ランドローバー:428PS型エンジンの諸元と性能まとめ [V型8気筒 4196cc]

ここではランドローバーのLM42S型・レンジローバー [Super-Charged|2008/01モデル] に搭載されている428PS型のスーパーチャージャーエンジンのデータを参考に、このエンジンが持つ特性や素性について調べてみます。

428PS型のスーパーチャージャーエンジン諸元


LM42S型 レンジローバー
主要諸元と走行性能まとめ
車両型式ABA-LM42S型
車名&グレードレンジローバー
Super-Charged
エンジン型式428PS
種類V型8気筒
排気量4196cc
内径×行程86.0mm×90.3mm
ボアストローク比1.05
単気筒容積524.5cc
圧縮比9.1
吸気方式スーパーチャージャー
使用燃料ハイオクガソリン
最高出力396PS/5750rpm
最大トルク57.1kgm/3500rpm

まず基本的な成り立ちとして、428PS型エンジンはボア(内径)86.0mm、ストローク(行程)90.3mm、ボアストローク比1.05のロングストローク型エンジン(ピストン径よりもストローク量のほうが大きい)です。

排気量と気筒数が同一の場合、ショートストローク型に比べて低回転域でのトルク特性に優れ、扱い易いエンジンとされますが、高回転域では充填効率の悪化や摺動抵抗が増大して出力の低下が懸念されます。

なおかつ回転数も同一の場合、ショートストローク型に比べて平均ピストンスピードが高くなりがちなことから、エンジンへの負荷が大きくなる傾向にあります。

このサイトにて登録されている車種のうち、428PS型のスーパーチャージャーエンジンを搭載する最も古い車種は、2002/04から発売された3代目レンジローバー [LM42S型|2008/01]、最も新しい車種は2005/11から発売された初代レンジローバー スポーツ [LS42S型|2008/11]となっており、NA車は0車種、ターボ/SC車は3車種の全3車種が登録されています。

過渡特性とリッター換算馬力から見た評価

エンジン性能曲線のイメージ
428PSのエンジン性能曲線図もどき
馬力の変遷279.0PS → 396PS
トルクの変遷57.1kgm → 49.3kgm
リッター馬力94.4PS/L
リッタートルク13.6kgm/L

今回の参考車両であるレンジローバーのV型8気筒4196cc、圧縮比9.1でハイオクガソリン仕様のスーパーチャージャーエンジンは、5750回転のとき最高出力396馬力を、5750回転のとき最大トルク57.1kgmを発生させます。

馬力と回転数が分かればトルクが、トルクと回転数が分かれば馬力を知ることができますので計算してみますと、最大トルクが発生する3500回転での馬力は279.0PS、最高出力が発生する5750回転でのトルクは49.3kgmになります。

排気量1リットルあたりの馬力は94.4PS/L、トルクは13.6kgm/Lとなり、1気筒(単気筒容積524.5cc)あたりの馬力は49.5PS、トルクは7.1kgmです。

428PS型スーパーチャージャーエンジンを、このサイトで登録している全てのターボ車から集計した偏差値ベースの10段階評価に当てはめると、評価は換算馬力が[ 5 ]、換算トルクが[ 5 ]の「標準的な出力(中の下)のエンジン」にカテゴライズされます。

ちなみに、428PS型エンジン搭載車種のうち、最高出力が最も大きかったのはLM42S型レンジローバーの396PS/57.1kgm、最も小さかったのはLS42S型レンジローバー スポーツの390PS/56.0kgmとなっています。

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排気量アップと圧縮比の上昇、ボアストローク比の変化

ノーマルの排気量と圧縮比
BoreStroke排気量圧縮比B/S比
86.090.34196cc9.11.05
ボアアップによる排気量拡大
86.590.34245cc9.21.04
87.04294cc9.31.04
87.54344cc9.41.03
88.04394cc9.51.03
88.54444cc9.61.02
89.04494cc9.71.01
ストロークアップによる排気量拡大
86.091.34243cc9.21.06
92.34289cc9.31.07
93.34336cc9.41.08
94.34382cc9.51.10
95.34429cc9.51.11

エンジンの排気量を決める要素には気筒数、ボア径、ストローク量の3つがあり、これらを増減することでさまざまな排気量のエンジンが生まれます。

ここでは実際に可能かどうかは別として、ピストン径を純正の86.0mmから0.5mm刻みで89.0mmまで拡大した場合および、ストロークを純正の90.3mmから1mm刻みで95.3mmまで延長した場合の排気量と、燃焼室容積が変化しないと仮定した場合の圧縮比の変化を一覧表にしています。

※ストロークアップと口で言うのは簡単なのですが、ロングストローク化するにあたってはクランクシャフトおよび対応コンロッドが必要になり、純正流用できない場合はワンオフで作らなければならないなど、とにかくお高く付きますので、手を出すには相当の覚悟を求められるメニューです。

圧縮比については、実際のところピストンが大径化するに伴ってピストン天面の凸凹容量も変化する場合が大半ですから、一覧表にある圧縮比の数値の通りにはなりませんが、排気量を大きくすると自ずと圧縮比も上昇しますよ、という雰囲気をご堪能ください。

B/S比はボアストローク比の略で、ボア径を広げていくとロングストローク型からスクエア型、あるいはショートストローク型の特性へと近付いていきます。428PS型エンジンの場合、純正ピストンから+3.0mmのボアアップをすると比は1.05から1.01に変化するという具合です。

ピストン径が近いエンジンと排気量アップ

428PS型エンジンのピストン径86.0mmとサイズが近いピストンを持つエンジンが6件ありますので、余興としてピストン流用でボアアップした場合の排気量を計算してみます。

Eg型式ピストン径排気量
日産
VG30型
87.0mm
[+1.0mm]
4294cc
[+98cc]
日産
RB-X GT2型
87.0mm
[+1.0mm]
4294cc
[+98cc]
マツダ
L3型
87.5mm
[+1.5mm]
4344cc
[+148cc]
いすゞ
4ZC1型
88.0mm
[+2.0mm]
4394cc
[+198cc]
マツダ
PY型
89.0mm
[+3.0mm]
4494cc
[+298cc]
日産
YD25型
89.0mm
[+3.0mm]
4494cc
[+298cc]

ピストン径が近いエンジンとしては、日産:GCZ32型フェアレディZに搭載されるVG30型2960ccの87.0mm、日産:BCNR33型スカイライン クーペに搭載されるRB-X GT2型2771ccの87.0mm、マツダ:GG3P型マツダスピード アテンザに搭載されるL3型2260ccの87.5mm、いすゞ:JR120型ピアッツァに搭載される4ZC1型1994ccの88.0mm、マツダ:KF5P型CX-5に搭載されるPY型2488ccの89.0mm、日産:VNC24型セレナに搭載されるYD25型2488ccの89.0mmなどが該当します。

(もはやこのような探求に楽しみを見い出す人は減ってしまいましたが)いくら径が近かろうとも、ピストンピンの径やピストンの高さ、バルブリセスの都合などなどありますので、なるべくなら同じメーカー、なるべくなら同じ燃料で同じ吸気方式、なるべくなら排気量が近いものを選ぶと純正流用できる可能性が高くなる、かもしれません。

ピストン径が小さい 4500ccクラスのエンジン
ピストン径が大きい 4500ccクラスのエンジン
ストロークが短い 4500ccクラスのエンジン
ストロークが長い 4500ccクラスのエンジン
ボアストローク比・昇順 [4500ccクラス]
ボアストローク比・降順 [4500ccクラス]


平均ピストンスピード

ストローク最大トルク
3500rpm
最高出力
5750rpm
90.3mm10.5m/s17.3m/s
回転数/分秒速時速
2000rpm6.0m/s22km/h
4000rpm12.0m/s43km/h
6000rpm18.1m/s65km/h
8000rpm24.1m/s87km/h
10000rpm30.1m/s108km/h

続きまして平均ピストンスピードについて見てみます。ストロークが90.3mmのエンジンが最高出力を発生する5750回転での平均ピストンスピードは17.3m/sとなり、これは1秒間に17.3メートル(時速にすると62.3km/h)の距離を進む速さでピストンが上下運動していますよ、という意味です。

最大トルクを発生する3500回転では10.5m/s、最高出力が発生する5750回転より500回転高い6250回転をレブリミットと仮定したときの平均速度は18.8m/sとなっています。

参考までにストロークが90.3mmの428PS型エンジンを10000回転/毎分まで回したときのピストンスピードの変化を計算してみました。これを見ると回転数が2000回転高くなるごとに概ね6.03m/sずつ速度が増していくようです。

大量生産を前提とした一般的なエンジンの目安である20.0m/sのみを基準として考えると、高回転化の上限を(回るか回らないかは別として)6640回転くらいにするのが機械的にも精神的にも好ましそうです。


428PS型エンジンを搭載する車種の例

全3車種を最高出力が大きいものから順に表示しています。

メーカー
車両型式
画像車名&グレード出力/燃費
パワーウェイト
排気量
変速機
ランドローバー
LM42S
2008/01
レンジローバー
Super-Charged
[ABA-LM42S]
396PS
57.1kgm
5.5km/L
6.46kg/PS
SC
4WD/6AT
SUV
5人乗り

レンジローバー
[Super-Charged]
2008/01モデル
車両型式ABA-LM42S
最高出力396PS
最大トルク57.1kgm
10-15モード燃費5.5km/L
パワーウェイト6.46kg/PS
吸気方式SC
駆動方式&変速機4WD/6AT
車体形状&乗車定員SUV/5人乗り
ランドローバー
LM42S
2008/11
レンジローバー ヴォーグ
4.2-V8 Super-Charged
[ABA-LM42S]
396PS
57.1kgm
5.5km/L
6.46kg/PS
SC
4WD/6AT
SUV
5人乗り

レンジローバー ヴォーグ
[4.2-V8 Super-Charged]
2008/11モデル
車両型式ABA-LM42S
最高出力396PS
最大トルク57.1kgm
10-15モード燃費5.5km/L
パワーウェイト6.46kg/PS
吸気方式SC
駆動方式&変速機4WD/6AT
車体形状&乗車定員SUV/5人乗り
ランドローバー
LS42S
2008/11
レンジローバー スポーツ
4.2-V8 Super-Charged
[ABA-LS42S]
390PS
56.0kgm
5.7km/L
6.56kg/PS
SC
4WD/6AT
SUV
5人乗り

レンジローバー スポーツ
[4.2-V8 Super-Charged]
2008/11モデル
車両型式ABA-LS42S
最高出力390PS
最大トルク56.0kgm
10-15モード燃費5.7km/L
パワーウェイト6.56kg/PS
吸気方式SC
駆動方式&変速機4WD/6AT
車体形状&乗車定員SUV/5人乗り

ランドローバー製エンジンの原動機型式まとめ
【排気量順】