日産:HR16DE型エンジンの諸元と性能まとめ [直列4気筒 1597cc]

ここでは日産のK13改型・マーチ A30 [Bolero A30|2016/04モデル] に搭載されているHR16DE型の自然吸気エンジンのデータを参考に、このエンジンが持つ特性や素性について調べてみます。

HR16DE型の自然吸気エンジン諸元


K13改型 マーチ A30
主要諸元と走行性能まとめ
車両型式DBA-K13改型
車名&グレードマーチ A30
Bolero A30
エンジン型式HR16DE
種類直列4気筒
排気量1597cc
内径×行程78.0mm×83.6mm
ボアストローク比1.07
単気筒容積399.5cc
圧縮比11.2
吸気方式自然吸気
使用燃料ハイオクガソリン
最高出力150PS/7000rpm
最大トルク16.3kgm/4800rpm

まず基本的な成り立ちとして、HR16型エンジンはボア(内径)78.0mm、ストローク(行程)83.6mm、ボアストローク比1.07のロングストローク型エンジン(ピストン径よりもストローク量のほうが大きい)です。

排気量と気筒数が同一の場合、ショートストローク型に比べて低回転域でのトルク特性に優れ、扱い易いエンジンとされますが、高回転域では充填効率の悪化や摺動抵抗が増大して出力の低下が懸念されます。

なおかつ回転数も同一の場合、ショートストローク型に比べて平均ピストンスピードが高くなりがちなことから、エンジンへの負荷が大きくなる傾向にあります。

このサイトにて登録されている車種のうち、HR16DE型の自然吸気エンジンを搭載する最も古い車種は、2007/05から発売された3代目マイクラC+C [FHZK12型|2007/05]、最も新しい車種は2009/05から発売された初代NV200バネットワゴン [M20型|2020/01]となっており、NA車は9車種、ターボ/SC車は0車種の全9車種が登録されています。

過渡特性とリッター換算馬力から見た評価

エンジン性能曲線のイメージ
HR16のエンジン性能曲線図もどき
馬力の変遷109.2PS → 150PS
トルクの変遷16.3kgm → 15.3kgm
リッター馬力93.93PS/L
リッタートルク10.2kgm/L

今回の参考車両であるマーチ A30の直列4気筒1597cc、圧縮比11.2でハイオクガソリン仕様の自然吸気エンジンは、7000回転のとき最高出力150馬力を、7000回転のとき最大トルク16.3kgmを発生させます。

馬力と回転数が分かればトルクが、トルクと回転数が分かれば馬力を知ることができますので計算してみますと、最大トルクが発生する4800回転での馬力は109.2PS、最高出力が発生する7000回転でのトルクは15.3kgmになります。

排気量1リットルあたりの馬力は93.93PS/L、トルクは10.2kgm/Lとなり、1気筒(単気筒容積399.5cc)あたりの馬力は37.5PS、トルクは4.1kgmです。

HR16型自然吸気エンジンを、このサイトで登録している全てのNA車から集計した偏差値ベースの10段階評価に当てはめると、評価は換算馬力が[ 9 ]、換算トルクが[ 8 ]の「かなりの高出力エンジン」にカテゴライズされます。

ちなみに、HR16DE型のターボ・SCエンジン搭載車種のうち、最高出力が最も大きかったのはK13改型マーチ A30の150PS/16.3kgm、最も小さかったのはM20型NV200バネットワゴンの109PS/15.5kgmとなっています。

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排気量アップと圧縮比の上昇、ボアストローク比の変化

ノーマルの排気量と圧縮比
BoreStroke排気量圧縮比B/S比
78.083.61597cc11.21.07
ボアアップによる排気量拡大
78.583.61618cc11.31.06
79.01639cc11.51.06
79.51660cc11.61.05
80.01681cc11.71.04
80.51702cc11.81.04
81.01723cc12.01.03
ストロークアップによる排気量拡大
78.084.61617cc11.31.08
85.61636cc11.41.10
86.61655cc11.61.11
87.61674cc11.71.12
88.61693cc11.81.14

エンジンの排気量を決める要素には気筒数、ボア径、ストローク量の3つがあり、これらを増減することでさまざまな排気量のエンジンが生まれます。

ここでは実際に可能かどうかは別として、ピストン径を純正の78.0mmから0.5mm刻みで81.0mmまで拡大した場合および、ストロークを純正の83.6mmから1mm刻みで88.6mmまで延長した場合の排気量と、燃焼室容積が変化しないと仮定した場合の圧縮比の変化を一覧表にしています。

※ストロークアップと口で言うのは簡単なのですが、ロングストローク化するにあたってはクランクシャフトおよび対応コンロッドが必要になり、純正流用できない場合はワンオフで作らなければならないなど、とにかくお高く付きますので、手を出すには相当の覚悟を求められるメニューです。

圧縮比については、実際のところピストンが大径化するに伴ってピストン天面の凸凹容量も変化する場合が大半ですから、一覧表にある圧縮比の数値の通りにはなりませんが、排気量を大きくすると自ずと圧縮比も上昇しますよ、という雰囲気をご堪能ください。

B/S比はボアストローク比の略で、ボア径を広げていくとロングストローク型からスクエア型、あるいはショートストローク型の特性へと近付いていきます。HR16型エンジンの場合、純正ピストンから+3.0mmのボアアップをすると比は1.07から1.03に変化するという具合です。

ピストン径が近いエンジンと排気量アップ

HR16型エンジンのピストン径78.0mmとサイズが近いピストンを持つエンジンが33件ありますので、余興としてピストン流用でボアアップした場合の排気量を計算してみます。

Eg型式ピストン径排気量
トヨタ
5A型
78.7mm
[+0.7mm]
1627cc
[+30cc]
スバル
FB16型
78.8mm
[+0.8mm]
1631cc
[+34cc]
トヨタ
1ZZ型
79.0mm
[+1.0mm]
1639cc
[+42cc]
日産
MRA8型
79.7mm
[+1.7mm]
1668cc
[+71cc]
日産
QG18型
80.0mm
[+2.0mm]
1681cc
[+84cc]
いすゞ
4XE1型
80.0mm
[+2.0mm]
1681cc
[+84cc]

ピストン径が近いエンジンとしては、トヨタ:AE91型カローラ レビンに搭載される5A型1498ccの78.7mm、スバル:VM4型レヴォーグに搭載されるFB16型1599ccの78.8mm、トヨタ:ZZT230型セリカに搭載される1ZZ型1794ccの79.0mm、日産:TB17型シルフィに搭載されるMRA8型1798ccの79.7mm、日産:QP12型プリメーラに搭載されるQG18型1769ccの80.0mm、いすゞ:JT191F型ジェミニに搭載される4XE1型1588ccの80.0mmなどが該当します。

(もはやこのような探求に楽しみを見い出す人は減ってしまいましたが)いくら径が近かろうとも、ピストンピンの径やピストンの高さ、バルブリセスの都合などなどありますので、なるべくなら同じメーカー、なるべくなら同じ燃料で同じ吸気方式、なるべくなら排気量が近いものを選ぶと純正流用できる可能性が高くなる、かもしれません。

ピストン径が小さい 1800ccクラスのエンジン
ピストン径が大きい 1800ccクラスのエンジン
ストロークが短い 1800ccクラスのエンジン
ストロークが長い 1800ccクラスのエンジン
ボアストローク比・昇順 [1800ccクラス]
ボアストローク比・降順 [1800ccクラス]


平均ピストンスピード

ストローク最大トルク
4800rpm
最高出力
7000rpm
83.6mm13.4m/s19.5m/s
回転数/分秒速時速
2000rpm5.6m/s20km/h
4000rpm11.1m/s40km/h
6000rpm16.7m/s60km/h
8000rpm22.3m/s80km/h
10000rpm27.9m/s100km/h

続きまして平均ピストンスピードについて見てみます。ストロークが83.6mmのエンジンが最高出力を発生する7000回転での平均ピストンスピードは19.5m/sとなり、これは1秒間に19.5メートル(時速にすると70.2km/h)の距離を進む速さでピストンが上下運動していますよ、という意味です。

最大トルクを発生する4800回転では13.4m/s、最高出力が発生する7000回転より500回転高い7500回転をレブリミットと仮定したときの平均速度は20.9m/sとなっています。

参考までにストロークが83.6mmのHR16型エンジンを10000回転/毎分まで回したときのピストンスピードの変化を計算してみました。これを見ると回転数が2000回転高くなるごとに概ね5.57m/sずつ速度が増していくようです。

大量生産を前提とした一般的なエンジンの目安である20.0m/sのみを基準として考えると、高回転化の上限を(回るか回らないかは別として)7180回転くらいにするのが機械的にも精神的にも好ましそうです。


HR16DE型エンジンを搭載する車種の例

全9車種のうち、最高出力が大きいものから順に上位3車種を表示しています。その他の車種については、ページ下部にあるリンクよりHR16型エンジン搭載車種の一覧をご覧ください。

メーカー
車両型式
画像車名&グレード出力/燃費
パワーウェイト
排気量
変速機
日産
K13改
2016/04
マーチ A30
Bolero A30
[DBA-K13改]
150PS
16.3kgm
-
6.867kg/PS
自然吸気
FF/5MT
ハッチバック
5人乗り
車両型式:DBA-K13改

マーチ A30
[Bolero A30]
2016/04モデル
最高出力150PS
最大トルク16.3kgm
吸気方式自然吸気
車体構成5人乗りハッチバック
FF/5MT
日産
E12改
2014/10
ノート
NISMO S
[DBA-E12改]
140PS
16.6kgm
-
7.714kg/PS
自然吸気
FF/5MT
ハッチバック
5人乗り
車両型式:DBA-E12改

ノート
[NISMO S]
2014/10モデル
最高出力140PS
最大トルク16.6kgm
吸気方式自然吸気
車体構成5人乗りハッチバック
FF/5MT
日産
FHZK12
2007/05
マイクラC+C
BaseGrade
[ABA-FHZK12]
110PS
15.6kgm
13.2km/L
10.909kg/PS
自然吸気
FF/4AT
オープンカー
4人乗り
車両型式:ABA-FHZK12

マイクラC+C
[BaseGrade]
2007/05モデル
最高出力110PS
最大トルク15.6kgm
10-15モード燃費13.2km/L
吸気方式自然吸気
車体構成4人乗りオープンカー
FF/4AT
HR16型エンジン搭載車種の一覧
パワーウェイトレシオ順|全11車種

その他のHR16型エンジン型式と代表的な車種

HR16DE型
全2車種
三菱:デリカD:3 [G]
最高出力109PS/最大トルク15.5kgm
2011/10モデル
三菱
HR16DE型
全2車種
デリカD:3
[G]
109PS/15.5kgm

日産製エンジンの原動機型式まとめ
【排気量順】