ここでは光岡のNRE161型・リューギ ワゴン [15ST|2016/01モデル] に搭載されている2NR-FKE型の自然吸気エンジンのデータを参考に、このエンジンが持つ特性や素性について調べてみます。
2NR-FKE型の自然吸気エンジン諸元
NRE161型 リューギ ワゴン 主要諸元と走行性能まとめ | |
車両型式 | DBA-NRE161G型 |
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車名&グレード | リューギ ワゴン 15ST |
エンジン型式 | 2NR-FKE |
種類 | 直列4気筒 |
排気量 | 1496cc |
内径×行程 | 72.5mm×90.6mm |
ボアストローク比 | 1.25 |
単気筒容積 | 374.0cc |
圧縮比 | 13.5 |
吸気方式 | 自然吸気 |
使用燃料 | レギュラーガソリン |
最高出力 | 109PS/6000rpm |
最大トルク | 13.9kgm/4400rpm |
まず基本的な成り立ちとして、2NR型エンジンはボア(内径)72.5mm、ストローク(行程)90.6mm、ボアストローク比1.25のロングストローク型エンジン(ピストン径よりもストローク量のほうが大きい)です。
排気量と気筒数が同一の場合、ショートストローク型に比べて低回転域でのトルク特性に優れ、扱い易いエンジンとされますが、高回転域では充填効率の悪化や摺動抵抗が増大して出力の低下が懸念されます。
なおかつ回転数も同一の場合、ショートストローク型に比べて平均ピストンスピードが高くなりがちなことから、エンジンへの負荷が大きくなる傾向にあります。
過渡特性とリッター換算馬力から見た評価
エンジン性能曲線のイメージ | |
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馬力の変遷 | 85.4PS → 109PS |
トルクの変遷 | 13.9kgm → 13.0kgm |
リッター馬力 | 72.86PS/L |
リッタートルク | 9.3kgm/L |
今回の参考車両であるリューギ ワゴンの直列4気筒1496cc、圧縮比13.5でレギュラーガソリン仕様の自然吸気エンジンは、6000回転のとき最高出力109馬力を、6000回転のとき最大トルク13.9kgmを発生させます。
馬力と回転数が分かればトルクが、トルクと回転数が分かれば馬力を知ることができますので計算してみますと、最大トルクが発生する4400回転での馬力は85.4PS、最高出力が発生する6000回転でのトルクは13.0kgmになります。
排気量1リットルあたりの馬力は72.86PS/L、トルクは9.3kgm/Lとなり、1気筒(単気筒容積374.0cc)あたりの馬力は27.2PS、トルクは3.5kgmです。
2NR型自然吸気エンジンを、このサイトで登録している全てのNA車から集計した偏差値ベースの10段階評価に当てはめると、評価は換算馬力が[ 6 ]、換算トルクが[ 5 ]の「標準的な出力(中の上)のエンジン」にカテゴライズされます。
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排気量アップと圧縮比の上昇、ボアストローク比の変化
ノーマルの排気量と圧縮比 | ||||
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Bore | Stroke | 排気量 | 圧縮比 | B/S比 |
72.5 | 90.6 | 1496cc | 13.5 | 1.25 |
ボアアップによる排気量拡大 | ||||
73.0 | 90.6 | 1517cc | 13.7 | 1.24 |
73.5 | 1538cc | 13.8 | 1.23 | |
74.0 | 1559cc | 14.0 | 1.22 | |
74.5 | 1580cc | 14.2 | 1.22 | |
75.0 | 1601cc | 14.4 | 1.21 | |
75.5 | 1622cc | 14.6 | 1.20 | |
ストロークアップによる排気量拡大 | ||||
72.5 | 91.6 | 1513cc | 13.6 | 1.26 |
92.6 | 1529cc | 13.8 | 1.28 | |
93.6 | 1546cc | 13.9 | 1.29 | |
94.6 | 1562cc | 14.1 | 1.30 | |
95.6 | 1579cc | 14.2 | 1.32 |
エンジンの排気量を決める要素には気筒数、ボア径、ストローク量の3つがあり、これらを増減することでさまざまな排気量のエンジンが生まれます。
ここでは実際に可能かどうかは別として、ピストン径を純正の72.5mmから0.5mm刻みで75.5mmまで拡大した場合および、ストロークを純正の90.6mmから1mm刻みで95.6mmまで延長した場合の排気量と、燃焼室容積が変化しないと仮定した場合の圧縮比の変化を一覧表にしています。
※ストロークアップと口で言うのは簡単なのですが、ロングストローク化するにあたってはクランクシャフトおよび対応コンロッドが必要になり、純正流用できない場合はワンオフで作らなければならないなど、とにかくお高く付きますので、手を出すには相当の覚悟を求められるメニューです。
圧縮比については、実際のところピストンが大径化するに伴ってピストン天面の凸凹容量も変化する場合が大半ですから、一覧表にある圧縮比の数値の通りにはなりませんが、排気量を大きくすると自ずと圧縮比も上昇しますよ、という雰囲気をご堪能ください。
B/S比はボアストローク比の略で、ボア径を広げていくとロングストローク型からスクエア型、あるいはショートストローク型の特性へと近付いていきます。2NR型エンジンの場合、純正ピストンから+3.0mmのボアアップをすると比は1.25から1.20に変化するという具合です。
ピストン径が近いエンジンと排気量アップ
2NR型エンジンのピストン径72.5mmとサイズが近いピストンを持つエンジンが37件ありますので、余興としてピストン流用でボアアップした場合の排気量を計算してみます。
Eg型式 | ピストン径 | 排気量 |
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トヨタ WA型 | 73.5mm [+1.0mm] | 1538cc [+42cc] |
日産 GA15型 | 73.6mm [+1.1mm] | 1542cc [+46cc] |
日産 QG15型 | 73.6mm [+1.1mm] | 1542cc [+46cc] |
ホンダ D13C型 | 73.7mm [+1.2mm] | 1546cc [+50cc] |
トヨタ 5E型 | 74.0mm [+1.5mm] | 1559cc [+63cc] |
トヨタ 4E型 | 74.0mm [+1.5mm] | 1559cc [+63cc] |
ピストン径が近いエンジンとしては、トヨタ:A201S型ロッキーに搭載されるWA型1196ccの73.5mm、日産:WFGY10型ラシーンに搭載されるGA15型1497ccの73.6mm、日産:FB15型ファミリア ビジネスワゴンに搭載されるQG15型1497ccの73.6mm、ホンダ:GA2型シティに搭載されるD13C型1296ccの73.7mm、トヨタ:EL44型サイノスに搭載される5E型1496ccの74.0mm、トヨタ:EL41型カローラIIに搭載される4E型1331ccの74.0mmなどが該当します。
(もはやこのような探求に楽しみを見い出す人は減ってしまいましたが)いくら径が近かろうとも、ピストンピンの径やピストンの高さ、バルブリセスの都合などなどありますので、なるべくなら同じメーカー、なるべくなら同じ燃料で同じ吸気方式、なるべくなら排気量が近いものを選ぶと純正流用できる可能性が高くなる、かもしれません。
●ピストン径が小さい 1500ccクラスのエンジン
●ピストン径が大きい 1500ccクラスのエンジン
●ストロークが短い 1500ccクラスのエンジン
●ストロークが長い 1500ccクラスのエンジン
●ボアストローク比・昇順 [1500ccクラス]
●ボアストローク比・降順 [1500ccクラス]
平均ピストンスピード
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続きまして平均ピストンスピードについて見てみます。ストロークが90.6mmのエンジンが最高出力を発生する6000回転での平均ピストンスピードは18.1m/sとなり、これは1秒間に18.1メートル(時速にすると65.2km/h)の距離を進む速さでピストンが上下運動していますよ、という意味です。
最大トルクを発生する4400回転では13.3m/s、最高出力が発生する6000回転より500回転高い6500回転をレブリミットと仮定したときの平均速度は19.6m/sとなっています。
参考までにストロークが90.6mmの2NR型エンジンを10000回転/毎分まで回したときのピストンスピードの変化を計算してみました。これを見ると回転数が2000回転高くなるごとに概ね6.05m/sずつ速度が増していくようです。
大量生産を前提とした一般的なエンジンの目安である20.0m/sのみを基準として考えると、高回転化の上限を(回るか回らないかは別として)6620回転くらいにするのが機械的にも精神的にも好ましそうです。
2NR-FKE型エンジンを搭載する車種の例
全1車種のうち、最高出力が大きいものから順に上位3車種を表示しています。その他の車種については、ページ下部にあるリンクより2NR型エンジン搭載車種の一覧をご覧ください。
メーカー 車両型式 | 画像 | 車名&グレード | 出力/燃費 パワーウェイト | 排気量 変速機 | ||||||||||||
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光岡 NRE161 | 2016/01 リューギ ワゴン 15ST [DBA-NRE161G] | 109PS 13.9kgm - 10.734kg/PS | 自然吸気 FF/CVT ワゴン 5人乗り | |||||||||||||
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2NR型エンジン搭載車種の一覧 パワーウェイトレシオ順|全21車種 |
その他の2NR型エンジン型式と代表的な車種
2NR-FKE型 全10車種 | トヨタ:シエンタ [X V-package|7人乗] 最高出力109PS/最大トルク13.9kgm 2015/07モデル | |
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トヨタ 2NR-FKE型 全10車種 | シエンタ [X V-package|7人乗] 109PS/13.9kgm | |
2NR-VE型 全10車種 | トヨタ:タウンエース バン [DX 5名乗車] 最高出力97PS/最大トルク13.7kgm 2020/09モデル | |
トヨタ 2NR-VE型 全10車種 | タウンエース バン [DX 5名乗車] 97PS/13.7kgm |