ここでは光岡・レイ [BaseGrade|2004/04モデル] に搭載されているEF-VE型の自然吸気エンジンのデータを参考に、このエンジンが持つ特性や素性について調べてみます。
EF-VE型の自然吸気エンジン諸元
レイ 主要諸元と走行性能まとめ | |
車名&グレード | レイ BaseGrade |
---|---|
エンジン型式 | EF-VE |
種類 | 直列3気筒 |
排気量 | 659cc |
内径×行程 | 68.0mm×60.5mm |
ボアストローク比 | 0.89 |
単気筒容積 | 219.7cc |
圧縮比 | 10.5 |
吸気方式 | 自然吸気 |
使用燃料 | レギュラーガソリン |
最高出力 | 58PS/7600rpm |
最大トルク | 6.5kgm/4000rpm |
まず基本的な成り立ちとして、EF型エンジンはボア(内径)68.0mm、ストローク(行程)60.5mm、ボアストローク比0.89のショートストローク型エンジン(ストローク量よりもピストン径のほうが大きい)です。
排気量と気筒数が同一の場合、ロングストローク型に比べて低回転域でのトルク特性に劣り、扱いにくいエンジンとされるものの、高回転域では充填効率の向上や摺動抵抗の増大も(ロングストローク型に比べれば)軽微なことから出力の向上が見込まれます。
また同じ回転数でも平均ピストンスピードが抑えられることから、その分だけエンジンへの負荷は低減される傾向にあります。
このサイトにてEF-VE型の自然吸気エンジンを搭載している車種は、2002/06から発売された3代目レイ [2004/04]となっており、NA車は2車種、ターボ/SC車は0車種の全2車種が登録されています。
過渡特性とリッター換算馬力から見た評価
エンジン性能曲線のイメージ | |
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馬力の変遷 | 36.3PS → 58PS |
トルクの変遷 | 6.5kgm → 5.5kgm |
リッター馬力 | 88.01PS/L |
リッタートルク | 9.9kgm/L |
今回の参考車両であるレイの直列3気筒659cc、圧縮比10.5でレギュラーガソリン仕様の自然吸気エンジンは、7600回転のとき最高出力58馬力を、7600回転のとき最大トルク6.5kgmを発生させます。
馬力と回転数が分かればトルクが、トルクと回転数が分かれば馬力を知ることができますので計算してみますと、最大トルクが発生する4000回転での馬力は36.3PS、最高出力が発生する7600回転でのトルクは5.5kgmになります。
排気量1リットルあたりの馬力は88.01PS/L、トルクは9.9kgm/Lとなり、1気筒(単気筒容積219.7cc)あたりの馬力は19.3PS、トルクは2.2kgmです。
EF型自然吸気エンジンを、このサイトで登録している全てのNA車から集計した偏差値ベースの10段階評価に当てはめると、評価は換算馬力が[ 8 ]、換算トルクが[ 7 ]の「結構な高出力エンジン」にカテゴライズされます。
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排気量アップと圧縮比の上昇、ボアストローク比の変化
ノーマルの排気量と圧縮比 | ||||
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Bore | Stroke | 排気量 | 圧縮比 | B/S比 |
68.0 | 60.5 | 659cc | 10.5 | 0.89 |
ボアアップによる排気量拡大 | ||||
68.5 | 60.5 | 669cc | 10.7 | 0.88 |
69.0 | 679cc | 10.8 | 0.88 | |
69.5 | 689cc | 11.0 | 0.87 | |
70.0 | 698cc | 11.1 | 0.86 | |
70.5 | 708cc | 11.2 | 0.86 | |
71.0 | 719cc | 11.4 | 0.85 | |
ストロークアップによる排気量拡大 | ||||
68.0 | 61.5 | 670cc | 10.7 | 0.90 |
62.5 | 681cc | 10.8 | 0.92 | |
63.5 | 692cc | 11.0 | 0.93 | |
64.5 | 703cc | 11.1 | 0.95 | |
65.5 | 714cc | 11.3 | 0.96 |
エンジンの排気量を決める要素には気筒数、ボア径、ストローク量の3つがあり、これらを増減することでさまざまな排気量のエンジンが生まれます。
ここでは実際に可能かどうかは別として、ピストン径を純正の68.0mmから0.5mm刻みで71.0mmまで拡大した場合および、ストロークを純正の60.5mmから1mm刻みで65.5mmまで延長した場合の排気量と、燃焼室容積が変化しないと仮定した場合の圧縮比の変化を一覧表にしています。
※ストロークアップと口で言うのは簡単なのですが、ロングストローク化するにあたってはクランクシャフトおよび対応コンロッドが必要になり、純正流用できない場合はワンオフで作らなければならないなど、とにかくお高く付きますので、手を出すには相当の覚悟を求められるメニューです。
圧縮比については、実際のところピストンが大径化するに伴ってピストン天面の凸凹容量も変化する場合が大半ですから、一覧表にある圧縮比の数値の通りにはなりませんが、排気量を大きくすると自ずと圧縮比も上昇しますよ、という雰囲気をご堪能ください。
B/S比はボアストローク比の略で、ボア径を広げていくと0.89からさらに値は小さくなり、ショートストローク型の恩恵と弊害が顕著になっていきます。EF型エンジンの場合、純正ピストンから+3.0mmのボアアップをすると比は0.89から0.85に変化するという具合です。
ピストン径が近いエンジンと排気量アップ
EF型エンジンのピストン径68.0mmとサイズが近いピストンを持つエンジンが12件ありますので、余興としてピストン流用でボアアップした場合の排気量を計算してみます。
Eg型式 | ピストン径 | 排気量 |
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トヨタ 1SZ型 | 69.0mm [+1.0mm] | 679cc [+20cc] |
トヨタ 1KR型 | 71.0mm [+3.0mm] | 719cc [+60cc] |
ホンダ P07A型 | 71.0mm [+3.0mm] | 719cc [+60cc] |
三菱 4G13型 | 71.0mm [+3.0mm] | 719cc [+60cc] |
日産 CG13型 | 71.0mm [+3.0mm] | 719cc [+60cc] |
マツダ B3型 | 71.0mm [+3.0mm] | 719cc [+60cc] |
ピストン径が近いエンジンとしては、トヨタ:SCP10型ヴィッツに搭載される1SZ型997ccの69.0mm、トヨタ:M900F型ブーンに搭載される1KR型996ccの71.0mm、ホンダ:JE1型ゼスト スパークに搭載されるP07A型658ccの71.0mm、三菱:CJ1A型ミラージュに搭載される4G13型1298ccの71.0mm、日産:Z10型キューブに搭載されるCG13型1274ccの71.0mm、マツダ:DW3W型ファミリアに搭載されるB3型1323ccの71.0mmなどが該当します。
(もはやこのような探求に楽しみを見い出す人は減ってしまいましたが)いくら径が近かろうとも、ピストンピンの径やピストンの高さ、バルブリセスの都合などなどありますので、なるべくなら同じメーカー、なるべくなら同じ燃料で同じ吸気方式、なるべくなら排気量が近いものを選ぶと純正流用できる可能性が高くなる、かもしれません。
●ピストン径が小さい 軽自動車のエンジン
●ピストン径が大きい 軽自動車のエンジン
●ストロークが短い 軽自動車のエンジン
●ストロークが長い 軽自動車のエンジン
●ボアストローク比・昇順 [軽自動車]
●ボアストローク比・降順 [軽自動車]
平均ピストンスピード
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続きまして平均ピストンスピードについて見てみます。ストロークが60.5mmのエンジンが最高出力を発生する7600回転での平均ピストンスピードは15.3m/sとなり、これは1秒間に15.3メートル(時速にすると55.1km/h)の距離を進む速さでピストンが上下運動していますよ、という意味です。
最大トルクを発生する4000回転では8.1m/s、最高出力が発生する7600回転より500回転高い8100回転をレブリミットと仮定したときの平均速度は16.3m/sとなっています。
参考までにストロークが60.5mmのEF型エンジンを10000回転/毎分まで回したときのピストンスピードの変化を計算してみました。これを見ると回転数が2000回転高くなるごとに概ね4.05m/sずつ速度が増していくようです。
大量生産を前提とした一般的なエンジンの目安である20.0m/sのみを基準として考えると、高回転化の上限を(回るか回らないかは別として)9920回転くらいにするのが機械的にも精神的にも好ましそうです。
EF-VE型エンジンを搭載する車種の例
全2車種のうち、最高出力が大きいものから順に上位3車種を表示しています。その他の車種については、ページ下部にあるリンクよりEF型エンジン搭載車種の一覧をご覧ください。
メーカー 車両型式 | 画像 | 車名&グレード | 出力/燃費 パワーウェイト | 排気量 変速機 | ||||||||||||||
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光岡 - | 2004/04 レイ BaseGrade [型式不明] | 58PS 6.5kgm 17.6km/L 13.966kg/PS | 自然吸気 4WD/4AT 軽ハッチバック 4人乗り | |||||||||||||||
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光岡 - | 2004/04 レイ BaseGrade [型式不明] | 58PS 6.5kgm 19.4km/L 13.276kg/PS | 自然吸気 FF/4AT 軽ハッチバック 4人乗り | |||||||||||||||
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EF型エンジン搭載車種の一覧 パワーウェイトレシオ順|全142車種 |
その他のEF型エンジン型式と代表的な車種
EF-VE型 全57車種 | ダイハツ:ミラジーノ [Gino] 最高出力58PS/最大トルク6.5kgm 2004/06モデル | |
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ダイハツ EF-VE型 全57車種 | ミラジーノ [Gino] 58PS/6.5kgm | |
EF-DET型 全47車種 | ダイハツ:テリオスキッド [Custom-X] 最高出力64PS/最大トルク10.9kgm 2010/08モデル | |
ダイハツ EF-DET型 全47車種 | テリオスキッド [Custom-X] 64PS/10.9kgm | |
EF-SE型 全13車種 | ダイハツ:ミラ [D] 最高出力48PS/最大トルク5.7kgm 2005/08モデル | |
ダイハツ EF-SE型 全13車種 | ミラ [D] 48PS/5.7kgm | |
EF-RL型 全6車種 | ダイハツ:ミラ [TR-XX Avanzato] 最高出力64PS/最大トルク10.7kgm 1997/05モデル | |
ダイハツ EF-RL型 全6車種 | ミラ [TR-XX Avanzato] 64PS/10.7kgm | |
EF-ZL型 全6車種 | ダイハツ:オプティ [Club-Sport] 最高出力55PS/最大トルク6.2kgm 1997/08モデル | |
ダイハツ EF-ZL型 全6車種 | オプティ [Club-Sport] 55PS/6.2kgm | |
EF-JL型 全5車種 | ダイハツ:リーザ [OXY-R] 最高出力64PS/最大トルク9.4kgm 1991/11モデル | |
ダイハツ EF-JL型 全5車種 | リーザ [OXY-R] 64PS/9.4kgm | |
EF-DEM型 全3車種 | ダイハツ:テリオスキッド [L] 最高出力60PS/最大トルク8.6kgm 2004/04モデル | |
ダイハツ EF-DEM型 全3車種 | テリオスキッド [L] 60PS/8.6kgm | |
EF-GL型 全1車種 | ダイハツ:ムーヴ [CG] 最高出力52PS/最大トルク5.8kgm 1997/12モデル | |
ダイハツ EF-GL型 全1車種 | ムーヴ [CG] 52PS/5.8kgm | |
EF-VD型 全1車種 | ダイハツ:ミラ [V] 最高出力60PS/最大トルク6.6kgm 2005/08モデル | |
ダイハツ EF-VD型 全1車種 | ミラ [V] 60PS/6.6kgm | |
EF-VE2型 全1車種 | ダイハツ:ミラ [TV] 最高出力52PS/最大トルク6.3kgm 2001/10モデル | |
ダイハツ EF-VE2型 全1車種 | ミラ [TV] 52PS/6.3kgm |