ベンツ:M139型エンジンの諸元と性能まとめ [直列4気筒 1991cc]

ここではベンツの177054型・Aクラス [A45-S 4matic+ AMG W177|2020/04モデル] に搭載されているM139型のターボエンジンのデータを参考に、このエンジンが持つ特性や素性について調べてみます。

M139型のターボエンジン諸元


177054型 Aクラス
主要諸元と走行性能まとめ
車両型式4BA-177054M型
車名&グレードAクラス
A45-S 4matic+ AMG W177
エンジン型式M139
種類直列4気筒
排気量1991cc
内径×行程83.0mm×92.0mm
ボアストローク比1.11
単気筒容積497.8cc
圧縮比9.0
吸気方式ターボ
使用燃料ハイオクガソリン
最高出力421PS/6750rpm
最大トルク51.0kgm/5000-5250rpm

まず基本的な成り立ちとして、M139型エンジンはボア(内径)83.0mm、ストローク(行程)92.0mm、ボアストローク比1.11のロングストローク型エンジン(ピストン径よりもストローク量のほうが大きい)です。

排気量と気筒数が同一の場合、ショートストローク型に比べて低回転域でのトルク特性に優れ、扱い易いエンジンとされますが、高回転域では充填効率の悪化や摺動抵抗が増大して出力の低下が懸念されます。

なおかつ回転数も同一の場合、ショートストローク型に比べて平均ピストンスピードが高くなりがちなことから、エンジンへの負荷が大きくなる傾向にあります。

このサイトにて登録されている車種のうち、M139型のターボエンジンを搭載する最も古い車種は、2019/10から発売された2代目CLAクラス [118354M型|2019/11]、最も新しい車種は2020/06から発売された2代目GLAクラス AMG [247754M型|2020/10]となっており、NA車は0車種、ターボ/SC車は4車種の全4車種が登録されています。

過渡特性とリッター換算馬力から見た評価

エンジン性能曲線のイメージ
M139のエンジン性能曲線図もどき
馬力の変遷356.0PS → 421PS
トルクの変遷51.0kgm → 44.7kgm
リッター馬力211.45PS/L
リッタートルク25.6kgm/L

今回の参考車両であるAクラスの直列4気筒1991cc、圧縮比9.0でハイオクガソリン仕様のターボエンジンは、6750回転のとき最高出力421馬力を、6750回転のとき最大トルク51.0kgmを発生させます。

馬力と回転数が分かればトルクが、トルクと回転数が分かれば馬力を知ることができますので計算してみますと、最大トルクが発生する5000回転での馬力は356.0PS、最高出力が発生する6750回転でのトルクは44.7kgmになります。

排気量1リットルあたりの馬力は211.45PS/L、トルクは25.6kgm/Lとなり、1気筒(単気筒容積497.8cc)あたりの馬力は105.2PS、トルクは12.8kgmです。

M139型ターボエンジンを、このサイトで登録している全てのターボ車から集計した偏差値ベースの10段階評価に当てはめると、評価は換算馬力が[ 10 ]、換算トルクが[ 10 ]の「稀に見る高出力エンジン」にカテゴライズされます。

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排気量アップと圧縮比の上昇、ボアストローク比の変化

ノーマルの排気量と圧縮比
BoreStroke排気量圧縮比B/S比
83.092.01991cc9.01.11
ボアアップによる排気量拡大
83.592.02015cc9.11.10
84.02039cc9.21.10
84.52064cc9.31.09
85.02088cc9.41.08
85.52113cc9.51.08
86.02138cc9.61.07
ストロークアップによる排気量拡大
83.093.02013cc9.11.12
94.02034cc9.21.13
95.02056cc9.31.14
96.02078cc9.31.16
97.02099cc9.41.17

エンジンの排気量を決める要素には気筒数、ボア径、ストローク量の3つがあり、これらを増減することでさまざまな排気量のエンジンが生まれます。

ここでは実際に可能かどうかは別として、ピストン径を純正の83.0mmから0.5mm刻みで86.0mmまで拡大した場合および、ストロークを純正の92.0mmから1mm刻みで97.0mmまで延長した場合の排気量と、燃焼室容積が変化しないと仮定した場合の圧縮比の変化を一覧表にしています。

※ストロークアップと口で言うのは簡単なのですが、ロングストローク化するにあたってはクランクシャフトおよび対応コンロッドが必要になり、純正流用できない場合はワンオフで作らなければならないなど、とにかくお高く付きますので、手を出すには相当の覚悟を求められるメニューです。

圧縮比については、実際のところピストンが大径化するに伴ってピストン天面の凸凹容量も変化する場合が大半ですから、一覧表にある圧縮比の数値の通りにはなりませんが、排気量を大きくすると自ずと圧縮比も上昇しますよ、という雰囲気をご堪能ください。

B/S比はボアストローク比の略で、ボア径を広げていくとロングストローク型からスクエア型、あるいはショートストローク型の特性へと近付いていきます。M139型エンジンの場合、純正ピストンから+3.0mmのボアアップをすると比は1.11から1.07に変化するという具合です。

ピストン径が近いエンジンと排気量アップ

M139型エンジンのピストン径83.0mmとサイズが近いピストンを持つエンジンが25件ありますので、余興としてピストン流用でボアアップした場合の排気量を計算してみます。

Eg型式ピストン径排気量
日産
M9R型
84.0mm
[+1.0mm]
2039cc
[+48cc]
日産
CD20型
84.5mm
[+1.5mm]
2064cc
[+73cc]
三菱
4G63型
85.0mm
[+2.0mm]
2088cc
[+97cc]
日産
VQ25型
85.0mm
[+2.0mm]
2088cc
[+97cc]
日産
RD28型
85.0mm
[+2.0mm]
2088cc
[+97cc]
三菱
G63B型
85.0mm
[+2.0mm]
2088cc
[+97cc]

ピストン径が近いエンジンとしては、日産:DNT31型エクストレイルに搭載されるM9R型1995ccの84.0mm、日産:SW11型ラルゴに搭載されるCD20型1973ccの84.5mm、三菱:E33A型ギャランに搭載される4G63型1997ccの85.0mm、日産:NM35型ステージアに搭載されるVQ25型2495ccの85.0mm、日産:WYY61型サファリに搭載されるRD28型2825ccの85.0mm、三菱:P03W型デリカ スターワゴンに搭載されるG63B型1997ccの85.0mmなどが該当します。

(もはやこのような探求に楽しみを見い出す人は減ってしまいましたが)いくら径が近かろうとも、ピストンピンの径やピストンの高さ、バルブリセスの都合などなどありますので、なるべくなら同じメーカー、なるべくなら同じ燃料で同じ吸気方式、なるべくなら排気量が近いものを選ぶと純正流用できる可能性が高くなる、かもしれません。

ピストン径が小さい 2000ccクラスのエンジン
ピストン径が大きい 2000ccクラスのエンジン
ストロークが短い 2000ccクラスのエンジン
ストロークが長い 2000ccクラスのエンジン
ボアストローク比・昇順 [2000ccクラス]
ボアストローク比・降順 [2000ccクラス]


平均ピストンスピード

ストローク最大トルク
5000rpm
最高出力
6750rpm
92.0mm15.3m/s20.7m/s
回転数/分秒速時速
2000rpm6.1m/s22km/h
4000rpm12.3m/s44km/h
6000rpm18.4m/s66km/h
8000rpm24.5m/s88km/h
10000rpm30.7m/s111km/h

続きまして平均ピストンスピードについて見てみます。ストロークが92.0mmのエンジンが最高出力を発生する6750回転での平均ピストンスピードは20.7m/sとなり、これは1秒間に20.7メートル(時速にすると74.5km/h)の距離を進む速さでピストンが上下運動していますよ、という意味です。

最大トルクを発生する5000回転では15.3m/s、最高出力が発生する6750回転より500回転高い7250回転をレブリミットと仮定したときの平均速度は22.2m/sとなっています。

参考までにストロークが92.0mmのM139型エンジンを10000回転/毎分まで回したときのピストンスピードの変化を計算してみました。これを見ると回転数が2000回転高くなるごとに概ね6.15m/sずつ速度が増していくようです。

大量生産を前提とした一般的なエンジンの目安である20.0m/sのみを基準として考えると、6520回転くらいが良い感じの回転数になるのではないかと思いますが、このエンジンは最高出力を発生している時点で既に20.0m/sを超えており、レブリミットを考慮するともう少し余分に(300~500回転?)回ることから、内部では大変なことになりながらも頑張って回っているエンジンです。


M139型エンジンを搭載する車種の例

全4車種を最高出力が大きいものから順に表示しています。

メーカー
車両型式
画像車名&グレード出力/燃費
パワーウェイト
排気量
変速機
ベンツ
177054
2020/04
Aクラス
A45-S 4matic+ AMG W177
[4BA-177054M]
421PS
51.0kgm
11.4km/L
3.895kg/PS
ターボ
4WD/8AT
ハッチバック
5人乗り
車両型式:4BA-177054M

Aクラス
[A45-S 4matic+ AMG W177]
2020/04モデル
最高出力421PS
最大トルク51.0kgm
WLTCモード燃費11.4km/L
吸気方式ターボ
車体構成5人乗りハッチバック
4WD/8AT
ベンツ
118654
2019/12
CLAクラス シューティングブレーク
AMG CLA45-S 4matic+ X118
[4BA-118654M]
421PS
51.0kgm
11.3km/L
4.038kg/PS
ターボ
4WD/8AT
ワゴン
5人乗り
車両型式:4BA-118654M

CLAクラス シューティングブレーク
[AMG CLA45-S 4matic+ X118]
2019/12モデル
最高出力421PS
最大トルク51.0kgm
WLTCモード燃費11.3km/L
吸気方式ターボ
車体構成5人乗りワゴン
4WD/8AT
ベンツ
118354
2019/11
CLAクラス
AMG CLA45-S 4matic+ C118
[4BA-118354M]
421PS
51.0kgm
11.5km/L
3.990kg/PS
ターボ
4WD/8AT
セダン
5人乗り
車両型式:4BA-118354M

CLAクラス
[AMG CLA45-S 4matic+ C118]
2019/11モデル
最高出力421PS
最大トルク51.0kgm
WLTCモード燃費11.5km/L
吸気方式ターボ
車体構成5人乗りセダン
4WD/8AT
ベンツ
247754
2020/10
GLAクラス AMG
GLA45-S 4matic+ H247
[4BA-247754M]
421PS
51.0kgm
10.4km/L
4.204kg/PS
ターボ
4WD/8AT
SUV
5人乗り
車両型式:4BA-247754M

GLAクラス AMG
[GLA45-S 4matic+ H247]
2020/10モデル
最高出力421PS
最大トルク51.0kgm
WLTCモード燃費10.4km/L
吸気方式ターボ
車体構成5人乗りSUV
4WD/8AT

ベンツ製エンジンの原動機型式まとめ
【排気量順】