三菱:4G61型エンジンの諸元と性能まとめ [直列4気筒 1595cc]

ここでは三菱のC53A型・ミラージュ サイボーグRS [Cyborg-RS|1990/10モデル] に搭載されている4G61型のターボエンジンのデータを参考に、このエンジンが持つ特性や素性について調べてみます。

4G61型のターボエンジン諸元


C53A型 ミラージュ サイボーグRS
主要諸元と走行性能まとめ
車両型式E-C53A型
車名&グレードミラージュ サイボーグRS
Cyborg-RS
エンジン型式4G61
種類直列4気筒
排気量1595cc
内径×行程82.3mm×75.0mm
ボアストローク比0.91
単気筒容積399.0cc
圧縮比8.0
吸気方式ターボ
使用燃料ハイオクガソリン
最高出力160PS/6000rpm
最大トルク22.5kgm/2500rpm

まず基本的な成り立ちとして、4G61型エンジンはボア(内径)82.3mm、ストローク(行程)75.0mm、ボアストローク比0.91のショートストローク型エンジン(ストローク量よりもピストン径のほうが大きい)です。

排気量と気筒数が同一の場合、ロングストローク型に比べて低回転域でのトルク特性に劣り、扱いにくいエンジンとされるものの、高回転域では充填効率の向上や摺動抵抗の増大も(ロングストローク型に比べれば)軽微なことから出力の向上が見込まれます。

また同じ回転数でも平均ピストンスピードが抑えられることから、その分だけエンジンへの負荷は低減される傾向にあります。

このサイトにて4G61型のターボエンジンを搭載している車種は、1987/10から発売された3代目ミラージュ サイボーグRS [C53A型|1990/10]となっており、NA車は4車種、ターボ/SC車は2車種の全6車種が登録されています。

過渡特性とリッター換算馬力から見た評価

エンジン性能曲線のイメージ
4G61のエンジン性能曲線図もどき
馬力の変遷78.5PS → 160PS
トルクの変遷22.5kgm → 19.1kgm
リッター馬力100.31PS/L
リッタートルク14.1kgm/L

今回の参考車両であるミラージュ サイボーグRSの直列4気筒1595cc、圧縮比8.0でハイオクガソリン仕様のターボエンジンは、6000回転のとき最高出力160馬力を、6000回転のとき最大トルク22.5kgmを発生させます。

馬力と回転数が分かればトルクが、トルクと回転数が分かれば馬力を知ることができますので計算してみますと、最大トルクが発生する2500回転での馬力は78.5PS、最高出力が発生する6000回転でのトルクは19.1kgmになります。

排気量1リットルあたりの馬力は100.31PS/L、トルクは14.1kgm/Lとなり、1気筒(単気筒容積399.0cc)あたりの馬力は40.0PS、トルクは5.6kgmです。

4G61型ターボエンジンを、このサイトで登録している全てのターボ車から集計した偏差値ベースの10段階評価に当てはめると、評価は換算馬力が[ 6 ]、換算トルクが[ 5 ]の「標準的な出力(中の上)のエンジン」にカテゴライズされます。

ちなみに、4G61型エンジン搭載車種のうち、最高出力が最も大きかったのはC53A型ミラージュ サイボーグRSの160PS/22.5kgm、最も小さかったのはC63A型ランサーの125PS/14.7kgmとなっています。

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排気量アップと圧縮比の上昇、ボアストローク比の変化

ノーマルの排気量と圧縮比
BoreStroke排気量圧縮比B/S比
82.375.01595cc8.00.91
ボアアップによる排気量拡大
82.875.01615cc8.10.91
83.31635cc8.20.90
83.81655cc8.30.89
84.31674cc8.40.89
84.81694cc8.40.88
85.31714cc8.50.88
ストロークアップによる排気量拡大
82.376.01617cc8.10.92
77.01638cc8.20.94
78.01660cc8.30.95
79.01681cc8.40.96
80.01702cc8.50.97

エンジンの排気量を決める要素には気筒数、ボア径、ストローク量の3つがあり、これらを増減することでさまざまな排気量のエンジンが生まれます。

ここでは実際に可能かどうかは別として、ピストン径を純正の82.3mmから0.5mm刻みで85.3mmまで拡大した場合および、ストロークを純正の75.0mmから1mm刻みで80.0mmまで延長した場合の排気量と、燃焼室容積が変化しないと仮定した場合の圧縮比の変化を一覧表にしています。

※ストロークアップと口で言うのは簡単なのですが、ロングストローク化するにあたってはクランクシャフトおよび対応コンロッドが必要になり、純正流用できない場合はワンオフで作らなければならないなど、とにかくお高く付きますので、手を出すには相当の覚悟を求められるメニューです。

圧縮比については、実際のところピストンが大径化するに伴ってピストン天面の凸凹容量も変化する場合が大半ですから、一覧表にある圧縮比の数値の通りにはなりませんが、排気量を大きくすると自ずと圧縮比も上昇しますよ、という雰囲気をご堪能ください。

B/S比はボアストローク比の略で、ボア径を広げていくと0.91からさらに値は小さくなり、ショートストローク型の恩恵と弊害が顕著になっていきます。4G61型エンジンの場合、純正ピストンから+3.0mmのボアアップをすると比は0.91から0.88に変化するという具合です。

ピストン径が近いエンジンと排気量アップ

4G61型エンジンのピストン径82.3mmとサイズが近いピストンを持つエンジンが13件ありますので、余興としてピストン流用でボアアップした場合の排気量を計算してみます。

Eg型式ピストン径排気量
日産
m274型
83.0mm
[+0.7mm]
1623cc
[+28cc]
マツダ
BP型
83.0mm
[+0.7mm]
1623cc
[+28cc]
日産
CA18型
83.0mm
[+0.7mm]
1623cc
[+28cc]
トヨタ
7M型
83.0mm
[+0.7mm]
1623cc
[+28cc]
日産
274930型
83.0mm
[+0.7mm]
1623cc
[+28cc]
マツダ
PE型
83.5mm
[+1.2mm]
1643cc
[+48cc]

ピストン径が近いエンジンとしては、日産:YV37型スカイラインに搭載されるm274型1991ccの83.0mm、マツダ:NB8C型ロードスターに搭載されるBP型1839ccの83.0mm、日産:S13型シルビアに搭載されるCA18型1809ccの83.0mm、トヨタ:MZ20型ソアラに搭載される7M型2954ccの83.0mm、日産:ZV37型スカイラインに搭載される274930型1991ccの83.0mm、マツダ:DMEP型CX-30に搭載されるPE型1997ccの83.5mmなどが該当します。

(もはやこのような探求に楽しみを見い出す人は減ってしまいましたが)いくら径が近かろうとも、ピストンピンの径やピストンの高さ、バルブリセスの都合などなどありますので、なるべくなら同じメーカー、なるべくなら同じ燃料で同じ吸気方式、なるべくなら排気量が近いものを選ぶと純正流用できる可能性が高くなる、かもしれません。

ピストン径が小さい 1800ccクラスのエンジン
ピストン径が大きい 1800ccクラスのエンジン
ストロークが短い 1800ccクラスのエンジン
ストロークが長い 1800ccクラスのエンジン
ボアストローク比・昇順 [1800ccクラス]
ボアストローク比・降順 [1800ccクラス]


平均ピストンスピード

ストローク最大トルク
2500rpm
最高出力
6000rpm
75.0mm6.2m/s15.0m/s
回転数/分秒速時速
2000rpm5.0m/s18km/h
4000rpm10.0m/s36km/h
6000rpm15.0m/s54km/h
8000rpm20.0m/s72km/h
10000rpm25.0m/s90km/h

続きまして平均ピストンスピードについて見てみます。ストロークが75.0mmのエンジンが最高出力を発生する6000回転での平均ピストンスピードは15.0m/sとなり、これは1秒間に15.0メートル(時速にすると54.0km/h)の距離を進む速さでピストンが上下運動していますよ、という意味です。

最大トルクを発生する2500回転では6.2m/s、最高出力が発生する6000回転より500回転高い6500回転をレブリミットと仮定したときの平均速度は16.2m/sとなっています。

参考までにストロークが75.0mmの4G61型エンジンを10000回転/毎分まで回したときのピストンスピードの変化を計算してみました。これを見ると回転数が2000回転高くなるごとに概ね5.00m/sずつ速度が増していくようです。

大量生産を前提とした一般的なエンジンの目安である20.0m/sのみを基準として考えると、高回転化の上限を(回るか回らないかは別として)8000回転くらいにするのが機械的にも精神的にも好ましそうです。


4G61型エンジンを搭載する車種の例

全6車種を最高出力が大きいものから順に表示しています。

メーカー
車両型式
画像車名&グレード出力/燃費
パワーウェイト
排気量
変速機
三菱
C53A
1990/10
ミラージュ サイボーグRS
Cyborg-RS
[E-C53A]
160PS
22.5kgm
10.6km/L
6.438kg/PS
ターボ
FF/5MT
ハッチバック
5人乗り
車両型式:E-C53A

ミラージュ サイボーグRS
[Cyborg-RS]
1990/10モデル
最高出力160PS
最大トルク22.5kgm
10-15モード燃費10.6km/L
吸気方式ターボ
車体構成5人乗りハッチバック
FF/5MT
三菱
C63A
1990/10
ランサー
Espada
[E-C63A]
131PS
14.7kgm
-
8.168kg/PS
自然吸気
FF/5MT
セダン
5人乗り
車両型式:E-C63A

ランサー
[Espada]
1990/10モデル
最高出力131PS
最大トルク14.7kgm
10-15モード燃費10.6km/L
吸気方式自然吸気
車体構成5人乗りセダン
FF/5MT
三菱
C73A
1990/10
ランサー
SR
[E-C73A]
131PS
14.7kgm
-
8.855kg/PS
自然吸気
4WD/5MT
セダン
5人乗り
車両型式:E-C73A

ランサー
[SR]
1990/10モデル
最高出力131PS
最大トルク14.7kgm
10-15モード燃費10.6km/L
吸気方式自然吸気
車体構成5人乗りセダン
4WD/5MT
三菱
C63A
1990/10
ランサー
Espada
[E-C63A]
125PS
14.7kgm
-
8.800kg/PS
自然吸気
FF/4AT
セダン
5人乗り
車両型式:E-C63A

ランサー
[Espada]
1990/10モデル
最高出力125PS
最大トルク14.7kgm
10-15モード燃費10.6km/L
吸気方式自然吸気
車体構成5人乗りセダン
FF/4AT
三菱
C73A
1990/10
ランサー
SR
[E-C73A]
125PS
14.7kgm
-
9.520kg/PS
自然吸気
4WD/4AT
セダン
5人乗り
車両型式:E-C73A

ランサー
[SR]
1990/10モデル
最高出力125PS
最大トルク14.7kgm
10-15モード燃費10.6km/L
吸気方式自然吸気
車体構成5人乗りセダン
4WD/4AT

三菱製エンジンの原動機型式まとめ
【排気量順】