マツダ:T3-VPTS型エンジンの諸元と性能まとめ [直6+モーター 3283cc]

ここではマツダのKH3R3P型・CX-60 ハイブリッド [Exclusive-Sports|2022/09モデル] に搭載されているT3-VPTS型のターボエンジンのデータを参考に、このエンジンが持つ特性や素性について調べてみます。

T3-VPTS型のターボエンジン諸元


KH3R3P型 CX-60 ハイブリッド
主要諸元と走行性能まとめ
車両型式3CA-KH3R3P型
車名&グレードCX-60 ハイブリッド
Exclusive-Sports
エンジン型式T3-VPTS
種類直6+モーター
排気量3283cc
内径×行程86.0mm×94.2mm
ボアストローク比1.09
単気筒容積547.2cc
圧縮比15.2
吸気方式ターボ
使用燃料ディーゼル
最高出力254PS/3750rpm
最大トルク56.1kgm/1500-2400rpm

まず基本的な成り立ちとして、T3型エンジンはボア(内径)86.0mm、ストローク(行程)94.2mm、ボアストローク比1.09のロングストローク型エンジン(ピストン径よりもストローク量のほうが大きい)です。

排気量と気筒数が同一の場合、ショートストローク型に比べて低回転域でのトルク特性に優れ、扱い易いエンジンとされますが、高回転域では充填効率の悪化や摺動抵抗が増大して出力の低下が懸念されます。

なおかつ回転数も同一の場合、ショートストローク型に比べて平均ピストンスピードが高くなりがちなことから、エンジンへの負荷が大きくなる傾向にあります。

このサイトにて登録されている車種のうち、T3-VPTS型のターボエンジンを搭載する最も古い車種は、2022/09から発売された初代CX-60 ハイブリッド [KH3R3P型|2022/09]、最も新しい車種は2022/09から発売された初代CX-60 [KH3P型|2022/12]となっており、NA車は0車種、ターボ/SC車は3車種の全3車種が登録されています。

過渡特性とリッター換算馬力から見た評価

エンジン性能曲線のイメージ
T3のエンジン性能曲線図もどき
馬力の変遷117.5PS → 254PS
トルクの変遷56.1kgm → 48.5kgm
リッター馬力77.40PS/L
リッタートルク17.1kgm/L

今回の参考車両であるCX-60 ハイブリッドの直6+モーター3283cc、圧縮比15.2でディーゼル仕様のターボエンジンは、3750回転のとき最高出力254馬力を、3750回転のとき最大トルク56.1kgmを発生させます。

馬力と回転数が分かればトルクが、トルクと回転数が分かれば馬力を知ることができますので計算してみますと、最大トルクが発生する1500回転での馬力は117.5PS、最高出力が発生する3750回転でのトルクは48.5kgmになります。

排気量1リットルあたりの馬力は77.40PS/L、トルクは17.1kgm/Lとなり、1気筒(単気筒容積547.2cc)あたりの馬力は42.3PS、トルクは9.3kgmです。

T3型ターボエンジンを、このサイトで登録している全てのターボ車から集計した偏差値ベースの10段階評価に当てはめると、評価は換算馬力が[ 4 ]、換算トルクが[ 7 ]の「やや控えめな出力のエンジン」にカテゴライズされます。

ちなみに、T3-VPTS型エンジン搭載車種のうち、最高出力が最も大きかったのはKH3R3P型CX-60 ハイブリッドの254PS/56.1kgm、最も小さかったのはKH3P型CX-60の231PS/51.0kgmとなっています。

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排気量アップと圧縮比の上昇、ボアストローク比の変化

ノーマルの排気量と圧縮比
BoreStroke排気量圧縮比B/S比
86.094.23283cc15.21.09
ボアアップによる排気量拡大
86.594.23321cc15.41.09
87.03360cc15.51.08
87.53399cc15.71.08
88.03438cc15.91.07
88.53477cc16.01.06
89.03516cc16.21.06
ストロークアップによる排気量拡大
86.095.23318cc15.41.11
96.23353cc15.51.12
97.23388cc15.71.13
98.23422cc15.81.14
99.23457cc16.01.15

エンジンの排気量を決める要素には気筒数、ボア径、ストローク量の3つがあり、これらを増減することでさまざまな排気量のエンジンが生まれます。

ここでは実際に可能かどうかは別として、ピストン径を純正の86.0mmから0.5mm刻みで89.0mmまで拡大した場合および、ストロークを純正の94.2mmから1mm刻みで99.2mmまで延長した場合の排気量と、燃焼室容積が変化しないと仮定した場合の圧縮比の変化を一覧表にしています。

※ストロークアップと口で言うのは簡単なのですが、ロングストローク化するにあたってはクランクシャフトおよび対応コンロッドが必要になり、純正流用できない場合はワンオフで作らなければならないなど、とにかくお高く付きますので、手を出すには相当の覚悟を求められるメニューです。

圧縮比については、実際のところピストンが大径化するに伴ってピストン天面の凸凹容量も変化する場合が大半ですから、一覧表にある圧縮比の数値の通りにはなりませんが、排気量を大きくすると自ずと圧縮比も上昇しますよ、という雰囲気をご堪能ください。

B/S比はボアストローク比の略で、ボア径を広げていくとロングストローク型からスクエア型、あるいはショートストローク型の特性へと近付いていきます。T3型エンジンの場合、純正ピストンから+3.0mmのボアアップをすると比は1.09から1.06に変化するという具合です。

ピストン径が近いエンジンと排気量アップ

T3型エンジンのピストン径86.0mmとサイズが近いピストンを持つエンジンが8件ありますので、余興としてピストン流用でボアアップした場合の排気量を計算してみます。

Eg型式ピストン径排気量
日産
VG30型
87.0mm
[+1.0mm]
3360cc
[+77cc]
日産
RB-X GT2型
87.0mm
[+1.0mm]
3360cc
[+77cc]
マツダ
L3型
87.5mm
[+1.5mm]
3399cc
[+116cc]
トヨタ
G16E型
87.5mm
[+1.5mm]
3399cc
[+116cc]
レクサス
T24A型
87.5mm
[+1.5mm]
3399cc
[+116cc]
いすゞ
4ZC1型
88.0mm
[+2.0mm]
3438cc
[+155cc]

ピストン径が近いエンジンとしては、日産:GCZ32型フェアレディZに搭載されるVG30型2960ccの87.0mm、日産:BCNR33型スカイラインGT-Rに搭載されるRB-X GT2型2771ccの87.0mm、マツダ:GG3P型マツダスピード アテンザに搭載されるL3型2260ccの87.5mm、トヨタ:GXPA16型GRMN ヤリスに搭載されるG16E型1618ccの87.5mm、レクサス:TAZA25型NXに搭載されるT24A型2393ccの87.5mm、いすゞ:JR120型ピアッツァに搭載される4ZC1型1994ccの88.0mmなどが該当します。

(もはやこのような探求に楽しみを見い出す人は減ってしまいましたが)いくら径が近かろうとも、ピストンピンの径やピストンの高さ、バルブリセスの都合などなどありますので、なるべくなら同じメーカー、なるべくなら同じ燃料で同じ吸気方式、なるべくなら排気量が近いものを選ぶと純正流用できる可能性が高くなる、かもしれません。

ピストン径が小さい 3500ccクラスのエンジン
ピストン径が大きい 3500ccクラスのエンジン
ストロークが短い 3500ccクラスのエンジン
ストロークが長い 3500ccクラスのエンジン
ボアストローク比・昇順 [3500ccクラス]
ボアストローク比・降順 [3500ccクラス]


平均ピストンスピード

ストローク最大トルク
1500rpm
最高出力
3750rpm
94.2mm4.7m/s11.8m/s
回転数/分秒速時速
2000rpm6.3m/s23km/h
4000rpm12.6m/s45km/h
6000rpm18.8m/s68km/h
8000rpm25.1m/s90km/h
10000rpm31.4m/s113km/h

続きまして平均ピストンスピードについて見てみます。ストロークが94.2mmのエンジンが最高出力を発生する3750回転での平均ピストンスピードは11.8m/sとなり、これは1秒間に11.8メートル(時速にすると42.5km/h)の距離を進む速さでピストンが上下運動していますよ、という意味です。

最大トルクを発生する1500回転では4.7m/s、最高出力が発生する3750回転より500回転高い4250回転をレブリミットと仮定したときの平均速度は13.3m/sとなっています。

参考までにストロークが94.2mmのT3型エンジンを10000回転/毎分まで回したときのピストンスピードの変化を計算してみました。これを見ると回転数が2000回転高くなるごとに概ね6.27m/sずつ速度が増していくようです。

大量生産を前提とした一般的なエンジンの目安である20.0m/sのみを基準として考えると、高回転化の上限を(回るか回らないかは別として)6370回転くらいにするのが機械的にも精神的にも好ましそうです。


T3-VPTS型エンジンを搭載する車種の例

全3車種を最高出力が大きいものから順に表示しています。

メーカー
車両型式
画像車名&グレード出力/燃費
パワーウェイト
排気量
変速機
マツダ
KH3R3P
2022/09
CX-60 ハイブリッド
Exclusive-Sports
[3CA-KH3R3P]
254PS
56.1kgm
21.1km/L
7.520kg/PS
ターボ
4WD/8AT
SUV
5人乗り
車両型式:3CA-KH3R3P

CX-60 ハイブリッド
[Exclusive-Sports]
2022/09モデル
最高出力254PS
最大トルク56.1kgm
WLTCモード燃費21.1km/L
吸気方式ターボ
車体構成5人乗りSUV
4WD/8AT
マツダ
KH3P
CX-60
XD
231PS
51.0kgm
19.8km/L
7.749kg/PS
ターボ
FR/8AT
SUV
5人乗り
車両型式:3DA-KH3P

CX-60
[XD]
2022/12モデル
最高出力231PS
最大トルク51.0kgm
WLTCモード燃費19.8km/L
JC08モード燃費20.5km/L
吸気方式ターボ
車体構成5人乗りSUV
FR/8AT
マツダ
KH3P
CX-60
XD
231PS
51.0kgm
18.5km/L
7.965kg/PS
ターボ
4WD/8AT
SUV
5人乗り
車両型式:3DA-KH3P

CX-60
[XD]
2022/12モデル
最高出力231PS
最大トルク51.0kgm
WLTCモード燃費18.5km/L
JC08モード燃費20.3km/L
吸気方式ターボ
車体構成5人乗りSUV
4WD/8AT

マツダ製エンジンの原動機型式まとめ
【排気量順】