ここではマツダのCPEW型・プレマシー [G-Sport 5人乗り|2001/12モデル] に搭載されているFS-DE型の自然吸気エンジンのデータを参考に、このエンジンが持つ特性や素性について調べてみます。
FS-DE型の自然吸気エンジン諸元
CPEW型 プレマシー 主要諸元と走行性能まとめ | |
車両型式 | TA-CPEW型 |
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車名&グレード | プレマシー G-Sport 5人乗り |
エンジン型式 | FS-DE |
種類 | 直列4気筒 |
排気量 | 1991cc |
内径×行程 | 83.0mm×92.0mm |
ボアストローク比 | 1.11 |
単気筒容積 | 497.8cc |
圧縮比 | 10.4 |
吸気方式 | 自然吸気 |
使用燃料 | ハイオクガソリン |
最高出力 | 165PS/6800rpm |
最大トルク | 18.1kgm/5000rpm |
まず基本的な成り立ちとして、FS型エンジンはボア(内径)83.0mm、ストローク(行程)92.0mm、ボアストローク比1.11のロングストローク型エンジン(ピストン径よりもストローク量のほうが大きい)です。
排気量と気筒数が同一の場合、ショートストローク型に比べて低回転域でのトルク特性に優れ、扱い易いエンジンとされますが、高回転域では充填効率の悪化や摺動抵抗が増大して出力の低下が懸念されます。
なおかつ回転数も同一の場合、ショートストローク型に比べて平均ピストンスピードが高くなりがちなことから、エンジンへの負荷が大きくなる傾向にあります。
このサイトにて登録されている車種のうち、FS-DE型の自然吸気エンジンを搭載する最も古い車種は、1992/05から発売された初代オートザム クレフ [GESRA型|1992/05]、最も新しい車種は1999/04から発売された初代プレマシー [CPEW型|2001/12]となっており、NA車は11車種、ターボ/SC車は0車種の全11車種が登録されています。
過渡特性とリッター換算馬力から見た評価
エンジン性能曲線のイメージ | |
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馬力の変遷 | 126.3PS → 165PS |
トルクの変遷 | 18.1kgm → 17.4kgm |
リッター馬力 | 82.87PS/L |
リッタートルク | 9.1kgm/L |
今回の参考車両であるプレマシーの直列4気筒1991cc、圧縮比10.4でハイオクガソリン仕様の自然吸気エンジンは、6800回転のとき最高出力165馬力を、6800回転のとき最大トルク18.1kgmを発生させます。
馬力と回転数が分かればトルクが、トルクと回転数が分かれば馬力を知ることができますので計算してみますと、最大トルクが発生する5000回転での馬力は126.3PS、最高出力が発生する6800回転でのトルクは17.4kgmになります。
排気量1リットルあたりの馬力は82.87PS/L、トルクは9.1kgm/Lとなり、1気筒(単気筒容積497.8cc)あたりの馬力は41.2PS、トルクは4.5kgmです。
FS型自然吸気エンジンを、このサイトで登録している全てのNA車から集計した偏差値ベースの10段階評価に当てはめると、評価は換算馬力が[ 7 ]、換算トルクが[ 5 ]の「なかなかの高出力エンジン」にカテゴライズされます。
ちなみに、FS-DE型のターボ・SCエンジン搭載車種のうち、最高出力が最も大きかったのはCPEW型プレマシーの165PS/18.1kgm、最も小さかったのはGESR型アンフィニ MS-6の125PS/17.6kgmとなっています。
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排気量アップと圧縮比の上昇、ボアストローク比の変化
ノーマルの排気量と圧縮比 | ||||
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Bore | Stroke | 排気量 | 圧縮比 | B/S比 |
83.0 | 92.0 | 1991cc | 10.4 | 1.11 |
ボアアップによる排気量拡大 | ||||
83.5 | 92.0 | 2015cc | 10.5 | 1.10 |
84.0 | 2039cc | 10.6 | 1.10 | |
84.5 | 2064cc | 10.7 | 1.09 | |
85.0 | 2088cc | 10.8 | 1.08 | |
85.5 | 2113cc | 11.0 | 1.08 | |
86.0 | 2138cc | 11.1 | 1.07 | |
ストロークアップによる排気量拡大 | ||||
83.0 | 93.0 | 2013cc | 10.5 | 1.12 |
94.0 | 2034cc | 10.6 | 1.13 | |
95.0 | 2056cc | 10.7 | 1.14 | |
96.0 | 2078cc | 10.8 | 1.16 | |
97.0 | 2099cc | 10.9 | 1.17 |
エンジンの排気量を決める要素には気筒数、ボア径、ストローク量の3つがあり、これらを増減することでさまざまな排気量のエンジンが生まれます。
ここでは実際に可能かどうかは別として、ピストン径を純正の83.0mmから0.5mm刻みで86.0mmまで拡大した場合および、ストロークを純正の92.0mmから1mm刻みで97.0mmまで延長した場合の排気量と、燃焼室容積が変化しないと仮定した場合の圧縮比の変化を一覧表にしています。
※ストロークアップと口で言うのは簡単なのですが、ロングストローク化するにあたってはクランクシャフトおよび対応コンロッドが必要になり、純正流用できない場合はワンオフで作らなければならないなど、とにかくお高く付きますので、手を出すには相当の覚悟を求められるメニューです。
圧縮比については、実際のところピストンが大径化するに伴ってピストン天面の凸凹容量も変化する場合が大半ですから、一覧表にある圧縮比の数値の通りにはなりませんが、排気量を大きくすると自ずと圧縮比も上昇しますよ、という雰囲気をご堪能ください。
B/S比はボアストローク比の略で、ボア径を広げていくとロングストローク型からスクエア型、あるいはショートストローク型の特性へと近付いていきます。FS型エンジンの場合、純正ピストンから+3.0mmのボアアップをすると比は1.11から1.07に変化するという具合です。
ピストン径が近いエンジンと排気量アップ
FS型エンジンのピストン径83.0mmとサイズが近いピストンを持つエンジンが55件ありますので、余興としてピストン流用でボアアップした場合の排気量を計算してみます。
Eg型式 | ピストン径 | 排気量 |
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日産 MR20型 | 84.0mm [+1.0mm] | 2039cc [+48cc] |
スバル FB20型 | 84.0mm [+1.0mm] | 2039cc [+48cc] |
マツダ J20A型 | 84.0mm [+1.0mm] | 2039cc [+48cc] |
ホンダ B20B型 | 84.0mm [+1.0mm] | 2039cc [+48cc] |
日産 MR18型 | 84.0mm [+1.0mm] | 2039cc [+48cc] |
スズキ J18A型 | 84.0mm [+1.0mm] | 2039cc [+48cc] |
ピストン径が近いエンジンとしては、日産:CC25型ランディ ハイブリッドに搭載されるMR20型1997ccの84.0mm、スバル:GT7型XVに搭載されるFB20型1995ccの84.0mm、マツダ:TF52W型プロシード レバンテに搭載されるJ20A型1995ccの84.0mm、ホンダ:RD1型CR-Vに搭載されるB20B型1972ccの84.0mm、日産:JC11型ティーダに搭載されるMR18型1797ccの84.0mm、スズキ:GC41W型カルタス クレセントワゴンに搭載されるJ18A型1839ccの84.0mmなどが該当します。
(もはやこのような探求に楽しみを見い出す人は減ってしまいましたが)いくら径が近かろうとも、ピストンピンの径やピストンの高さ、バルブリセスの都合などなどありますので、なるべくなら同じメーカー、なるべくなら同じ燃料で同じ吸気方式、なるべくなら排気量が近いものを選ぶと純正流用できる可能性が高くなる、かもしれません。
●ピストン径が小さい 2000ccクラスのエンジン
●ピストン径が大きい 2000ccクラスのエンジン
●ストロークが短い 2000ccクラスのエンジン
●ストロークが長い 2000ccクラスのエンジン
●ボアストローク比・昇順 [2000ccクラス]
●ボアストローク比・降順 [2000ccクラス]
平均ピストンスピード
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続きまして平均ピストンスピードについて見てみます。ストロークが92.0mmのエンジンが最高出力を発生する6800回転での平均ピストンスピードは20.9m/sとなり、これは1秒間に20.9メートル(時速にすると75.2km/h)の距離を進む速さでピストンが上下運動していますよ、という意味です。
最大トルクを発生する5000回転では15.3m/s、最高出力が発生する6800回転より500回転高い7300回転をレブリミットと仮定したときの平均速度は22.4m/sとなっています。
参考までにストロークが92.0mmのFS型エンジンを10000回転/毎分まで回したときのピストンスピードの変化を計算してみました。これを見ると回転数が2000回転高くなるごとに概ね6.15m/sずつ速度が増していくようです。
大量生産を前提とした一般的なエンジンの目安である20.0m/sのみを基準として考えると、6520回転くらいが良い感じの回転数になるのではないかと思いますが、このエンジンは最高出力を発生している時点で既に20.0m/sを超えており、レブリミットを考慮するともう少し余分に(300~500回転?)回ることから、内部では大変なことになりながらも頑張って回っているエンジンです。
FS-DE型エンジンを搭載する車種の例
全11車種のうち、最高出力が大きいものから順に上位3車種を表示しています。その他の車種については、ページ下部にあるリンクよりFS型エンジン搭載車種の一覧をご覧ください。
メーカー 車両型式 | 画像 | 車名&グレード | 出力/燃費 パワーウェイト | 排気量 変速機 | ||||||||||||||
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マツダ CPEW | 2001/12 プレマシー G-Sport 5人乗り [TA-CPEW] | 165PS 18.1kgm 11.6km/L 8.061kg/PS | 自然吸気 FF/4AT ミニバン 5人乗り | |||||||||||||||
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マツダ GFER | 1999/11 カペラ Fi [GF-GFER] | 140PS 18.2kgm 11.6km/L 9.571kg/PS | 自然吸気 4WD/4AT セダン 5人乗り | |||||||||||||||
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マツダ GESR | 1993/06 アンフィニ MS-6 2.0 type-F [E-GESR] | 125PS 17.6kgm 9.2km/L 10.560kg/PS | 自然吸気 4WD/4AT セダン 5人乗り | |||||||||||||||
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FS型エンジン搭載車種の一覧 パワーウェイトレシオ順|全24車種 |
その他のFS型エンジン型式と代表的な車種
FS-ZE型 全10車種 | マツダ:マツダスピード ファミリア [Mazda-Speed Familia] 最高出力175PS/最大トルク18.9kgm 2001/05モデル | |
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マツダ FS-ZE型 全10車種 | マツダスピード ファミリア [Mazda-Speed Familia] 175PS/18.9kgm | |
FS-DE型 全2車種 | 日本フォード:テルスターII [20i-X] 最高出力125PS/最大トルク17.6kgm 1996/01モデル | |
フォードジャパン FS-DE型 全2車種 | テルスターII [20i-X] 125PS/17.6kgm | |
FS型 全1車種 | マツダ:MPV [FieldBreak] 最高出力135PS/最大トルク18.0kgm 2001/10モデル | |
マツダ FS型 全1車種 | MPV [FieldBreak] 135PS/18.0kgm |