ランドローバー:PT204型エンジンの諸元と性能まとめ [直列4気筒 1995cc]

ここではランドローバーのLY2XCB型・レンジローバー ヴェラール [P300|2017/07モデル] に搭載されているPT204型のターボエンジンのデータを参考に、このエンジンが持つ特性や素性について調べてみます。

PT204型のターボエンジン諸元


LY2XCB型 レンジローバー ヴェラール
主要諸元と走行性能まとめ
車両型式DBA-LY2XCB型
車名&グレードレンジローバー ヴェラール
P300
エンジン型式PT204
種類直列4気筒
排気量1995cc
内径×行程83.0mm×92.2mm
ボアストローク比1.11
単気筒容積498.8cc
吸気方式ターボ
使用燃料ハイオクガソリン
最高出力300PS/5500rpm
最大トルク40.8kgm/1500-2000rpm

まず基本的な成り立ちとして、PT204型エンジンはボア(内径)83.0mm、ストローク(行程)92.2mm、ボアストローク比1.11のロングストローク型エンジン(ピストン径よりもストローク量のほうが大きい)です。

排気量と気筒数が同一の場合、ショートストローク型に比べて低回転域でのトルク特性に優れ、扱い易いエンジンとされますが、高回転域では充填効率の悪化や摺動抵抗が増大して出力の低下が懸念されます。

なおかつ回転数も同一の場合、ショートストローク型に比べて平均ピストンスピードが高くなりがちなことから、エンジンへの負荷が大きくなる傾向にあります。

このサイトにてPT204型のターボエンジンを搭載している車種は、2017/07から発売された初代レンジローバー ヴェラール [LY2XCB型|2017/07]となっており、NA車は0車種、ターボ/SC車は2車種の全2車種が登録されています。

過渡特性とリッター換算馬力から見た評価

エンジン性能曲線のイメージ
PT204のエンジン性能曲線図もどき
馬力の変遷85.4PS → 300PS
トルクの変遷40.8kgm → 39.1kgm
リッター馬力150.4PS/L
リッタートルク20.4kgm/L

今回の参考車両であるレンジローバー ヴェラールの直列4気筒1995ccでハイオクガソリン仕様のターボエンジンは、5500回転のとき最高出力300馬力を、5500回転のとき最大トルク40.8kgmを発生させます。

馬力と回転数が分かればトルクが、トルクと回転数が分かれば馬力を知ることができますので計算してみますと、最大トルクが発生する1500回転での馬力は85.4PS、最高出力が発生する5500回転でのトルクは39.1kgmになります。

排気量1リットルあたりの馬力は150.4PS/L、トルクは20.4kgm/Lとなり、1気筒(単気筒容積498.8cc)あたりの馬力は75.0PS、トルクは10.2kgmです。

PT204型ターボエンジンを、このサイトで登録している全てのターボ車から集計した偏差値ベースの10段階評価に当てはめると、評価は換算馬力が[ 10 ]、換算トルクが[ 10 ]の「稀に見る高出力エンジン」にカテゴライズされます。

ちなみに、PT204型エンジン搭載車種のうち、最高出力が最も大きかったのはLY2XCB型レンジローバー ヴェラールの300PS/40.8kgm、最も小さかったのはLY2XCB型レンジローバー ヴェラールの250PS/37.2kgmとなっています。

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排気量アップと圧縮比の上昇、ボアストローク比の変化

ノーマルの排気量と圧縮比
BoreStroke排気量圧縮比B/S比
83.092.21995cc-1.11
ボアアップによる排気量拡大
83.592.22019cc-1.10
84.02044cc-1.10
84.52068cc-1.09
85.02093cc-1.08
85.52117cc-1.08
86.02142cc-1.07
ストロークアップによる排気量拡大
83.093.22017cc-1.12
94.22039cc-1.13
95.22060cc-1.15
96.22082cc-1.16
97.22104cc-1.17

エンジンの排気量を決める要素には気筒数、ボア径、ストローク量の3つがあり、これらを増減することでさまざまな排気量のエンジンが生まれます。

ここでは実際に可能かどうかは別として、ピストン径を純正の83.0mmから0.5mm刻みで86.0mmまで拡大した場合および、ストロークを純正の92.2mmから1mm刻みで97.2mmまで延長した場合の排気量と、燃焼室容積が変化しないと仮定した場合の圧縮比の変化を一覧表にしています。

※ストロークアップと口で言うのは簡単なのですが、ロングストローク化するにあたってはクランクシャフトおよび対応コンロッドが必要になり、純正流用できない場合はワンオフで作らなければならないなど、とにかくお高く付きますので、手を出すには相当の覚悟を求められるメニューです。

B/S比はボアストローク比の略で、ボア径を広げていくとロングストローク型からスクエア型、あるいはショートストローク型の特性へと近付いていきます。PT204型エンジンの場合、純正ピストンから+3.0mmのボアアップをすると比は1.11から1.07に変化するという具合です。

ピストン径が近いエンジンと排気量アップ

PT204型エンジンのピストン径83.0mmとサイズが近いピストンを持つエンジンが23件ありますので、余興としてピストン流用でボアアップした場合の排気量を計算してみます。

Eg型式ピストン径排気量
日産
M9R型
84.0mm
[+1.0mm]
2044cc
[+49cc]
日産
CD20型
84.5mm
[+1.5mm]
2068cc
[+73cc]
三菱
4G63型
85.0mm
[+2.0mm]
2093cc
[+98cc]
日産
VQ25型
85.0mm
[+2.0mm]
2093cc
[+98cc]
日産
RD28型
85.0mm
[+2.0mm]
2093cc
[+98cc]
三菱
G63B型
85.0mm
[+2.0mm]
2093cc
[+98cc]

ピストン径が近いエンジンとしては、日産:DNT31型エクストレイルに搭載されるM9R型1995ccの84.0mm、日産:SW11型ラルゴに搭載されるCD20型1973ccの84.5mm、三菱:E33A型ギャランに搭載される4G63型1997ccの85.0mm、日産:NM35型ステージアに搭載されるVQ25型2495ccの85.0mm、日産:WYY61型サファリに搭載されるRD28型2825ccの85.0mm、三菱:E15A型エテルナシグマに搭載されるG63B型1997ccの85.0mmなどが該当します。

(もはやこのような探求に楽しみを見い出す人は減ってしまいましたが)いくら径が近かろうとも、ピストンピンの径やピストンの高さ、バルブリセスの都合などなどありますので、なるべくなら同じメーカー、なるべくなら同じ燃料で同じ吸気方式、なるべくなら排気量が近いものを選ぶと純正流用できる可能性が高くなる、かもしれません。

ピストン径が小さい 2000ccクラスのエンジン
ピストン径が大きい 2000ccクラスのエンジン
ストロークが短い 2000ccクラスのエンジン
ストロークが長い 2000ccクラスのエンジン
ボアストローク比・昇順 [2000ccクラス]
ボアストローク比・降順 [2000ccクラス]


平均ピストンスピード

ストローク最大トルク
1500rpm
最高出力
5500rpm
92.2mm4.6m/s16.9m/s
回転数/分秒速時速
2000rpm6.1m/s22km/h
4000rpm12.3m/s44km/h
6000rpm18.4m/s66km/h
8000rpm24.6m/s89km/h
10000rpm30.7m/s111km/h

続きまして平均ピストンスピードについて見てみます。ストロークが92.2mmのエンジンが最高出力を発生する5500回転での平均ピストンスピードは16.9m/sとなり、これは1秒間に16.9メートル(時速にすると60.8km/h)の距離を進む速さでピストンが上下運動していますよ、という意味です。

最大トルクを発生する1500回転では4.6m/s、最高出力が発生する5500回転より500回転高い6000回転をレブリミットと仮定したときの平均速度は18.4m/sとなっています。

参考までにストロークが92.2mmのPT204型エンジンを10000回転/毎分まで回したときのピストンスピードの変化を計算してみました。これを見ると回転数が2000回転高くなるごとに概ね6.15m/sずつ速度が増していくようです。

大量生産を前提とした一般的なエンジンの目安である20.0m/sのみを基準として考えると、高回転化の上限を(回るか回らないかは別として)6510回転くらいにするのが機械的にも精神的にも好ましそうです。


PT204型エンジンを搭載する車種の例

メーカー
車両型式
画像車名&グレード出力/燃費
パワーウェイト
排気量
変速機
ランドローバー
LY2XCB
2017/07
レンジローバー ヴェラール
P250
[DBA-LY2XCB]
250PS
37.2kgm
11.6km/L
7.92kg/PS
ターボ
4WD/8AT
SUV
5人乗り

レンジローバー ヴェラール
[P250]
2017/07モデル
車両型式DBA-LY2XCB
最高出力250PS
最大トルク37.2kgm
JC08モード燃費11.6km/L
パワーウェイト7.92kg/PS
吸気方式ターボ
駆動方式&変速機4WD/8AT
車体形状&乗車定員SUV/5人乗り

ランドローバー製エンジンの原動機型式まとめ
【排気量順】