ランドローバー:448PN型エンジンの諸元と性能まとめ [V型8気筒 4393cc]

ここではランドローバーのLM44型・レンジローバー [HSE|2007/07モデル] に搭載されている448PN型の自然吸気エンジンのデータを参考に、このエンジンが持つ特性や素性について調べてみます。

448PN型の自然吸気エンジン諸元


LM44型 レンジローバー
主要諸元と走行性能まとめ
車両型式ABA-LM44型
車名&グレードレンジローバー
HSE
エンジン型式448PN
種類V型8気筒
排気量4393cc
内径×行程88.0mm×90.3mm
ボアストローク比1.03
単気筒容積549.2cc
圧縮比10.7
吸気方式自然吸気
使用燃料ハイオクガソリン
最高出力306PS/5750rpm
最大トルク44.9kgm/4000rpm

まず基本的な成り立ちとして、448PN型エンジンはボア(内径)88.0mm、ストローク(行程)90.3mm、ボアストローク比1.03のロングストローク型エンジン(ピストン径よりもストローク量のほうが大きい)です。

排気量と気筒数が同一の場合、ショートストローク型に比べて低回転域でのトルク特性に優れ、扱い易いエンジンとされますが、高回転域では充填効率の悪化や摺動抵抗が増大して出力の低下が懸念されます。

なおかつ回転数も同一の場合、ショートストローク型に比べて平均ピストンスピードが高くなりがちなことから、エンジンへの負荷が大きくなる傾向にあります。

このサイトにて登録されている車種のうち、448PN型の自然吸気エンジンを搭載する最も古い車種は、2002/04から発売された3代目レンジローバー [LM44型|2007/07]、最も新しい車種は2008/03から発売された3代目レンジローバー ヴォーグ [LM44型|2008/11]となっており、NA車は4車種、ターボ/SC車は0車種の全4車種が登録されています。

過渡特性とリッター換算馬力から見た評価

エンジン性能曲線のイメージ
448PNのエンジン性能曲線図もどき
馬力の変遷250.7PS → 306PS
トルクの変遷44.9kgm → 38.1kgm
リッター馬力69.7PS/L
リッタートルク10.2kgm/L

今回の参考車両であるレンジローバーのV型8気筒4393cc、圧縮比10.7でハイオクガソリン仕様の自然吸気エンジンは、5750回転のとき最高出力306馬力を、5750回転のとき最大トルク44.9kgmを発生させます。

馬力と回転数が分かればトルクが、トルクと回転数が分かれば馬力を知ることができますので計算してみますと、最大トルクが発生する4000回転での馬力は250.7PS、最高出力が発生する5750回転でのトルクは38.1kgmになります。

排気量1リットルあたりの馬力は69.7PS/L、トルクは10.2kgm/Lとなり、1気筒(単気筒容積549.2cc)あたりの馬力は38.2PS、トルクは5.6kgmです。

448PN型自然吸気エンジンを、このサイトで登録している全てのNA車から集計した偏差値ベースの10段階評価に当てはめると、評価は換算馬力が[ 5 ]、換算トルクが[ 8 ]の「標準的な出力(中の下)のエンジン」にカテゴライズされます。

ちなみに、448PN型エンジン搭載車種のうち、最高出力が最も大きかったのはLM44型レンジローバーの306PS/44.9kgm、最も小さかったのはLA44型ディスカバリー3の299PS/43.3kgmとなっています。

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排気量アップと圧縮比の上昇、ボアストローク比の変化

ノーマルの排気量と圧縮比
BoreStroke排気量圧縮比B/S比
88.090.34393cc10.71.03
ボアアップによる排気量拡大
88.590.34444cc10.81.02
89.04494cc10.91.01
89.54545cc11.01.01
90.04596cc11.11.00
90.54647cc11.31.00
91.04698cc11.40.99
ストロークアップによる排気量拡大
88.091.34442cc10.81.04
92.34491cc10.91.05
93.34540cc11.01.06
94.34588cc11.11.07
95.34637cc11.21.08

エンジンの排気量を決める要素には気筒数、ボア径、ストローク量の3つがあり、これらを増減することでさまざまな排気量のエンジンが生まれます。

ここでは実際に可能かどうかは別として、ピストン径を純正の88.0mmから0.5mm刻みで91.0mmまで拡大した場合および、ストロークを純正の90.3mmから1mm刻みで95.3mmまで延長した場合の排気量と、燃焼室容積が変化しないと仮定した場合の圧縮比の変化を一覧表にしています。

※ストロークアップと口で言うのは簡単なのですが、ロングストローク化するにあたってはクランクシャフトおよび対応コンロッドが必要になり、純正流用できない場合はワンオフで作らなければならないなど、とにかくお高く付きますので、手を出すには相当の覚悟を求められるメニューです。

圧縮比については、実際のところピストンが大径化するに伴ってピストン天面の凸凹容量も変化する場合が大半ですから、一覧表にある圧縮比の数値の通りにはなりませんが、排気量を大きくすると自ずと圧縮比も上昇しますよ、という雰囲気をご堪能ください。

B/S比はボアストローク比の略で、ボア径を広げていくとロングストローク型からスクエア型、あるいはショートストローク型の特性へと近付いていきます。448PN型エンジンの場合、純正ピストンから+3.0mmのボアアップをすると比は1.03から0.99に変化するという具合です。

ピストン径が近いエンジンと排気量アップ

448PN型エンジンのピストン径88.0mmとサイズが近いピストンを持つエンジンが20件ありますので、余興としてピストン流用でボアアップした場合の排気量を計算してみます。

Eg型式ピストン径排気量
日産
QR25型
89.0mm
[+1.0mm]
4494cc
[+101cc]
マツダ
PY型
89.0mm
[+1.0mm]
4494cc
[+101cc]
日産
QR20型
89.0mm
[+1.0mm]
4494cc
[+101cc]
日産
KA24型
89.0mm
[+1.0mm]
4494cc
[+101cc]
マツダ
L5型
89.0mm
[+1.0mm]
4494cc
[+101cc]
ホンダ
J35A型
89.0mm
[+1.0mm]
4494cc
[+101cc]

ピストン径が近いエンジンとしては、日産:WRP12型プリメーラ ワゴンに搭載されるQR25型2488ccの89.0mm、マツダ:GJ5FP型アテンザ ワゴンに搭載されるPY型2488ccの89.0mm、日産:TG10型ブルーバード シルフィに搭載されるQR20型1998ccの89.0mm、日産:JQGE25型ルネッサに搭載されるKA24型2388ccの89.0mm、マツダ:GH5FW型アテンザ スポーツワゴンに搭載されるL5型2488ccの89.0mm、ホンダ:RR5型エリシオンプレステージに搭載されるJ35A型3471ccの89.0mmなどが該当します。

(もはやこのような探求に楽しみを見い出す人は減ってしまいましたが)いくら径が近かろうとも、ピストンピンの径やピストンの高さ、バルブリセスの都合などなどありますので、なるべくなら同じメーカー、なるべくなら同じ燃料で同じ吸気方式、なるべくなら排気量が近いものを選ぶと純正流用できる可能性が高くなる、かもしれません。

ピストン径が小さい 4500ccクラスのエンジン
ピストン径が大きい 4500ccクラスのエンジン
ストロークが短い 4500ccクラスのエンジン
ストロークが長い 4500ccクラスのエンジン
ボアストローク比・昇順 [4500ccクラス]
ボアストローク比・降順 [4500ccクラス]


平均ピストンスピード

ストローク最大トルク
4000rpm
最高出力
5750rpm
90.3mm12.0m/s17.3m/s
回転数/分秒速時速
2000rpm6.0m/s22km/h
4000rpm12.0m/s43km/h
6000rpm18.1m/s65km/h
8000rpm24.1m/s87km/h
10000rpm30.1m/s108km/h

続きまして平均ピストンスピードについて見てみます。ストロークが90.3mmのエンジンが最高出力を発生する5750回転での平均ピストンスピードは17.3m/sとなり、これは1秒間に17.3メートル(時速にすると62.3km/h)の距離を進む速さでピストンが上下運動していますよ、という意味です。

最大トルクを発生する4000回転では12.0m/s、最高出力が発生する5750回転より500回転高い6250回転をレブリミットと仮定したときの平均速度は18.8m/sとなっています。

参考までにストロークが90.3mmの448PN型エンジンを10000回転/毎分まで回したときのピストンスピードの変化を計算してみました。これを見ると回転数が2000回転高くなるごとに概ね6.03m/sずつ速度が増していくようです。

大量生産を前提とした一般的なエンジンの目安である20.0m/sのみを基準として考えると、高回転化の上限を(回るか回らないかは別として)6640回転くらいにするのが機械的にも精神的にも好ましそうです。


448PN型エンジンを搭載する車種の例

全4車種を最高出力が大きいものから順に表示しています。

メーカー
車両型式
画像車名&グレード出力/燃費
パワーウェイト
排気量
変速機
ランドローバー
LM44
2007/07
レンジローバー
HSE
[ABA-LM44]
306PS
44.9kgm
6.0km/L
8.14kg/PS
自然吸気
4WD/6AT
SUV
5人乗り

レンジローバー
[HSE]
2007/07モデル
車両型式ABA-LM44
最高出力306PS
最大トルク44.9kgm
10-15モード燃費6.0km/L
パワーウェイト8.14kg/PS
吸気方式自然吸気
駆動方式&変速機4WD/6AT
車体形状&乗車定員SUV/5人乗り
ランドローバー
LM44
2008/11
レンジローバー ヴォーグ
4.4-V8
[ABA-LM44]
306PS
44.9kgm
6.0km/L
8.24kg/PS
自然吸気
4WD/6AT
SUV
5人乗り

レンジローバー ヴォーグ
[4.4-V8]
2008/11モデル
車両型式ABA-LM44
最高出力306PS
最大トルク44.9kgm
10-15モード燃費6.0km/L
パワーウェイト8.24kg/PS
吸気方式自然吸気
駆動方式&変速機4WD/6AT
車体形状&乗車定員SUV/5人乗り
ランドローバー
LA44
2008/11
ディスカバリー3
HSE
[ABA-LA44]
299PS
43.3kgm
6.0km/L
8.60kg/PS
自然吸気
4WD/6AT
SUV
7人乗り

ディスカバリー3
[HSE]
2008/11モデル
車両型式ABA-LA44
最高出力299PS
最大トルク43.3kgm
10-15モード燃費6.0km/L
パワーウェイト8.60kg/PS
吸気方式自然吸気
駆動方式&変速機4WD/6AT
車体形状&乗車定員SUV/7人乗り
ランドローバー
LS44
2008/11
レンジローバー スポーツ
4.4-V8
[ABA-LS44]
299PS
43.3kgm
6.0km/L
8.33kg/PS
自然吸気
4WD/6AT
SUV
5人乗り

レンジローバー スポーツ
[4.4-V8]
2008/11モデル
車両型式ABA-LS44
最高出力299PS
最大トルク43.3kgm
10-15モード燃費6.0km/L
パワーウェイト8.33kg/PS
吸気方式自然吸気
駆動方式&変速機4WD/6AT
車体形状&乗車定員SUV/5人乗り

ランドローバー製エンジンの原動機型式まとめ
【排気量順】