰囲気をご堪能ください。

B/S比はボアストローク比の略で、ボア径を広げていくとロングストローク型からスクエア型、あるいはショートストローク型の特性へと近付いていきます。QD32型エンジンの場合、純正ピストンから+3.0mmのボアアップをすると比は1.03から1.00に変化するという具合です。


平均ピストンスピード

ストローク最大トルク
2000rpm
最高出力
3600rpm
102.0mm6.8m/s12.2m/s
回転数/分秒速時速
2000rpm6.8m/s24km/h
4000rpm13.6m/s49km/h
6000rpm20.4m/s73km/h
8000rpm27.2m/s98km/h
10000rpm34.0m/s122km/h

続きまして平均ピストンスピードについて見てみます。ストロークが102.0mmのエンジンが最高出力を発生する3600回転での平均ピストンスピードは12.2m/sとなり、これは1秒間に12.2メートル(時速にすると43.9km/h)の距離を進む速さでピストンが上下運動していますよ、という意味です。

最大トルクを発生する2000回転では6.8m/s、最高出力が発生する3600回転より500回転高い4100回転をレブリミットと仮定したときの平均速度は13.9m/sとなっています。

参考までにストロークが102.0mmのQD32型エンジンを10000回転/毎分まで回したときのピストンスピードの変化を計算してみました。これを見ると回転数が2000回転高くなるごとに概ね6.80m/sずつ速度が増していくようです。

大量生産を前提とした一般的なエンジンの目安である20.0m/sのみを基準として考えると、高回転化の上限を(回るか回らないかは別として)5880回転くらいにするのが機械的にも精神的にも好ましそうです。


QD32ETi型エンジンを搭載する車種の例

全3車種を最高出力が大きいものから順に表示しています。

メーカー
車両型式
画像車名&グレード出力/燃費
パワーウェイト
排気量
変速機
日産
AVE50
1998/10
キャラバンエルグランド
J
[KD-AVE50]
150PS
34.0kgm
-
13.13kg/PS
ターボ
FR/4AT
ミニバン
8人乗り

キャラバンエルグランド
[J]
1998/10モデル
車両型式KD-AVE50
最高出力150PS
最大トルク34.0kgm
パワーウェイト13.13kg/PS
吸気方式ターボ
駆動方式&変速機FR/4AT
車体形状&乗車定員ミニバン/8人乗り
日産
AVWE50
1998/10
キャラバンエルグランド
Rider
[KD-AVWE50]
150PS
34.0kgm
-
14.07kg/PS
ターボ
4WD/4AT
ミニバン
8人乗り

キャラバンエルグランド
[Rider]
1998/10モデル
車両型式KD-AVWE50
最高出力150PS
最大トルク34.0kgm
パワーウェイト14.07kg/PS
吸気方式ターボ
駆動方式&変速機4WD/4AT
車体形状&乗車定員ミニバン/8人乗り
日産
RR50
1997/06
テラノ
Wide 4X4 G3m-R
[KD-RR50]
150PS
34.0kgm
-
12.67kg/PS
ターボ
4WD/4AT
SUV
5人乗り

テラノ
[Wide 4X4 G3m-R]
1997/06モデル
車両型式KD-RR50
最高出力150PS
最大トルク34.0kgm
パワーウェイト12.67kg/PS
吸気方式ターボ
駆動方式&変速機4WD/4AT
車体形状&乗車定員SUV/5人乗り

日産製エンジンの原動機型式まとめ
【排気量順】