マツダ:L3-VDT型エンジンの諸元と性能まとめ [直列4気筒 2260cc]

ここではマツダのGG3P型・マツダスピード アテンザ [BaseGrade|2005/06モデル] に搭載されているL3-VDT型のターボエンジンのデータを参考に、このエンジンが持つ特性や素性について調べてみます。

L3-VDT型のターボエンジン諸元


GG3P型 マツダスピード アテンザ
主要諸元と走行性能まとめ
車両型式DBA-GG3P型
車名&グレードマツダスピード アテンザ
BaseGrade
エンジン型式L3-VDT
種類直列4気筒
排気量2260cc
内径×行程87.5mm×94.0mm
ボアストローク比1.07
単気筒容積565.2cc
圧縮比9.5
吸気方式ターボ
使用燃料ハイオクガソリン
最高出力272PS/5500rpm
最大トルク38.7kgm/3000rpm

まず基本的な成り立ちとして、L3型エンジンはボア(内径)87.5mm、ストローク(行程)94.0mm、ボアストローク比1.07のロングストローク型エンジン(ピストン径よりもストローク量のほうが大きい)です。

排気量と気筒数が同一の場合、ショートストローク型に比べて低回転域でのトルク特性に優れ、扱い易いエンジンとされますが、高回転域では充填効率の悪化や摺動抵抗が増大して出力の低下が懸念されます。

なおかつ回転数も同一の場合、ショートストローク型に比べて平均ピストンスピードが高くなりがちなことから、エンジンへの負荷が大きくなる傾向にあります。

このサイトにて登録されている車種のうち、L3-VDT型のターボエンジンを搭載する最も古い車種は、2005/06から発売された初代マツダスピード アテンザ [GG3P型|2005/06]、最も新しい車種は2006/12から発売された初代CX-7 [ER3P型|2011/04]となっており、NA車は0車種、ターボ/SC車は7車種の全7車種が登録されています。

過渡特性とリッター換算馬力から見た評価

エンジン性能曲線のイメージ
L3のエンジン性能曲線図もどき
馬力の変遷162.1PS → 272PS
トルクの変遷38.7kgm → 35.4kgm
リッター馬力120.4PS/L
リッタートルク17.1kgm/L

今回の参考車両であるマツダスピード アテンザの直列4気筒2260cc、圧縮比9.5でハイオクガソリン仕様のターボエンジンは、5500回転のとき最高出力272馬力を、5500回転のとき最大トルク38.7kgmを発生させます。

馬力と回転数が分かればトルクが、トルクと回転数が分かれば馬力を知ることができますので計算してみますと、最大トルクが発生する3000回転での馬力は162.1PS、最高出力が発生する5500回転でのトルクは35.4kgmになります。

排気量1リットルあたりの馬力は120.4PS/L、トルクは17.1kgm/Lとなり、1気筒(単気筒容積565.2cc)あたりの馬力は68.0PS、トルクは9.7kgmです。

L3型ターボエンジンを、このサイトで登録している全てのターボ車から集計した偏差値ベースの10段階評価に当てはめると、評価は換算馬力が[ 7 ]、換算トルクが[ 7 ]の「なかなかの高出力エンジン」にカテゴライズされます。

ちなみに、L3-VDT型のターボ・SCエンジン搭載車種のうち、最高出力が最も大きかったのはGG3P型マツダスピード アテンザの272PS/38.7kgm、最も小さかったのはER3P型CX-7の238PS/35.7kgmとなっています。

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排気量アップと圧縮比の上昇、ボアストローク比の変化

ノーマルの排気量と圧縮比
BoreStroke排気量圧縮比B/S比
87.594.02260cc9.51.07
ボアアップによる排気量拡大
88.094.02287cc9.61.07
88.52313cc9.71.06
89.02339cc9.81.06
89.52365cc9.91.05
90.02392cc10.01.04
90.52419cc10.11.04
ストロークアップによる排気量拡大
87.595.02285cc9.61.09
96.02309cc9.71.10
97.02333cc9.81.11
98.02357cc9.91.12
99.02381cc9.91.13

エンジンの排気量を決める要素には気筒数、ボア径、ストローク量の3つがあり、これらを増減することでさまざまな排気量のエンジンが生まれます。

ここでは実際に可能かどうかは別として、ピストン径を純正の87.5mmから0.5mm刻みで90.5mmまで拡大した場合および、ストロークを純正の94.0mmから1mm刻みで99.0mmまで延長した場合の排気量と、燃焼室容積が変化しないと仮定した場合の圧縮比の変化を一覧表にしています。

※ストロークアップと口で言うのは簡単なのですが、ロングストローク化するにあたってはクランクシャフトおよび対応コンロッドが必要になり、純正流用できない場合はワンオフで作らなければならないなど、とにかくお高く付きますので、手を出すには相当の覚悟を求められるメニューです。

圧縮比については、実際のところピストンが大径化するに伴ってピストン天面の凸凹容量も変化する場合が大半ですから、一覧表にある圧縮比の数値の通りにはなりませんが、排気量を大きくすると自ずと圧縮比も上昇しますよ、という雰囲気をご堪能ください。

B/S比はボアストローク比の略で、ボア径を広げていくとロングストローク型からスクエア型、あるいはショートストローク型の特性へと近付いていきます。L3型エンジンの場合、純正ピストンから+3.0mmのボアアップをすると比は1.07から1.04に変化するという具合です。

ピストン径が近いエンジンと排気量アップ

L3型エンジンのピストン径87.5mmとサイズが近いピストンを持つエンジンが2件ありますので、余興としてピストン流用でボアアップした場合の排気量を計算してみます。

Eg型式ピストン径排気量
マツダ
PY型
89.0mm
[+1.5mm]
2339cc
[+79cc]
日産
YD25型
89.0mm
[+1.5mm]
2339cc
[+79cc]

ピストン径が近いエンジンとしては、マツダ:KF5P型CX-5に搭載されるPY型2488ccの89.0mm、日産:VNC24型セレナに搭載されるYD25型2488ccの89.0mmなどが該当します。

(もはやこのような探求に楽しみを見い出す人は減ってしまいましたが)いくら径が近かろうとも、ピストンピンの径やピストンの高さ、バルブリセスの都合などなどありますので、なるべくなら同じメーカー、なるべくなら同じ燃料で同じ吸気方式、なるべくなら排気量が近いものを選ぶと純正流用できる可能性が高くなる、かもしれません。

ピストン径が小さい 2500ccクラスのエンジン
ピストン径が大きい 2500ccクラスのエンジン
ストロークが短い 2500ccクラスのエンジン
ストロークが長い 2500ccクラスのエンジン
ボアストローク比・昇順 [2500ccクラス]
ボアストローク比・降順 [2500ccクラス]


平均ピストンスピード

ストローク最大トルク
3000rpm
最高出力
5500rpm
94.0mm9.4m/s17.2m/s
回転数/分秒速時速
2000rpm6.3m/s23km/h
4000rpm12.5m/s45km/h
6000rpm18.8m/s68km/h
8000rpm25.1m/s90km/h
10000rpm31.3m/s113km/h

続きまして平均ピストンスピードについて見てみます。ストロークが94.0mmのエンジンが最高出力を発生する5500回転での平均ピストンスピードは17.2m/sとなり、これは1秒間に17.2メートル(時速にすると61.9km/h)の距離を進む速さでピストンが上下運動していますよ、という意味です。

最大トルクを発生する3000回転では9.4m/s、最高出力が発生する5500回転より500回転高い6000回転をレブリミットと仮定したときの平均速度は18.8m/sとなっています。

参考までにストロークが94.0mmのL3型エンジンを10000回転/毎分まで回したときのピストンスピードの変化を計算してみました。これを見ると回転数が2000回転高くなるごとに概ね6.25m/sずつ速度が増していくようです。

大量生産を前提とした一般的なエンジンの目安である20.0m/sのみを基準として考えると、高回転化の上限を(回るか回らないかは別として)6380回転くらいにするのが機械的にも精神的にも好ましそうです。


L3-VDT型エンジンを搭載する車種の例

全7車種のうち、最高出力が大きいものから順に上位3車種を表示しています。その他の車種については、ページ下部にあるリンクよりL3型エンジン搭載車種の一覧をご覧ください。

メーカー
車両型式
画像車名&グレード出力/燃費
パワーウェイト
排気量
変速機
マツダ
GG3P
2005/06
マツダスピード アテンザ
BaseGrade
[DBA-GG3P]
272PS
38.7kgm
11.0km/L
5.74kg/PS
ターボ
4WD/6MT
セダン
5人乗り

マツダスピード アテンザ
[BaseGrade]
2005/06モデル
車両型式DBA-GG3P
最高出力272PS
最大トルク38.7kgm
10-15モード燃費11.0km/L
パワーウェイト5.74kg/PS
吸気方式ターボ
駆動方式&変速機4WD/6MT
車体形状&乗車定員セダン/5人乗り
マツダ
BK3P
2008/01
マツダスピード アクセラ
BaseGrade
[DBA-BK3P]
264PS
38.7kgm
11.2km/L
5.27kg/PS
ターボ
FF/6MT
ハッチバック
5人乗り

マツダスピード アクセラ
[BaseGrade]
2008/01モデル
車両型式DBA-BK3P
最高出力264PS
最大トルク38.7kgm
10-15モード燃費11.2km/L
パワーウェイト5.27kg/PS
吸気方式ターボ
駆動方式&変速機FF/6MT
車体形状&乗車定員ハッチバック/5人乗り
マツダ
BL3FW
2009/06
マツダスピード アクセラ
BaseGrade
[DBA-BL3FW]
264PS
38.7kgm
10.0km/L
5.49kg/PS
ターボ
FF/6MT
ハッチバック
5人乗り

マツダスピード アクセラ
[BaseGrade]
2009/06モデル
車両型式DBA-BL3FW
最高出力264PS
最大トルク38.7kgm
JC08モード燃費10.0km/L
10-15モード燃費11.0km/L
パワーウェイト5.49kg/PS
吸気方式ターボ
駆動方式&変速機FF/6MT
車体形状&乗車定員ハッチバック/5人乗り
L3型エンジン搭載車種の一覧
パワーウェイトレシオ順|全33車種

その他のL3型エンジン型式と代表的な車種

L3-VE型
全20車種
マツダ:アテンザ スポーツ [23S]
最高出力178PS/最大トルク21.9kgm
2004/04モデル
マツダ
L3-VE型
全20車種
アテンザ スポーツ
[23S]
178PS/21.9kgm
L3型
全2車種
マツダ:トリビュート [LX]
最高出力157PS/最大トルク20.7kgm
2004/04モデル
マツダ
L3型
全2車種
トリビュート
[LX]
157PS/20.7kgm
L3-DE型
全2車種
マツダ:MPV [B]
最高出力163PS/最大トルク21.2kgm
2004/09モデル
マツダ
L3-DE型
全2車種
MPV
[B]
163PS/21.2kgm
L3型
全2車種
フォード:エスケープ [XLT]
最高出力157PS/最大トルク20.4kgm
2009/11モデル
フォード
L3型
全2車種
エスケープ
[XLT]
157PS/20.4kgm

マツダ製エンジンの原動機型式まとめ
【排気量順】