ベンツ:M1118型の過給エンジンの諸元と性能まとめ [直列4気筒 2294cc]

ここではベンツの170449型・SLKクラス [SLK230-Kompressor R170|2004/04モデル] に搭載されているM1118型のスーパーチャージャーエンジンのデータを参考に、このエンジンが持つ特性や素性について調べてみます。

M1118型のスーパーチャージャーエンジン諸元


170449型 SLKクラス
主要諸元と走行性能まとめ
車両型式GH-170449型
車名&グレードSLKクラス
SLK230-Kompressor R170
エンジン型式M1118
種類直列4気筒
排気量2294cc
内径×行程90.9mm×88.4mm
ボアストローク比0.97
単気筒容積573.7cc
圧縮比9.0
吸気方式スーパーチャージャー
使用燃料ハイオクガソリン
最高出力197PS/5500rpm
最大トルク28.6kgm/3000-4600rpm

まず基本的な成り立ちとして、M1118型エンジンはボア(内径)90.9mm、ストローク(行程)88.4mm、ボアストローク比0.97のショートストローク型エンジン(ストローク量よりもピストン径のほうが大きい)です。

排気量と気筒数が同一の場合、ロングストローク型に比べて低回転域でのトルク特性に劣り、扱いにくいエンジンとされるものの、高回転域では充填効率の向上や摺動抵抗の増大も(ロングストローク型に比べれば)軽微なことから出力の向上が見込まれます。

また同じ回転数でも平均ピストンスピードが抑えられることから、その分だけエンジンへの負荷は低減される傾向にあります。

このサイトにてM1118型のスーパーチャージャーエンジンを搭載している車種は、1997/02から発売された初代SLKクラス [170449型|2004/04]となっており、1車種のターボ/SC車が登録されています。

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過渡特性とリッター換算馬力から見た評価

エンジン性能曲線のイメージ
M1118のエンジン性能曲線図もどき
馬力の変遷119.8PS → 197PS
トルクの変遷28.6kgm → 25.7kgm
リッター馬力85.88PS/L
リッタートルク12.5kgm/L

今回の参考車両であるSLKクラスの直列4気筒2294cc、圧縮比9.0でハイオクガソリン仕様のスーパーチャージャーエンジンは、5500回転のとき最高出力197馬力を、5500回転のとき最大トルク28.6kgmを発生させます。

馬力と回転数が分かればトルクが、トルクと回転数が分かれば馬力を知ることができますので計算してみますと、最大トルクが発生する3000回転での馬力は119.8PS、最高出力が発生する5500回転でのトルクは25.7kgmになります。

排気量1リットルあたりの馬力は85.88PS/L、トルクは12.5kgm/Lとなり、1気筒(単気筒容積573.7cc)あたりの馬力は49.2PS、トルクは7.2kgmです。

M1118型スーパーチャージャーエンジンを、このサイトで登録している全てのターボ車から集計した偏差値ベースの10段階評価に当てはめると、評価は換算馬力が[ 5 ]、換算トルクが[ 4 ]の「標準的な出力(中の下)のエンジン」にカテゴライズされます。

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排気量アップと圧縮比の上昇、ボアストローク比の変化

ノーマルの排気量と圧縮比
BoreStroke排気量圧縮比B/S比
90.988.42294cc9.00.97
ボアアップによる排気量拡大
91.488.42320cc9.10.97
91.92345cc9.20.96
92.42371cc9.30.96
92.92397cc9.40.95
93.42423cc9.50.95
93.92449cc9.50.94
ストロークアップによる排気量拡大
90.989.42321cc9.10.98
90.42347cc9.20.99
91.42373cc9.31.01
92.42398cc9.41.02
93.42424cc9.51.03

エンジンの排気量を決める要素には気筒数、ボア径、ストローク量の3つがあり、これらを増減することでさまざまな排気量のエンジンが生まれます。

ここでは実際に可能かどうかは別として、ピストン径を純正の90.9mmから0.5mm刻みで93.9mmまで拡大した場合および、ストロークを純正の88.4mmから1mm刻みで93.4mmまで延長した場合の排気量と、燃焼室容積が変化しないと仮定した場合の圧縮比の変化を一覧表にしています。

※ストロークアップと口で言うのは簡単なのですが、ロングストローク化するにあたってはクランクシャフトおよび対応コンロッドが必要になり、純正流用できない場合はワンオフで作らなければならないなど、とにかくお高く付きますので、手を出すには相当の覚悟を求められるメニューです。

圧縮比については、実際のところピストンが大径化するに伴ってピストン天面の凸凹容量も変化する場合が大半ですから、一覧表にある圧縮比の数値の通りにはなりませんが、排気量を大きくすると自ずと圧縮比も上昇しますよ、という雰囲気をご堪能ください。

B/S比はボアストローク比の略で、ボア径を広げていくと0.97からさらに値は小さくなり、ショートストローク型の恩恵と弊害が顕著になっていきます。M1118型エンジンの場合、純正ピストンから+3.0mmのボアアップをすると比は0.97から0.94に変化するという具合です。

ピストン径が近いエンジンと排気量アップ

M1118型エンジンのピストン径90.9mmとサイズが近いピストンを持つエンジンが7件ありますので、余興としてピストン流用でボアアップした場合の排気量を計算してみます。

Eg型式ピストン径排気量
スバル
EJ20型
92.0mm
[+1.1mm]
2351cc
[+57cc]
トヨタ
2L型
92.0mm
[+1.1mm]
2351cc
[+57cc]
トヨタ
1GD型
92.0mm
[+1.1mm]
2351cc
[+57cc]
ダイハツ
DL型
92.0mm
[+1.1mm]
2351cc
[+57cc]
スバル
EA82型
92.0mm
[+1.1mm]
2351cc
[+57cc]
日産
VQ30型
93.0mm
[+2.1mm]
2402cc
[+108cc]

ピストン径が近いエンジンとしては、スバル:VAB型WRX STIに搭載されるEJ20型1994ccの92.0mm、トヨタ:LX80型ハイラックスサーフに搭載される2L型2446ccの92.0mm、トヨタ:GDJ150W型ランドクルーザー プラドに搭載される1GD型2754ccの92.0mm、ダイハツ:F73W型ラガーに搭載されるDL型2765ccの92.0mm、スバル:AX4型アルシオーネに搭載されるEA82型1781ccの92.0mm、日産:HF50型シーマに搭載されるVQ30型2987ccの93.0mmなどが該当します。

(もはやこのような探求に楽しみを見い出す人は減ってしまいましたが)いくら径が近かろうとも、ピストンピンの径やピストンの高さ、バルブリセスの都合などなどありますので、なるべくなら同じメーカー、なるべくなら同じ燃料で同じ吸気方式、なるべくなら排気量が近いものを選ぶと純正流用できる可能性が高くなる、かもしれません。

ピストン径が小さい 2500ccクラスのエンジン
ピストン径が大きい 2500ccクラスのエンジン
ストロークが短い 2500ccクラスのエンジン
ストロークが長い 2500ccクラスのエンジン
ボアストローク比・昇順 [2500ccクラス]
ボアストローク比・降順 [2500ccクラス]


平均ピストンスピード

ストローク最大トルク
3000rpm
最高出力
5500rpm
88.4mm8.8m/s16.2m/s
回転数/分秒速時速
2000rpm5.9m/s21km/h
4000rpm11.8m/s42km/h
6000rpm17.7m/s64km/h
8000rpm23.6m/s85km/h
10000rpm29.5m/s106km/h

続きまして平均ピストンスピードについて見てみます。ストロークが88.4mmのエンジンが最高出力を発生する5500回転での平均ピストンスピードは16.2m/sとなり、これは1秒間に16.2メートル(時速にすると58.3km/h)の距離を進む速さでピストンが上下運動していますよ、という意味です。

最大トルクを発生する3000回転では8.8m/s、最高出力が発生する5500回転より500回転高い6000回転をレブリミットと仮定したときの平均速度は17.7m/sとなっています。

参考までにストロークが88.4mmのM1118型エンジンを10000回転/毎分まで回したときのピストンスピードの変化を計算してみました。これを見ると回転数が2000回転高くなるごとに概ね5.90m/sずつ速度が増していくようです。

大量生産を前提とした一般的なエンジンの目安である20.0m/sのみを基準として考えると、高回転化の上限を(回るか回らないかは別として)6790回転くらいにするのが機械的にも精神的にも好ましそうです。


M1118型の過給エンジンを搭載する車種の例

メーカー
車両型式
画像車名&グレード出力/燃費
パワーウェイト
排気量
変速機
ベンツ
170449
2004/04
SLKクラス
SLK230-Kompressor R170
[GH-170449]
197PS
28.6kgm
9.8km/L
7.005kg/PS
SC
FR/5AT
オープンカー
2人乗り
車両型式:GH-170449

SLKクラス
[SLK230-Kompressor R170]
2004/04モデル
最高出力197PS
最大トルク28.6kgm
10-15モード燃費9.8km/L
吸気方式SC
車体構成2人乗りオープンカー
FR/5AT

ベンツ製エンジンの原動機型式まとめ
【排気量順】