MG:18K型エンジンの諸元と性能まとめ [直列4気筒 1795cc]

ここではMGのRD18K型・MGF [1.8i-VVC|1997/04モデル] に搭載されている18K型の自然吸気エンジンのデータを参考に、このエンジンが持つ特性や素性について調べてみます。

18K型の自然吸気エンジン諸元


RD18K型 MGF
主要諸元と走行性能まとめ
車両型式E-RD18K型
車名&グレードMGF
1.8i-VVC
エンジン型式18K
種類直列4気筒
排気量1795cc
内径×行程80.0mm×89.3mm
ボアストローク比1.12
単気筒容積448.9cc
圧縮比10.5
吸気方式自然吸気
使用燃料ハイオクガソリン
最高出力145PS/7000rpm
最大トルク17.7kgm/4500rpm

まず基本的な成り立ちとして、18K型エンジンはボア(内径)80.0mm、ストローク(行程)89.3mm、ボアストローク比1.12のロングストローク型エンジン(ピストン径よりもストローク量のほうが大きい)です。

排気量と気筒数が同一の場合、ショートストローク型に比べて低回転域でのトルク特性に優れ、扱い易いエンジンとされますが、高回転域では充填効率の悪化や摺動抵抗が増大して出力の低下が懸念されます。

なおかつ回転数も同一の場合、ショートストローク型に比べて平均ピストンスピードが高くなりがちなことから、エンジンへの負荷が大きくなる傾向にあります。

このサイトにて18K型の自然吸気エンジンを搭載している車種は、1995/12から発売された初代MGF [RD18K型|1997/04]となっており、NA車は2車種、ターボ/SC車は0車種の全2車種が登録されています。

過渡特性とリッター換算馬力から見た評価

エンジン性能曲線のイメージ
18Kのエンジン性能曲線図もどき
馬力の変遷111.2PS → 145PS
トルクの変遷17.7kgm → 14.8kgm
リッター馬力80.78PS/L
リッタートルク9.9kgm/L

今回の参考車両であるMGFの直列4気筒1795cc、圧縮比10.5でハイオクガソリン仕様の自然吸気エンジンは、7000回転のとき最高出力145馬力を、7000回転のとき最大トルク17.7kgmを発生させます。

馬力と回転数が分かればトルクが、トルクと回転数が分かれば馬力を知ることができますので計算してみますと、最大トルクが発生する4500回転での馬力は111.2PS、最高出力が発生する7000回転でのトルクは14.8kgmになります。

排気量1リットルあたりの馬力は80.78PS/L、トルクは9.9kgm/Lとなり、1気筒(単気筒容積448.9cc)あたりの馬力は36.2PS、トルクは4.4kgmです。

18K型自然吸気エンジンを、このサイトで登録している全てのNA車から集計した偏差値ベースの10段階評価に当てはめると、評価は換算馬力が[ 7 ]、換算トルクが[ 7 ]の「なかなかの高出力エンジン」にカテゴライズされます。

ちなみに、18K型エンジン搭載車種のうち、最高出力が最も大きかったのはRD18K型MGFの145PS/17.7kgm、最も小さかったのはRD18K型MGFの120PS/16.8kgmとなっています。

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排気量アップと圧縮比の上昇、ボアストローク比の変化

ノーマルの排気量と圧縮比
BoreStroke排気量圧縮比B/S比
80.089.31795cc10.51.12
ボアアップによる排気量拡大
80.589.31818cc10.61.11
81.01841cc10.71.10
81.51863cc10.91.10
82.01886cc11.01.09
82.51909cc11.11.08
83.01933cc11.21.08
ストロークアップによる排気量拡大
80.090.31816cc10.61.13
91.31836cc10.71.14
92.31856cc10.81.15
93.31876cc10.91.17
94.31896cc11.01.18

エンジンの排気量を決める要素には気筒数、ボア径、ストローク量の3つがあり、これらを増減することでさまざまな排気量のエンジンが生まれます。

ここでは実際に可能かどうかは別として、ピストン径を純正の80.0mmから0.5mm刻みで83.0mmまで拡大した場合および、ストロークを純正の89.3mmから1mm刻みで94.3mmまで延長した場合の排気量と、燃焼室容積が変化しないと仮定した場合の圧縮比の変化を一覧表にしています。

※ストロークアップと口で言うのは簡単なのですが、ロングストローク化するにあたってはクランクシャフトおよび対応コンロッドが必要になり、純正流用できない場合はワンオフで作らなければならないなど、とにかくお高く付きますので、手を出すには相当の覚悟を求められるメニューです。

圧縮比については、実際のところピストンが大径化するに伴ってピストン天面の凸凹容量も変化する場合が大半ですから、一覧表にある圧縮比の数値の通りにはなりませんが、排気量を大きくすると自ずと圧縮比も上昇しますよ、という雰囲気をご堪能ください。

B/S比はボアストローク比の略で、ボア径を広げていくとロングストローク型からスクエア型、あるいはショートストローク型の特性へと近付いていきます。18K型エンジンの場合、純正ピストンから+3.0mmのボアアップをすると比は1.12から1.08に変化するという具合です。

ピストン径が近いエンジンと排気量アップ

18K型エンジンのピストン径80.0mmとサイズが近いピストンを持つエンジンが41件ありますので、余興としてピストン流用でボアアップした場合の排気量を計算してみます。

Eg型式ピストン径排気量
三菱
4D65型
80.6mm
[+0.6mm]
1822cc
[+27cc]
三菱
4G37型
80.6mm
[+0.6mm]
1822cc
[+27cc]
三菱
G37B型
80.6mm
[+0.6mm]
1822cc
[+27cc]
三菱
G62B型
80.6mm
[+0.6mm]
1822cc
[+27cc]
トヨタ
4A型
81.0mm
[+1.0mm]
1841cc
[+46cc]
三菱
4G93型
81.0mm
[+1.0mm]
1841cc
[+46cc]

ピストン径が近いエンジンとしては、三菱:E34A型ギャランに搭載される4D65型1795ccの80.6mm、三菱:E37A型エテルナ SAVAに搭載される4G37型1755ccの80.6mm、三菱:C37W型ミラージュ ワゴンに搭載されるG37B型1755ccの80.6mm、三菱:E13A型エテルナ シグマに搭載されるG62B型1795ccの80.6mm、トヨタ:AE111型スプリンター トレノ GTVに搭載される4A型1587ccの81.0mm、三菱:CD5W型リベロ GTに搭載される4G93型1834ccの81.0mmなどが該当します。

(もはやこのような探求に楽しみを見い出す人は減ってしまいましたが)いくら径が近かろうとも、ピストンピンの径やピストンの高さ、バルブリセスの都合などなどありますので、なるべくなら同じメーカー、なるべくなら同じ燃料で同じ吸気方式、なるべくなら排気量が近いものを選ぶと純正流用できる可能性が高くなる、かもしれません。

ピストン径が小さい 1800ccクラスのエンジン
ピストン径が大きい 1800ccクラスのエンジン
ストロークが短い 1800ccクラスのエンジン
ストロークが長い 1800ccクラスのエンジン
ボアストローク比・昇順 [1800ccクラス]
ボアストローク比・降順 [1800ccクラス]


平均ピストンスピード

ストローク最大トルク
4500rpm
最高出力
7000rpm
89.3mm13.4m/s20.8m/s
回転数/分秒速時速
2000rpm6.0m/s22km/h
4000rpm11.9m/s43km/h
6000rpm17.9m/s64km/h
8000rpm23.8m/s86km/h
10000rpm29.8m/s107km/h

続きまして平均ピストンスピードについて見てみます。ストロークが89.3mmのエンジンが最高出力を発生する7000回転での平均ピストンスピードは20.8m/sとなり、これは1秒間に20.8メートル(時速にすると74.9km/h)の距離を進む速さでピストンが上下運動していますよ、という意味です。

最大トルクを発生する4500回転では13.4m/s、最高出力が発生する7000回転より500回転高い7500回転をレブリミットと仮定したときの平均速度は22.3m/sとなっています。

参考までにストロークが89.3mmの18K型エンジンを10000回転/毎分まで回したときのピストンスピードの変化を計算してみました。これを見ると回転数が2000回転高くなるごとに概ね5.95m/sずつ速度が増していくようです。

大量生産を前提とした一般的なエンジンの目安である20.0m/sのみを基準として考えると、6720回転くらいが良い感じの回転数になるのではないかと思いますが、このエンジンは最高出力を発生している時点で既に20.0m/sを超えており、レブリミットを考慮するともう少し余分に(300~500回転?)回ることから、内部では大変なことになりながらも頑張って回っているエンジンです。


18K型エンジンを搭載する車種の例

メーカー
車両型式
画像車名&グレード出力/燃費
パワーウェイト
排気量
変速機
MG
RD18K
1997/04
MGF
1.8i-VVC
[E-RD18K]
145PS
17.7kgm
11.2km/L
7.655kg/PS
自然吸気
MR/5MT
オープンカー
2人乗り
車両型式:E-RD18K

MGF
[1.8i-VVC]
1997/04モデル
最高出力145PS
最大トルク17.7kgm
10-15モード燃費11.2km/L
吸気方式自然吸気
車体構成2人乗りオープンカー
MR/5MT

その他の18K型エンジン型式と代表的な車種

18K型
全4車種
ロータス:340R [BaseGrade]
最高出力178PS/最大トルク17.5kgm
2001/01モデル
ロータス
18K型
全4車種
340R
[BaseGrade]
178PS/17.5kgm
18K型
全1車種
ローバー:200 [200Vi]
最高出力145PS/最大トルク17.7kgm
1998/05モデル
ローバー
18K型
全1車種
200
[200Vi]
145PS/17.7kgm