三菱:4A30型NAエンジンの諸元と性能まとめ [直列4気筒 659cc]

ここでは三菱のH36A型・ミニカ トッポ [Town-Bee|1997/10モデル] に搭載されている4A30型の自然吸気エンジンのデータを参考に、このエンジンが持つ特性や素性について調べてみます。

4A30型の自然吸気エンジン諸元


H36A型 ミニカ トッポ
主要諸元と走行性能まとめ
車両型式E-H36A型
車名&グレードミニカ トッポ
Town-Bee
エンジン型式4A30
種類直列4気筒
排気量659cc
内径×行程60.0mm×58.3mm
ボアストローク比0.97
単気筒容積164.8cc
圧縮比10.0
吸気方式自然吸気
使用燃料レギュラーガソリン
最高出力55PS/7000rpm
最大トルク6.1kgm/5000rpm

まず基本的な成り立ちとして、4A30型エンジンはボア(内径)60.0mm、ストローク(行程)58.3mm、ボアストローク比0.97のショートストローク型エンジン(ストローク量よりもピストン径のほうが大きい)です。

排気量と気筒数が同一の場合、ロングストローク型に比べて低回転域でのトルク特性に劣り、扱いにくいエンジンとされるものの、高回転域では充填効率の向上や摺動抵抗の増大も(ロングストローク型に比べれば)軽微なことから出力の向上が見込まれます。

また同じ回転数でも平均ピストンスピードが抑えられることから、その分だけエンジンへの負荷は低減される傾向にあります。

このサイトにて登録されている車種のうち、4A30型の自然吸気エンジンを搭載する最も古い車種は、1993/09から発売された7代目ミニカ [H31A型|1997/09]、最も新しい車種は1998/10から発売された2代目パジェロ ミニ [H53A型|2010/08]となっており、13車種のNA車が登録されています。

関連ページ
三菱:4A30型 ターボ/SCエンジン 諸元と性能まとめ

過渡特性とリッター換算馬力から見た評価

エンジン性能曲線のイメージ
4A30のエンジン性能曲線図もどき
馬力の変遷42.6PS → 55PS
トルクの変遷6.1kgm → 5.6kgm
リッター馬力83.46PS/L
リッタートルク9.3kgm/L

今回の参考車両であるミニカ トッポの直列4気筒659cc、圧縮比10.0でレギュラーガソリン仕様の自然吸気エンジンは、7000回転のとき最高出力55馬力を、7000回転のとき最大トルク6.1kgmを発生させます。

馬力と回転数が分かればトルクが、トルクと回転数が分かれば馬力を知ることができますので計算してみますと、最大トルクが発生する5000回転での馬力は42.6PS、最高出力が発生する7000回転でのトルクは5.6kgmになります。

排気量1リットルあたりの馬力は83.46PS/L、トルクは9.3kgm/Lとなり、1気筒(単気筒容積164.8cc)あたりの馬力は13.8PS、トルクは1.5kgmです。

4A30型自然吸気エンジンを、このサイトで登録している全てのNA車から集計した偏差値ベースの10段階評価に当てはめると、評価は換算馬力が[ 7 ]、換算トルクが[ 5 ]の「なかなかの高出力エンジン」にカテゴライズされます。

ちなみに、4A30型の自然吸気エンジン搭載車種のうち、最高出力が最も大きかったのはH36A型ミニカ トッポの55PS/6.1kgm、最も小さかったのはH58A型パジェロ ミニの52PS/6.3kgmとなっています。

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排気量アップと圧縮比の上昇、ボアストローク比の変化

ノーマルの排気量と圧縮比
BoreStroke排気量圧縮比B/S比
60.058.3659cc10.00.97
ボアアップによる排気量拡大
60.558.3670cc10.20.96
61.0681cc10.30.96
61.5693cc10.50.95
62.0704cc10.60.94
62.5715cc10.80.93
63.0727cc10.90.93
ストロークアップによる排気量拡大
60.059.3671cc10.20.99
60.3682cc10.31.00
61.3693cc10.51.02
62.3705cc10.61.04
63.3716cc10.81.05

エンジンの排気量を決める要素には気筒数、ボア径、ストローク量の3つがあり、これらを増減することでさまざまな排気量のエンジンが生まれます。

ここでは実際に可能かどうかは別として、ピストン径を純正の60.0mmから0.5mm刻みで63.0mmまで拡大した場合および、ストロークを純正の58.3mmから1mm刻みで63.3mmまで延長した場合の排気量と、燃焼室容積が変化しないと仮定した場合の圧縮比の変化を一覧表にしています。

※ストロークアップと口で言うのは簡単なのですが、ロングストローク化するにあたってはクランクシャフトおよび対応コンロッドが必要になり、純正流用できない場合はワンオフで作らなければならないなど、とにかくお高く付きますので、手を出すには相当の覚悟を求められるメニューです。

圧縮比については、実際のところピストンが大径化するに伴ってピストン天面の凸凹容量も変化する場合が大半ですから、一覧表にある圧縮比の数値の通りにはなりませんが、排気量を大きくすると自ずと圧縮比も上昇しますよ、という雰囲気をご堪能ください。

B/S比はボアストローク比の略で、ボア径を広げていくと0.97からさらに値は小さくなり、ショートストローク型の恩恵と弊害が顕著になっていきます。4A30型エンジンの場合、純正ピストンから+3.0mmのボアアップをすると比は0.97から0.93に変化するという具合です。

ピストン径が近いエンジンと排気量アップ

4A30型エンジンのピストン径60.0mmとサイズが近いピストンを持つエンジンが6件ありますので、余興としてピストン流用でボアアップした場合の排気量を計算してみます。

Eg型式ピストン径排気量
ダイハツ
JB型
61.0mm
[+1.0mm]
681cc
[+22cc]
マツダ
R06D型
61.5mm
[+1.5mm]
693cc
[+34cc]
スズキ
F5A型
62.0mm
[+2.0mm]
704cc
[+45cc]
ホンダ
E05A型
62.5mm
[+2.5mm]
715cc
[+56cc]
日産
BR06型
62.7mm
[+2.7mm]
720cc
[+61cc]
トヨタ
KF型
63.0mm
[+3.0mm]
727cc
[+68cc]

ピストン径が近いエンジンとしては、ダイハツ:L502S型ミラに搭載されるJB型659ccの61.0mm、マツダ:MH85S型ワゴンRに搭載されるR06D型657ccの61.5mm、スズキ:CA72V型アルト ワークスに搭載されるF5A型543ccの62.0mm、ホンダ:JA1型トゥデイに搭載されるE05A型547ccの62.5mm、日産:B43W型デイズ ハイウェイスターに搭載されるBR06型659ccの62.7mm、トヨタ:LA700A型ルクラに搭載されるKF型658ccの63.0mmなどが該当します。

(もはやこのような探求に楽しみを見い出す人は減ってしまいましたが)いくら径が近かろうとも、ピストンピンの径やピストンの高さ、バルブリセスの都合などなどありますので、なるべくなら同じメーカー、なるべくなら同じ燃料で同じ吸気方式、なるべくなら排気量が近いものを選ぶと純正流用できる可能性が高くなる、かもしれません。

ピストン径が小さい 軽自動車のエンジン
ピストン径が大きい 軽自動車のエンジン
ストロークが短い 軽自動車のエンジン
ストロークが長い 軽自動車のエンジン
ボアストローク比・昇順 [軽自動車]
ボアストローク比・降順 [軽自動車]


平均ピストンスピード

ストローク最大トルク
5000rpm
最高出力
7000rpm
58.3mm9.7m/s13.6m/s
回転数/分秒速時速
2000rpm3.9m/s14km/h
4000rpm7.8m/s28km/h
6000rpm11.7m/s42km/h
8000rpm15.5m/s56km/h
10000rpm19.4m/s70km/h

続きまして平均ピストンスピードについて見てみます。ストロークが58.3mmのエンジンが最高出力を発生する7000回転での平均ピストンスピードは13.6m/sとなり、これは1秒間に13.6メートル(時速にすると49.0km/h)の距離を進む速さでピストンが上下運動していますよ、という意味です。

最大トルクを発生する5000回転では9.7m/s、最高出力が発生する7000回転より500回転高い7500回転をレブリミットと仮定したときの平均速度は14.6m/sとなっています。

参考までにストロークが58.3mmの4A30型エンジンを10000回転/毎分まで回したときのピストンスピードの変化を計算してみました。これを見ると回転数が2000回転高くなるごとに概ね3.87m/sずつ速度が増していくようです。

大量生産を前提とした一般的なエンジンの目安である20.0m/sのみを基準として考えると、高回転化の上限を(回るか回らないかは別として)10290回転くらいにするのが機械的にも精神的にも好ましそうです。


4A30型NAエンジンを搭載する車種の例

全13車種のうち、最高出力が大きいものから順に上位3車種を表示しています。その他の車種については、ページ下部にあるリンクより4A30型エンジン搭載車種の一覧をご覧ください。

メーカー
車両型式
画像車名&グレード出力/燃費
パワーウェイト
排気量
変速機
三菱
H36A
1997/10
ミニカ トッポ
Town-Bee
[E-H36A]
55PS
6.1kgm
15.8km/L
14.182kg/PS
自然吸気
4WD/3AT
軽ミニバン
4人乗り
車両型式:E-H36A

ミニカ トッポ
[Town-Bee]
1997/10モデル
最高出力55PS
最大トルク6.1kgm
10-15モード燃費15.8km/L
吸気方式自然吸気
車体構成4人乗り軽ミニバン
4WD/3AT
三菱
H31A
1997/09
ミニカ
Px
[E-H31A]
55PS
6.1kgm
17.6km/L
13.273kg/PS
自然吸気
FF/4AT
軽ハッチバック
4人乗り
車両型式:E-H31A

ミニカ
[Px]
1997/09モデル
最高出力55PS
最大トルク6.1kgm
10-15モード燃費17.6km/L
吸気方式自然吸気
車体構成4人乗り軽ハッチバック
FF/4AT
三菱
H31A
1997/10
ミニカ
Town-Bee
[E-H31A]
55PS
6.1kgm
22.0km/L
12.000kg/PS
自然吸気
FF/5MT
軽ハッチバック
4人乗り
車両型式:E-H31A

ミニカ
[Town-Bee]
1997/10モデル
最高出力55PS
最大トルク6.1kgm
10-15モード燃費22.0km/L
吸気方式自然吸気
車体構成4人乗り軽ハッチバック
FF/5MT
4A30型エンジン搭載車種の一覧
パワーウェイトレシオ順|全31車種

その他の4A30型エンジン型式と代表的な車種

4A30型
全2車種
日産:キックス [RX]
最高出力64PS/最大トルク9.0kgm
2010/08モデル
日産
4A30型
全2車種
キックス
[RX]
64PS/9.0kgm

三菱製エンジンの原動機型式まとめ
【排気量順】