ベンツ:M278型エンジンの諸元と性能まとめ [V型8気筒 4663cc]

ここではベンツの166873型・GLS [GLS550 4Matic Sports X166|2016/04モデル] に搭載されているM278型のツインターボエンジンのデータを参考に、このエンジンが持つ特性や素性について調べてみます。

M278型のツインターボエンジン諸元


166873型 GLS
主要諸元と走行性能まとめ
車両型式CBA-166873型
車名&グレードGLS
GLS550 4Matic Sports X166
エンジン型式M278
種類V型8気筒
排気量4663cc
内径×行程92.9mm×86.0mm
ボアストローク比0.93
単気筒容積582.9cc
圧縮比10.5
吸気方式ツインターボ
使用燃料ハイオクガソリン
最高出力455PS/5250-5500rpm
最大トルク71.4kgm/1800-3500rpm

まず基本的な成り立ちとして、M278型エンジンはボア(内径)92.9mm、ストローク(行程)86.0mm、ボアストローク比0.93のショートストローク型エンジン(ストローク量よりもピストン径のほうが大きい)です。

排気量と気筒数が同一の場合、ロングストローク型に比べて低回転域でのトルク特性に劣り、扱いにくいエンジンとされるものの、高回転域では充填効率の向上や摺動抵抗の増大も(ロングストローク型に比べれば)軽微なことから出力の向上が見込まれます。

また同じ回転数でも平均ピストンスピードが抑えられることから、その分だけエンジンへの負荷は低減される傾向にあります。

このサイトにて登録されている車種のうち、M278型のツインターボエンジンを搭載する最も古い車種は、2006/11から発売された3代目CLクラス [216373型|2011/07]、最も新しい車種は2013/10から発売された6代目Sクラス カブリオレ [217482型|2016/07]となっており、NA車は0車種、ターボ/SC車は20車種の全20車種が登録されています。

過渡特性とリッター換算馬力から見た評価

エンジン性能曲線のイメージ
M278のエンジン性能曲線図もどき
馬力の変遷179.4PS → 455PS
トルクの変遷71.4kgm → 59.3kgm
リッター馬力97.6PS/L
リッタートルク15.3kgm/L

今回の参考車両であるGLSのV型8気筒4663cc、圧縮比10.5でハイオクガソリン仕様のツインターボエンジンは、5250-5500回転のとき最高出力455馬力を、5250-5500回転のとき最大トルク71.4kgmを発生させます。

馬力と回転数が分かればトルクが、トルクと回転数が分かれば馬力を知ることができますので計算してみますと、最大トルクが発生する1800回転での馬力は179.4PS、最高出力が発生する5500回転でのトルクは59.3kgmになります。

排気量1リットルあたりの馬力は97.6PS/L、トルクは15.3kgm/Lとなり、1気筒(単気筒容積582.9cc)あたりの馬力は56.9PS、トルクは8.9kgmです。

M278型ツインターボエンジンを、このサイトで登録している全てのターボ車から集計した偏差値ベースの10段階評価に当てはめると、評価は換算馬力が[ 6 ]、換算トルクが[ 6 ]の「標準的な出力(中の上)のエンジン」にカテゴライズされます。

ちなみに、M278型のターボ・SCエンジン搭載車種のうち、最高出力が最も大きかったのは222182型Sクラス セダンの455PS/71.3kgm、最も小さかったのは218373型CLSクラスの300PS/61.2kgmとなっています。

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排気量アップと圧縮比の上昇、ボアストローク比の変化

ノーマルの排気量と圧縮比
BoreStroke排気量圧縮比B/S比
92.986.04663cc10.50.93
ボアアップによる排気量拡大
93.486.04714cc10.60.92
93.94764cc10.70.92
94.44815cc10.80.91
94.94866cc10.90.91
95.44918cc11.00.90
95.94969cc11.10.90
ストロークアップによる排気量拡大
92.987.04718cc10.60.94
88.04772cc10.70.95
89.04826cc10.80.96
90.04880cc10.90.97
91.04934cc11.00.98

エンジンの排気量を決める要素には気筒数、ボア径、ストローク量の3つがあり、これらを増減することでさまざまな排気量のエンジンが生まれます。

ここでは実際に可能かどうかは別として、ピストン径を純正の92.9mmから0.5mm刻みで95.9mmまで拡大した場合および、ストロークを純正の86.0mmから1mm刻みで91.0mmまで延長した場合の排気量と、燃焼室容積が変化しないと仮定した場合の圧縮比の変化を一覧表にしています。

※ストロークアップと口で言うのは簡単なのですが、ロングストローク化するにあたってはクランクシャフトおよび対応コンロッドが必要になり、純正流用できない場合はワンオフで作らなければならないなど、とにかくお高く付きますので、手を出すには相当の覚悟を求められるメニューです。

圧縮比については、実際のところピストンが大径化するに伴ってピストン天面の凸凹容量も変化する場合が大半ですから、一覧表にある圧縮比の数値の通りにはなりませんが、排気量を大きくすると自ずと圧縮比も上昇しますよ、という雰囲気をご堪能ください。

B/S比はボアストローク比の略で、ボア径を広げていくと0.93からさらに値は小さくなり、ショートストローク型の恩恵と弊害が顕著になっていきます。M278型エンジンの場合、純正ピストンから+3.0mmのボアアップをすると比は0.93から0.90に変化するという具合です。

ピストン径が近いエンジンと排気量アップ

M278型エンジンのピストン径92.9mmとサイズが近いピストンを持つエンジンが5件ありますので、余興としてピストン流用でボアアップした場合の排気量を計算してみます。

Eg型式ピストン径排気量
三菱
4M40型
95.0mm
[+2.1mm]
4877cc
[+214cc]
トヨタ
2TZ型
95.0mm
[+2.1mm]
4877cc
[+214cc]
ホンダ
4JX1型
95.4mm
[+2.5mm]
4918cc
[+255cc]
ホンダ
4JG2型
95.4mm
[+2.5mm]
4918cc
[+255cc]
日産
VR38型
95.5mm
[+2.6mm]
4928cc
[+265cc]

ピストン径が近いエンジンとしては、三菱:PE8W型デリカ スペースギアに搭載される4M40型2835ccの95.0mm、トヨタ:TCR20W型エスティマに搭載される2TZ型2438ccの95.0mm、ホンダ:UBS73GWH型ホライゾンに搭載される4JX1型2999ccの95.4mm、ホンダ:UBS69GWH型ホライゾンに搭載される4JG2型3059ccの95.4mm、日産:R35型GT-Rに搭載されるVR38型3799ccの95.5mmなどが該当します。

(もはやこのような探求に楽しみを見い出す人は減ってしまいましたが)いくら径が近かろうとも、ピストンピンの径やピストンの高さ、バルブリセスの都合などなどありますので、なるべくなら同じメーカー、なるべくなら同じ燃料で同じ吸気方式、なるべくなら排気量が近いものを選ぶと純正流用できる可能性が高くなる、かもしれません。

ピストン径が小さい 5000ccクラスのエンジン
ピストン径が大きい 5000ccクラスのエンジン
ストロークが短い 5000ccクラスのエンジン
ストロークが長い 5000ccクラスのエンジン
ボアストローク比・昇順 [5000ccクラス]
ボアストローク比・降順 [5000ccクラス]


平均ピストンスピード

ストローク最大トルク
1800rpm
最高出力
5500rpm
86.0mm5.2m/s15.8m/s
回転数/分秒速時速
2000rpm5.7m/s21km/h
4000rpm11.5m/s41km/h
6000rpm17.2m/s62km/h
8000rpm22.9m/s82km/h
10000rpm28.7m/s103km/h

続きまして平均ピストンスピードについて見てみます。ストロークが86.0mmのエンジンが最高出力を発生する5500回転での平均ピストンスピードは15.8m/sとなり、これは1秒間に15.8メートル(時速にすると56.9km/h)の距離を進む速さでピストンが上下運動していますよ、という意味です。

最大トルクを発生する1800回転では5.2m/s、最高出力が発生する5500回転より500回転高い6000回転をレブリミットと仮定したときの平均速度は17.2m/sとなっています。

参考までにストロークが86.0mmのM278型エンジンを10000回転/毎分まで回したときのピストンスピードの変化を計算してみました。これを見ると回転数が2000回転高くなるごとに概ね5.75m/sずつ速度が増していくようです。

大量生産を前提とした一般的なエンジンの目安である20.0m/sのみを基準として考えると、高回転化の上限を(回るか回らないかは別として)6980回転くらいにするのが機械的にも精神的にも好ましそうです。


M278型エンジンを搭載する車種の例

全20車種のうち、最高出力が大きいものから順に上位3車種を表示しています。その他の車種については、ページ下部にあるリンクよりM278型エンジン搭載車種の一覧をご覧ください。

メーカー
車両型式
画像車名&グレード出力/燃費
パワーウェイト
排気量
変速機
ベンツ
222182
2014/06
Sクラス セダン
S550 Long W222
[DBA-222182]
455PS
71.3kgm
10.5km/L
4.79kg/PS
ターボ
FR/7AT
セダン
5人乗り

Sクラス セダン
[S550 Long W222]
2014/06モデル
車両型式DBA-222182
最高出力455PS
最大トルク71.3kgm
JC08モード燃費10.5km/L
パワーウェイト4.79kg/PS
吸気方式ターボ
駆動方式&変速機FR/7AT
車体形状&乗車定員セダン/5人乗り
ベンツ
217382
2015/07
Sクラス クーペ
S550 C217
[DBA-217382C]
455PS
71.3kgm
9.6km/L
4.64kg/PS
ターボ
FR/9AT
クーペ
4人乗り

Sクラス クーペ
[S550 C217]
2015/07モデル
車両型式DBA-217382C
最高出力455PS
最大トルク71.3kgm
JC08モード燃費9.6km/L
パワーウェイト4.64kg/PS
吸気方式ターボ
駆動方式&変速機FR/9AT
車体形状&乗車定員クーペ/4人乗り
ベンツ
166873
2016/04
GLS
GLS550 4Matic Sports X166
[CBA-166873]
455PS
71.4kgm
8.2km/L
5.63kg/PS
ターボ
4WD/9AT
SUV
7人乗り

GLS
[GLS550 4Matic Sports X166]
2016/04モデル
車両型式CBA-166873
最高出力455PS
最大トルク71.4kgm
JC08モード燃費8.2km/L
パワーウェイト5.63kg/PS
吸気方式ターボ
駆動方式&変速機4WD/9AT
車体形状&乗車定員SUV/7人乗り
M278型エンジン搭載車種の一覧
パワーウェイトレシオ順|全20車種

ベンツ製エンジンの原動機型式まとめ
【排気量順】