リンカーン:V型エンジンの諸元と性能まとめ [V型8気筒 4600cc]

ここではリンカーンのL90V型・マークVIII [BaseGrade|1993/04モデル] に搭載されているV型の自然吸気エンジンのデータを参考に、このエンジンが持つ特性や素性について調べてみます。

V型の自然吸気エンジン諸元


L90V型 マークVIII
主要諸元と走行性能まとめ
車両型式E-L90V型
車名&グレードマークVIII
BaseGrade
エンジン型式V
種類V型8気筒
排気量4600cc
内径×行程90.2mm×90.0mm
ボアストローク比1.00
単気筒容積575.1cc
圧縮比9.8
吸気方式自然吸気
使用燃料レギュラーガソリン
最高出力280PS/5500rpm
最大トルク39.4kgm/4500rpm

まず基本的な成り立ちとして、V型エンジンはボア(内径)90.2mm、ストローク(行程)90.0mm、ボアストローク比1.00のショートストローク型エンジン(ストローク量よりもピストン径のほうが大きい)です。

排気量と気筒数が同一の場合、ロングストローク型とショートストローク型の美点の良いとこ取り、若しくは欠点の悪いとこ取り、特にこれと言ってどうとも言えないバランス型の万能エンジンとなる素質があります。

数多あるボアとストロークの組み合わせの中で唯一、双方が同じ寸法のときにだけ現れるスクエア型はその存在の希少性こそが最大の魅力であると言えましょう。

過渡特性とリッター換算馬力から見た評価

エンジン性能曲線のイメージ
Vのエンジン性能曲線図もどき
馬力の変遷247.5PS → 280PS
トルクの変遷39.4kgm → 36.5kgm
リッター馬力60.9PS/L
リッタートルク8.6kgm/L

今回の参考車両であるマークVIIIのV型8気筒4600cc、圧縮比9.8でレギュラーガソリン仕様の自然吸気エンジンは、5500回転のとき最高出力280馬力を、5500回転のとき最大トルク39.4kgmを発生させます。

馬力と回転数が分かればトルクが、トルクと回転数が分かれば馬力を知ることができますので計算してみますと、最大トルクが発生する4500回転での馬力は247.5PS、最高出力が発生する5500回転でのトルクは36.5kgmになります。

排気量1リットルあたりの馬力は60.9PS/L、トルクは8.6kgm/Lとなり、1気筒(単気筒容積575.1cc)あたりの馬力は35.0PS、トルクは4.9kgmです。

V型自然吸気エンジンを、このサイトで登録している全てのNA車から集計した偏差値ベースの10段階評価に当てはめると、評価は換算馬力が[ 4 ]、換算トルクが[ 3 ]の「やや控えめな出力のエンジン」にカテゴライズされます。

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排気量アップと圧縮比の上昇、ボアストローク比の変化

ノーマルの排気量と圧縮比
BoreStroke排気量圧縮比B/S比
90.290.04600cc9.81.00
ボアアップによる排気量拡大
90.790.04652cc9.90.99
91.24703cc10.00.99
91.74755cc10.10.98
92.24807cc10.20.98
92.74859cc10.30.97
93.24912cc10.40.97
ストロークアップによる排気量拡大
90.291.04652cc9.91.01
92.04703cc10.01.02
93.04754cc10.11.03
94.04805cc10.21.04
95.04856cc10.31.05

エンジンの排気量を決める要素には気筒数、ボア径、ストローク量の3つがあり、これらを増減することでさまざまな排気量のエンジンが生まれます。

ここでは実際に可能かどうかは別として、ピストン径を純正の90.2mmから0.5mm刻みで93.2mmまで拡大した場合および、ストロークを純正の90.0mmから1mm刻みで95.0mmまで延長した場合の排気量と、燃焼室容積が変化しないと仮定した場合の圧縮比の変化を一覧表にしています。

※ストロークアップと口で言うのは簡単なのですが、ロングストローク化するにあたってはクランクシャフトおよび対応コンロッドが必要になり、純正流用できない場合はワンオフで作らなければならないなど、とにかくお高く付きますので、手を出すには相当の覚悟を求められるメニューです。

圧縮比については、実際のところピストンが大径化するに伴ってピストン天面の凸凹容量も変化する場合が大半ですから、一覧表にある圧縮比の数値の通りにはなりませんが、排気量を大きくすると自ずと圧縮比も上昇しますよ、という雰囲気をご堪能ください。

B/S比はボアストローク比の略で、ボア径を広げていくと1.00のスクエア型からショートストローク型へとシフトしていきます。V型エンジンの場合、純正ピストンから+3.0mmのボアアップをすると比は1.00から0.97に変化するという具合です。

ピストン径が近いエンジンと排気量アップ

V型エンジンのピストン径90.2mmとサイズが近いピストンを持つエンジンが19件ありますので、余興としてピストン流用でボアアップした場合の排気量を計算してみます。

Eg型式ピストン径排気量
レクサス
3UZ型
91.0mm
[+0.8mm]
4683cc
[+83cc]
三菱
6G72型
91.1mm
[+0.9mm]
4693cc
[+93cc]
日産
VG33型
91.5mm
[+1.3mm]
4734cc
[+134cc]
スバル
EJ20型
92.0mm
[+1.8mm]
4786cc
[+186cc]
トヨタ
2L型
92.0mm
[+1.8mm]
4786cc
[+186cc]
スズキ
J24B型
92.0mm
[+1.8mm]
4786cc
[+186cc]

ピストン径が近いエンジンとしては、レクサス:UZZ40型ソアラに搭載される3UZ型4292ccの91.0mm、三菱:F36A型ディアマンテに搭載される6G72型2972ccの91.1mm、日産:ALWE50型キャラバンエルグランドに搭載されるVG33型3274ccの91.5mm、スバル:BCM型アスカに搭載されるEJ20型1994ccの92.0mm、トヨタ:LH100G型ハイエースワゴンに搭載される2L型2446ccの92.0mm、スズキ:RF91S型キザシに搭載されるJ24B型2393ccの92.0mmなどが該当します。

(もはやこのような探求に楽しみを見い出す人は減ってしまいましたが)いくら径が近かろうとも、ピストンピンの径やピストンの高さ、バルブリセスの都合などなどありますので、なるべくなら同じメーカー、なるべくなら同じ燃料で同じ吸気方式、なるべくなら排気量が近いものを選ぶと純正流用できる可能性が高くなる、かもしれません。

ピストン径が小さい 5000ccクラスのエンジン
ピストン径が大きい 5000ccクラスのエンジン
ストロークが短い 5000ccクラスのエンジン
ストロークが長い 5000ccクラスのエンジン
ボアストローク比・昇順 [5000ccクラス]
ボアストローク比・降順 [5000ccクラス]


平均ピストンスピード

ストローク最大トルク
4500rpm
最高出力
5500rpm
90.0mm13.5m/s16.5m/s
回転数/分秒速時速
2000rpm6.0m/s22km/h
4000rpm12.0m/s43km/h
6000rpm18.0m/s65km/h
8000rpm24.0m/s86km/h
10000rpm30.0m/s108km/h

続きまして平均ピストンスピードについて見てみます。ストロークが90.0mmのエンジンが最高出力を発生する5500回転での平均ピストンスピードは16.5m/sとなり、これは1秒間に16.5メートル(時速にすると59.4km/h)の距離を進む速さでピストンが上下運動していますよ、という意味です。

最大トルクを発生する4500回転では13.5m/s、最高出力が発生する5500回転より500回転高い6000回転をレブリミットと仮定したときの平均速度は18.0m/sとなっています。

参考までにストロークが90.0mmのV型エンジンを10000回転/毎分まで回したときのピストンスピードの変化を計算してみました。これを見ると回転数が2000回転高くなるごとに概ね6.00m/sずつ速度が増していくようです。

大量生産を前提とした一般的なエンジンの目安である20.0m/sのみを基準として考えると、高回転化の上限を(回るか回らないかは別として)6670回転くらいにするのが機械的にも精神的にも好ましそうです。


V型エンジンを搭載する車種の例

メーカー
車両型式
画像車名&グレード出力/燃費
パワーウェイト
排気量
変速機
リンカーン
L90V
1993/04
マークVIII
BaseGrade
[E-L90V]
280PS
39.4kgm
-
6.06kg/PS
自然吸気
FF/4AT
クーペ
5人乗り

マークVIII
[BaseGrade]
1993/04モデル
車両型式E-L90V
最高出力280PS
最大トルク39.4kgm
パワーウェイト6.06kg/PS
吸気方式自然吸気
駆動方式&変速機FF/4AT
車体形状&乗車定員クーペ/5人乗り