光岡:A25A-FXS型エンジンの諸元と性能まとめ [直4+モーター 2487cc]

ここでは光岡のAXAH52型・バディ [Hybrid-ST|2020/11モデル] に搭載されているA25A-FXS型の自然吸気エンジンのデータを参考に、このエンジンが持つ特性や素性について調べてみます。

A25A-FXS型の自然吸気エンジン諸元


AXAH52型 バディ
主要諸元と走行性能まとめ
車両型式6AA-AXAH52型
車名&グレードバディ
Hybrid-ST
エンジン型式A25A-FXS
種類直4+モーター
排気量2487cc
内径×行程87.5mm×103.4mm
ボアストローク比1.18
単気筒容積621.7cc
吸気方式自然吸気
使用燃料レギュラーガソリン
最高出力178PS/5700rpm
最大トルク22.5kgm/3600-5200rpm

まず基本的な成り立ちとして、A25A型エンジンはボア(内径)87.5mm、ストローク(行程)103.4mm、ボアストローク比1.18のロングストローク型エンジン(ピストン径よりもストローク量のほうが大きい)です。

排気量と気筒数が同一の場合、ショートストローク型に比べて低回転域でのトルク特性に優れ、扱い易いエンジンとされますが、高回転域では充填効率の悪化や摺動抵抗が増大して出力の低下が懸念されます。

なおかつ回転数も同一の場合、ショートストローク型に比べて平均ピストンスピードが高くなりがちなことから、エンジンへの負荷が大きくなる傾向にあります。

このサイトにてA25A-FXS型の自然吸気エンジンを搭載している車種は、2020/11から発売された初代バディ [AXAH52型|2020/11]となっており、NA車は2車種、ターボ/SC車は0車種の全2車種が登録されています。

過渡特性とリッター換算馬力から見た評価

エンジン性能曲線のイメージ
A25Aのエンジン性能曲線図もどき
馬力の変遷113.1PS → 178PS
トルクの変遷22.5kgm → 22.4kgm
リッター馬力71.57PS/L
リッタートルク9.1kgm/L

今回の参考車両であるバディの直4+モーター2487ccでレギュラーガソリン仕様の自然吸気エンジンは、5700回転のとき最高出力178馬力を、5700回転のとき最大トルク22.5kgmを発生させます。

馬力と回転数が分かればトルクが、トルクと回転数が分かれば馬力を知ることができますので計算してみますと、最大トルクが発生する3600回転での馬力は113.1PS、最高出力が発生する5700回転でのトルクは22.4kgmになります。

排気量1リットルあたりの馬力は71.57PS/L、トルクは9.1kgm/Lとなり、1気筒(単気筒容積621.7cc)あたりの馬力は44.5PS、トルクは5.6kgmです。

A25A型自然吸気エンジンを、このサイトで登録している全てのNA車から集計した偏差値ベースの10段階評価に当てはめると、評価は換算馬力が[ 5 ]、換算トルクが[ 5 ]の「標準的な出力(中の下)のエンジン」にカテゴライズされます。

【PR】エンジンオイルの通販革命!高品質×低価格
TAKUMIモーターオイル HIGH QUALITY【5W-30】


排気量アップと圧縮比の上昇、ボアストローク比の変化

ノーマルの排気量と圧縮比
BoreStroke排気量圧縮比B/S比
87.5103.42487cc-1.18
ボアアップによる排気量拡大
88.0103.42515cc-1.18
88.52544cc-1.17
89.02573cc-1.16
89.52602cc-1.16
90.02631cc-1.15
90.52660cc-1.14
ストロークアップによる排気量拡大
87.5104.42511cc-1.19
105.42535cc-1.20
106.42559cc-1.22
107.42583cc-1.23
108.42607cc-1.24

エンジンの排気量を決める要素には気筒数、ボア径、ストローク量の3つがあり、これらを増減することでさまざまな排気量のエンジンが生まれます。

ここでは実際に可能かどうかは別として、ピストン径を純正の87.5mmから0.5mm刻みで90.5mmまで拡大した場合および、ストロークを純正の103.4mmから1mm刻みで108.4mmまで延長した場合の排気量と、燃焼室容積が変化しないと仮定した場合の圧縮比の変化を一覧表にしています。

※ストロークアップと口で言うのは簡単なのですが、ロングストローク化するにあたってはクランクシャフトおよび対応コンロッドが必要になり、純正流用できない場合はワンオフで作らなければならないなど、とにかくお高く付きますので、手を出すには相当の覚悟を求められるメニューです。

B/S比はボアストローク比の略で、ボア径を広げていくとロングストローク型からスクエア型、あるいはショートストローク型の特性へと近付いていきます。A25A型エンジンの場合、純正ピストンから+3.0mmのボアアップをすると比は1.18から1.14に変化するという具合です。

ピストン径が近いエンジンと排気量アップ

A25A型エンジンのピストン径87.5mmとサイズが近いピストンを持つエンジンが20件ありますので、余興としてピストン流用でボアアップした場合の排気量を計算してみます。

Eg型式ピストン径排気量
レクサス
2AZ型
88.5mm
[+1.0mm]
2544cc
[+57cc]
日産
QR25型
89.0mm
[+1.5mm]
2573cc
[+86cc]
日産
KA24型
89.0mm
[+1.5mm]
2573cc
[+86cc]
マツダ
PY型
89.0mm
[+1.5mm]
2573cc
[+86cc]
日産
QR20型
89.0mm
[+1.5mm]
2573cc
[+86cc]
マツダ
L5型
89.0mm
[+1.5mm]
2573cc
[+86cc]

ピストン径が近いエンジンとしては、レクサス:ANH20W型エスティマ ハイブリッドに搭載される2AZ型2362ccの88.5mm、日産:WRP12型プリメーラ ワゴンに搭載されるQR25型2488ccの89.0mm、日産:JQGE25型ルネッサに搭載されるKA24型2388ccの89.0mm、マツダ:GJ5FP型アテンザ ワゴンに搭載されるPY型2488ccの89.0mm、日産:TG10型ブルーバード シルフィに搭載されるQR20型1998ccの89.0mm、マツダ:GH5FS型アテンザ スポーツに搭載されるL5型2488ccの89.0mmなどが該当します。

(もはやこのような探求に楽しみを見い出す人は減ってしまいましたが)いくら径が近かろうとも、ピストンピンの径やピストンの高さ、バルブリセスの都合などなどありますので、なるべくなら同じメーカー、なるべくなら同じ燃料で同じ吸気方式、なるべくなら排気量が近いものを選ぶと純正流用できる可能性が高くなる、かもしれません。

ピストン径が小さい 2500ccクラスのエンジン
ピストン径が大きい 2500ccクラスのエンジン
ストロークが短い 2500ccクラスのエンジン
ストロークが長い 2500ccクラスのエンジン
ボアストローク比・昇順 [2500ccクラス]
ボアストローク比・降順 [2500ccクラス]


平均ピストンスピード

ストローク最大トルク
3600rpm
最高出力
5700rpm
103.4mm12.4m/s19.6m/s
回転数/分秒速時速
2000rpm6.9m/s25km/h
4000rpm13.8m/s50km/h
6000rpm20.7m/s75km/h
8000rpm27.6m/s99km/h
10000rpm34.5m/s124km/h

続きまして平均ピストンスピードについて見てみます。ストロークが103.4mmのエンジンが最高出力を発生する5700回転での平均ピストンスピードは19.6m/sとなり、これは1秒間に19.6メートル(時速にすると70.6km/h)の距離を進む速さでピストンが上下運動していますよ、という意味です。

最大トルクを発生する3600回転では12.4m/s、最高出力が発生する5700回転より500回転高い6200回転をレブリミットと仮定したときの平均速度は21.4m/sとなっています。

参考までにストロークが103.4mmのA25A型エンジンを10000回転/毎分まで回したときのピストンスピードの変化を計算してみました。これを見ると回転数が2000回転高くなるごとに概ね6.90m/sずつ速度が増していくようです。

大量生産を前提とした一般的なエンジンの目安である20.0m/sのみを基準として考えると、高回転化の上限を(回るか回らないかは別として)5800回転くらいにするのが機械的にも精神的にも好ましそうです。


A25A-FXS型エンジンを搭載する車種の例

全2車種のうち、最高出力が大きいものから順に上位3車種を表示しています。その他の車種については、ページ下部にあるリンクよりA25A型エンジン搭載車種の一覧をご覧ください。

メーカー
車両型式
画像車名&グレード出力/燃費
パワーウェイト
排気量
変速機
光岡
AXAH52
2020/11
バディ
Hybrid-ST
[6AA-AXAH52]
178PS
22.5kgm
21.4km/L
9.438kg/PS
自然吸気
FF/CVT
SUV
5人乗り
車両型式:6AA-AXAH52

バディ
[Hybrid-ST]
2020/11モデル
最高出力178PS
最大トルク22.5kgm
WLTCモード燃費21.4km/L
JC08モード燃費25.2km/L
吸気方式自然吸気
車体構成5人乗りSUV
FF/CVT
光岡
AXAH54
2020/11
バディ
Hybrid-DX
[6AA-AXAH54]
178PS
22.5kgm
20.6km/L
9.831kg/PS
自然吸気
4WD/CVT
SUV
5人乗り
車両型式:6AA-AXAH54

バディ
[Hybrid-DX]
2020/11モデル
最高出力178PS
最大トルク22.5kgm
WLTCモード燃費20.6km/L
JC08モード燃費25.0km/L
吸気方式自然吸気
車体構成5人乗りSUV
4WD/CVT
A25A型エンジン搭載車種の一覧
パワーウェイトレシオ順|全42車種

その他のA25A型エンジン型式と代表的な車種

A25A-FXS型
全25車種
トヨタ:ヴェルファイア ハイブリッド [Hybrid Executive Lounge]
最高出力190PS/最大トルク24.1kgm
2023/06モデル
トヨタ
A25A-FXS型
全25車種
ヴェルファイア ハイブリッド
[Hybrid Executive Lounge]
190PS/24.1kgm
A25A-FXS型
全8車種
レクサス:NX [NX350h]
最高出力190PS/最大トルク24.8kgm
2021/10モデル
レクサス
A25A-FXS型
全8車種
NX
[NX350h]
190PS/24.8kgm
A25A-FKS型
全4車種
レクサス:NX [NX250]
最高出力201PS/最大トルク24.6kgm
2021/10モデル
レクサス
A25A-FKS型
全4車種
NX
[NX250]
201PS/24.6kgm
A25A-FXS型
全3車種
ダイハツ:アルティス [G]
最高出力178PS/最大トルク22.5kgm
2021/02モデル
ダイハツ
A25A-FXS型
全3車種
アルティス
[G]
178PS/22.5kgm

光岡製エンジンの原動機型式まとめ
【排気量順】