ここではマツダのMS92S型・フレア クロスオーバー [Hybrid-XG|2020/02モデル] に搭載されているR06D型の自然吸気エンジンのデータを参考に、このエンジンが持つ特性や素性について調べてみます。
R06D型の自然吸気エンジン諸元
MS92S型 フレア クロスオーバー 主要諸元と走行性能まとめ | |
車両型式 | 5AA-MS92S型 |
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車名&グレード | フレア クロスオーバー Hybrid-XG |
エンジン型式 | R06D |
種類 | 直3+モーター |
排気量 | 657cc |
内径×行程 | 61.5mm×73.8mm |
ボアストローク比 | 1.20 |
単気筒容積 | 219.2cc |
圧縮比 | 12.0 |
吸気方式 | 自然吸気 |
使用燃料 | レギュラーガソリン |
最高出力 | 49PS/6500rpm |
最大トルク | 5.9kgm/5000rpm |
まず基本的な成り立ちとして、R06D型エンジンはボア(内径)61.5mm、ストローク(行程)73.8mm、ボアストローク比1.20のロングストローク型エンジン(ピストン径よりもストローク量のほうが大きい)です。
排気量と気筒数が同一の場合、ショートストローク型に比べて低回転域でのトルク特性に優れ、扱い易いエンジンとされますが、高回転域では充填効率の悪化や摺動抵抗が増大して出力の低下が懸念されます。
なおかつ回転数も同一の場合、ショートストローク型に比べて平均ピストンスピードが高くなりがちなことから、エンジンへの負荷が大きくなる傾向にあります。
このサイトにて登録されている車種のうち、R06D型の自然吸気エンジンを搭載する最も古い車種は、2020/02から発売された2代目フレア クロスオーバー [MS92S型|2020/02]、最も新しい車種は2023/12から発売された4代目フレアワゴン カスタムスタイル [MM94S型|2023/12]となっており、NA車は10車種、ターボ/SC車は0車種の全10車種が登録されています。
過渡特性とリッター換算馬力から見た評価
エンジン性能曲線のイメージ | |
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馬力の変遷 | 41.2PS → 49PS |
トルクの変遷 | 5.9kgm → 5.4kgm |
リッター馬力 | 74.58PS/L |
リッタートルク | 9.0kgm/L |
今回の参考車両であるフレア クロスオーバーの直3+モーター657cc、圧縮比12.0でレギュラーガソリン仕様の自然吸気エンジンは、6500回転のとき最高出力49馬力を、6500回転のとき最大トルク5.9kgmを発生させます。
馬力と回転数が分かればトルクが、トルクと回転数が分かれば馬力を知ることができますので計算してみますと、最大トルクが発生する5000回転での馬力は41.2PS、最高出力が発生する6500回転でのトルクは5.4kgmになります。
排気量1リットルあたりの馬力は74.58PS/L、トルクは9.0kgm/Lとなり、1気筒(単気筒容積219.2cc)あたりの馬力は16.3PS、トルクは2.0kgmです。
R06D型自然吸気エンジンを、このサイトで登録している全てのNA車から集計した偏差値ベースの10段階評価に当てはめると、評価は換算馬力が[ 6 ]、換算トルクが[ 4 ]の「標準的な出力(中の上)のエンジン」にカテゴライズされます。
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排気量アップと圧縮比の上昇、ボアストローク比の変化
ノーマルの排気量と圧縮比 | ||||
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Bore | Stroke | 排気量 | 圧縮比 | B/S比 |
61.5 | 73.8 | 657cc | 12.0 | 1.20 |
ボアアップによる排気量拡大 | ||||
62.0 | 73.8 | 668cc | 12.2 | 1.19 |
62.5 | 679cc | 12.4 | 1.18 | |
63.0 | 690cc | 12.6 | 1.17 | |
63.5 | 701cc | 12.8 | 1.16 | |
64.0 | 712cc | 12.9 | 1.15 | |
64.5 | 723cc | 13.1 | 1.14 | |
ストロークアップによる排気量拡大 | ||||
61.5 | 74.8 | 667cc | 12.2 | 1.22 |
75.8 | 675cc | 12.3 | 1.23 | |
76.8 | 684cc | 12.5 | 1.25 | |
77.8 | 693cc | 12.6 | 1.27 | |
78.8 | 702cc | 12.8 | 1.28 |
エンジンの排気量を決める要素には気筒数、ボア径、ストローク量の3つがあり、これらを増減することでさまざまな排気量のエンジンが生まれます。
ここでは実際に可能かどうかは別として、ピストン径を純正の61.5mmから0.5mm刻みで64.5mmまで拡大した場合および、ストロークを純正の73.8mmから1mm刻みで78.8mmまで延長した場合の排気量と、燃焼室容積が変化しないと仮定した場合の圧縮比の変化を一覧表にしています。
※ストロークアップと口で言うのは簡単なのですが、ロングストローク化するにあたってはクランクシャフトおよび対応コンロッドが必要になり、純正流用できない場合はワンオフで作らなければならないなど、とにかくお高く付きますので、手を出すには相当の覚悟を求められるメニューです。
圧縮比については、実際のところピストンが大径化するに伴ってピストン天面の凸凹容量も変化する場合が大半ですから、一覧表にある圧縮比の数値の通りにはなりませんが、排気量を大きくすると自ずと圧縮比も上昇しますよ、という雰囲気をご堪能ください。
B/S比はボアストローク比の略で、ボア径を広げていくとロングストローク型からスクエア型、あるいはショートストローク型の特性へと近付いていきます。R06D型エンジンの場合、純正ピストンから+3.0mmのボアアップをすると比は1.20から1.14に変化するという具合です。
ピストン径が近いエンジンと排気量アップ
R06D型エンジンのピストン径61.5mmとサイズが近いピストンを持つエンジンが5件ありますので、余興としてピストン流用でボアアップした場合の排気量を計算してみます。
Eg型式 | ピストン径 | 排気量 |
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ホンダ E05A型 | 62.5mm [+1.0mm] | 679cc [+22cc] |
日産 BR06型 | 62.7mm [+1.2mm] | 684cc [+27cc] |
トヨタ KF型 | 63.0mm [+1.5mm] | 690cc [+33cc] |
日産 R06A型 | 64.0mm [+2.5mm] | 712cc [+55cc] |
ホンダ S07A型 | 64.0mm [+2.5mm] | 712cc [+55cc] |
ピストン径が近いエンジンとしては、ホンダ:JA1型トゥデイに搭載されるE05A型547ccの62.5mm、日産:B43W型デイズ ハイウェイスターに搭載されるBR06型659ccの62.7mm、トヨタ:LA700A型ルクラに搭載されるKF型658ccの63.0mm、日産:MG33S型モコに搭載されるR06A型658ccの64.0mm、ホンダ:JW5型S660に搭載されるS07A型658ccの64.0mmなどが該当します。
(もはやこのような探求に楽しみを見い出す人は減ってしまいましたが)いくら径が近かろうとも、ピストンピンの径やピストンの高さ、バルブリセスの都合などなどありますので、なるべくなら同じメーカー、なるべくなら同じ燃料で同じ吸気方式、なるべくなら排気量が近いものを選ぶと純正流用できる可能性が高くなる、かもしれません。
●ピストン径が小さい 軽自動車のエンジン
●ピストン径が大きい 軽自動車のエンジン
●ストロークが短い 軽自動車のエンジン
●ストロークが長い 軽自動車のエンジン
●ボアストローク比・昇順 [軽自動車]
●ボアストローク比・降順 [軽自動車]
平均ピストンスピード
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続きまして平均ピストンスピードについて見てみます。ストロークが73.8mmのエンジンが最高出力を発生する6500回転での平均ピストンスピードは16.0m/sとなり、これは1秒間に16.0メートル(時速にすると57.6km/h)の距離を進む速さでピストンが上下運動していますよ、という意味です。
最大トルクを発生する5000回転では12.3m/s、最高出力が発生する6500回転より500回転高い7000回転をレブリミットと仮定したときの平均速度は17.2m/sとなっています。
参考までにストロークが73.8mmのR06D型エンジンを10000回転/毎分まで回したときのピストンスピードの変化を計算してみました。これを見ると回転数が2000回転高くなるごとに概ね4.93m/sずつ速度が増していくようです。
大量生産を前提とした一般的なエンジンの目安である20.0m/sのみを基準として考えると、高回転化の上限を(回るか回らないかは別として)8130回転くらいにするのが機械的にも精神的にも好ましそうです。
R06D型エンジンを搭載する車種の例
全10車種のうち、最高出力が大きいものから順に上位3車種を表示しています。その他の車種については、ページ下部にあるリンクよりR06D型エンジン搭載車種の一覧をご覧ください。
メーカー 車両型式 | 画像 | 車名&グレード | 出力/燃費 パワーウェイト | 排気量 変速機 | ||||||||||||||||
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マツダ MS92S | 2020/02 フレア クロスオーバー Hybrid-XG [5AA-MS92S] | 49PS 5.9kgm 25.0km/L 16.531kg/PS | 自然吸気 FF/CVT 軽SUV 4人乗り | |||||||||||||||||
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マツダ MS92S | 2020/02 フレア クロスオーバー Hybrid-XG [5AA-MS92S] | 49PS 5.9kgm 23.4km/L 17.551kg/PS | 自然吸気 4WD/CVT 軽SUV 4人乗り | |||||||||||||||||
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マツダ MJ95S | 2020/02 フレア Hybrid-XG [5AA-MJ95S] | 49PS 5.9kgm 25.2km/L 15.714kg/PS | 自然吸気 FF/CVT 軽ミニバン 4人乗り | |||||||||||||||||
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R06D型エンジン搭載車種の一覧 パワーウェイトレシオ順|全33車種 |
その他のR06D型エンジン型式と代表的な車種
R06D型 全23車種 | スズキ:ワゴンR [FA] 最高出力49PS/最大トルク5.9kgm 2020/01モデル | |
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スズキ R06D型 全23車種 | ワゴンR [FA] 49PS/5.9kgm |