マツダ:BP-VE型エンジンの諸元と性能まとめ [直列4気筒 1839cc]

ここではマツダのNB8C型・ロードスター [RS-II|2004/04モデル] に搭載されているBP-VE型の自然吸気エンジンのデータを参考に、このエンジンが持つ特性や素性について調べてみます。

BP-VE型の自然吸気エンジン諸元


NB8C型 ロードスター
主要諸元と走行性能まとめ
車両型式GH-NB8C型
車名&グレードロードスター
RS-II
エンジン型式BP-VE
種類直列4気筒
排気量1839cc
内径×行程83.0mm×85.0mm
ボアストローク比1.02
単気筒容積459.9cc
圧縮比10.5
吸気方式自然吸気
使用燃料ハイオクガソリン
最高出力160PS/7000rpm
最大トルク17.3kgm/5500rpm

まず基本的な成り立ちとして、BP型エンジンはボア(内径)83.0mm、ストローク(行程)85.0mm、ボアストローク比1.02のロングストローク型エンジン(ピストン径よりもストローク量のほうが大きい)です。

排気量と気筒数が同一の場合、厳密に言えばボアとストロークが全くの同一でなければスクエア型を名乗ることは許されませんが、ここまでボアストローク比が1に近いのであれば「もうスクエア型にしてあげても良いじゃない!」という気もします。

これらのエンジンはショートストローク型、或いはロングストローク型の風味を残しつつ、その実はスクエア型に限りなく近い特性を持ちます。「やっぱこう、どうせなら低回転で粘って高回転でキレ
(省略されました・・全てを読むには ここ を押してください)

このサイトにてBP-VE型の自然吸気エンジンを搭載している車種は、1998/01から発売された2代目ロードスター [NB8C型|2004/04]となっており、NA車は4車種、ターボ/SC車は0車種の全4車種が登録されています。

過渡特性とリッター換算馬力から見た評価

エンジン性能曲線のイメージ
BPのエンジン性能曲線図もどき
馬力の変遷132.8PS → 160PS
トルクの変遷17.3kgm → 16.4kgm
リッター馬力87.00PS/L
リッタートルク9.4kgm/L

今回の参考車両であるロードスターの直列4気筒1839cc、圧縮比10.5でハイオクガソリン仕様の自然吸気エンジンは、7000回転のとき最高出力160馬力を、7000回転のとき最大トルク17.3kgmを発生させます。

馬力と回転数が分かればトルクが、トルクと回転数が分かれば馬力を知ることができますので計算してみますと、最大トルクが発生する5500回転での馬力は132.8PS、最高出力が発生する7000回転でのトルクは16.4kgmになります。

排気量1リットルあたりの馬力は87.00PS/L、トルクは9.4kgm/Lとなり、1気筒(単気筒容積459.9cc)あたりの馬力は40.0PS、トルクは4.3kgmです。

BP型自然吸気エンジンを、このサイトで登録している全てのNA車から集計した偏差値ベースの10段階評価に当てはめると、評価は換算馬力が[ 8 ]、換算トルクが[ 5 ]の「結構な高出力エンジン」にカテゴライズされます。

ちなみに、BP-VE型エンジン搭載車種のうち、最高出力が最も大きかったのはNB8C型ロードスターの160PS/17.3kgm、最も小さかったのはNB8C型ロードスターの154PS/17.0kgmとなっています。

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排気量アップと圧縮比の上昇、ボアストローク比の変化

ノーマルの排気量と圧縮比
BoreStroke排気量圧縮比B/S比
83.085.01839cc10.51.02
ボアアップによる排気量拡大
83.585.01862cc10.61.02
84.01884cc10.71.01
84.51907cc10.91.01
85.01929cc11.01.00
85.51952cc11.10.99
86.01975cc11.20.99
ストロークアップによる排気量拡大
83.086.01861cc10.61.04
87.01883cc10.71.05
88.01904cc10.81.06
89.01926cc11.01.07
90.01948cc11.11.08

エンジンの排気量を決める要素には気筒数、ボア径、ストローク量の3つがあり、これらを増減することでさまざまな排気量のエンジンが生まれます。

ここでは実際に可能かどうかは別として、ピストン径を純正の83.0mmから0.5mm刻みで86.0mmまで拡大した場合および、ストロークを純正の85.0mmから1mm刻みで90.0mmまで延長した場合の排気量と、燃焼室容積が変化しないと仮定した場合の圧縮比の変化を一覧表にしています。

※ストロークアップと口で言うのは簡単なのですが、ロングストローク化するにあたってはクランクシャフトおよび対応コンロッドが必要になり、純正流用できない場合はワンオフで作らなければならないなど、とにかくお高く付きますので、手を出すには相当の覚悟を求められるメニューです。

圧縮比については、実際のところピストンが大径化するに伴ってピストン天面の凸凹容量も変化する場合が大半ですから、一覧表にある圧縮比の数値の通りにはなりませんが、排気量を大きくすると自ずと圧縮比も上昇しますよ、という雰囲気をご堪能ください。

B/S比はボアストローク比の略で、ボア径を広げていくとロングストローク型からスクエア型、あるいはショートストローク型の特性へと近付いていきます。BP型エンジンの場合、純正ピストンから+3.0mmのボアアップをすると比は1.02から0.99に変化するという具合です。

ピストン径が近いエンジンと排気量アップ

BP型エンジンのピストン径83.0mmとサイズが近いピストンを持つエンジンが55件ありますので、余興としてピストン流用でボアアップした場合の排気量を計算してみます。

Eg型式ピストン径排気量
日産
MR20型
84.0mm
[+1.0mm]
1884cc
[+45cc]
スバル
FB20型
84.0mm
[+1.0mm]
1884cc
[+45cc]
マツダ
J20A型
84.0mm
[+1.0mm]
1884cc
[+45cc]
ホンダ
B20B型
84.0mm
[+1.0mm]
1884cc
[+45cc]
日産
MR18型
84.0mm
[+1.0mm]
1884cc
[+45cc]
スズキ
J18A型
84.0mm
[+1.0mm]
1884cc
[+45cc]

ピストン径が近いエンジンとしては、日産:CC25型ランディ ハイブリッドに搭載されるMR20型1997ccの84.0mm、スバル:GT7型XVに搭載されるFB20型1995ccの84.0mm、マツダ:TF52W型プロシード レバンテに搭載されるJ20A型1995ccの84.0mm、ホンダ:RD1型CR-Vに搭載されるB20B型1972ccの84.0mm、日産:JC11型ティーダに搭載されるMR18型1797ccの84.0mm、スズキ:GC41W型カルタス クレセントワゴンに搭載されるJ18A型1839ccの84.0mmなどが該当します。

(もはやこのような探求に楽しみを見い出す人は減ってしまいましたが)いくら径が近かろうとも、ピストンピンの径やピストンの高さ、バルブリセスの都合などなどありますので、なるべくなら同じメーカー、なるべくなら同じ燃料で同じ吸気方式、なるべくなら排気量が近いものを選ぶと純正流用できる可能性が高くなる、かもしれません。

ピストン径が小さい 2000ccクラスのエンジン
ピストン径が大きい 2000ccクラスのエンジン
ストロークが短い 2000ccクラスのエンジン
ストロークが長い 2000ccクラスのエンジン
ボアストローク比・昇順 [2000ccクラス]
ボアストローク比・降順 [2000ccクラス]


平均ピストンスピード

ストローク最大トルク
5500rpm
最高出力
7000rpm
85.0mm15.6m/s19.8m/s
回転数/分秒速時速
2000rpm5.7m/s21km/h
4000rpm11.3m/s41km/h
6000rpm17.0m/s61km/h
8000rpm22.7m/s82km/h
10000rpm28.3m/s102km/h

続きまして平均ピストンスピードについて見てみます。ストロークが85.0mmのエンジンが最高出力を発生する7000回転での平均ピストンスピードは19.8m/sとなり、これは1秒間に19.8メートル(時速にすると71.3km/h)の距離を進む速さでピストンが上下運動していますよ、という意味です。

最大トルクを発生する5500回転では15.6m/s、最高出力が発生する7000回転より500回転高い7500回転をレブリミットと仮定したときの平均速度は21.2m/sとなっています。

参考までにストロークが85.0mmのBP型エンジンを10000回転/毎分まで回したときのピストンスピードの変化を計算してみました。これを見ると回転数が2000回転高くなるごとに概ね5.65m/sずつ速度が増していくようです。

大量生産を前提とした一般的なエンジンの目安である20.0m/sのみを基準として考えると、高回転化の上限を(回るか回らないかは別として)7060回転くらいにするのが機械的にも精神的にも好ましそうです。


BP-VE型エンジンを搭載する車種の例

全4車種のうち、最高出力が大きいものから順に上位3車種を表示しています。その他の車種については、ページ下部にあるリンクよりBP型エンジン搭載車種の一覧をご覧ください。

メーカー
車両型式
画像車名&グレード出力/燃費
パワーウェイト
排気量
変速機
マツダ
NB8C
2004/04
ロードスター
RS-II
[GH-NB8C]
160PS
17.3kgm
13.0km/L
6.750kg/PS
自然吸気
FR/6MT
オープンカー
2人乗り
車両型式:GH-NB8C

ロードスター
[RS-II]
2004/04モデル
最高出力160PS
最大トルク17.3kgm
10-15モード燃費13.0km/L
吸気方式自然吸気
車体構成2人乗りオープンカー
FR/6MT
マツダ
NB8C
2004/04
ロードスター クーペ
type-S
[GH-NB8C改]
160PS
17.3kgm
-
6.875kg/PS
自然吸気
FR/6MT
クーペ
2人乗り
車両型式:GH-NB8C改

ロードスター クーペ
[type-S]
2004/04モデル
最高出力160PS
最大トルク17.3kgm
10-15モード燃費13.0km/L
吸気方式自然吸気
車体構成2人乗りクーペ
FR/6MT
マツダ
NB8C
2004/04
ロードスター
VS Combination-A
[GH-NB8C]
154PS
17.0kgm
11.4km/L
7.013kg/PS
自然吸気
FR/4AT
オープンカー
2人乗り
車両型式:GH-NB8C

ロードスター
[VS Combination-A]
2004/04モデル
最高出力154PS
最大トルク17.0kgm
10-15モード燃費11.4km/L
吸気方式自然吸気
車体構成2人乗りオープンカー
FR/4AT
BP型エンジン搭載車種の一覧
パワーウェイトレシオ順|全21車種

その他のBP型エンジン型式と代表的な車種

BP-ZE型
全10車種
マツダ:ファミリア ネオ [InterPlay-X]
最高出力135PS/最大トルク16.0kgm
1994/06モデル
マツダ
BP-ZE型
全10車種
ファミリア ネオ
[InterPlay-X]
135PS/16.0kgm
BP型
全5車種
マツダ:ファミリア アスティナ [1800-DOHC]
最高出力135PS/最大トルク16.0kgm
1993/06モデル
マツダ
BP型
全5車種
ファミリア アスティナ
[1800-DOHC]
135PS/16.0kgm
BP-ZET型
全1車種
マツダ:ロードスター [Turbo]
最高出力172PS/最大トルク21.3kgm
2004/04モデル
マツダ
BP-ZET型
全1車種
ロードスター
[Turbo]
172PS/21.3kgm
BP-ZE型
全1車種
光岡:ZERO1,ゼロワン [Classic type-F]
最高出力130PS/最大トルク16.0kgm
1997/05モデル
光岡
BP-ZE型
全1車種
ZERO1,ゼロワン
[Classic type-F]
130PS/16.0kgm

マツダ製エンジンの原動機型式まとめ
【排気量順】