ランドローバー:58D型エンジンの諸元と性能まとめ [V型8気筒 3947cc]

ここではランドローバーのLP58D型・レンジローバー [4.0-SE|2000/04モデル] に搭載されている58D型の自然吸気エンジンのデータを参考に、このエンジンが持つ特性や素性について調べてみます。

58D型の自然吸気エンジン諸元


LP58D型 レンジローバー
主要諸元と走行性能まとめ
車両型式GF-LP58D型
車名&グレードレンジローバー
4.0-SE
エンジン型式58D
種類V型8気筒
排気量3947cc
内径×行程94.0mm×71.1mm
ボアストローク比0.76
単気筒容積493.4cc
圧縮比9.3
吸気方式自然吸気
使用燃料ハイオクガソリン
最高出力185PS/4750rpm
最大トルク34.7kgm/2600rpm

まず基本的な成り立ちとして、58D型エンジンはボア(内径)94.0mm、ストローク(行程)71.1mm、ボアストローク比0.76のショートストローク型エンジン(ストローク量よりもピストン径のほうが大きい)です。

排気量と気筒数が同一の場合、ロングストローク型に比べて低回転域でのトルク特性に劣り、扱いにくいエンジンとされるものの、高回転域では充填効率の向上や摺動抵抗の増大も(ロングストローク型に比べれば)軽微なことから出力の向上が見込まれます。

また同じ回転数でも平均ピストンスピードが抑えられることから、その分だけエンジンへの負荷は低減される傾向にあります。

過渡特性とリッター換算馬力から見た評価

エンジン性能曲線のイメージ
58Dのエンジン性能曲線図もどき
馬力の変遷125.9PS → 185PS
トルクの変遷34.7kgm → 27.9kgm
リッター馬力46.9PS/L
リッタートルク8.8kgm/L

今回の参考車両であるレンジローバーのV型8気筒3947cc、圧縮比9.3でハイオクガソリン仕様の自然吸気エンジンは、4750回転のとき最高出力185馬力を、4750回転のとき最大トルク34.7kgmを発生させます。

馬力と回転数が分かればトルクが、トルクと回転数が分かれば馬力を知ることができますので計算してみますと、最大トルクが発生する2600回転での馬力は125.9PS、最高出力が発生する4750回転でのトルクは27.9kgmになります。

排気量1リットルあたりの馬力は46.9PS/L、トルクは8.8kgm/Lとなり、1気筒(単気筒容積493.4cc)あたりの馬力は23.1PS、トルクは4.3kgmです。

58D型自然吸気エンジンを、このサイトで登録している全てのNA車から集計した偏差値ベースの10段階評価に当てはめると、評価は換算馬力が[ 1 ]、換算トルクが[ 4 ]の「心もとない出力のエンジン」にカテゴライズされます。

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排気量アップと圧縮比の上昇、ボアストローク比の変化

ノーマルの排気量と圧縮比
BoreStroke排気量圧縮比B/S比
94.071.13947cc9.30.76
ボアアップによる排気量拡大
94.571.13989cc9.40.75
95.04032cc9.50.75
95.54074cc9.60.74
96.04117cc9.70.74
96.54160cc9.80.74
97.04203cc9.80.73
ストロークアップによる排気量拡大
94.072.14003cc9.40.77
73.14058cc9.50.78
74.14114cc9.70.79
75.14169cc9.80.80
76.14225cc9.90.81

エンジンの排気量を決める要素には気筒数、ボア径、ストローク量の3つがあり、これらを増減することでさまざまな排気量のエンジンが生まれます。

ここでは実際に可能かどうかは別として、ピストン径を純正の94.0mmから0.5mm刻みで97.0mmまで拡大した場合および、ストロークを純正の71.1mmから1mm刻みで76.1mmまで延長した場合の排気量と、燃焼室容積が変化しないと仮定した場合の圧縮比の変化を一覧表にしています。

※ストロークアップと口で言うのは簡単なのですが、ロングストローク化するにあたってはクランクシャフトおよび対応コンロッドが必要になり、純正流用できない場合はワンオフで作らなければならないなど、とにかくお高く付きますので、手を出すには相当の覚悟を求められるメニューです。

圧縮比については、実際のところピストンが大径化するに伴ってピストン天面の凸凹容量も変化する場合が大半ですから、一覧表にある圧縮比の数値の通りにはなりませんが、排気量を大きくすると自ずと圧縮比も上昇しますよ、という雰囲気をご堪能ください。

B/S比はボアストローク比の略で、ボア径を広げていくと0.76からさらに値は小さくなり、ショートストローク型の恩恵と弊害が顕著になっていきます。58D型エンジンの場合、純正ピストンから+3.0mmのボアアップをすると比は0.76から0.73に変化するという具合です。

ピストン径が近いエンジンと排気量アップ

58D型エンジンのピストン径94.0mmとサイズが近いピストンを持つエンジンが12件ありますので、余興としてピストン流用でボアアップした場合の排気量を計算してみます。

Eg型式ピストン径排気量
トヨタ
2TR型
95.0mm
[+1.0mm]
4032cc
[+85cc]
トヨタ
2TZ型
95.0mm
[+1.0mm]
4032cc
[+85cc]
トヨタ
3RZ型
95.0mm
[+1.0mm]
4032cc
[+85cc]
三菱
6G75型
95.0mm
[+1.0mm]
4032cc
[+85cc]
トヨタ
2RZ型
95.0mm
[+1.0mm]
4032cc
[+85cc]
日産
VQ35型
95.5mm
[+1.5mm]
4074cc
[+127cc]

ピストン径が近いエンジンとしては、トヨタ:TRJ150W型ランドクルーザー プラドに搭載される2TR型2693ccの95.0mm、トヨタ:TCR20G型エスティマ エミーナ&ルシーダに搭載される2TZ型2438ccの95.0mm、トヨタ:RZN185W型ハイラックスサーフに搭載される3RZ型2693ccの95.0mm、三菱:V97W型パジェロに搭載される6G75型3827ccの95.0mm、トヨタ:RZH101G型ハイエースワゴンに搭載される2RZ型2438ccの95.0mm、日産:M35型ディグニティに搭載されるVQ35型3498ccの95.5mmなどが該当します。

(もはやこのような探求に楽しみを見い出す人は減ってしまいましたが)いくら径が近かろうとも、ピストンピンの径やピストンの高さ、バルブリセスの都合などなどありますので、なるべくなら同じメーカー、なるべくなら同じ燃料で同じ吸気方式、なるべくなら排気量が近いものを選ぶと純正流用できる可能性が高くなる、かもしれません。

ピストン径が小さい 4000ccクラスのエンジン
ピストン径が大きい 4000ccクラスのエンジン
ストロークが短い 4000ccクラスのエンジン
ストロークが長い 4000ccクラスのエンジン
ボアストローク比・昇順 [4000ccクラス]
ボアストローク比・降順 [4000ccクラス]


平均ピストンスピード

ストローク最大トルク
2600rpm
最高出力
4750rpm
71.1mm6.2m/s11.3m/s
回転数/分秒速時速
2000rpm4.7m/s17km/h
4000rpm9.5m/s34km/h
6000rpm14.2m/s51km/h
8000rpm19.0m/s68km/h
10000rpm23.7m/s85km/h

続きまして平均ピストンスピードについて見てみます。ストロークが71.1mmのエンジンが最高出力を発生する4750回転での平均ピストンスピードは11.3m/sとなり、これは1秒間に11.3メートル(時速にすると40.7km/h)の距離を進む速さでピストンが上下運動していますよ、という意味です。

最大トルクを発生する2600回転では6.2m/s、最高出力が発生する4750回転より500回転高い5250回転をレブリミットと仮定したときの平均速度は12.4m/sとなっています。

参考までにストロークが71.1mmの58D型エンジンを10000回転/毎分まで回したときのピストンスピードの変化を計算してみました。これを見ると回転数が2000回転高くなるごとに概ね4.75m/sずつ速度が増していくようです。

大量生産を前提とした一般的なエンジンの目安である20.0m/sのみを基準として考えると、高回転化の上限を(回るか回らないかは別として)8440回転くらいにするのが機械的にも精神的にも好ましそうです。


58D型エンジンを搭載する車種の例

メーカー
車両型式
画像車名&グレード出力/燃費
パワーウェイト
排気量
変速機
ランドローバー
LP58D
2000/04
レンジローバー
4.0-SE
[GF-LP58D]
185PS
34.7kgm
5.1km/L
11.51kg/PS
自然吸気
4WD/4AT
SUV
5人乗り

レンジローバー
[4.0-SE]
2000/04モデル
車両型式GF-LP58D
最高出力185PS
最大トルク34.7kgm
10-15モード燃費5.1km/L
パワーウェイト11.51kg/PS
吸気方式自然吸気
駆動方式&変速機4WD/4AT
車体形状&乗車定員SUV/5人乗り

ランドローバー製エンジンの原動機型式まとめ
【排気量順】