ベンツ:OM654型エンジンの諸元と性能まとめ [直列4気筒 1949cc]

ここではベンツの213217型・Eクラス オールテレイン [E220d 4matic S213|2017/09モデル] に搭載されているOM654型のターボエンジンのデータを参考に、このエンジンが持つ特性や素性について調べてみます。

OM654型のターボエンジン諸元


213217型 Eクラス オールテレイン
主要諸元と走行性能まとめ
車両型式LDA-213217型
車名&グレードEクラス オールテレイン
E220d 4matic S213
エンジン型式OM654
種類直列4気筒
排気量1949cc
内径×行程82.0mm×92.3mm
ボアストローク比1.13
単気筒容積487.4cc
圧縮比15.5
吸気方式ターボ
使用燃料ディーゼル
最高出力194PS/3800rpm
最大トルク40.8kgm/1600-2800rpm

まず基本的な成り立ちとして、OM654型エンジンはボア(内径)82.0mm、ストローク(行程)92.3mm、ボアストローク比1.13のロングストローク型エンジン(ピストン径よりもストローク量のほうが大きい)です。

排気量と気筒数が同一の場合、ショートストローク型に比べて低回転域でのトルク特性に優れ、扱い易いエンジンとされますが、高回転域では充填効率の悪化や摺動抵抗が増大して出力の低下が懸念されます。

なおかつ回転数も同一の場合、ショートストローク型に比べて平均ピストンスピードが高くなりがちなことから、エンジンへの負荷が大きくなる傾向にあります。

このサイトにて登録されている車種のうち、OM654型のターボエンジンを搭載する最も古い車種は、2016/07から発売された5代目Eクラス セダン [213004C型|2016/07]、最も新しい車種は2018/06から発売された3代目CLSクラス [257314C型|2021/09]となっており、NA車は0車種、ターボ/SC車は9車種の全9車種が登録されています。

過渡特性とリッター換算馬力から見た評価

エンジン性能曲線のイメージ
OM654のエンジン性能曲線図もどき
馬力の変遷91.1PS → 194PS
トルクの変遷40.8kgm → 36.6kgm
リッター馬力99.54PS/L
リッタートルク20.9kgm/L

今回の参考車両であるEクラス オールテレインの直列4気筒1949cc、圧縮比15.5でディーゼル仕様のターボエンジンは、3800回転のとき最高出力194馬力を、3800回転のとき最大トルク40.8kgmを発生させます。

馬力と回転数が分かればトルクが、トルクと回転数が分かれば馬力を知ることができますので計算してみますと、最大トルクが発生する1600回転での馬力は91.1PS、最高出力が発生する3800回転でのトルクは36.6kgmになります。

排気量1リットルあたりの馬力は99.54PS/L、トルクは20.9kgm/Lとなり、1気筒(単気筒容積487.4cc)あたりの馬力は48.5PS、トルクは10.2kgmです。

OM654型ターボエンジンを、このサイトで登録している全てのターボ車から集計した偏差値ベースの10段階評価に当てはめると、評価は換算馬力が[ 6 ]、換算トルクが[ 10 ]の「標準的な出力(中の上)のエンジン」にカテゴライズされます。

ちなみに、OM654型のターボ・SCエンジン搭載車種のうち、最高出力が最も大きかったのは213217型Eクラス オールテレインの194PS/40.8kgm、最も小さかったのは177112型Aクラス セダンの150PS/32.6kgmとなっています。

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排気量アップと圧縮比の上昇、ボアストローク比の変化

ノーマルの排気量と圧縮比
BoreStroke排気量圧縮比B/S比
82.092.31949cc15.51.13
ボアアップによる排気量拡大
82.592.31974cc15.71.12
83.01998cc15.91.11
83.52022cc16.01.11
84.02046cc16.21.10
84.52070cc16.41.09
85.02095cc16.61.09
ストロークアップによる排気量拡大
82.093.31971cc15.71.14
94.31992cc15.81.15
95.32013cc16.01.16
96.32034cc16.11.17
97.32055cc16.31.19

エンジンの排気量を決める要素には気筒数、ボア径、ストローク量の3つがあり、これらを増減することでさまざまな排気量のエンジンが生まれます。

ここでは実際に可能かどうかは別として、ピストン径を純正の82.0mmから0.5mm刻みで85.0mmまで拡大した場合および、ストロークを純正の92.3mmから1mm刻みで97.3mmまで延長した場合の排気量と、燃焼室容積が変化しないと仮定した場合の圧縮比の変化を一覧表にしています。

※ストロークアップと口で言うのは簡単なのですが、ロングストローク化するにあたってはクランクシャフトおよび対応コンロッドが必要になり、純正流用できない場合はワンオフで作らなければならないなど、とにかくお高く付きますので、手を出すには相当の覚悟を求められるメニューです。

圧縮比については、実際のところピストンが大径化するに伴ってピストン天面の凸凹容量も変化する場合が大半ですから、一覧表にある圧縮比の数値の通りにはなりませんが、排気量を大きくすると自ずと圧縮比も上昇しますよ、という雰囲気をご堪能ください。

B/S比はボアストローク比の略で、ボア径を広げていくとロングストローク型からスクエア型、あるいはショートストローク型の特性へと近付いていきます。OM654型エンジンの場合、純正ピストンから+3.0mmのボアアップをすると比は1.13から1.09に変化するという具合です。

ピストン径が近いエンジンと排気量アップ

OM654型エンジンのピストン径82.0mmとサイズが近いピストンを持つエンジンが13件ありますので、余興としてピストン流用でボアアップした場合の排気量を計算してみます。

Eg型式ピストン径排気量
三菱
4D68型
82.7mm
[+0.7mm]
1983cc
[+34cc]
日産
m274型
83.0mm
[+1.0mm]
1998cc
[+49cc]
マツダ
BP型
83.0mm
[+1.0mm]
1998cc
[+49cc]
トヨタ
7M型
83.0mm
[+1.0mm]
1998cc
[+49cc]
日産
CA18型
83.0mm
[+1.0mm]
1998cc
[+49cc]
日産
274930型
83.0mm
[+1.0mm]
1998cc
[+49cc]

ピストン径が近いエンジンとしては、三菱:N28WG型RVRに搭載される4D68型1998ccの82.7mm、日産:YV37型スカイラインに搭載されるm274型1991ccの83.0mm、マツダ:NB8C型ロードスターに搭載されるBP型1839ccの83.0mm、トヨタ:MZ20型ソアラに搭載される7M型2954ccの83.0mm、日産:S13型シルビアに搭載されるCA18型1809ccの83.0mm、日産:ZV37型スカイラインに搭載される274930型1991ccの83.0mmなどが該当します。

(もはやこのような探求に楽しみを見い出す人は減ってしまいましたが)いくら径が近かろうとも、ピストンピンの径やピストンの高さ、バルブリセスの都合などなどありますので、なるべくなら同じメーカー、なるべくなら同じ燃料で同じ吸気方式、なるべくなら排気量が近いものを選ぶと純正流用できる可能性が高くなる、かもしれません。

ピストン径が小さい 2000ccクラスのエンジン
ピストン径が大きい 2000ccクラスのエンジン
ストロークが短い 2000ccクラスのエンジン
ストロークが長い 2000ccクラスのエンジン
ボアストローク比・昇順 [2000ccクラス]
ボアストローク比・降順 [2000ccクラス]


平均ピストンスピード

ストローク最大トルク
1600rpm
最高出力
3800rpm
92.3mm4.9m/s11.7m/s
回転数/分秒速時速
2000rpm6.2m/s22km/h
4000rpm12.3m/s44km/h
6000rpm18.5m/s67km/h
8000rpm24.6m/s89km/h
10000rpm30.8m/s111km/h

続きまして平均ピストンスピードについて見てみます。ストロークが92.3mmのエンジンが最高出力を発生する3800回転での平均ピストンスピードは11.7m/sとなり、これは1秒間に11.7メートル(時速にすると42.1km/h)の距離を進む速さでピストンが上下運動していますよ、という意味です。

最大トルクを発生する1600回転では4.9m/s、最高出力が発生する3800回転より500回転高い4300回転をレブリミットと仮定したときの平均速度は13.2m/sとなっています。

参考までにストロークが92.3mmのOM654型エンジンを10000回転/毎分まで回したときのピストンスピードの変化を計算してみました。これを見ると回転数が2000回転高くなるごとに概ね6.15m/sずつ速度が増していくようです。

大量生産を前提とした一般的なエンジンの目安である20.0m/sのみを基準として考えると、高回転化の上限を(回るか回らないかは別として)6500回転くらいにするのが機械的にも精神的にも好ましそうです。


OM654型エンジンを搭載する車種の例

全9車種のうち、最高出力が大きいものから順に上位3車種を表示しています。その他の車種については、ページ下部にあるリンクよりOM654型エンジン搭載車種の一覧をご覧ください。

メーカー
車両型式
画像車名&グレード出力/燃費
パワーウェイト
排気量
変速機
ベンツ
213217
2017/09
Eクラス オールテレイン
E220d 4matic S213
[LDA-213217]
194PS
40.8kgm
16.8km/L
10.000kg/PS
ターボ
4WD/9AT
SUV
5人乗り
車両型式:LDA-213217

Eクラス オールテレイン
[E220d 4matic S213]
2017/09モデル
最高出力194PS
最大トルク40.8kgm
JC08モード燃費16.8km/L
吸気方式ターボ
車体構成5人乗りSUV
4WD/9AT
ベンツ
213004
2016/07
Eクラス セダン
E220d Avantgarde W213
[LDA-213004C]
194PS
40.8kgm
21.0km/L
9.278kg/PS
ターボ
FR/9AT
セダン
5人乗り
車両型式:LDA-213004C

Eクラス セダン
[E220d Avantgarde W213]
2016/07モデル
最高出力194PS
最大トルク40.8kgm
JC08モード燃費21.0km/L
吸気方式ターボ
車体構成5人乗りセダン
FR/9AT
ベンツ
213204
2016/11
Eクラス ステーションワゴン
E220d Avantgarde S213
[LDA-213204C]
194PS
40.8kgm
21.0km/L
9.639kg/PS
ターボ
FR/9AT
ワゴン
5人乗り
車両型式:LDA-213204C

Eクラス ステーションワゴン
[E220d Avantgarde S213]
2016/11モデル
最高出力194PS
最大トルク40.8kgm
JC08モード燃費21.0km/L
吸気方式ターボ
車体構成5人乗りワゴン
FR/9AT
OM654型エンジン搭載車種の一覧
パワーウェイトレシオ順|全13車種

その他のOM654型エンジン型式と代表的な車種

OM654q型
全4車種
ベンツ:Aクラス [A200d W177]
最高出力150PS/最大トルク32.6kgm
2018/10モデル
メルセデスベンツ
OM654q型
全4車種
Aクラス
[A200d W177]
150PS/32.6kgm

ベンツ製エンジンの原動機型式まとめ
【排気量順】