マセラティ:AM585型エンジンの諸元と性能まとめ [V型8気筒 3216cc]

ここではマセラティの338型・3200GT [Assetto-Corsa|2001/08モデル] に搭載されているAM585型のツインターボエンジンのデータを参考に、このエンジンが持つ特性や素性について調べてみます。

AM585型のツインターボエンジン諸元


338型 3200GT
主要諸元と走行性能まとめ
車両型式GF-338型
車名&グレード3200GT
Assetto-Corsa
エンジン型式AM585
種類V型8気筒
排気量3216cc
内径×行程80.0mm×80.0mm
ボアストローク比1.00
単気筒容積402.1cc
圧縮比8.0
吸気方式ツインターボ
使用燃料ハイオクガソリン
最高出力370PS/6250rpm
最大トルク50.0kgm/4500rpm

まず基本的な成り立ちとして、AM585型エンジンはボア(内径)80.0mm、ストローク(行程)80.0mm、ボアストローク比1.00のスクエア型エンジン(ピストン径とストローク量が同一)です。

排気量と気筒数が同一の場合、ロングストローク型とショートストローク型の美点の良いとこ取り、若しくは欠点の悪いとこ取り、特にこれと言ってどうとも言えないバランス型の万能エンジンとなる素質があります。

数多あるボアとストロークの組み合わせの中で唯一、双方が同じ寸法のときにだけ現れるスクエア型はその存在の希少性こそが最大の魅力であると言えましょう。

このサイトにてAM585型のツインターボエンジンを搭載している車種は、1998/11から発売された初代3200GT [338型|2001/08]となっており、NA車は0車種、ターボ/SC車は2車種の全2車種が登録されています。

過渡特性とリッター換算馬力から見た評価

エンジン性能曲線のイメージ
AM585のエンジン性能曲線図もどき
馬力の変遷314.1PS → 370PS
トルクの変遷50.0kgm → 42.4kgm
リッター馬力115.05PS/L
リッタートルク15.6kgm/L

今回の参考車両である3200GTのV型8気筒3216cc、圧縮比8.0でハイオクガソリン仕様のツインターボエンジンは、6250回転のとき最高出力370馬力を、6250回転のとき最大トルク50.0kgmを発生させます。

馬力と回転数が分かればトルクが、トルクと回転数が分かれば馬力を知ることができますので計算してみますと、最大トルクが発生する4500回転での馬力は314.1PS、最高出力が発生する6250回転でのトルクは42.4kgmになります。

排気量1リットルあたりの馬力は115.05PS/L、トルクは15.6kgm/Lとなり、1気筒(単気筒容積402.1cc)あたりの馬力は46.2PS、トルクは6.2kgmです。

AM585型ツインターボエンジンを、このサイトで登録している全てのターボ車から集計した偏差値ベースの10段階評価に当てはめると、評価は換算馬力が[ 7 ]、換算トルクが[ 6 ]の「なかなかの高出力エンジン」にカテゴライズされます。

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排気量アップと圧縮比の上昇、ボアストローク比の変化

ノーマルの排気量と圧縮比
BoreStroke排気量圧縮比B/S比
80.080.03216cc8.01.00
ボアアップによる排気量拡大
80.580.03257cc8.10.99
81.03298cc8.20.99
81.53339cc8.30.98
82.03380cc8.40.98
82.53421cc8.50.97
83.03463cc8.50.96
ストロークアップによる排気量拡大
80.081.03257cc8.11.01
82.03297cc8.21.02
83.03338cc8.31.04
84.03378cc8.41.05
85.03418cc8.41.06

エンジンの排気量を決める要素には気筒数、ボア径、ストローク量の3つがあり、これらを増減することでさまざまな排気量のエンジンが生まれます。

ここでは実際に可能かどうかは別として、ピストン径を純正の80.0mmから0.5mm刻みで83.0mmまで拡大した場合および、ストロークを純正の80.0mmから1mm刻みで85.0mmまで延長した場合の排気量と、燃焼室容積が変化しないと仮定した場合の圧縮比の変化を一覧表にしています。

※ストロークアップと口で言うのは簡単なのですが、ロングストローク化するにあたってはクランクシャフトおよび対応コンロッドが必要になり、純正流用できない場合はワンオフで作らなければならないなど、とにかくお高く付きますので、手を出すには相当の覚悟を求められるメニューです。

圧縮比については、実際のところピストンが大径化するに伴ってピストン天面の凸凹容量も変化する場合が大半ですから、一覧表にある圧縮比の数値の通りにはなりませんが、排気量を大きくすると自ずと圧縮比も上昇しますよ、という雰囲気をご堪能ください。

B/S比はボアストローク比の略で、ボア径を広げていくと1.00のスクエア型からショートストローク型へとシフトしていきます。AM585型エンジンの場合、純正ピストンから+3.0mmのボアアップをすると比は1.00から0.96に変化するという具合です。

ピストン径が近いエンジンと排気量アップ

AM585型エンジンのピストン径80.0mmとサイズが近いピストンを持つエンジンが17件ありますので、余興としてピストン流用でボアアップした場合の排気量を計算してみます。

Eg型式ピストン径排気量
三菱
4D65型
80.6mm
[+0.6mm]
3265cc
[+49cc]
スバル
CB18型
80.6mm
[+0.6mm]
3265cc
[+49cc]
トヨタ
4A型
81.0mm
[+1.0mm]
3298cc
[+82cc]
三菱
4G93型
81.0mm
[+1.0mm]
3298cc
[+82cc]
三菱
6A13型
81.0mm
[+1.0mm]
3298cc
[+82cc]
トヨタ
B48B20型
82.0mm
[+2.0mm]
3380cc
[+164cc]

ピストン径が近いエンジンとしては、三菱:E34A型ギャランに搭載される4D65型1795ccの80.6mm、スバル:SK5型フォレスターに搭載されるCB18型1795ccの80.6mm、トヨタ:AE101型カローラ レビン GT-Zに搭載される4A型1587ccの81.0mm、三菱:CD5W型リベロ GTに搭載される4G93型1834ccの81.0mm、三菱:EC5A型ギャランに搭載される6A13型2498ccの81.0mm、トヨタ:DB26型スープラに搭載されるB48B20型1998ccの82.0mmなどが該当します。

(もはやこのような探求に楽しみを見い出す人は減ってしまいましたが)いくら径が近かろうとも、ピストンピンの径やピストンの高さ、バルブリセスの都合などなどありますので、なるべくなら同じメーカー、なるべくなら同じ燃料で同じ吸気方式、なるべくなら排気量が近いものを選ぶと純正流用できる可能性が高くなる、かもしれません。

ピストン径が小さい 3500ccクラスのエンジン
ピストン径が大きい 3500ccクラスのエンジン
ストロークが短い 3500ccクラスのエンジン
ストロークが長い 3500ccクラスのエンジン
ボアストローク比・昇順 [3500ccクラス]
ボアストローク比・降順 [3500ccクラス]


平均ピストンスピード

ストローク最大トルク
4500rpm
最高出力
6250rpm
80.0mm12.0m/s16.7m/s
回転数/分秒速時速
2000rpm5.3m/s19km/h
4000rpm10.7m/s39km/h
6000rpm16.0m/s58km/h
8000rpm21.3m/s77km/h
10000rpm26.7m/s96km/h

続きまして平均ピストンスピードについて見てみます。ストロークが80.0mmのエンジンが最高出力を発生する6250回転での平均ピストンスピードは16.7m/sとなり、これは1秒間に16.7メートル(時速にすると60.1km/h)の距離を進む速さでピストンが上下運動していますよ、という意味です。

最大トルクを発生する4500回転では12.0m/s、最高出力が発生する6250回転より500回転高い6750回転をレブリミットと仮定したときの平均速度は18.0m/sとなっています。

参考までにストロークが80.0mmのAM585型エンジンを10000回転/毎分まで回したときのピストンスピードの変化を計算してみました。これを見ると回転数が2000回転高くなるごとに概ね5.35m/sずつ速度が増していくようです。

大量生産を前提とした一般的なエンジンの目安である20.0m/sのみを基準として考えると、高回転化の上限を(回るか回らないかは別として)7500回転くらいにするのが機械的にも精神的にも好ましそうです。


AM585型エンジンを搭載する車種の例

全2車種を最高出力が大きいものから順に表示しています。

メーカー
車両型式
画像車名&グレード出力/燃費
パワーウェイト
排気量
変速機
マセラティ
338
2001/08
3200GT
Assetto-Corsa
[GF-338]
370PS
50.0kgm
-
4.486kg/PS
ターボ
FR/4AT
クーペ
4人乗り
車両型式:GF-338

3200GT
[Assetto-Corsa]
2001/08モデル
最高出力370PS
最大トルク50.0kgm
吸気方式ターボ
車体構成4人乗りクーペ
FR/4AT
マセラティ
338
2001/08
3200GT
Assetto-Corsa
[GF-338]
370PS
50.0kgm
-
4.297kg/PS
ターボ
FR/6MT
クーペ
4人乗り
車両型式:GF-338

3200GT
[Assetto-Corsa]
2001/08モデル
最高出力370PS
最大トルク50.0kgm
吸気方式ターボ
車体構成4人乗りクーペ
FR/6MT