三菱:4D56型エンジンの諸元と性能まとめ [直列4気筒 2476cc]

ここでは三菱のPC5W型・デリカ スペースギア [Long-G HighRoof|1998/06モデル] に搭載されている4D56型のターボエンジンのデータを参考に、このエンジンが持つ特性や素性について調べてみます。

4D56型のターボエンジン諸元


PC5W型 デリカ スペースギア
主要諸元と走行性能まとめ
車両型式KD-PC5W型
車名&グレードデリカ スペースギア
Long-G HighRoof
エンジン型式4D56
種類直列4気筒
排気量2476cc
内径×行程91.1mm×95.0mm
ボアストローク比1.04
単気筒容積619.2cc
圧縮比21.0
吸気方式ターボ
使用燃料ディーゼル
最高出力105PS/4200rpm
最大トルク24.5kgm/2000rpm

まず基本的な成り立ちとして、4D56型エンジンはボア(内径)91.1mm、ストローク(行程)95.0mm、ボアストローク比1.04のロングストローク型エンジン(ピストン径よりもストローク量のほうが大きい)です。

排気量と気筒数が同一の場合、ショートストローク型に比べて低回転域でのトルク特性に優れ、扱い易いエンジンとされますが、高回転域では充填効率の悪化や摺動抵抗が増大して出力の低下が懸念されます。

なおかつ回転数も同一の場合、ショートストローク型に比べて平均ピストンスピードが高くなりがちなことから、エンジンへの負荷が大きくなる傾向にあります。

このサイトにて登録されている車種のうち、4D56型のターボエンジンを搭載する最も古い車種は、1986/06から発売された2代目デリカ スターワゴン [P25W型|1989/09]、最も新しい車種は1986/06から発売された2代目デリカ スターワゴン [P35W型|1998/09]となっており、NA車は0車種、ターボ/SC車は16車種の全16車種が登録されています。

過渡特性とリッター換算馬力から見た評価

エンジン性能曲線のイメージ
4D56のエンジン性能曲線図もどき
馬力の変遷68.4PS → 105PS
トルクの変遷24.5kgm → 17.9kgm
リッター馬力42.4PS/L
リッタートルク9.9kgm/L

今回の参考車両であるデリカ スペースギアの直列4気筒2476cc、圧縮比21.0でディーゼル仕様のターボエンジンは、4200回転のとき最高出力105馬力を、4200回転のとき最大トルク24.5kgmを発生させます。

馬力と回転数が分かればトルクが、トルクと回転数が分かれば馬力を知ることができますので計算してみますと、最大トルクが発生する2000回転での馬力は68.4PS、最高出力が発生する4200回転でのトルクは17.9kgmになります。

排気量1リットルあたりの馬力は42.4PS/L、トルクは9.9kgm/Lとなり、1気筒(単気筒容積619.2cc)あたりの馬力は26.2PS、トルクは6.1kgmです。

4D56型ターボエンジンを、このサイトで登録している全てのターボ車から集計した偏差値ベースの10段階評価に当てはめると、評価は換算馬力が[ 1 ]、換算トルクが[ 2 ]の「心もとない出力のエンジン」にカテゴライズされます。

ちなみに、4D56型のターボ・SCエンジン搭載車種のうち、最高出力が最も大きかったのはPC5W型デリカ スペースギアの105PS/24.5kgm、最も小さかったのはP15W型デリカ スターワゴンの85PS/20.0kgmとなっています。

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排気量アップと圧縮比の上昇、ボアストローク比の変化

ノーマルの排気量と圧縮比
BoreStroke排気量圧縮比B/S比
91.195.02476cc21.01.04
ボアアップによる排気量拡大
91.695.02504cc21.21.04
92.12532cc21.41.03
92.62559cc21.61.03
93.12587cc21.91.02
93.62615cc22.11.01
94.12643cc22.31.01
ストロークアップによる排気量拡大
91.196.02503cc21.21.05
97.02529cc21.41.06
98.02555cc21.61.08
99.02581cc21.81.09
100.02607cc22.01.10

エンジンの排気量を決める要素には気筒数、ボア径、ストローク量の3つがあり、これらを増減することでさまざまな排気量のエンジンが生まれます。

ここでは実際に可能かどうかは別として、ピストン径を純正の91.1mmから0.5mm刻みで94.1mmまで拡大した場合および、ストロークを純正の95.0mmから1mm刻みで100.0mmまで延長した場合の排気量と、燃焼室容積が変化しないと仮定した場合の圧縮比の変化を一覧表にしています。

※ストロークアップと口で言うのは簡単なのですが、ロングストローク化するにあたってはクランクシャフトおよび対応コンロッドが必要になり、純正流用できない場合はワンオフで作らなければならないなど、とにかくお高く付きますので、手を出すには相当の覚悟を求められるメニューです。

圧縮比については、実際のところピストンが大径化するに伴ってピストン天面の凸凹容量も変化する場合が大半ですから、一覧表にある圧縮比の数値の通りにはなりませんが、排気量を大きくすると自ずと圧縮比も上昇しますよ、という雰囲気をご堪能ください。

B/S比はボアストローク比の略で、ボア径を広げていくとロングストローク型からスクエア型、あるいはショートストローク型の特性へと近付いていきます。4D56型エンジンの場合、純正ピストンから+3.0mmのボアアップをすると比は1.04から1.01に変化するという具合です。

ピストン径が近いエンジンと排気量アップ

4D56型エンジンのピストン径91.1mmとサイズが近いピストンを持つエンジンが7件ありますので、余興としてピストン流用でボアアップした場合の排気量を計算してみます。

Eg型式ピストン径排気量
スバル
EJ20型
92.0mm
[+0.9mm]
2526cc
[+50cc]
トヨタ
2L型
92.0mm
[+0.9mm]
2526cc
[+50cc]
ダイハツ
DL型
92.0mm
[+0.9mm]
2526cc
[+50cc]
スバル
EA82型
92.0mm
[+0.9mm]
2526cc
[+50cc]
トヨタ
1GD型
92.0mm
[+0.9mm]
2526cc
[+50cc]
日産
VQ30型
93.0mm
[+1.9mm]
2581cc
[+105cc]

ピストン径が近いエンジンとしては、スバル:BL5型レガシィB4に搭載されるEJ20型1994ccの92.0mm、トヨタ:LX80型ハイラックスサーフに搭載される2L型2446ccの92.0mm、ダイハツ:F78W型ラガーに搭載されるDL型2765ccの92.0mm、スバル:AX7型アルシオーネに搭載されるEA82型1781ccの92.0mm、トヨタ:GDJ150W型ランドクルーザー プラドに搭載される1GD型2754ccの92.0mm、日産:HF50型シーマに搭載されるVQ30型2987ccの93.0mmなどが該当します。

(もはやこのような探求に楽しみを見い出す人は減ってしまいましたが)いくら径が近かろうとも、ピストンピンの径やピストンの高さ、バルブリセスの都合などなどありますので、なるべくなら同じメーカー、なるべくなら同じ燃料で同じ吸気方式、なるべくなら排気量が近いものを選ぶと純正流用できる可能性が高くなる、かもしれません。

ピストン径が小さい 2500ccクラスのエンジン
ピストン径が大きい 2500ccクラスのエンジン
ストロークが短い 2500ccクラスのエンジン
ストロークが長い 2500ccクラスのエンジン
ボアストローク比・昇順 [2500ccクラス]
ボアストローク比・降順 [2500ccクラス]


平均ピストンスピード

ストローク最大トルク
2000rpm
最高出力
4200rpm
95.0mm6.3m/s13.3m/s
回転数/分秒速時速
2000rpm6.3m/s23km/h
4000rpm12.7m/s46km/h
6000rpm19.0m/s68km/h
8000rpm25.3m/s91km/h
10000rpm31.7m/s114km/h

続きまして平均ピストンスピードについて見てみます。ストロークが95.0mmのエンジンが最高出力を発生する4200回転での平均ピストンスピードは13.3m/sとなり、これは1秒間に13.3メートル(時速にすると47.9km/h)の距離を進む速さでピストンが上下運動していますよ、という意味です。

最大トルクを発生する2000回転では6.3m/s、最高出力が発生する4200回転より500回転高い4700回転をレブリミットと仮定したときの平均速度は14.9m/sとなっています。

参考までにストロークが95.0mmの4D56型エンジンを10000回転/毎分まで回したときのピストンスピードの変化を計算してみました。これを見ると回転数が2000回転高くなるごとに概ね6.35m/sずつ速度が増していくようです。

大量生産を前提とした一般的なエンジンの目安である20.0m/sのみを基準として考えると、高回転化の上限を(回るか回らないかは別として)6320回転くらいにするのが機械的にも精神的にも好ましそうです。


4D56型エンジンを搭載する車種の例

全16車種のうち、最高出力が大きいものから順に上位3車種を表示しています。その他の車種については、ページ下部にあるリンクより4D56型エンジン搭載車種の一覧をご覧ください。

メーカー
車両型式
画像車名&グレード出力/燃費
パワーウェイト
排気量
変速機
三菱
PC5W
1998/06
デリカ スペースギア
Long-G HighRoof
[KD-PC5W]
105PS
24.5kgm
-
16.190kg/PS
ターボ
FR/4AT
ミニバン
10人乗り

デリカ スペースギア
[Long-G HighRoof]
1998/06モデル
車両型式KD-PC5W
最高出力105PS
最大トルク24.5kgm
パワーウェイト16.190kg/PS
吸気方式ターボ
駆動方式&変速機FR/4AT
車体形状&乗車定員ミニバン/10人乗り
三菱
PB5W
1994/05
デリカ スペースギア
Long Exceed-II
[KD-PB5W]
105PS
24.5kgm
-
17.238kg/PS
ターボ
FR/5MT
ミニバン
7人乗り

デリカ スペースギア
[Long Exceed-II]
1994/05モデル
車両型式KD-PB5W
最高出力105PS
最大トルク24.5kgm
パワーウェイト17.238kg/PS
吸気方式ターボ
駆動方式&変速機FR/5MT
車体形状&乗車定員ミニバン/7人乗り
三菱
PB5W
1998/06
デリカ スペースギア
Long Exceed8
[KD-PB5W]
105PS
24.5kgm
-
17.429kg/PS
ターボ
FR/4AT
ミニバン
8人乗り

デリカ スペースギア
[Long Exceed8]
1998/06モデル
車両型式KD-PB5W
最高出力105PS
最大トルク24.5kgm
パワーウェイト17.429kg/PS
吸気方式ターボ
駆動方式&変速機FR/4AT
車体形状&乗車定員ミニバン/8人乗り
4D56型エンジン搭載車種の一覧
パワーウェイトレシオ順|全16車種

三菱製エンジンの原動機型式まとめ
【排気量順】