マツダ:SH-VPTR型エンジンの諸元と性能まとめ [直列4気筒 2188cc]

ここではマツダのGJ2FW型・アテンザ ワゴン [XD|2018/06モデル] に搭載されているSH-VPTR型のターボエンジンのデータを参考に、このエンジンが持つ特性や素性について調べてみます。

SH-VPTR型のターボエンジン諸元


GJ2FW型 アテンザ ワゴン
主要諸元と走行性能まとめ
車両型式3DA-GJ2FW型
車名&グレードアテンザ ワゴン
XD
エンジン型式SH-VPTR
種類直列4気筒
排気量2188cc
内径×行程86.0mm×94.2mm
ボアストローク比1.09
単気筒容積547.2cc
圧縮比14.4
吸気方式ターボ
使用燃料ディーゼル
最高出力190PS/4500rpm
最大トルク45.9kgm/2000rpm

まず基本的な成り立ちとして、SH型エンジンはボア(内径)86.0mm、ストローク(行程)94.2mm、ボアストローク比1.09のロングストローク型エンジン(ピストン径よりもストローク量のほうが大きい)です。

排気量と気筒数が同一の場合、ショートストローク型に比べて低回転域でのトルク特性に優れ、扱い易いエンジンとされますが、高回転域では充填効率の悪化や摺動抵抗が増大して出力の低下が懸念されます。

なおかつ回転数も同一の場合、ショートストローク型に比べて平均ピストンスピードが高くなりがちなことから、エンジンへの負荷が大きくなる傾向にあります。

このサイトにて登録されている車種のうち、SH-VPTR型のターボエンジンを搭載する最も古い車種は、2012/11から発売された3代目アテンザ セダン [GJ2FP型|2012/11]、最も新しい車種は2012/11から発売された3代目MAZDA6 セダン [GJ2FP型|2019/07]となっており、NA車は0車種、ターボ/SC車は29車種の全29車種が登録されています。

過渡特性とリッター換算馬力から見た評価

エンジン性能曲線のイメージ
SHのエンジン性能曲線図もどき
馬力の変遷128.2PS → 190PS
トルクの変遷45.9kgm → 30.2kgm
リッター馬力86.8PS/L
リッタートルク21.0kgm/L

今回の参考車両であるアテンザ ワゴンの直列4気筒2188cc、圧縮比14.4でディーゼル仕様のターボエンジンは、4500回転のとき最高出力190馬力を、4500回転のとき最大トルク45.9kgmを発生させます。

馬力と回転数が分かればトルクが、トルクと回転数が分かれば馬力を知ることができますので計算してみますと、最大トルクが発生する2000回転での馬力は128.2PS、最高出力が発生する4500回転でのトルクは30.2kgmになります。

排気量1リットルあたりの馬力は86.8PS/L、トルクは21.0kgm/Lとなり、1気筒(単気筒容積547.2cc)あたりの馬力は47.5PS、トルクは11.5kgmです。

SH型ターボエンジンを、このサイトで登録している全てのターボ車から集計した偏差値ベースの10段階評価に当てはめると、評価は換算馬力が[ 5 ]、換算トルクが[ 10 ]の「標準的な出力(中の下)のエンジン」にカテゴライズされます。

ちなみに、SH-VPTR型のターボ・SCエンジン搭載車種のうち、最高出力が最も大きかったのはGJ2FW型アテンザ ワゴンの190PS/45.9kgm、最も小さかったのはBM2FS型アクセラ スポーツの175PS/42.8kgmとなっています。

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排気量アップと圧縮比の上昇、ボアストローク比の変化

ノーマルの排気量と圧縮比
BoreStroke排気量圧縮比B/S比
86.094.22188cc14.41.09
ボアアップによる排気量拡大
86.594.22214cc14.61.09
87.02240cc14.71.08
87.52266cc14.91.08
88.02292cc15.01.07
88.52318cc15.21.06
89.02344cc15.41.06
ストロークアップによる排気量拡大
86.095.22212cc14.61.11
96.22235cc14.71.12
97.22258cc14.81.13
98.22282cc15.01.14
99.22305cc15.11.15

エンジンの排気量を決める要素には気筒数、ボア径、ストローク量の3つがあり、これらを増減することでさまざまな排気量のエンジンが生まれます。

ここでは実際に可能かどうかは別として、ピストン径を純正の86.0mmから0.5mm刻みで89.0mmまで拡大した場合および、ストロークを純正の94.2mmから1mm刻みで99.2mmまで延長した場合の排気量と、燃焼室容積が変化しないと仮定した場合の圧縮比の変化を一覧表にしています。

※ストロークアップと口で言うのは簡単なのですが、ロングストローク化するにあたってはクランクシャフトおよび対応コンロッドが必要になり、純正流用できない場合はワンオフで作らなければならないなど、とにかくお高く付きますので、手を出すには相当の覚悟を求められるメニューです。

圧縮比については、実際のところピストンが大径化するに伴ってピストン天面の凸凹容量も変化する場合が大半ですから、一覧表にある圧縮比の数値の通りにはなりませんが、排気量を大きくすると自ずと圧縮比も上昇しますよ、という雰囲気をご堪能ください。

B/S比はボアストローク比の略で、ボア径を広げていくとロングストローク型からスクエア型、あるいはショートストローク型の特性へと近付いていきます。SH型エンジンの場合、純正ピストンから+3.0mmのボアアップをすると比は1.09から1.06に変化するという具合です。

ピストン径が近いエンジンと排気量アップ

SH型エンジンのピストン径86.0mmとサイズが近いピストンを持つエンジンが6件ありますので、余興としてピストン流用でボアアップした場合の排気量を計算してみます。

Eg型式ピストン径排気量
日産
VG30型
87.0mm
[+1.0mm]
2240cc
[+52cc]
日産
RB-X GT2型
87.0mm
[+1.0mm]
2240cc
[+52cc]
マツダ
L3型
87.5mm
[+1.5mm]
2266cc
[+78cc]
いすゞ
4ZC1型
88.0mm
[+2.0mm]
2292cc
[+104cc]
マツダ
PY型
89.0mm
[+3.0mm]
2344cc
[+156cc]
日産
YD25型
89.0mm
[+3.0mm]
2344cc
[+156cc]

ピストン径が近いエンジンとしては、日産:GCZ32型フェアレディZに搭載されるVG30型2960ccの87.0mm、日産:BCNR33型スカイライン クーペに搭載されるRB-X GT2型2771ccの87.0mm、マツダ:GG3P型マツダスピード アテンザに搭載されるL3型2260ccの87.5mm、いすゞ:JR120型ピアッツァに搭載される4ZC1型1994ccの88.0mm、マツダ:KF5P型CX-5に搭載されるPY型2488ccの89.0mm、日産:VNC24型セレナに搭載されるYD25型2488ccの89.0mmなどが該当します。

(もはやこのような探求に楽しみを見い出す人は減ってしまいましたが)いくら径が近かろうとも、ピストンピンの径やピストンの高さ、バルブリセスの都合などなどありますので、なるべくなら同じメーカー、なるべくなら同じ燃料で同じ吸気方式、なるべくなら排気量が近いものを選ぶと純正流用できる可能性が高くなる、かもしれません。

ピストン径が小さい 2500ccクラスのエンジン
ピストン径が大きい 2500ccクラスのエンジン
ストロークが短い 2500ccクラスのエンジン
ストロークが長い 2500ccクラスのエンジン
ボアストローク比・昇順 [2500ccクラス]
ボアストローク比・降順 [2500ccクラス]


平均ピストンスピード

ストローク最大トルク
2000rpm
最高出力
4500rpm
94.2mm6.3m/s14.1m/s
回転数/分秒速時速
2000rpm6.3m/s23km/h
4000rpm12.6m/s45km/h
6000rpm18.8m/s68km/h
8000rpm25.1m/s90km/h
10000rpm31.4m/s113km/h

続きまして平均ピストンスピードについて見てみます。ストロークが94.2mmのエンジンが最高出力を発生する4500回転での平均ピストンスピードは14.1m/sとなり、これは1秒間に14.1メートル(時速にすると50.8km/h)の距離を進む速さでピストンが上下運動していますよ、という意味です。

最大トルクを発生する2000回転では6.3m/s、最高出力が発生する4500回転より500回転高い5000回転をレブリミットと仮定したときの平均速度は15.7m/sとなっています。

参考までにストロークが94.2mmのSH型エンジンを10000回転/毎分まで回したときのピストンスピードの変化を計算してみました。これを見ると回転数が2000回転高くなるごとに概ね6.27m/sずつ速度が増していくようです。

大量生産を前提とした一般的なエンジンの目安である20.0m/sのみを基準として考えると、高回転化の上限を(回るか回らないかは別として)6370回転くらいにするのが機械的にも精神的にも好ましそうです。


SH-VPTR型エンジンを搭載する車種の例

全29車種のうち、最高出力が大きいものから順に上位3車種を表示しています。その他の車種については、ページ下部にあるリンクよりSH型エンジン搭載車種の一覧をご覧ください。

メーカー
車両型式
画像車名&グレード出力/燃費
パワーウェイト
排気量
変速機
マツダ
GJ2FW
2018/06
アテンザ ワゴン
XD
[3DA-GJ2FW]
190PS
45.9kgm
19.6km/L
8.470kg/PS
ターボ
FF/6MT
ワゴン
5人乗り

アテンザ ワゴン
[XD]
2018/06モデル
車両型式3DA-GJ2FW
最高出力190PS
最大トルク45.9kgm
WLTCモード燃費19.6km/L
パワーウェイト8.470kg/PS
吸気方式ターボ
駆動方式&変速機FF/6MT
車体形状&乗車定員ワゴン/5人乗り
マツダ
GJ2FP
2018/06
アテンザ セダン
XD
[3DA-GJ2FP]
190PS
45.9kgm
17.8km/L
8.474kg/PS
ターボ
FF/6AT
セダン
5人乗り

アテンザ セダン
[XD]
2018/06モデル
車両型式3DA-GJ2FP
最高出力190PS
最大トルク45.9kgm
WLTCモード燃費17.8km/L
パワーウェイト8.474kg/PS
吸気方式ターボ
駆動方式&変速機FF/6AT
車体形状&乗車定員セダン/5人乗り
マツダ
GJ2FW
2018/06
アテンザ ワゴン
XD
[3DA-GJ2FW]
190PS
45.9kgm
17.8km/L
8.579kg/PS
ターボ
FF/6AT
ワゴン
5人乗り

アテンザ ワゴン
[XD]
2018/06モデル
車両型式3DA-GJ2FW
最高出力190PS
最大トルク45.9kgm
WLTCモード燃費17.8km/L
パワーウェイト8.579kg/PS
吸気方式ターボ
駆動方式&変速機FF/6AT
車体形状&乗車定員ワゴン/5人乗り
SH型エンジン搭載車種の一覧
パワーウェイトレシオ順|全40車種

その他のSH型エンジン型式と代表的な車種

SH-VPTS型
全11車種
マツダ:CX-8 [XD]
最高出力190PS/最大トルク45.9kgm
2017/12モデル
マツダ
SH-VPTS型
全11車種
CX-8
[XD]
190PS/45.9kgm

マツダ製エンジンの原動機型式まとめ
【排気量順】