ここではベンツの204247型・Cクラス ステーションワゴン [C250 Blue-Efficiency Avantgarde S204|2011/10モデル] に搭載されているM271型のターボエンジンのデータを参考に、このエンジンが持つ特性や素性について調べてみます。
M271型のターボエンジン諸元
204247型 Cクラス ステーションワゴン 主要諸元と走行性能まとめ | |
車両型式 | DBA-204247型 |
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車名&グレード | Cクラス ステーションワゴン C250 Blue-Efficiency Avantgarde S204 |
エンジン型式 | M271 |
種類 | 直列4気筒 |
排気量 | 1795cc |
内径×行程 | 82.0mm×85.0mm |
ボアストローク比 | 1.04 |
単気筒容積 | 448.9cc |
圧縮比 | 9.3 |
吸気方式 | ターボ |
使用燃料 | ハイオクガソリン |
最高出力 | 204PS/5500rpm |
最大トルク | 31.6kgm/2000-4300rpm |
まず基本的な成り立ちとして、M271型エンジンはボア(内径)82.0mm、ストローク(行程)85.0mm、ボアストローク比1.04のロングストローク型エンジン(ピストン径よりもストローク量のほうが大きい)です。
排気量と気筒数が同一の場合、ショートストローク型に比べて低回転域でのトルク特性に優れ、扱い易いエンジンとされますが、高回転域では充填効率の悪化や摺動抵抗が増大して出力の低下が懸念されます。
なおかつ回転数も同一の場合、ショートストローク型に比べて平均ピストンスピードが高くなりがちなことから、エンジンへの負荷が大きくなる傾向にあります。
このサイトにて登録されている車種のうち、M271型のターボエンジンを搭載する最も古い車種は、2001/06から発売された2代目Cクラス ステーションワゴン [203246型|2007/01]、最も新しい車種は2007/06から発売された3代目Cクラス セダン [204049型|2013/08]となっており、NA車は0車種、ターボ/SC車は20車種の全20車種が登録されています。
過渡特性とリッター換算馬力から見た評価
エンジン性能曲線のイメージ | |
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馬力の変遷 | 88.2PS → 204PS |
トルクの変遷 | 31.6kgm → 26.6kgm |
リッター馬力 | 113.65PS/L |
リッタートルク | 17.6kgm/L |
今回の参考車両であるCクラス ステーションワゴンの直列4気筒1795cc、圧縮比9.3でハイオクガソリン仕様のターボエンジンは、5500回転のとき最高出力204馬力を、5500回転のとき最大トルク31.6kgmを発生させます。
馬力と回転数が分かればトルクが、トルクと回転数が分かれば馬力を知ることができますので計算してみますと、最大トルクが発生する2000回転での馬力は88.2PS、最高出力が発生する5500回転でのトルクは26.6kgmになります。
排気量1リットルあたりの馬力は113.65PS/L、トルクは17.6kgm/Lとなり、1気筒(単気筒容積448.9cc)あたりの馬力は51.0PS、トルクは7.9kgmです。
M271型ターボエンジンを、このサイトで登録している全てのターボ車から集計した偏差値ベースの10段階評価に当てはめると、評価は換算馬力が[ 7 ]、換算トルクが[ 8 ]の「なかなかの高出力エンジン」にカテゴライズされます。
ちなみに、M271型のターボ・SCエンジン搭載車種のうち、最高出力が最も大きかったのは204247型Cクラス ステーションワゴンの204PS/31.6kgm、最も小さかったのは203246型Cクラス ステーションワゴンの143PS/22.4kgmとなっています。
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排気量アップと圧縮比の上昇、ボアストローク比の変化
ノーマルの排気量と圧縮比 | ||||
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Bore | Stroke | 排気量 | 圧縮比 | B/S比 |
82.0 | 85.0 | 1795cc | 9.3 | 1.04 |
ボアアップによる排気量拡大 | ||||
82.5 | 85.0 | 1817cc | 9.4 | 1.03 |
83.0 | 1840cc | 9.5 | 1.02 | |
83.5 | 1862cc | 9.6 | 1.02 | |
84.0 | 1884cc | 9.7 | 1.01 | |
84.5 | 1907cc | 9.8 | 1.01 | |
85.0 | 1929cc | 9.9 | 1.00 | |
ストロークアップによる排気量拡大 | ||||
82.0 | 86.0 | 1817cc | 9.4 | 1.05 |
87.0 | 1838cc | 9.5 | 1.06 | |
88.0 | 1859cc | 9.6 | 1.07 | |
89.0 | 1880cc | 9.7 | 1.09 | |
90.0 | 1901cc | 9.8 | 1.10 |
エンジンの排気量を決める要素には気筒数、ボア径、ストローク量の3つがあり、これらを増減することでさまざまな排気量のエンジンが生まれます。
ここでは実際に可能かどうかは別として、ピストン径を純正の82.0mmから0.5mm刻みで85.0mmまで拡大した場合および、ストロークを純正の85.0mmから1mm刻みで90.0mmまで延長した場合の排気量と、燃焼室容積が変化しないと仮定した場合の圧縮比の変化を一覧表にしています。
※ストロークアップと口で言うのは簡単なのですが、ロングストローク化するにあたってはクランクシャフトおよび対応コンロッドが必要になり、純正流用できない場合はワンオフで作らなければならないなど、とにかくお高く付きますので、手を出すには相当の覚悟を求められるメニューです。
圧縮比については、実際のところピストンが大径化するに伴ってピストン天面の凸凹容量も変化する場合が大半ですから、一覧表にある圧縮比の数値の通りにはなりませんが、排気量を大きくすると自ずと圧縮比も上昇しますよ、という雰囲気をご堪能ください。
B/S比はボアストローク比の略で、ボア径を広げていくとロングストローク型からスクエア型、あるいはショートストローク型の特性へと近付いていきます。M271型エンジンの場合、純正ピストンから+3.0mmのボアアップをすると比は1.04から1.00に変化するという具合です。
ピストン径が近いエンジンと排気量アップ
M271型エンジンのピストン径82.0mmとサイズが近いピストンを持つエンジンが14件ありますので、余興としてピストン流用でボアアップした場合の排気量を計算してみます。
Eg型式 | ピストン径 | 排気量 |
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三菱 4D68型 | 82.7mm [+0.7mm] | 1826cc [+31cc] |
日産 m274型 | 83.0mm [+1.0mm] | 1840cc [+45cc] |
マツダ BP型 | 83.0mm [+1.0mm] | 1840cc [+45cc] |
日産 CA18型 | 83.0mm [+1.0mm] | 1840cc [+45cc] |
トヨタ 7M型 | 83.0mm [+1.0mm] | 1840cc [+45cc] |
日産 274930型 | 83.0mm [+1.0mm] | 1840cc [+45cc] |
ピストン径が近いエンジンとしては、三菱:N28WG型RVRに搭載される4D68型1998ccの82.7mm、日産:YV37型スカイラインに搭載されるm274型1991ccの83.0mm、マツダ:NB8C型ロードスターに搭載されるBP型1839ccの83.0mm、日産:S13型シルビアに搭載されるCA18型1809ccの83.0mm、トヨタ:MZ20型ソアラに搭載される7M型2954ccの83.0mm、日産:ZV37型スカイラインに搭載される274930型1991ccの83.0mmなどが該当します。
(もはやこのような探求に楽しみを見い出す人は減ってしまいましたが)いくら径が近かろうとも、ピストンピンの径やピストンの高さ、バルブリセスの都合などなどありますので、なるべくなら同じメーカー、なるべくなら同じ燃料で同じ吸気方式、なるべくなら排気量が近いものを選ぶと純正流用できる可能性が高くなる、かもしれません。
●ピストン径が小さい 1800ccクラスのエンジン
●ピストン径が大きい 1800ccクラスのエンジン
●ストロークが短い 1800ccクラスのエンジン
●ストロークが長い 1800ccクラスのエンジン
●ボアストローク比・昇順 [1800ccクラス]
●ボアストローク比・降順 [1800ccクラス]
平均ピストンスピード
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続きまして平均ピストンスピードについて見てみます。ストロークが85.0mmのエンジンが最高出力を発生する5500回転での平均ピストンスピードは15.6m/sとなり、これは1秒間に15.6メートル(時速にすると56.2km/h)の距離を進む速さでピストンが上下運動していますよ、という意味です。
最大トルクを発生する2000回転では5.7m/s、最高出力が発生する5500回転より500回転高い6000回転をレブリミットと仮定したときの平均速度は17.0m/sとなっています。
参考までにストロークが85.0mmのM271型エンジンを10000回転/毎分まで回したときのピストンスピードの変化を計算してみました。これを見ると回転数が2000回転高くなるごとに概ね5.65m/sずつ速度が増していくようです。
大量生産を前提とした一般的なエンジンの目安である20.0m/sのみを基準として考えると、高回転化の上限を(回るか回らないかは別として)7060回転くらいにするのが機械的にも精神的にも好ましそうです。
M271型エンジンを搭載する車種の例
全20車種のうち、最高出力が大きいものから順に上位3車種を表示しています。その他の車種については、ページ下部にあるリンクよりM271型エンジン搭載車種の一覧をご覧ください。
メーカー 車両型式 | 画像 | 車名&グレード | 出力/燃費 パワーウェイト | 排気量 変速機 | ||||||||||||||||
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ベンツ 204247 | 2011/10 Cクラス ステーションワゴン C250 Blue-Efficiency Avantgarde S204 [DBA-204247] | 204PS 31.6kgm 13.2km/L 7.941kg/PS | ターボ FR/7AT ワゴン 5人乗り | |||||||||||||||||
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ベンツ 212047 | 2011/11 Eクラス セダン E250 Blue-Efficiency W212 [DBA-212047C] | 204PS 31.6kgm 12.6km/L 8.431kg/PS | ターボ FR/7AT セダン 5人乗り | |||||||||||||||||
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ベンツ 204347 | 2011/10 Cクラス クーペ C250 Blue-Efficiency Coupe C204 [DBA-204347] | 204PS 31.6kgm 13.2km/L 7.745kg/PS | ターボ FR/7AT クーペ 4人乗り | |||||||||||||||||
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M271型エンジン搭載車種の一覧 パワーウェイトレシオ順|全20車種 |